3273.日本の農業問題



24日農業問題の勉強を行う相互研修会に参加した。その報告。
                 Fより

日本は、カロリーベースでの自給率が40%であり、生産額ベース
での自給率は66%である。昭和40年当時はカロリーベースでの
自給率は73%もあった。徐々に自給率は下がっている。

このカロリーベースでの自給率のトップはオーストラリアであり、
自給率237%、その他では米国145%、韓国46%となる。

どうしてそうなるかというと、関税が日本は米など一部の関税は高
いが、日本の農産物に対する関税は断然低い。日本は11.7%で
あるが、韓国は60%、EU諸国の平均は20%である。

日本農業が弱いのは、「規模が小さいことで効率が悪い」とする論
調が一般的であるが、お米に400%ほどの関税を設けていても、
平均すると、こんなにも農産物関税は低くのである。

先進国の中でも日本はもっとも農産物に関しては、開放的な国家と
言える。コメに関しての経過から、日本農業の閉鎖性を強調される
が現実は違う。このため、多くの農産物が輸入される。小麦は86
%、大豆76%、油脂類97%も輸入になっている。

畜産は、国内飼料を使っていないために合成計算のために、16%
が国内と計算されているが、国内飼育と見ると66%である。純粋
な輸入は34%になる。このような経緯から米だけが自給率96%
と高い。自給率100%にならないのはミニマムアクセス4%の義
務があるからだ。

しかし、この米も1960年と比べて、現在は1人当りの米の消費
量が半減している。このため、この米の生産量を削減するために、
減反政策が取られている。そして農家の収入は減ることになる。

戦後、日本の食事を米国化するために評論家が、米国に招待されて
、帰国後「米を食べると頭がバカになり、欧米風の食事をすると利
口になる」というトンでもないことを言った。しかし、現在、肥満
の問題から米を中心とした和食が、もっとも体にも頭にもいいと欧
米でもなってきている。

しかし、このような農業に魅力が無いために、若い人の就農ができ
ずに農家の平均年齢は現在68歳になり、毎年1歳づつ増えている。

世界に目を移すと世界の人口は徐々に増加していて、65億人にな
り、2050年には92億人にもなる。中国やインドの経済発達で
食事の欧米化が進み、畜産物の消費が高くなる。牛肉1KGに必要
なトウモロコシは11KGも必要であり、この2つのことから将来
的には穀物の不足が起こることが予測できる。この上、農産物のト
ウモロコシを米国ではエタノールに加工するなどエネルギーに転用
している。

世界的な農業面積は変わらなくて、単位面積当たりの収穫量が増え
たことで生産量を増やしてきたが、今後水不足や温暖化の影響で農
地面積が減少したり、収穫量が減る地域がでてくる。もちろん、ア
マゾンやインドネシアなどの熱帯地域の開発で農地は増えるが、こ
こでは熱帯雨林が伐採されて、地球環境を破壊することになると規
制されてくる。というように将来的な農産物の不足に、日本は対応
することが求められている。

そうこうしている時に、世界的な穀物高騰が起きて、日本の今まで
の農政では日本国民は大丈夫なのであろうかとなった。

日本の農家175万所帯の内139万所帯が兼業農家であり、農業
収入は全所得の10%程度である。このため、実に農産物の約60
%以上は専業農業で生産されているが、専業農家は37万所帯しか
ない。今の日本の農業政策は、この兼業農家に対する支援策とでも
言えばいいのである。本気に農業をする人たちを支援していない。

この状況で、とうとう農水大臣である石破さんが専業農家を増やす
ために、減反政策を転換する方向に日本の農政を180度変えると
宣言した。しかし、現時点ではいろいろな既得権益を持っている人
たちの抵抗を受けて、思い通りの方向に行っていないようである。

しかし、この抵抗勢力も後5年もすると、農家の平均年齢は73才
になり、限界に達することになる。

農業政策を食料安保という観点と、日本人の雇用の場という2つの
ポイントから考え直すことが必要である。日本企業の工場は世界展
開することになる。日本企業は世界企業になる。日本企業は日本で
は研究開発しかしない。研究開発で必要な人は少ない。このため、
日本での雇用の場が少なくなる。

この解決には、企業が農業をできる体制にすることである。改正農
地法では企業の土地利用権を認めるというので期待したい。

さあ、どうなりますか?



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