3254.米覇権衰退後の日本の役割



G20サミットでも明らかなように米覇権が衰退している。そして
、米国の世界での警察という役割も、米国力の衰退でできなくなっ
てくる。これにより世界の平和は、今の形では維持できないことに
なる。次の世界平和をどういう体制で行うのかを検討する必要にな
っているし、そこでの日本の役割は何かが問われている。
                津田より

0.はじめに
 今までは米国の圧倒的な軍事力と経済力で、世界のスーパーパワ
ーとして平和を守る体制であり、帝国の平和として世界の平和を維
持してきた。しかし、国家対国家の戦いから地域紛争やテロという
非組織との戦いなど、いろいろな戦争が出てきている。

米国が衰退すると、中国など非民主国家が、軍事力を増強して自己
膨張をし始める可能性もあり、世界の平和はいろいろな挑戦を受け
ることになりそうである。

そして、国際協調というG20では最大公約数としての取り決めし
かできないこともわかってきた。国民国家の指導者が国際協調とい
う会議を行っても、合意できることは抽象論であり、あいまいな表
現でしかないことになる。

日本は9条という平和憲法を持ち、この制約で世界平和への協力も
制限を受けてきた。しかし、米国が衰退して軍事力や経済力で世界
を指導できない時代が来ている。このとき、日本は9条の平和憲法
と世界平和の維持という役割を先進諸国の先頭に立って担うことに
なるようだ。他の先進諸国と違って、日本は平和の手段を持ってい
る。

日本企業は世界に拡大していく方向であり、世界の発展途上国に今
までも、今後も工場を建てて、その国で消費する商品をそこの国で
作ることになる。それが日本企業の使命であるし、日本企業の生き
る道である。そうしないと、日本企業は円高になり韓国企業、中国
企業などとの競争に負けてしまう。そして、そのことで途上国の国
民所得を増やして、貧困から抜け出すことにもなる。

1970年代から始めた日本企業のアジア生産シフトで、アジアは
テイクオフしたことで実証されている。このことでアジアでの戦争
もなくなった。これは、日本が経済的な立ち上げをアジア諸国で行
ったことによるのだ。経済的な豊かさは戦争を抑止している。この
業績を日本は声高に言わないために、世界は気がついていないので
はないかと見る。

平和の確立は、1つに地域が貧困から脱出し、もう1つが教育の
普及であり、最後に武力の放棄または縮小である。非平和な地域は
3つの条件が守られていない地域である。それが、現在ではアフリ
カと中東の地域である。米国やNATOが行うテロ対応もこの地域
である。悪いことにそこに石油があるために、世界的な争奪にもな
っている。

このように経済援助より、日本企業が進出し工場を建てて地域経済
を活性化させることが重要なのである。日本はアジアの工場生産で
必要なために、インフラを整備し、小学校を立てて文字を教え時間
を守るなどの国民教育にも貢献した。

この日本企業の今までの業績と日本憲法9条と、サマワで見せた地
域発展の軍政を行う日本自衛隊のPKOの3つで、世界平和を実現
できないかと私は考えている。

この実現方法を、一緒に検討したいと思う。

1.平和の歴史
 産業革命後、欧州は世界へ侵略していく。19世紀末から20世紀初
めにかけて帝国主義の時代になる。産業革命によって成立した資本
主義社会では、自由競争に勝ち残った少数の大企業が独占資本家と
なり、銀行資本と結びついて金融資本が形成された。

金融資本は、国内だけでは利潤をあげることが難しくなると、国内
の余剰資本のより有利な投下先を求めて国外へ進出し、国内の余剰
資本を原料・労働力・市場を持つ植民地などに投資することで、大
きな利潤をあげた。

このため、欧米列強は植民地や従属国を求めてアジア・アフリカな
どへの進出をはかった。

このような情勢の中1853年の黒舟以降の運動で、1868年に
明治維新となり、日本は欧米列強に植民地にされないように、欧米
化文明化を行い、帝国主義の日本を作り上げる。

しかし、ドイツ、ロシアなど遅れて植民地の獲得に乗り出し、植民
地の再分割を要求した。このため帝国主義列強間で対立が激化し、
1914年からの第一次世界大戦の原因となった。日本は連合国と
して参戦した。

第一次世界大戦後パリ不戦条約が締結されて、国際紛争を解決する
手段としての戦争を放棄し、紛争は平和的手段により解決すること
を規定した。日本も調印したが、その後の日本の行動は帝国主義的
な行動になる。やっと、戦力が整備されて、植民地拡大できる状態
になったときに、植民地拡大ができなくなったことで、日本は不満
であったのだ。中国へは自衛のための事変であるとして出て行く。

そして、日本の起こした1931年の満州事変についても日本側は自衛
のための措置としたが、諸外国を納得させることは出来ず、国際連
盟で非難決議があり、日本の国際連盟脱退に至った。事変としたの
も戦争とするとパリ不戦条約違反になるためである。

この満州事変の同じ時に、1人の日本人が国際司法裁判所所長にな
って世界の平和に貢献していた。その人は安達峰一郎である。国力
の大小に関わらず正しいことは正しいと法にもとづく正義を貫きと
おしたその姿勢は「世界の良心」とたたえられたが、日本が満州事
変を起こした3年後、1934年にオランダのバークで病死する。

日本は第2次大戦で敗戦、戦後できた日本国憲法第9条はパリ不戦条
約をモデルにして作成されたのだ。

日本は戦後、朝鮮戦争で経済発展が進む。米国と肩を並べる工業国
家になるが、1970年以降の貿易摩擦で、米国から日本製品の輸
入を制限されて、アジア諸国で生産して米国に輸出するモデルを開
発した。すると、アセンブルだけの現地化も日本製と見なされたこ
とから、現地化率を上げざるを得ずに現地化率を上げてきた。これ
でアジアの経済発展と民主化が進み、戦争がない地域になっていく。
ベトナム戦争など米国と共産国家の戦いはあったが、経済発展で共
産主義自体も市場経済主義に変わることになる。

1990-2000年に国際難民高等弁務官として緒方貞子がなり、日本は
世界の難民を見ることで、アジア経済発展の論理が世界に通用する
ことがわかったのである。

2003-2006年まで、日本の自衛隊はイラクのサマワへ派遣された。
活動の柱は人道復興支援活動と安全確保支援活動である。活動は「
非戦闘地域」に限定されていたが、自衛隊創設以来初めて、戦闘地
域ではないかとの論議のある地区に陸上部隊を派遣した。非戦闘地
域であるために、軍事的な面より軍政的な面がより重要であった。
戦闘部隊が軍統治も行うという軍隊は日本以外にないため、今後の
PKOとして日本方式が有効であると多くの世界の有識者から認め
られた。特にアーミテッジ氏は、日本の貢献を世界に広げるために
、憲法9条が問題であるという意見をいただいている。

このように日本は明治以降に世界列強と肩を並べるようになって世
界平和の方法をいろいろな意味で取得してきたのだ。これを米国の
衰退で今後活用することが求められているように感じる。

2.今後の日本の役割
 戦争と平和の間には、いろいろな状況がある。戦闘状況、紛争で
難民が出ている状況、武装勢力が常時存在する状況、対立している
が紛争ではない状況、警察力が確立している状況、武装解除されて
警察力がある状況でなどであるが、最後の状況だけが平和というこ
とである。

平和な状況にないと、日本企業の進出はできないし工場建設もでき
ない。平和以前の状況ではサマワと同じような日本の自衛隊の軍政
が必要になる。警察力がない場合は、警察力の支援をする必要にな
り、日本から警察を送り出すことも必要になる。

このように世界の紛争地域に対して、世界が行う支援は多くの段階
がある。日本は戦闘段階をNATOや米国に任せても、非平和非戦
闘の場面からは出て行くことが求めら得ているように思う。

日本憲法9条で、戦闘行為はできないとしても非戦闘地域でも安定
していない場合は、民間人だけでは無理である。また、海賊などの
警察力不足地域では、その対応も自衛隊がする必要がある。

戦争ではないが国同士が対立しているときには、その仲裁が必要で
あり、その仲裁でもそれ相当な軍事力を求められることになる。
どちらにしても相手より小さい軍事力では、平和は守れない。

このため、中国より大きな抑止力としての軍備が必要になる。この
ためには米国が衰退するなら、日本や欧州が分担して地域の安全を
守る枠組みを作る必要があると思う。国連安保理には非民主的な中
国やロシアがいるために、思うように活動ができないと見る。

しかし、今の米国には盟主としての力がないので、G7が集団指導
体制として行動することになる。米国も1メンバーとしていること
として、その中で日本の役割を規定することである。

3.日本拡大戦略として構築
 日本はこれ以上の経済発展はできない。人口減少などで国内需要
は減少していく。このため、海外需要に活路を見つけるしかない。
このためには、日本企業が世界で活躍することである。

この日本企業をサポートする金融やODAなどでインフラを企業活
動する地域に優先的に投下して、日本企業と日本の金融機関、日本
政府が一団となり、該当地域の経済発展を推し進めることである。

これにより、日本は今後も世界でビジネスして、その利益を使って
日本で研究開発することである。研究開発は日本で、生産は発展途
上国というモデルを作ることであると思うが、どうであろうか。

米国の衰退が今後益々計画化してくるので、日本としての総合的な
戦略を今から確立していくことが必要である。

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安達峰一郎
http://www.mediabahn.co.jp/portofolio/adachi.html
世界平和に貢献した真の国際人
日本人初の国際司法裁判所所長

日本人初の国際司法裁判所所長。同じく日本人初の国際労働総会議
長。この人物についていえば、「はじめて」という形容詞はいくら
でもつけられる。山辺町出身。東大を出た後、外交官として世界各
地をまわり、その卓越した語学力と高い人望によって国際舞台で頭
角をあらわす。やがて各国の代表者に推されるかたちで国際司法裁
判所所長に就任。国力の大小に関わらず正しいことは正しいと法に
もとづく正義を貫きとおしたその姿勢は「世界の良心」とたたえら
れた。応訴の義務化を主張した。昭和九年、アムステルダムで病没
。その死をオランダは国葬で見送った。
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2315.日本の目指すべき目標
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k8/180413.htm
日本の目指すべき目標を検討する。        Fより

米国とイランがハルマゲドンの最終戦争に突入しそうな状況である
が、この戦争を抑止できる国際的な政治力がないことに非常に残念
な思いを味わっている。

日本の目指すべき目標は何か??
ということで、この目標をハルマゲドン戦争の防止として、このコ
ラムを始めたが、残念ながらその目標を達成できない状況になって
いる。本当に残念である。

再度、目標を立て直す必要が出てきている。
日本の目標は、ただ単に日本の富を増やすことではなくて、日本の
国の価値を高めて、この国の価値で世界に平和と安定、富を提供す
ることであると考えている。

ドイツ人のシュタインは、「世界の文化はアジアに始まって、アジ
アに帰ってくる。それはアジアの高峰日本に立ち戻らねばならない。
我々は神に感謝する。我々に日本という尊い国を作っておいてくれ
たことを・・・」と日本と賛美したが、今、この言葉を実現する必
要を世界は日本に感じている。特に、米国は自分で世界の問題を解
決できなくなっている。誰かに任せたいと思い始めているようだ。

なぜ、日本なのか??
日本は、、世界にも稀な純粋な農耕民族国家であり、その農耕民族
が収めている同一民族の国家で、基本的に平和で、少数の異民族と
の和を尊ぶ民族である。異民族戦争の悲惨さも知らない。このため
、数千年前からアミニズムの神道を信じている。その中に自然崇拝
があり、祖先との輪廻を信じている。

この日本の文化から出る政治力を今、世界は必要としているように
感じる。一神教のキリスト教国家である米国やイスラム教国家のイ
ランの考え方では、平和な地球を構築できない。悪と正義の戦いを
既定してしまう。そこには話し合いという妥協を許さない。日本人
は、何かケンカが起きると、話し合いで解決しようとするが、その
余地を作らないのが日本以外の世界である。

ジョセフ・ナイのソフトパワーが日本を高めているという気がする。
寿司や天ぷらなどの日本食、宮崎駿の劇画や畳などの家具、それと
車などの日本文化を体現している物が世界的に売れている。その裏
打ちしているのは、神道精神というソフトパワーであると見ている。

そのソフトパワーを世界に見せたのが、サマワでの日本の自衛隊の
行動であった。軍政は難しい。サマワで日本はその地域の郡長たち
と個別にそれぞれの要望を聞き入れて、対応したために自衛隊の居
るサマワは他県に比べても平和な地域になっている。郡長とその部
下たちが自衛隊を守るために、テロ組織が自衛隊近傍に長くいられ
ない。このため、一過性の事件でしかない。不満があると事件を作
る郡長はいるが、それに対して、日本の自衛隊は不満を聞きに行く
という他軍では、考えも付かない行動をしている。

自衛隊を護衛する豪州軍が日本の自衛隊といると自分たちも安全で
あり、自衛隊が居る限り、自分たちも日本の自衛隊と一緒にいたい
と言わしている。軍の統治は難しいが、これを見事に成し遂げたこ
とで、自衛隊への期待感が米軍やEU軍で増している。

日本人の精神がこのような行動を起こしている。自衛隊の隊員が特
殊な日本人ではない。礼儀正しい一般の日本人の意識と同じである。

外交力は軍事力の質で左右されるが、今までの軍事力とは違う、異
民族間のいざこざや異国での軍政など、PKOで日本の自衛隊は大
きな力を発揮している。この軍事力を有効に活用して、日本は外交
力、国際政治力を高めることが必要になっている。

そして、その日本の外交力で、世界に平和を築くことが当面の目標
でしょうね。まずは、ハルマゲドンで核の汚染が起こる中東地域で
の除去作業と核兵器の破棄を推進することだと思う。
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458−2.拡大日本の戦略について
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/kak3/1303042.htm
日本企業の海外進出の歴史を検討しておきましょう。  Fより

海外進出には3つのパターンがあったと考えます。
1つ目のパターンは、YKKや味の素などの日本企業が自分の強み
を基に、海外進出した例で、これは1980年代から1990年代
にあり、企業自身に強みが持続的にあればいいが、富士通や日立、
NECなどのメインフレームように進出当初は強みがあったが、
クライアント・サーバー方式にコンピュータの世界が変革した時点
で強みがなくなり、苦戦している。

2つ目のパターンは、生産ラインを主にアジアや中国へ持っていく
型の企業進出。このパターンでは海外で生産した物は日本の市場で
売ることになるが、世界へその製品を売るスタイルもある。
この代表例が、船井電機、アイワ、ユニクロなどが有名である。

3つ目のパターンは、同時並列的に世界(欧米)対応する企業がで
てきた。社内の会話も日本語、英語、中国語、スペイン語など多様
になる。このパターンはまた、海外企業のM&Aをも行う。
この代表例は、ソニー、ホンダ、フジミックなどで、ソフトバンク
のように日本より米国で有名な企業も出てきた。YAHOO米国本
社の大株主がソフトバンクであるから当たり前であるが。

このような3段階で、失敗したり、成功したりといろいろなノウハ
ウが蓄積されている。
マグチモータがいい例で、低価格のマイクロ・モータでは大手であ
るが、いつも先頭を切って、生産拠点を低賃金国に移動させている。
中国の大連に進出するのも早かった。低価格を武器にするため、
生産拠点を戦略的に移動しているのです。この同じ業界の日本電産
は、日本で生産している。磁気ディスク用のマイクロ・モータが
主力で、精密さを要求されて、そのため高価格であるためです。
これと同じスタイルで、低価格製品は中国などのアジアで生産し、
高価格帯の製品は国内というような分業をおこなっているのは
部品産業、衣料品産業などである。

アイワも1990年前後に日本の工場を閉鎖してシンガポールとマ
レーシアに生産拠点を移した。しかし、その後、船井電機が中国で
生産するようになって、価格では船井に負けることになる。
このため、低価格商品をどこで生産するかが問題になっている。
有名デパートで、1万円の紳士服が売り出されるとのことであるが
、この生産地は北朝鮮ですよ。このコラムで言っていたことを実行
した人がいるようですね。一番人件費が安い。しかし、カントリー
リスクもあるため、軽工業製品しか今は持っていけないが。

最近、高機能でありながら海外生産になっているものが出てきてい
る。それは、携帯電話の生産で、海外のノキアやエリクソン、モト
ローラなどが低価格な携帯電話を売るためで、これに対抗する必要
があるのでしょう。NEC、松下などが中国に工場を建てている。

そして、現在、T君のように新製品を最初から中国で生産を計画す
る企業が出てきている。これは、日本の消費者が低価格商品しか、
買わなくなっているためで、日本で製造すると、高価格になる。
となると、日本では無人・少人数で大量生産ができるものしか作ら
ない。この工場としては、村田製作所のようなコンデンサー、高周
波フィルターなどの電子部品、半導体、電池類、それと、ファナッ
クなどのロボット工場で、ほとんど無人で完全自動化工場は日本で
生産できるでしょう。しかし、機種変更が容易でないため、完全自
動化はほとんどの産業には不適である。

このように、企業から見た日本は、拡大せざるを得ないのですが、
日本の政治家や評論家は日本しか見ないのです。この拡大している
日本は、実業です。一時、金融業界が大挙して、欧米諸国に進出し
ましたが、この連中は虚業でした。なにも商売が出来なかった。
今、日本から世界に進出しているのは工場ですから、実業でかつ、
日本の消費者の低価格化に対応するためです。この日本のユーザに
対応すると、世界のユーザにも売れるのですよ。日本にとっても、
進出した国にとってもいいことですよね。

今は人件費が安いのは中国ですが、どんどん賃金が上昇しています
から、その内、それより安い地域、国に移動しないと世界の競争に
負けることになるのです。今は、中国奥地かベトナムと次の候補地
を、言っていますが、その次の候補地を育成しておく必要があるの
です。長期計画は日本政府が行うべきです。今までは共産主義国家
であり、教育水準が高い地域でした。そこに競争原理を導入すると、
人は目を輝かせて働きます。

しかし、将来の候補地として見るアフリカや中南米は、教育水準が
低くく、かつ民主主義のレベルも低いのですから、その向上からす
る必要があるのです。
==============================
2690.東南アジアの世紀に
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/L9/190701.htm
日本は、米国との関係を維持しながら、東南アジアに目を向ける必
要にある。その検討。   Fより

東南アジアが交易によって繁栄したことは、今までのコラムを見て
いただければと分かると思う。そして、地域全体が1つの商圏とし
て発展したことでムラユ語が通じる地域を形成していた。また、イ
ンド商人、イスラム商人、中国商人がこの地域に移り住んで、それ
ぞれの文化をこの地域にもたらした。

この地域は、その後英国、オランダ、フランスの植民地になり、そ
こでも欧米文化が入り、独立後はASEANとして昔と同様な統一
的な経済政治地域を形成している。この共同体は15世紀以前の昔
に戻ったとも見える。

このため、この地域は独特の特徴ある文化があるように見えない。
しかし、インド文化と地域文化の融合、中国文化、欧米文化との融
合などという何でも融合する混沌とした文化がある。混沌とした多
様性と、にもかかわらず、どこか懐かしさがあるという共通性の併
存だという人もいる。

精神的な面では、多くの日本人が忘れたものを今も持っている。
生活の知恵なども豊富である。貧しいことが精神面で重要なことで
あると東南アジアに行くと思う。

そして、現在、この地域に新しい力を入れているのが、日本である。
日本のエスニックブームに乗り、その地域のインド料理などと融合
したいろいろな料理を日本の街に導入しようとしているし、日本企
業は安い労働者を求めて、東南アジアに工場を建てている。中国人
と違い、従順で長く勤めてもらえるために、日本固有の技術を伝承
することができる国々のような気がする。

特に現在、ベトナム・タイに日本企業は進出している。タイのトヨ
タ工場は従業員を教育して、ライン指導者までにしている。このタ
イ人が東アジアに進出するときの現地の従業員を教育することにな
る。また、キャノンなどはプリンターの出荷の半分以上をベトナム
で作ろうとしている。帝人のタイ工場には日本人がいない。などタ
イ人やベトナム人は忍耐強い。職人を育てるにはいい資質である。

日本企業はヒエラルキーを作り、その下で生産をするという形を取
らない。現地企業ができることは、現地企業を使う方向であり、
徐々に現地企業が技術を習得して、日本企業の工場に近接した地域
で生産し、納期と品質を確保してもらえばいいと考えている。この
ため徐々に現地化率が高くなる。

東南アジアで部品産業が立ち上がり、それを日系企業は中国や東南
アジアの違う国の工場で使う方向にあり、東南アジア域内と中国を
結ぶ輸送が重要に成ってきている。そのため、中国と東南アジア域
内を結ぶ高速道路や鉄道などの整備が必要になっている。

どうして、このような現地化を日本企業はするかというと、米国と
の貿易摩擦で現地化率を厳しく問われた時代があり、しかし現地化
するとコストが大幅に下がることを経験したことで、このような現
地企業育成策を取るようになったのでした。

現地化率をなぜ、米国は、問うたかというと当初、日本の部品を全
て運び、アセンブリだけを現地で行ったためであり、米国はその製
品を日本製をしたことで、逆に日本企業としては輸出規制を逃れる
ことができなくなったのでした。

このため、日本企業は、現地企業を育成して現地化率を上げる努力
をしたのだ。あの日米貿易摩擦は日本を世界の指導大国にするため
に米国が意図せずに、仕掛けた育成策であったような気がする。

しかし、現地化率を上げると中国や韓国のように自国企業にその技
術を転用して、日本企業を苦しめる現地下請企業もあり、日本企業
は中国では苦労している。単なる生産だけを目的にするなら中国か
ら東南アジアに日本企業は移転する必要があると思う。
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参考文献
1 帝国主義 
http://www.sqr.or.jp/usr/akito-y/gendai/1-teikoku1.html


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