3253.米覇権衰退で世界の構図が変わる



G20や北朝鮮問題など多くの場面で米国の衰退が表面化して、世
界の構図は大変化し始めている。日本の戦略を検討したい。Fより

米国のG20サミットでも、オバマ大統領は「米国は聞き役であっ
た」「世界は複雑で、パートナーと協力していかなければならない
」と言う。このように、米国の明確な主張が無かったことを明らか
にしている。特に反米国家であるロシアと中国の主張を聞いていた
が、親米国家とは会談もしなかった。ロシアのメドベーチェフ大統
領は、会談後MDで米国は譲歩するようだと述べているし、中国へ
は日本を差し置いて訪問をオバマ大統領が約束している。

反対に、G20では日本は事前に米国のドル基軸通貨制度や財政出
動などに賛成していたが、米国はその日本を終始無視していた。

しかし、日本の利益としては独仏の主張である金融規制の強化やタ
ックスヘブンの阻止など方がいいに決まっている。また、中国のI
MFでのSDRを基軸通貨にするという案も日本の外貨準備を守る
観点からはよいことになる。日本は従来からの信義を重んじて、米
国に味方をしたのである。

米国経済の状況は、コーンFRB副議長がいうように非常に弱い状
況が当面続くようであり、3月の米失業率8.5%に悪化して 雇用も
15カ月で510万人減になっている。GMやクライスラーについても破
産法の活用を計画しているように米国の経済が最悪期にある。

このため、米国は世界の安全保障に関われる余裕をなくしている。
このことによって、親米国を守る意思はなく、かつ反米国の利益を
尊重しているように見える。反米的な上海機構にも米国は参加し、
アフガンでの米国の活動を上海機構で容認してもらうようである。
この見返りは、反米諸国の利益を尊重することになる。その上海機
構には、ロシアやイランなどがいる。

米国には覇権国としての義務を果たす意思がないように感じた。こ
れは権利を主張することもできないことを意味する。弱い米国を印
象付けている。このため、世界の混乱は手を付けられないことにな
りそうだ。そして、戦争の時代になっていくように感じる。

北朝鮮ミサイル問題でも、クリントン国務長官は米国はMDの発射
などの行動をしないが日本の行動は認めるという発言をして、かつ
ミサイルの発射があっても6ケ国協議を続けるという。北朝鮮への
制裁もないようである。親米国家日本の要望は聞き入れるつもりは
ないし、中国の米国債保持を要請するために、中国の要請は全て聞
き入れるようであるが、日本の保有する米国国債を売却するという
可能性を米国は考えていない。

親米であると機会損失が大きいような状況になるなら、日本も米国
からの離脱を考える必要になる。米国の覇権力衰退で弱肉強食の世
界が当分続くと見たほうがいいようである。

このような状況を中国はキャッチして、東シナ海の海軍力を増強し
て監視を強化し 尖閣を自国領土化する方向で対応する。このため
尖閣諸島を巡り、日本との摩擦が増えるが米国は尖閣諸島の紛争に
は関わらないとコメントしている。

中国は台湾も自国領土として譲らないが、こちらは馬国民党政権に
なり、中国化を推し進めているためにそうなる公算が高い。このよ
うに日本周辺での中国との摩擦が増大することになる。この中国膨
張は、東南アジア、特にフィリピンやインドネシア、ベトナム、そ
してインドとも摩擦を増大している。米国は中国との摩擦を避ける
ためにグアムへ後退する計画であるので、日本が中心となって、中
国とアジアの摩擦増大を制御していくことが期待されているように
感じる。

このために、日本の軍事大国化は避けて通れないことになりそうで
ある。北朝鮮のミサイル発射は日本国民の防衛意識を向上させるの
に非常に良い機会になっている。神の配剤は面白いことになってい
る。

どちらにしても、オバマ米政権は頼りにならないことが判明した。
そして、本格的に政治的に離米して、日本独自で乗り出していくこ
とが重要になっている。米国に代わって海軍力を増強し、世界平和
のために空母を作る必要もあるようだ。

そのためにも、日本の国内政治を安定させる必要がある。このため
には早期の衆議院選挙をして、民主党と自民党が大連合をしないと
無理がある。国内紛争に関わっているよう余裕は今の世界情勢では
ないということを肝に銘じてほしいものである。

さあ、どうなりますか??
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オバマ米大統領「米国は聞き役で指導力発揮」 
 【ロンドン=丸谷浩史】オバマ米大統領は2日の記者会見で「米国
は聞き役になった時に最良の指導力を発揮できる」と語り、国際舞
台へのデビューとなった金融サミットで国際協調の成果をあげたと
強調した。そのうえで「世界は複雑で、パートナーと協力していか
なければならない」と訴えた。

 中国やロシア、韓国との首脳会談での協調の例として挙げたのが
「北朝鮮が計画しているミサイル発射への対応」や核削減、アフガ
ニスタン安定化など。オバマ氏は2日もインドのシン首相、サウジア
ラビアのアブドラ国王と会談。サミット期間中は6つの首脳会談をこ
なした。

 ただオバマ氏は会見で「米国は世界最大の経済大国で、地球上で
最も強力な軍を持ち、文化、政治にはいまだに巨大な影響力がある
」とも語り、米国抜きで世界の諸課題は解決できないと付け加える
のも忘れなかった。オバマ氏は3、4両日に北大西洋条約機構(NA
TO)首脳会議に出席した後、5日はチェコで欧州連合(EU)との
首脳会議に臨み、6、7両日にトルコを訪問する。 (14:42) 
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米経済、非常に弱い状況が当面続く公算=コーンFRB副議長
(ロイター)2009年 04月 3日 22:55 JST

 [ウースター(米オハイオ州) 3日 ロイター] 米連邦準備
理事会(FRB)のコーン副議長は3日、米経済は当面非常に弱い
まま推移する公算が大きく、当局者は必要に応じて一段の異例な措
置を講じる準備をする必要があるとの認識を示した。

 経済危機に関する講演原稿で副議長は「状況は、本格的で持続的
な景気回復につながるものではない。金融政策が景気回復に寄与し
得る方法にFRBは引き続き注意する」と述べた。

 FRBのこれまでの取り組みは金融状況のひっ迫改善で「一定の
成功」を収めたものの、クレジット市場は困難な状況を脱していな
いとした。
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北朝鮮と直接対話行う用意ある=米特別代表
2009年 04月 4日 04:36 JST
[ワシントン 3日 ロイター] 米国のボズワース北朝鮮政策担
当特別代表は3日、北朝鮮と直接対話を行う用意があるとの意向を
示した。

 その一方で、同国に対しミサイル発射計画を中止し、核問題をめ
ぐる6カ国協議に復帰するよう促した。
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Clinton warns N.Korea on missile plan
Tue Mar 31, 2009 5:21pm EDT

THE HAGUE (Reuters) - North Korea's preparations to launch a 
missile are another example of its provocative behavior and 
Japan would have every right to defend itself, U.S. Secretary 
of State Hillary Clinton said on Tuesday.
North Korea has said it plans to put a satellite into space, 
but others say it will be a test of a long-range missile that 
could carry a warhead as far as U.S. territory.

"It is an unfortunate and continuing example of provocation 
by the North Koreans," Clinton told a news briefing at 
a conference in The Hague. "There will be consequences," 
she said of possible U.N. Security Council actions, adding: 
"Japan has every right to protect and defend its territory."
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中国、東シナ海の監視強化 尖閣巡り日本と摩擦も
 【北京=佐藤賢】中国国家海洋局は東シナ海での監視活動を強化
する方針を明らかにした。同局の機関紙、中国海洋報によると、東
シナ海を管轄する海監東海総隊が浙江省紹興市で会議を開き、海洋
権益を保護するため巡視活動の範囲拡大を決定。領有権を日本と争
う尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近での監視も強まるとみられる。
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破産法活用を計画=自動車問題解決で政府−米紙
3月31日7時38分配信 時事通信
 【ニューヨーク30日時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナ
ル(電子版)は30日、経営危機に陥っている米自動車大手ゼネラル
・モーターズ(GM)とクライスラーの問題解決に向けオバマ政権は
主として破産法の活用を計画していると報じた。債務圧縮や退職者
向け医療保険制度見直しなど、大きな懸案事項をまとめて処理する
のが狙いとみられる。
 関係筋の話として伝えたもので、この計画は実質的に両社のそれ
ぞれの事業を採算事業部門と不採算事業部門に分けるものだという。
 米政府当局者によると、政府はGMについては「シボレー」や「キ
ャデラック」といった有力ブランドを採算事業として単独企業にし
たい意向だ。また、クライスラーについては、採算事業を伊自動車
大手フィアットに売却することが想定されるという。 
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米、時価会計緩和を決定 1―3月期決算から導入
 【ニューヨーク=山下茂行】米国の会計基準を決める米財務会計
基準審議会(FASB)は2日、時価会計の適用除外となる金融資産
の対象を広げる緩和策を決定した。1―3月期決算から新基準が導入
され、証券化商品など手持ちの金融資産の市場価格が大幅に下落し
ても、損失を計上しなくて済むケースが増える。
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3月の米失業率8.5%に悪化 雇用、15カ月で510万人減
 【ワシントン=米山雄介】米労働省が3日発表した3月の雇用統計
(季節調整済み)によると、失業率(軍人を除く)は前月より0.4ポ
イント高い8.5%となり、1983年11月以来、25年4カ月ぶりの水準に
悪化した。景気動向を反映する非農業部門の雇用者数は前月から66
万3000人減少。昨年1月からの合計で約510万人に達した。予測の範
囲内と市場は冷静に受け止めたが、戦後最悪ペースでの雇用悪化は
消費の下押し要因になる。

 雇用者数の減少は15カ月連続。今年1月も65万5000人減から74万
1000人減へ大幅に下方修正され、1949年10月(83万4000人減)以来
、約59年ぶりの大幅な落ち込みとなった。

 2007年12月以降の今回の景気後退局面での雇用者数の減少は、
約3分の2が信用収縮が深刻化した昨年11月以降の5カ月間に集中。
毎月60万―70万人規模という戦後最悪のペースで雇用が失われる状
況が続いている。(02:08) 


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