3247.世界共通通貨も動き



世界共通通貨に新しい構想がでてきている。この検討。 Fより

英国のブラウン首相が世界秩序を更新しなければならないという発
言をしたのは2008年11月であった。このときには湾岸共通通
貨が2010年に発行するので、それに合わせて世界共通通貨にす
ると思われたが、その湾岸共通通貨の発行は延期された。この延期
には米国の介入を感じる。

この湾岸共通通貨は英国が仕掛けていたが、英国自体が金融危機で
、英国債入札で応札が予定額を下回る「札割れ」が7年ぶりに起こ
り、自国経済の建て直しを優先する必要に迫られているので、米国
の介入を阻止できない事態になっている。

EUはユーロを世界共通通貨にしようとしていたが、それも中東欧
の経済悪化で支援強化をする必要になり、世界共通通貨どころでは
ない。

これに変わって、中国人民銀行の周小川総裁が国際通貨基金(IM
F)のSDR(特別引き出し権)を世界共通通貨にする構想を発表
し、胡総書記もロンドンのG20金融サミットに出席して、この構
想を述べるようである。

これに対して、米国ガイドナー財務長官は「ドルは引き続き世界に
おいて最も有力な準備通貨であり、今後も長期間そうあり続けると
思う」と述べ、ドルに代わる基軸通貨の創設に反対する考えを改め
て表明したが、ドルが基軸通貨であるためには、その価値が安定し
ていることと、他国を圧倒した金融システムも持つことが必要があ
る。

しかし、現時点、国際金融を支配してきた米国や英国の銀行が今回
の金融危機で壊滅的な打撃を受け、代わりに中国の銀行が世界のト
ップ3(株式の時価総額)を独占したことが分かった。 そのことで
世界金融における中国の地位が大幅に上昇してきた。

反対に、中国の外貨準備高が頭打ちになっている。金融危機の影響
で貿易黒字や対内直接投資が減り、海外から流入する資金が細って
いるためのようである。このため、人民銀副総裁は「中国は米国債
を今後も買い続ける」というが、米国債の購入量は大幅に落ちてい
る。

中国の米国債購入量が少なくなると、米国でも英国と同様な「札割
れ」を起こす可能性が高くなるので、FRBは長期国債を約3000億
ドル購入と発表する必要になったのである。そして、この発表で、
ドルは下落している。ドルが下落するというドル信認の低下で、そ
れがまた、ドルの基軸通貨制に傷を与えることになる。

日本は国債を約40兆円近く出すが、国内で消化できるので外国の
購入を期待していない。それに比べて米英国ともに苦しそうである。

その苦しそうな通貨を世界の基軸通貨として使用していることに矛
盾が起きているのであり、金融危機でこの矛盾が大きくなっていく
ことは確実になっている。このため、リプスキー筆頭副専務理事は
SDRを新準備通貨とする案を長期的に議論する必要があると述べ
ている。IMFは否定していない。

ドルが基軸通貨でなくなると、米国の衰退は決定的になる。

さあ、どうなりますか?

3114.新世界秩序の歴史と考察
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L0/201117.htm
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SDRを新準備通貨とする案、長期的な議論必要=IMF筆頭副専
務理事(ロイター)
2009年 03月 25日 10:31 JST 

 [ワシントン 24日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)の
リプスキー筆頭副専務理事は24日、IMFの特別引き出し権
(SDR)を新たな準備通貨とする案は特に目新しいものでなはな
いと指摘した上で、今後も議論が続くとの見方を示した。

 同筆頭副専務理事は、SDRを米ドルに代わる世界的な準備通貨
とする提案を中国高官が行ったことに対し、記者会見でコメントを
求められ「こうした議論には、世界の経済と金融システムがどれだ
け堅調かという懸念が伴う」と述べ、「多くの国により運営される
機関が管理する通貨を世界的な通貨とするアイデアは、目新しいも
のではない」と指摘した。

 ただ「これは真面目な提案であり、この案の支持者も短期的な問
題ではなく、長く研究し検討しなければならない案件であると認識
していると考える」と述べ、SDRを新たな準備通貨とする案を完
全には否定しなかった。
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「ドルは今後も基軸通貨」 米財務長官 
 ガイトナー米財務長官は25日、米ドルを基軸通貨とする国際通貨
体制の見直し論が浮上していることについて「ドルは引き続き世界
において最も有力な準備通貨であり、今後も長期間そうあり続ける
と思う」と述べ、ドルに代わる基軸通貨の創設に反対する考えを改
めて表明した。ニューヨークでの講演後、質問に答えた。

 ドルへの信認を巡っては、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総
裁が「基軸通貨を発行する国だけで世界に流動性を提供すると同時
に、通貨価値を安定させることはできない」との論文を発表。基軸
通貨としてのドルの限界論が主に新興国で浮上している。

 ガイトナー長官は、周総裁が新たな基軸通貨として活用を提案し
た国際通貨基金(IMF)のSDR(特別引き出し権)については
「排除しない」と表明。ただ基軸通貨としてのドルの地位は変わら
ないと述べた。(ニューヨーク=大隅隆) (01:21) 
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中国の銀行が世界トップ3を独占 国際金融界に地殻変動? 
2009.3.23 18:01 産経

 【ロンドン=木村正人】国際金融を支配してきた米国や英国の銀
行が今回の金融危機で壊滅的な打撃を受け、代わりに中国の銀行が
世界のトップ3(株式の時価総額)を独占したことが分かった。 

 23日付の英紙フィナンシャル・タイムズが伝えた。新興勢力の
オーストラリアやブラジルの銀行もトップ20入りし、金融危機が
国際金融の世界に地殻変動をもたらしたことを浮き彫りにした。 

 同紙によると、アジア通貨危機の傷跡が残る1999年5月には
世界トップ20のうち米銀が11行、英銀が4行を占めた。世界1
は米シティグループ(同1509億ドル)だったが、今回総額
450億ドルの公的資金を受けるなど今月時点で46位(同137
億ドル)に転落。 

 現時点でトップ20に残った米銀は、合併で経営体質を強化した
JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴなど4行で、英銀は
HSBC1行だけ。株価急落を免れた中国工商銀行(1753億ド
ル)▽中国建設銀行(同1287億ドル)▽中国銀行(同1128
億ドル)がトップ3を独占し、中国の台頭ぶりを印象づけた。 
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中国人民銀総裁、ドル基軸体制での限界指摘の論文 
 【北京=高橋哲史】中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は23
日、ドルを基軸通貨とする現在の国際通貨体制の限界を指摘する論
文を公表した。「基軸通貨を発行する国だけで世界に流動性を提供
すると同時に通貨価値を安定させることはできない」とし、国際通
貨基金(IMF)のSDR(特別引き出し権)制度の拡充を訴えた。

 周総裁の論文は4月2日にロンドンで開く20カ国・地域(G20)首
脳会合(金融サミット)を控え、中国政府の立場を反映したものと
みられる。SDRはIMFの準備資産で、外貨不足の国が余裕のあ
る国から外貨を受け取る際の支払い手段。周総裁はSDRの構成通
貨の比率を見直すよう求めた。 (02:13) 
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「中国、米国債を今後も買い続ける」 人民銀副総裁 
 中国人民銀行(中央銀行)の胡暁煉副総裁は23日の記者会見で、
今後も外貨準備で米国債を買い続けるかどうかについて「信用リス
クが比較的低い米国債への投資は外貨準備(運用)の重要な一部分
であり、こうした投資は今後も続ける」と言明した。一方で「我々
は(在米)資産の価格変動に高度な関心を持っている」とも述べ、
米国債の価格下落リスクに警戒をにじませた。

 胡副総裁は人民銀の下部組織である国家外貨管理局の局長も兼務
し、外貨準備の管理を担当している。昨年半ばまで急増していた外
貨準備高が減少し始めたとの見方に対しては「中国では大規模な資
本流出は起きていないが(金融危機の影響で)ここ1―2年の大量の
資本流入は減速している」と指摘。米国債購入の原資となる外貨準
備高が既に頭打ちになっていることを認めた。
(北京=高橋哲史) (20:08) 
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米、不良資産買い取り発表 最大1兆ドル規模
 【ワシントン=大隅隆】ガイトナー米財務長官は23日、政府と民
間投資家が共同で金融機関の不良資産を買い取る枠組みを発表した。
民間投資家の出資額に応じ政府が最大1000億ドル(約9兆7000億円)
の公的資金を拠出。保証や低利融資と組み合わせ、5000億―1兆ドル
の不良資産を金融システムから分離する枠組みだ。ローン債権の場
合、買い取り価格を投資家の入札で決めるのが特徴で、損失負担を
軽減して民間投資家の参加を促す。

 オバマ米大統領は同日、記者団に「今回の取り組みは景気対策、
住宅市場活性化策などと並び、経済再生へ向けた重要な柱。融資機
能の回復が目的だ」と語った。米政府は主要銀行への追加資本注入
も実施。金融機関の資産健全化と資本基盤の底上げを通じ、金融シ
ステムの健全化と信用収縮の解消を図る。(23日 22:57) 
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中国への資金流入鈍化 外貨準備頭打ち、米国債買い余力低下も
 【北京=高橋哲史】昨年前半まで急増していた中国の外貨準備高
が頭打ちになっている。金融危機の影響で貿易黒字や対内直接投資
が減り、海外から流入する資金が細っているためだ。大型景気対策
で素材などの輸入が増えれば一層の資金流出につながる。中国は外
貨準備の多くを米国債などドル資産で運用しており、外貨準備が増
えなければ米国債購入余力が低下する可能性が高い。

 中国人民銀行(中央銀行)は外貨準備高を四半期に1度しか公表し
ておらず、2009年に入ってからの状況は4月まで明らかにならない。
しかし中国紙の第一財経日報は消息筋の話として、1月末の外貨準備
高が08年末より約300億ドル減り、1兆9000億ドル程度になったと報
じた。(07:00) 
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危機国向け支援強化へ=融資枠6.5兆円に拡大も−EU
3月20日8時50分配信 時事通信
 【ブリュッセル19日時事】当地で開催中の欧州連合(EU)首脳会
議は初日の19日、通貨急落など財政・国際収支危機に直面する中・
東欧など一部加盟国の支援強化に向け、EUの特別融資枠を500億ユー
ロ(約6兆5000億円)に倍増させる案をめぐって協議した。また、追
加景気対策として、EU予算の未消化分50億ユーロをエネルギーやIT
(情報技術)関連プロジェクトに充当することで合意した。
 初日の協議終了後に記者会見したEUの執行機関である欧州委員会
のバローゾ委員長は、特別融資枠について「積極的に支援するシグ
ナルを発したいなら、500億ユーロへの倍増で合意できる」と強調。
最終日の20日での合意を期待すると語った。 
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FRB、長期国債3000億ドル購入 追加資金供給1兆ドル超に 
 【ワシントン=大隅隆】米連邦準備理事会(FRB)は18日の連
邦公開市場委員会(FOMC)で、長期国債を今後半年で最大3000
億ドル(約29兆円)購入することを全会一致で決めた。資産担保証
券の購入増額などとあわせ、追加の資金供給は合計で1兆ドル超にな
る。民間借り入れ全般の金利低下を通じ景気の一段の悪化を防ぐ狙
い。最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘
導目標は現行の年0―0.25%に据え置いた。 
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ロシア、失業増・インフレ同時進行 金融危機、生活を直撃
 【モスクワ=金子夏樹】ロシアで金融危機の影響が市民生活を直
撃し始めた。企業の人員削減が相次ぎ、登録失業者数は半年間で約
100万人も増加。実際の失業者数は約600万人に達したもようで、過
去10年で最悪の水準にある。インフレ率も2月は年率換算で約14%に
上昇。景気悪化と物価上昇が同時進行するスタグフレーションの様
相を見せ始めたことで、高い支持率を維持してきた政権への不満が
表面化している。

 メドベージェフ大統領は15日、「実質的な失業者は現在600万人に
達した」と述べた。ゴリコワ保健社会発展相によると、2月25日現在
の登録失業者数は197万人(失業率2.6%)と昨年8月より約100万人
増加。失業者増に登録が追いついていないのが実態のようだ。
(07:00) 
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英国債入札が「札割れ」 7年ぶり 
 【ロンドン=吉田ありさ】英政府が25日実施した国債入札で応札
が予定額を下回る「札割れ」が7年ぶりに起こった。景気後退で国債
発行を拡大するなか、財政悪化を懸念する投資家が応札に慎重にな
ったためだ。

 40年物国債の定例入札で応札が16億3000万ポンド(約2300億円)
と予定(17億5000万ポンド)に届かなかった。札割れは2002年以来
。 (10:14) 



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