3227.人をもって言を捨てず



各位
                     浅山

雁論の読書会関連で、先日小生が書き込みました本を求めて舞い戻
り、日経の「私の履歴書」をまとめた「(女偏付き)の此(はは)
の国への旅」日経出版社刊を求めてきました。

長年編集畑を歩き、多くの民俗学の本を出され、有名な「古くから
ある地名を守ろう」の運動家の谷川健一さんの著書、読ませます。

雁さんより二才年長の兄ですが、小児結核、青年期の喀血の前歴を
持ちながら、弟より長生き、今も著作をされている様子。

雁さんの娘の結婚式の席で、兄弟4人して花嫁、花婿そっちのけで
、能狂言の話に熱中していたと苦笑しながら婿殿の話を聞いたこと
があります。

著作物(音楽作品含めて)評価された後には、その作品はそれ自体
を独立の人格として尊重するのが良いのではないかと思います。
日本人の表面的な潔癖さを装う建前から来る、ゴシップから、その
世に出た作品まで無視してしまうことは、知的財産として、もった
いないことではないでしょうか。

他人である男女の話、それを語る心理の多くは多分に嫉妬心の裏返
しであるかもしれないし、糾弾が時には、その人から生み出された
作品の否定にまでなることは、文化にとり、損失ではないかと考え
たりしますが、如何でしょうか。このことは会のメンバーのKさん
の著書である「小室哲哉」の主人公が先般、詐欺罪で起訴された時
、そのような内容のメールを配信したように思いますが。

過去の事例で矢野徹(やのとおる)元京大の政治思想史教授がセク
ハラで職を失ったのは当然としても、その著書が消えてしまったこ
と、縄文の学者が土器の偽装を図ったこと、近くはその小室哲哉の
音楽作品までも全否定し作品のCD化しなくなったこと如何のもの
でしょうか。

谷川健一氏のこの本87ページ「獅子島の若者達」の章など読むと
、改めて男女の交流の時代性、そしてモンテーニュの言葉の引用
「風土と習俗の数だけちがった道徳がある」ということも重ねて考
えてみたくなりますが、皆様は如何ですか。

グローバルスタンダード即アメリカスタンダードが今、サブプライ
ムを引き金とした世界不況で問われる時代に一考の価値は有りそう
ですが。

その本のなかに有ります島尾敏夫の造語らしい、ヤポネシアの我々
としてはこの大らかさを許して欲しいと思いますが。2600円の
本を読んで、雁さんを更に評価し学んで行こうと思った小生でした。




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