3226.新社会主義の時代へ



米国ダウが6600ドル割れした。米国金融危機第2段に突入した。
米投資銀行は膨大な損失を隠していた疑いがある。徐徐にしかその
膨大な損失を出さない。昔、米国は日本を叩いたが、その米国が同
じような状態になっている。この米国はどこに向かい、日本はどう
するのか検討しよう。          津田より

0.はじめに
米国の金融危機が急を告げている。このまま、日本と同じように手
遅れになって、失われた10年になる懸念が出て、ベイカー米元財
務長官も昔日本を非難してた人たちが日本以上にうまくできないで
いると苦言を呈する状態になっている。

シティーの準国有化についで、AIGの国有化も行い、米国はどこ
まで金融危機が続くのか見えない事態になっている。AIGには今
まで4回も公的資金を投入しているが問題を解決できずに、ズルズ
ルとゾンビ銀行のままになっている。

このため、ダウ平均株価も6600ドル台を割り込んでいるし、そ
の底が見えない状態にある。このままで米国が根本的な政策を打た
ないと、ダウは4000ドル台まで下落する事になると米評論家は
見ている。

米国の景気悪化で、米失業率は8.1%に悪化し、この2月だけで雇用
65万人が減少している。そして、オバマ政権が実施する経済対策を
エコノミスト政策評価調査では「効果なし」29%、「大きい」10.3
%で、「わずか」60.3%となり、今後2年間の財政政策で「さらに景
気刺激型にすべきだ」との回答は48%。一方、「緊縮型にすべきだ
」との意見も41%に上り、見方が割れた。景気対策は効かないと見
ている。米国については3224.米国金融・経済危機第二弾で詳
しく見たので、そちらを見てほしい。

一方、ユーロ圏の失業率も米国と同様に8.2%で失業者数1300万人に
なっている。RBSやUBSのほかにロイズなどが国有化されてい
る。欧州の主要銀行の2008年決算は14行中6行が最終赤字で1560億ド
ル(15兆円強)の損失が出ている。中東欧への投資が不良資産化す
るのは今後であり、ここでも損失が出ることが間違えない。

このため、欧州・英は公定歩合を0.5%利下げて、1.5%と0,5%にした。
4月の金融サミットに向けて、日米欧金融機関が24日に首脳会合を
開くし、米国はCDSの清算機関を立ち上げるなど、対応策がでて
きたが、現時点で目立つのは欧米ともに銀行や産業の国有化が始ま
ったことである。国家が産業や金融に関与する新社会主義化してい
るということである。

この動向がどうなるか、検討しよう。お付き合いのほど、お願いし
ます。

1.新社会主義とは
このごろを見ると、時代の風が欧米でも新社会主義になったと言う
こともできる状態である。そして、世界全体が新社会主義になって
いくようである。この先頭にいるのがロシアの国家が企業を選別し
、国家のための資本主義という国家資本主義であり、中国の市場経
済の社会主義なのであろう。国家が産業に関与するということは社
会主義的である。国家が生き残る企業を選別している。

米国もこの2ケ国と同様な体制に徐々になってきている。AIGし
かり、シティーしかり、GMしかりで国家が企業を選別している。
欧州も同様でUBSしかり、RBSしかりである。徐々にEUが企
業を選別することになる。ロシアとなんら変わらない。企業活動を
自由にして規制を緩和した新自由主義を実行すると、新社会主義に
なってしまったのだ。

社会主義は、1991年にソ連大統領ミハイル・ゴルバチョフが辞
任し、ソ連崩壊とともに無くなったと思っていた。中国は市場経済
の社会主義になり、資本主義とあまり変わらない体制になった。

社会主義は、計画経済で官僚が生産から消費までを考える制度であ
ったが、この体制は復活しないようである。官僚という貴族と平民
という奴隷に二分された社会構造であった。このため、国民という
奴隷が立ち上がり、解放運動として社会主義は崩壊した。しかし、
その一部が復活し始めている。

国家が経済全般に関与し、かつ個々の企業の自由な経営はゆだねる
ようであるが、企業の存続に国家が関わるという意味で、国家資本
主義とか市場経済の社会主義という言い方になるようだ。ここでは
2つを統合して新社会主義ということにする。

2.日本への影響
この新社会主義の影響を日本も受けている。米国が新自由主義であ
ると、その影響を受けて規制緩和を徹底的に行うことが正義になり
、反対に米国が新社会主義になると、民営化した企業の経営全般に
担当大臣が口出しをするようになる。口出すことで企業効率が大き
く損ない赤字を拡大することになる。

日本の進むべき道を根本でどうするのかの議論がない。いつも米国
の進む方向に進むのが正義になってしまう。いつも議論がない。こ
のため、行政改革もその方向が定まらないでいる。

官僚は硬直的な経営になり、新銀行東京のように赤字垂れ流しにな
ることが多い。この防止のために民営化したはずである。官僚は法
律の執行が仕事であり、愚直な仕事を求められる。一方、経営者に
は変幻自在な時代の読みを要求されるので、この2つの体質は大き
く違う。

日本は遅れて来るために規制緩和も十分ではなく官僚の権限が大き
い国家であるし、国民は自己責任を回避して国家に頼る傾向がある。
このため、財政赤字が新社会主義になると膨張しかねない。民営化
できる仕事は民営化して、国民の税金を使わないで社会福祉や医療
などの国民が本当に必要とすることに税金を使ってほしいのである。

日本はドイツと同程度の国家資本主義であったが、1990年にバ
ブル崩壊後、外需に活路を開くために米国など諸外国の要求に従い
門戸を開いたのである。今回、米国の証券バブル崩壊で再度、国家
資本主義に戻るのではなくて、門戸を開いて日本の技術と思想で世
界へ拡大することが日本の進むべき道であると見ている。

3.米国離れに
そろそろ、米国の路線からの脱皮が必要なのではないか?日経平均
は、今までは米国ダウに追従することが多かったが、この頃は、
7500円に上昇して米国ダウと離れる動きが出ている。これは1
日500億円もの年金資金を投入して、買い支えているためである。
ここでも日本は政府の関与をしている。

米国では公的年金資金は、株式投資を認めていない。日本は株式投
資に資金を投入しているが、損失が5兆円も出ている。しかし、現
時点、株価を維持するために1日500億円も年金資金を投資して
いる。この議論自体をしていない。クリントン政権時代、クリント
ンが公的年金資金を株式に投資する方向で検討すると言ったが、多
くの知識人の反対で取り下げたが、日本はそのような議論を聞いた
ことがない。

しかし、そろそろ日本政治の方向は米国の方向から本当の意味で離
れるべきであると感じている。米国の思想がだんだん色褪せて来て
いる。お金の論理の世界がおかしいと感じているのだ。人間として
の幸せとは何かという観点が今までどこかに置き忘れられているよ
うに感じる。

4.日本のルネサンス
日本の伝統文化を封建主義の悪い風習であるという東京裁判史観か
ら抜けて、伝統文化を見直す日本のルネサンスが必要になっている
ようだ。そして、日本の伝統文化と欧米のよい部分を結合した方向
を目指すべきである。

そもそも、新自由主義は自由の行き過ぎであり、ソ連型社会主義も
規制の行き過ぎであったのだ。論語には、中庸の大切さを述べてい
る。ほどほどの大切さである。このように論語など伝統文化の中に
解決の道がある。これを再度、掘り起こすことが重要なのである。

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株、公的年金が買い支えか

 4日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)は前日比61
円24銭高の7290円96銭で取引を終えた。前日に続いて一時
、終値のバブル後最安値(7162円90銭)を下回ったが、アジ
アの主要株式市場の上昇を受けて買い戻しの動きが強まった。

 企業業績の先行き懸念が根強い中で、日経平均が7000円の大
台割れ寸前で踏みとどまっている背景には、国民年金や厚生年金な
ど公的年金による買い支えがあるようだ。

 公的年金は、厚生労働省所管の年金積立金管理運用独立行政法人
(GPIF)が信託銀行などを通じて運用している。大和総研によ
ると、公的年金の保有株の時価総額は約18兆円で、市場全体の約
5%を占める。

 GPIFは、「資産の配分を長期的に維持することが運用の基本
」との方針から、国内株の全保有資産に占める比率を11%とし、
株価が下がれば国内株を買い増している。

 同総研の土屋貴裕氏によると、国内株の比率は1月末時点で8%
程度に低下しており、1月末の相場環境をもとに試算すると2兆〜
3兆円分を買い増す必要があるという。

 こうした調整は、公的年金だけでなく企業年金の運用でも行われ
ている。外国人投資家らが売り圧力を強める中、市場関係者は年金
基金を数少ない買い手として注視している。(笹子美奈子)

(2009年3月5日 読売新聞)
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米失業率、8.1%に悪化 2月、雇用65万人減
 【ワシントン=米山雄介】米労働省が6日発表した2月の雇用統計
(季節調整済み)によると、失業率(軍人を除く)は前月より0.5ポ
イント高い8.1%となり、1983年12月(8.3%)以来、約25年ぶりの
水準に悪化した。非農業部門の雇用者数は前月から65万1000人減少
。昨年12月が68万1000人減に修正され、同月が49年10月以来、約59
年ぶりの大幅な落ち込みだったことも明らかになった。

 雇用者数の減少は14カ月連続。1月の雇用減も当初発表の59万8000
人から65万5000人に悪化方向で修正された。内外需の不振と金融不
安の連鎖で、米雇用情勢は戦後最悪のペースで悪化が続いている。
(01:22) 
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米の景気対策、「効果なし」29% エコノミスト政策評価調査 
 【ワシントン=米山雄介】全米企業エコノミスト協会(NABE
)は2日、半年に1度実施している経済政策評価のアンケート調査を
発表した。先に成立した景気対策法の効果について、全体の29.4%
が「ほとんどない・なし」と回答。「大きい」との答えは10.3%に
とどまり、企業エコノミストの間で、オバマ新政権の景気対策への
期待が乏しいことが明らかになった。 

 調査はNABEに所属する252人のエコノミストを対象に2月上中
旬に実施。景気対策の効果については「わずか」との回答が60.3%
で大半を占めた。 

 今後2年間の財政政策で「さらに景気刺激型にすべきだ」との回答
は48%。一方、「緊縮型にすべきだ」との意見も41%に上り、見方
が割れた。 (14:43)
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米取引所、CDS清算を9日から開始 市場の透明性向上
(nikkei)
 【シカゴ=毛利靖子】米インターコンチネンタル取引所(ICE
)は9日から、企業の信用リスクを取引するクレジット・デフォルト
・スワップ(CDS)の清算を米国で初めて開始する。CDS取引
の履行を保証すると同時に取引価格を公表して市場の透明性を高め
、取引相手の倒産リスクを極度に警戒して停滞していたマネーの流
れを円滑にするのが狙いだ。

 CDSの清算業務を担う専門の銀行(ICE USトラスト)を
設立。まずCDS指数の清算から始める。米モルガン・スタンレー
など米欧の金融機関10社が取引に参加すると表明した。(22:13) 
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英銀ロイズが実質国有化 不良資産36兆円に政府保証 
 【ロンドン=吉田ありさ】英大手銀ロイズ・バンキング・グルー
プは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来発
生する損失の大半を英政府が肩代わりする資産保証制度の適用を申
請すると発表した。また配当負担を軽減するため昨年に政府が引き
受けた優先株を普通株に転換することでも合意。英政府の株式保有
比率は現在の43%から最大77%まで高まり、実質国有化となる。 

 政府の保証で損失拡大リスクを減らし「景気が一段と悪化しても
乗り越えられるようにする」(ダニエル最高経営責任者)のが狙い
。英政府の保証制度の適用はロイヤル・バンク・オブ・スコットラ
ンド(RBS)に続き2番目。 (07日 22:27)
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2009/02/28 23:55 
英RBS、3.3兆円赤字 08年12月期、政府の資産保証適用へ
 【ロンドン=吉田ありさ】大手英銀ロイヤル・バンク・オブ・ス
コットランド(RBS)は2008年12月期通期決算で、最終赤字が英
企業として過去最大の約240億ポンド(約3兆3500億円)になったと
発表した。同時に、3250億ポンド(約45兆円)の資産を切り離し、
英政府の資産保証プログラムに参加することを明らかにした。英政
府が1月に発表した資産保証の適用第1号となる。 

 最終赤字の拡大は07年にほかの欧州銀と共同買収したABNアム
ロの資産で評価損が膨らんだことによる。RBSはリストラ計画も
併せて公表、市場にくすぶる損失拡大不安を取り除き、経営再建を
目指す。資産の約2割(2400億ポンド)を「非中核業務」として今後
3―5年で売却する。売却するのは主に海外資産で、英国内に軸足を
移す戦略。昨秋に続き、政府から130億ポンドの追加公的資本注入も
受ける。
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欧州・英、0.5%利下げ 英は量的緩和も導入 
 【ロンドン=吉田ありさ、フランクフルト=赤川省吾】イングラ
ンド銀行(英中銀)と欧州中央銀行(ECB)は5日、いずれも政策
金利の0.5%引き下げを決定した。さらに英中銀は国債などの購入を
通じて市場に資金を長期間、大量供給する量的緩和策の導入を決め
た。信用収縮を和らげることで、景気悪化に歯止めをかける狙いだ
。日米を含めた主要中銀の政策金利は歴史的な低水準となる。

 利下げ後の政策金利は英国が年0.5%、ユーロ圏が年1.5%。英中
銀は即時、ECBは11日から実施する。いずれもそれぞれの中央銀
行が設立されて以来最低の水準だ。

 ECBのトリシェ総裁は5日の記者会見で欧州経済について「活動
が下振れした」と説明し、景気後退で物価上昇圧力が弱まった状況
を指摘。「09年も最初のうちは(成長力が)弱いだろう」と引き続
き厳しい局面にあるとの見方を示した。景気の冷え込みが確認され
たことで、ECBは引き続き金融緩和を模索、各国政府と足並みを
そろえて欧州経済の下支えを図る。 (00:58) 
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2009/02/12 23:55 
UBS、最終赤字1.5兆円 前期
 【ジュネーブ=藤田剛】スイス金融大手のUBSが10日発表した
2008年12月期の通期決算は、197億スイスフラン(約1兆5400億円)
の最終赤字となった。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライ
ムローン)の損失処理や世界的な株価の急落が主因。赤字額は前の
期(52億スイスフランの赤字)の約4倍に膨らみ、同社の通期決算で
は過去最悪となった。 

 同時に発表した08年10―12月期決算の最終損益は81億スイスフラ
ンの赤字。経営悪化を受けて10―12月期には預かり資産などから858
億スイスフランの資金が流出した。資金の流出額は08年通期では
2260億スイスフランに達した。
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欧州銀、損失計上15兆円 主要14行、金融危機で資産値下がり 
 【パリ=野見山祐史】金融危機が欧州銀行の収益を直撃している
。2日出そろった欧州の主要銀行の2008年決算は14行中6行が最終赤
字で、残る8行も実質的に減益だった。保有有価証券の値下がりなど
で計上した1560億ドル(15兆円強)の損失が利益を圧迫。世界的な
景気低迷で本業の融資でも中・東欧向けなどの悪化が著しく、収益
回復には時間がかかりそうだ。

 保有資産の損失計上が最大だったのはスイスのUBS。信用力の
低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)などで317億ドル
(約3兆円)の損失を処理し、07年に続く2年連続の最終赤字となっ
た。スイス政府から60億スイスフラン(約5000億円)の公的資金の
注入を受けたほか、先月末にはライバルのクレディ・スイスの前の
最高経営責任者(CEO)をトップに招き経営再建を急ぐ。 
(07:00) 
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ユーロ圏の失業率、1月は8.2% 失業者数1300万人に 
 【ベルリン=赤川省吾】欧州連合(EU)統計局は27日、2009年
1月のユーロ圏16カ国の失業率(季節調整値)が8.2%と昨年12月に
比べて0.1ポイント上昇したと発表した。失業者数は1300万人と1年
前より約160万人増えた。不動産価格が下落したスペインやアイルラ
ンドに加えて、ドイツ、フランスなど主要国でも雇用情勢が悪化し
始めた。各国政府にとって雇用対策が重要な政策課題となりそうだ。

 ユーロ圏の失業率は06年8月以来の高水準となった。EU27カ国ベ
ースの今年1月の失業率は7.6%。バルト3国やハンガリーなど東欧で
の上昇が目立つ。世界的な景気減速で欧州の域内貿易が冷え込み、
製造業で人員整理の動きが広がっているためとみられる。 (00:12) 
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日米欧金融機関、24日に首脳会合 三菱UFJから畔柳氏
 日米欧の大手民間金融機関の最高経営責任者(CEO)らは24日
、ロンドンで会合を開く。4月2日にロンドンで開催する20カ国・地
域(G20)の首脳会合(金融サミット)を控え、英国政府が開催を
呼びかけた。

 日本からは三菱UFJフィナンシャル・グループの畔柳信雄社長
が出席する予定。金融機関に巨額損失が発生した反省を踏まえつつ
、G20の中心議題となる見通しの金融機関への監視・規制の強化策
のあり方などについて、民間側として意見交換する。(07:00) 

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