3224.米国金融・経済危機第二弾



米国の金融・経済危機が再発した。AIGやシティーの損失は拡大
して、米政府が準国有化をすることになった。次にGMの処理であ
る。                    Fより

日本で3月危機と言われたが、この1週間の米国の動きは急であっ
た。3月危機は、決算期を控えた日本企業に押し寄せると見ていた
が、日本ではなくて、米国の金融システムと自動車産業に来た。

シティーの損失が08年最終赤字2.7兆円に拡大し、公的資金注入の見
返りとして政府が現在保有するシティの優先株のうち、最大250億ド
ル(約2兆4000億円)を議決権のある普通株に転換し、シティ株の最
大36%を保有するため、政府が筆頭株主になり海外の政府系ファンド
(SWF)など国内外の公的な機関や投資家に、株式の過半数を掌
握されることになったのだ。しかし、まだ不良債権の切り離しを行
っていないために、まだ不良債権が増え、損失が止まったわけでは
ない。

米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
が2日発表した2008年の最終損失は992億8900万ドル(9兆6000億円)
とシティ−以上の損失である。公的資金の追加出資額、2.9兆円であ
る。今までに4回公的資金を投入しているが、総額15兆円にもな
るが、それでもまだ損失が拡大する危険性がある。金融取引に対す
る保険商品、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とは、
債権保証なので、今後も社債が不履行されると、AIGはその保証
をしないといけないために、損失規模は相当に大きくなることが予
測できる。特にGMの社債がデフォルトになる問題がある。

そのGMであるが、米証券取引委員会(SEC)に提出した2008年
の年次報告書で自社の経営リスクとして「事業を継続する能力に重大
な疑念がある」と明記した。単独でも生き残りはできないと明言し
たようなものである。

このため、米連邦破産法の適用申請し、管理された形で破産をさせ
て、雇用を守る観点からトヨタへGMの主要工場を押し付ける方向
で、作業部会は審議しているように感じる。麻生首相が呼ばれたの
は、日本が米国自動車製造業を引き受けてほしいという依頼をされ
に行ったようだ。これに対してトヨタは大きく抵抗している。

日本のトヨタ工場も操業を大幅に落とし日本全体を不況し、かつ自
動車ローン金利をGMと同じにして、米国での販売不振にしている。
トヨタの今年度の赤字3500億円にもした。

しかし、米自動車労連UAWをはずし、米国政府はトヨタにお願い
するしかない。GMの存続は技術的・経済的に無理があるためだ。
GMを簡単に潰すことはできない。雇用が100万人オーダで失業
するし、部品業界も潰れてしまう。このため、半分脅しのような格
好でトヨタを説得しているようである。夜通しの作業部会はトヨタ
説得会議である。

日本は米国の製造業を助けることになるという予測が実現すること
になる。そして、日本のトヨタは、減産する必要が無くなり、米国
でのローン金利を下げて販売を活性化させることになる。森川経産
省審議官が言うように生産は4−6月期に「底打ち」の可能性十分
あるとなる。日本経済にトヨタの生産動向が大きく影響するために
そうなるのである。

しかし、米国はまだ失業が止まらない。NY株価も6600ドル割
れになっている。6600ドル割れは1997年4月中旬以来で、
約12年ぶりの安値水準である。しかし、評論家に言わせるとまだ
まだ、底が見えないという。

経済学者クルーグマンも日本の「失わせた10年」より今回の経済
危機の方が状況が厳しいという。日本の「失わせた10年」では経
済成長率1%にもなっていたが、今後の「失われた20年以上」で
は、輸出という出口が無いために、経済成長率はマイナスになる可
能性もあると見ているようだ。

しかし、米国の最終的な損失は住宅ローンだけではなく、企業への
貸出しや消費者ローンなど多重に重なっている状況であり、金融機
関の損失はまだまだこれからである。

このため、日本の対応を批判していたが、米国の対応も損失隠しや
飛ばしを行っているとベーカ元財務長官は述べている。自分たち米
国財務省が日本に言ったことをするべきであると言うのである。
これは、その通りと日本人の私Fも思う。しかし、日本の中川前大
臣が言うと、クスリを盛られて失脚させられるので、日本は黙って
みているしかない。

ということで、米国金融危機は第3.第4弾とまだまだ続くので、
日本にも影響を与えることになる。しかし、日本は中国の経済刺激
策の影響も受けて、徐々に景気が回復する可能性が高まっている。

さあ、どうなりますか??

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米失業率、8.1%に悪化 2月、雇用65万人減
 【ワシントン=米山雄介】米労働省が6日発表した2月の雇用統計
(季節調整済み)によると、失業率(軍人を除く)は前月より0.5ポ
イント高い8.1%となり、1983年12月(8.3%)以来、約25年ぶりの
水準に悪化した。非農業部門の雇用者数は前月から65万1000人減少。
昨年12月が68万1000人減に修正され、同月が49年10月以来、約59年
ぶりの大幅な落ち込みだったことも明らかになった。

 雇用者数の減少は14カ月連続。1月の雇用減も当初発表の59万8000
人から65万5000人に悪化方向で修正された。内外需の不振と金融不
安の連鎖で、米雇用情勢は戦後最悪のペースで悪化が続いている。
(01:22) 
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森川経産省審議官:生産は4−6月期に「底打ち」の可能性十分ある 

3月5日(ブルームバーグ):経済産業省の森川正之審議官はブル
ームバーグ・ニュースに対し、日本経済の回復の鍵を握る鉱工業生
産は4−6月期に底を打つ可能性が十分にあるとの見方を示した。
その理由として、2007年10月までの景気拡大局面では企業在庫が低
水準で推移し、なおかつ企業が今回の後退局面で急速に在庫調整を
進めている点などを指摘した。 

  経済産業政策局で経済分析や産業政策を主に担当する森川審議
官は「最終需要の動向次第であるため、米国経済の動向や中国がど
れくらい持ち直すかに強く依存している」と説明。その上で、今回
の局面では在庫が積み上がっていないため、「最終需要が戻れば
(生産は)戻る。最終需要が下げ止まれば(生産減は)止まる」と
し、「4−6月期に底を打つ可能性は十分にある」と述べた。イン
タビューは4日に行った。 

生産が回復する前に在庫調整に1年程度かかった1973年の第一次石
油危機時は、生産のピーク時点から在庫の減少時点までの期間に在
庫が4割程度増加したのに対し、今回の局面では在庫の増加は1割に
も満たない。森川審議官は02年2月からの「景気回復局面で、企業
は在庫を積み上げていく行動にかなり慎重だった」とし、「調整も
相当速い。それが生産の落ち方と裏返しとなっている」と分析する。 

経産省が発表した1月の鉱工業生産指数(速報)は前月比10.0%低
下し、3カ月連続で1953年2月以降最大の下落率を更新。世界同時
不況で日本経済の成長エンジンだった輸出が失速する中、生産は昨
年10月から4カ月連続で低下し、下落率も拡大している。ただ、3
月の製造工業予測指数は前月比2.8%上昇となり、下げ止まりの兆し
が出ている。 
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米自動車大手救済策、大統領報道官「作業部会は夜通しで会議」 
 【ワシントン=大隅隆】ギブズ米大統領報道官は5日の記者会見で
、ゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手の救済策に関し
「オバマ大統領が設けた作業部会は危機の解決策を練るため夜通し
で会議をしている」と語り、検討を急いでいる点を強調した。同時
に「大統領は『強じんな自動車産業は米国にとって重要』と言明し
ている」と改めて指摘した。

 ギブズ報道官は「(危機は)GMやクライスラーだけではない」
と述べ、日本メーカーも日本政府に支援を求めているとの認識を示
した。自動車産業支援に関する大統領の作業部会は3月末をメドに
GMとクライスラーの支援要請に関する結論を出す見通し。 
(15:46) 
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トヨタ米販社社長、大統領作業部会に出席へ 
 【ニューヨーク=小高航】ロイター通信は4日、トヨタ自動車の米
販売子会社、米国トヨタ自動車販売(TMS)のジム・レンツ社長
が来週、米自動車大手の救済策を協議する大統領作業部会に出席す
る見通しだと報じた。米自動車産業の現状などについて議論する。 
(15:18) 
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GM「事業継続能力に疑念」 年次報告書にリスク明記 
 【ニューヨーク=米州総局】米自動車大手のゼネラル・モーター
ズ(GM)は5日、米証券取引委員会(SEC)に提出した2008年の
年次報告書で自社の経営リスクとして「事業を継続する能力に重大
な疑念がある」と明記した。同社の監査法人も同様の意見を表明。
膨らむ営業損失や債務超過、キャッシュフロー(現金収支)を生み
出す能力の乏しさを理由に挙げた。

 GMは自社の先行きについて「再建計画の実行能力や自動車販売
台数の回復にかかっている」と指摘。「(再建計画の実行に)失敗
すれば、米連邦破産法の適用申請に追い込まれる可能性がある」と
した。 (23:04) 
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米シティ、国内外の公的機関・投資家が株式の過半数掌握
 【ニューヨーク=松浦肇、財満大介】経営再建中の米大手銀シテ
ィグループは、筆頭株主になる米政府に加え海外の政府系ファンド
(SWF)など国内外の公的な機関や投資家に、株式の過半数を掌
握されることになった。実質的な「国際公的管理」の下で事業の整
理を推進。米政府による大手銀の資産査定(ストレステスト)に備
え、最も質の高い普通株資本を増強する方針も鮮明にした。

 米政府は27日、シティへの追加支援策として保有するシティの優
先株を普通株へ転換すると発表。持ち株比率は最大36%に達する。
合わせて転換に応じることにしたシンガポール政府投資公社(GI
C)の持ち分は約10%。(10:21) 
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「ゾンビ銀行」一掃を シティ準国有化
配信元:IZA2009/02/27 21:14更新
 【ワシントン=渡辺浩生】米政府が米金融大手シティグループの
事実上の公的管理に踏み切るのは、シティが破綻(はたん)すれば
、「システミックリスク」(連鎖破綻の危険)を招き、世界中の金
融システムに大激震が走ると判断したからだ。シティ以外にも、「
ゾンビ(死に体)銀行」や「インソルベント(債務超過)」と疑わ
れている銀行があるとみられており、政府は「ストレステスト」と
呼ばれる検査であぶり出し、同様に公的管理下に置く構えだ。

しかし、自由市場主義の米国では、国有化や公的管理に対する市場
の反発が根強いうえ、追加的な出資で公的資金が雪だるま式に膨ら
む恐れがある。

 危機の震源ともいえる米金融機関が抱える不良資産は最低でも約
2兆ドルに上るとみられる。しかし、損失を処理すれば、資本が大
きく棄損するが、その穴埋めの資金が調達できず身動きができない
状況にある。

 これまで金融安定化法の7000億ドルの公的資金枠から資本注
入を受けてきたが、住宅ローン関連から商業不動産、消費者ローン
へと不良資産が次々に広がり、銀行の財務内容への不信感は高まる
ばかりだ。

 シティも巨額の資本注入を受けながら、経営改善の兆しが全くみ
えず、株価は1ドル台まで低迷。シティだけでなく、証券大手メリ
ルリンチを救済買収して損失まで抱え込んでしまった米金融大手バ
ンク・オブ・アメリカなど主要行の株価が急落し、世界的な金融危
機が再燃している。

 このため、オバマ政権は「金融安定化には、大手銀行の生存可能
性を確保する必要がある」と判断。米国では前例のない公的管理に
踏み切ることにしたとみられる。25日には大手19行に対する検
査に着手し、「資本不足」と判断した銀行には、強制的な追加注入
も辞さない考えだ。
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「AIGはヘッジファンド」 FRB議長、経営を厳しく批判 
 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、上院予算委
員会での証言で、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グ
ループ(AIG)について「基本的に、巨大で安定した保険会社に
付随したヘッジファンドだった」と指摘、無責任な経営を批判した。
「AIG以上に私を憤慨させるものはない」と怒りをあらわにしつ
つ、「破綻すれば破壊的な事態になった」と追加支援に理解を求め
た。

 議長は米大手銀行の現状に関連して、「現時点でゾンビ(死に体
)金融機関があるとは思わない」と述べ、事実上破綻しながら市場
で存続している大手銀はないとの認識を示した。ゾンビ銀行の定義
を問われた議長は「(かつての)日本の状況に関連して度々使われ
た言葉だ」と指摘。「倒産した顧客を長期間抱え、新規融資をせず
、資本調達など経営健全化に向けた努力を何もしない銀行が(日本
には)あった」と説明した。
(ワシントン=米山雄介) (13:46) 
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AIGの08年最終赤字、22年間の利益合計を帳消し 9.6兆円 
 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG
)が2日発表した2008年の最終損失は992億8900万ドル(9兆6000億円
)と、それ以前の22年間の最終利益の合計(約991億ドル)に相当す
る。過剰なリスクを取ったツケが、長年かけて積み重ねた利益を帳
消しにし、グループ解体へとつながった。

 AIGの1986年の最終利益は約6億6000万ドル。収益基盤が安定し
ている保険事業の強みをいかし、順調に増益を続けた。利益が急に
伸び出したのは2000年前後から。金融取引に対する保険商品、クレ
ジット・デフォルト・スワップ(CDS)の販売を子会社で手がけ
始めた時期と重なる。06年には140億ドルの最高益を記録した。
(ニューヨーク=財満大介) (10:13) 
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AIG支援、アリコ株をFRB実質保有 追加出資、2.9兆円 
 【ニューヨーク=財満大介】米財務省と米連邦準備理事会(FR
B)は2日、経営再建中の米保険大手アメリカン・インターナショナ
ル・グループ(AIG)への新たな支援策を発表した。財務省が300
億ドル(2兆9000億円)を追加出資するほか、生命保険子会社のアメ
リカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(アリコ)などの
株式をFRBが間接的に保有する。支援を融資から出資中心に切り
替え、AIGの再建を加速する。

 AIGは同時に、世界で展開する損害保険事業を新設する別会社
「AIUホールディングス」に移管すると発表した。AIG本体と
は別の経営陣が経営し、一部株式の売却や将来の株式公開も検討す
る。政府支援を受けながら大規模な事業の分割・再編を進める。

 一方、AIGが同日発表した昨年10―12月期決算は、最終損益が
616億6000万ドル(約6兆円)の赤字で、7―9月期の244億ドルの赤字
から膨らんだ。赤字は5四半期連続。 (20:54) 


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