3212.日本経済の新しい視点



日本も世界も金融危機で大変な状態になっている。今までの経済効
率を重視した経済運営やギャンブル資本主義から人間を中心とした
経済運営にした市場経済主義に移行する必要がある。次の日本経済
をどうするのかを検討しよう。  津田より

0.はじめに
世界経済は、金融危機で100年に1度と思える世界同時不況の中
にいる。この原因は米国国民の過剰消費と過剰消費に向けた商品の
製造で生きる国の国民貯蓄によって成り立ったのである。この構造
を変えないと、またもやこのような世界的な混乱を引き起こすこと
になる。債権と債務は同額であり、このどちらも止めていかないと
いつかは、債務が破裂することになる。

債権を買いやすくする化粧をしたのが金融技術であり、それを買っ
たのは現時点で使わない金があることで、資金を投資したことで、
このような大きな債務デフレが起きたのである。このような債務デ
フレが起こらないように、世界的な仕組みが必要である。

日本はバブル崩壊後の債権・債務清算中であったことが幸いして、
日本の銀行は債権として証券化商品をあまり買っていない。一部の
農林中金や新生銀行、あおぞら銀行を除いて大手銀行では金融危機
にはならないと思うが、輸出ができずに企業経営が行き詰ることで
、金融機関に企業倒産で不良債権が累積する可能性もある。

日本だけは証券化商品の債権がないので、大丈夫という状態から、
日本も企業倒産などで債権が危ないという状態になっている。逆に
米国発の債務危機であるが米国のドルが強くて、債務危機でも債務
を増やすことができるという1人勝ちの様相でもある。米国国債と
いう債務は現時点では購入希望者が多数いて、長期金利も低い状態
になっている。

ドルの基軸通貨制で、一番おかしくなるはずの米国国債が順調に売
れるという変なことになっている。オバマ政権は、700兆円の財
政政策を始め、住宅ローン破綻者の保護など、いろいろな政策を取
り始めているが、この政策を取る金を世界から債務としての国債を
発行している。

これに引き換え、日本は政局が不安定で、景気対策も後手になって
いる。しかし、国民も貯蓄があり、あまり経済的な問題を肌で感じ
ていないようで、多くの国民は生活感覚的には満足と調査ではなっ
ている。

それだけ日本社会は、金融資産1300兆円の債権があり、豊かな
のでしようね。このため、国民が飢えて中国のような暴動というこ
とは起こりそうもない。年金制度も機能しているので、現時点で生
活に困っているのは、非正規雇用者で雇い止めにされた人たちだけ
かもしれない。

このような日本の現状から次の日本経済の視点を検討していこう。

お付き合いのほど、お願いします。

1.世界の金融危機
米国から金融問題は出ている。この米国の問題をシッカリ見ないと
、特に問題を起こした米国人が認識しないといけない。

森野さんのサイトにある一文があった。
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好況であれ不況であれ、どのような社会的災厄が起ころうとも、人
の生活は止むことはなく、生活は続く。そこに必需のものがある。
それを賭け事に使ってはならないというアタリマエのことを思う。

しかし今回の危機の引き金となった米国の住宅バブルに世界中が依
存してきた。住宅価格の上昇による持ち分の増加という労せずして
得た富を当て込んだ借り入れ、そして過大な消費。市場が崩壊すれ
ば差押えの山。米国は救済策を発表したが、それが「公正か」を巡
って意見はさまざま。

しかし基本を確認すれば、生存に必需のモノをギャンブルで賭けさ
せた投機を不可欠とする金融経済化の流れを見ざるをえないか。

米国にも自分たちの番が回ってきたことを自覚するよい一文に出会
う。

私たちの資本家体制を殺害したものは人間の基本的欲求を投機に基
づく経済システムに取り入れたことです。人間の基本的な必需品を
使ったギャンブルを増殖させる経済を組み立てるなら、必然的に、
つまるところは生きるために必需品に頼っている人々の生活を賭け
ることになってしまいます。私たちの社会は、国境を越えてアジア
やアフリカで何百年間もこうしたゲームを演じてきたのです。そし
ていま、増殖できずにそのシステムが死んだのですから、私たちの
番なのです。
経済社会を巡る価値観が大きく変わらざるをえない節目にあること
を確認しなければ、今回の危機に遭遇している意味がないと思う。
そうでなければ、経済が回復しても、また同じ事を繰り返す
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というように米国の衣食住の内、住を投機の対象として金融工学を
使って投機にしたことで、その崩壊が米国経済を崩壊させてしまっ
たのであるとしている。

現時点で米国では、どれだけの債務があるのかというと、
下落する住宅価格から、マイナスの資産効果8兆ドル
弱体化した株式市場から、マイナスの資産効果10兆ドル
消費者債務、14兆ドル
企業債務  18兆ドル
レバレッジを行った銀行セクタの債務は不明であるが、膨大なはず
である。

このように米国にある債務は巨大である。銀行分を除いても
約5000兆円の不良債権になる可能性があるというので、膨大す
ぎて解決できそうにない額である。現時点で米国は国としても破綻
してもうなずける。世界的に米国だけなら救いようもあるが、EU
も同じ程度におかしくなっているようだ。

2月10日にブリュッセルで行われた欧州連合財務相会合の場で配
布された資料がある。この中にEUの銀行の不良債権が約2180
兆円もあるというのだ。

どちらにしても欧米の債務破綻が債権を持つ国、国民の資産価値が
無くなることである。日本のマダム渡辺(日本を代表している婦人)
は世界に投資していたが、その金は返済されないと覚悟したほうが
いいようである。

そして、当分外需は期待できないことになる。このような世界状況
で日本経済の視点はどうするか検討しよう。

2.国民の多くを幸福にする経済とは
日本の経済を考える視点は、戦後の池田政権で経済成長倍増論から
始まり、倍増論でバブルが生成され、かつ公共事業が増大して、小
泉政権ではベンチャと民間活力で成長を拡大しようとした。しかし
、世界的な金融拡大策の失敗で100年に一度の危機になり、経済
拡大策という視点の変更が求められている。

次の経済視点は、国民の多くが平穏に送れる経済の仕組みであろう
と思う。江戸時代の安定的な経済体制であるかもしれないと見る。
経済的な豊かさは十分に日本にはあるし、バブル崩壊期でも生活に
満足だという人が8割も占めていた。調査をしたら、現時点も同じ
程度の満足率になると見る。

もうこれ以上の満足は必要ないとなると、国民の経済格差が少なく、
より多くの国民が満足を感じられる経済にすることと、次の国民経
済に必要な研究開発などに十分な配慮がされた経済にすることにな
る。

このような経済にするためには、いろいろな金融資産という債権を
あまり増やさなくても、生活できる環境を作り、貧富の差を小さく
していくことである。

貯蓄をしなくても不安がない生活にするためには、貧富の格差を無
くして、社会福祉を充実するしかない。食料などの海外依存度を減
らしていくことも重要である。

しかし、このように言うと市場経済を否定しているかのように聞こ
えるが、市場原理で動く社会で、それをどう実現するかを考えるこ
とである。日本はこれ以上の経済発展を必要としていない。だから
金利水準が低いのである。有利な投資する場が少ない。

3.日本での雇用問題としての実例
日本国民は単一民族であり、米国のように一部の階級が儲けのほと
んどを持って行くということにはならない。しかし、雇用問題では
派遣社員や契約社員などという形で企業の柔軟性を高めた施策をし
た。この時、どう雇用者のセーフティ・ネットを引くかという議論
がなしに、実行された。

農業や林業に雇用の場を作ることも重要であるが、ここにはあまり
現代人はいかない。3Kの職場だと思われているようだ。工場など
の比較的楽な勤務を選択したいようである。しかし、日本全体では
雇用が不足している場がある。職場の紹介と職業教育が重要という
が、もう1つは、失業した時の給与補償である、今の生活保護制度
は制度として、失業者を想定していないために、職業を早く探すと
いうインセンティブを設計のときに織り込んでいない。

職業を早く探すことを急がせたり、就職に必要な教育の点数で給付
金額が変わるような制度設計が必要なのではないかと見る。

4.結論
日本の経済制度と制度設計をもう1度やり直すことが必要である。
その根本は、経済格差を少なくして、国民全体が豊かに生きていけ
る社会をどう作り上げるかだと思うが、どうであろうか?



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