3210.EVの近未来と夢



モータの先生の講演会を聞いた。その講演会録。  Fより

第1回のモータショウは、1954年(S29)に日比谷公園で行
っている。翌年55年には純国産車クラウンが発売されている。
この当時は、戦前の航空機のエンジニアが自動車産業を支えた。
55年に販売されたトヨタの純国産クラウンは、中村健也技師と3
枚リーフスプリングの亘理厚東大教授でできた。このように国産車
は、その当時の最新技術でできていたのです。

EV(電気自動車)は、開発の3回の波があった。明治32年米国
からの輸入車、昭和4年日本発の中島飛行機+ユアサの電気自動車
、昭和24年戦後直ぐに富士重、たま自動車が作っている。
昭和40年の大気汚染問題から電気自動車で、大阪万博で遊覧車が
作られている。

EVはモータとバッテリーでできている。この電池の発明者は日本
では尾井先蔵である。明治18年に乾電池を発売したが、松下幸之
助がこの会社を買っている。

2次電池にはいろいろとあるが、それぞれの特性があり、適材適所
で使うことがいい。鉛電池は98%リサイクルできている。ニッケ
ル水素+管理システムは今の主流で、リチウムイオン+安全管理シ
ステムは熱監視と出力の幅監視が重要である。バランスが必要。

もう1つ、リチウムは希少金属であり、現時点埋蔵量は今後30年
程度の分しかない。電気二重層キャパシタ+電子回路は放電容量が
大きいことがいい。リチウムイオンと電気二重層キャパシタの相性
がいい。電力の平準化ができるのがいい。

リチウムイオンの電気密度は高いが、神経質な金属であり、安全に
使える枠内管理が重要である。電解液の固形化など今後も技術の発
展があるが、量もないために、使う範囲を限定するしかない。

自動車は止まるときに電気を生み出すので、この電気を回生すると
使用電力の60%〜75%も回生できる。少ないエネルギーで電気
自動車は走ることができる。

重量の軽量化としては、バランス、形状、素材の3つから研究して
いる。全長3Mの48kgと180Wモータ、単1電池2本で動く
電気自動車を作った。この構造はモノコック構造で、素材はカーボ
ンファイバでできている。

川重のニッケル水素電池ギガセルの開発にも関与した。溶接しない。
構造を簡単に。リサイクル・リユースできる。10万サイクルの長
寿命で10年〜20年も使える。この開発で重要なポイントはセパ
レータであった。これを使った電池で動く路面電車(LRV)を川
重は作っている。

バッテリーの適応性は充電と回生にあり、新幹線も今の半分のエネ
ルギーで走行可能になる。これを東大生産技術研と共同開発するこ
とにした。

鉄道の省エネ化としてバッテリーとモータを組み合わせたシステム
として融合する。モータを軽くして、同じ容量で倍以上を走るよう
にする。EVとLRVは一緒の技術であり、技術融合ができる。

環境技術は、時間を掛けてスローテンポに研究する。1歩1歩を確
実に実験して固めていくことが重要。それがいい成果を出すことに
なる。そして、それが日本の技術を作ることになる。

そして、研究者として20年先を見てシステム的に考えることでし
ょうね。

(質問に答える)要約
EVが普及するのは、20年後でしょうね。充電できるインフラが
必要であり、この整備に時間が掛かる。このインフラが無いときに
は、カセット式のバッテリーをコンビニで売るとかのことが必要に
なる。電気自動車で300Km程度の走行距離は出せると思う。
バッテリーは、主力+補助の2つがあり、補助は車のフレームに組
み込むことが可能だと見る。


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