3204.オバマ政権の景気対策は



オバマ政権の景気対策が出てきたが、案の定、評判が芳しくない。
              Fより

オバマ政権の財政対策、金融政策が出てきたが、あまり思わしくな
い。特に景気対策での公共事業は、日本の「失われた10年」と同
じ誤りをしていると米国の経済専門家も言い始めている。

それに影響されて、米世論も経済政策の人気が低い。反対が45%
と高くなり、これに刺激されて共和党の反対が強くなっている。そ
のことで共和党クレッグ上院議員が商務長官を辞退して、超党派政
権を目指したオバマ大統領の思惑が外れ始めている。

しかし、オバマ大統領の人気はまだ健在で76%が評価しているが、
個々の政策が悪いと、いつかはこの支持率も下がることになる。

そのような時期に、ガイトナー米財務長官は新たな金融安定化策を
発表した。新設する官民共同の投資ファンドを通じ最大1兆ドルの不
良資産を購入するほか、米連邦準備理事会(FRB)の信用収縮緩
和策も1兆ドル規模に拡大するとしたが、この発表で失望したNY株
は大幅に下落した。

買い取り価格の決定方法など不透明な部分が多いと受け止められ、
失望売りが膨らんだ。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長
の議会証言で、新たな資金供給策に関し詳細が示されなかったこと
も売りを誘った。ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた。

このように米国の景気対応政策は揃ったが、その対策案を評価しな
い国民が多くいるし、政策自体で景気が浮揚するとは思えない。
このコラムが事前に見通した方向に米国もやっと気がつき始めてい
る。

もう1つ悪いことに、米赤字国債は日本と違って、海外機関投資家
が半分を買っていることで、その国債の売却ができないと、長期金
利上昇となるが、過去最大規模の米国債四半期入札は順調に買い手
がいたので、長期金利の上昇という結果にはなっていない。現時点
で米ドル資金が、世界は必要なので米国債への買いもある。しかし
、2010年に始まる湾岸通貨が出てくると、売却が順調であると
は思えない。

このため、ガイトナー米財務長官は「米政権として中国が為替操作
国かどうかの最終判断は下していない」との認識を示し、微妙に立
場を修正し始めている。中国が米国債の大きな買い手であることは
間違いのない事実であり、中国も米国債の価値を保証することを米
国に要求しているようである。

米国はどうも、日本と同じ失敗を繰り返す可能性が高くなっている
が、日本より米国の方が貿易赤字で国債の国内消化が弱いことや経
済基盤が脆弱な分、バブル崩壊後の日本以上に心配な状況にある。
オバマ大統領は日本を引き合いに出すが、日本という反面教師があ
りながら、その日本と同じような失敗をしているようにも感じる。
その上、日本より米国のほうが悪い部分として、保護主義に傾いて
いることである。

このような結論を言うと、読者は米国の政策批判だけではなく解決
案を示すべきだと思われるでしょうね。

しかし、そのような案は多くの問題点を含むことになる。たとえば
、日本や中国から実体経済の中心である製造業を米国に戻すことで
あるとすると、これは保護主義にすることやドルを下落させること
が必要になる。先端的な製品の製造業とすると日本企業の技術力が
必要となり、米国は日本の技術を奪うことが必要になるか、日本企
業の米国工場を強化してもらいしかない。そのインセンティブは保
護主義的な政策となる。しかし、保護主義をすると、世界の景気は
ますます悪くなる。

昨日話したように、ブロック経済化が進行するという結果が待ち受
けていることになる。このような米国を日本はウオッチして、日本
は早めに米国に警告するしかない。ということで、全てによい案は
ない状態になっているのだ。それだけ米国の金融・経済問題が大き
いと見る。

どちらにしても、日本経済も米国に引きづられて、悪くなるのは仕
方がない。企業経営は縮小して、暴風が過ぎ去るまで辛抱をするし
かない。経営者の実力が問われることになる。

さあ、どうなりますか??

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オバマ大統領の景気対策は大統領より不人気 米世論調査 

ワシントン(CNN) CNNとオピニオンリサーチが9日に発表
した最新世論調査によると、オバマ米大統領の仕事ぶりは76%が
評価している半面、大統領が議会に提案している景気対策法案の支
持率は54%にとどまった。 

景気対策法案については反対が45%を占めている。支持政党別で
みると、民主党支持者は4人中3人が賛成しているのに対し、無党
派層の賛成は51%、共和党支持者の賛成は32%のみだった。 

現在上院で審議されている法案が「大いに」「ある程度」景気の役
に立つと答えたのは64%。一方、「ほとんど」「まったく」役に
立たないと答えたのは36%となっている。議会の対応については
71%が「評価しない」と回答、「評価する」の29%を大幅に上
回った。 

調査は7日から8日にかけ、米国の成人806人を対象に電話で実
施。他社の調査に比べて大統領の支持率が高めに出ているのは、支
持・不支持を表明していない層がほかの調査より少ないためだとい
う。 
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オバマ政権、共和議員が商務長官辞退 党派対立強まる 
 【ワシントン=丸谷浩史】オバマ米大統領が次期商務長官に指名
した共和党のジャド・グレッグ上院議員は12日、景気対策法案など
に関する政策の違いを理由に、就任を辞退すると表明した。商務長
官候補の辞退はニューメキシコ州のリチャードソン知事に続き2人目
。超党派の政権運営を目指すオバマ氏には打撃で、共和党との党派
対立が激化してきた。 

 指名を受けた9日後に辞退したグレッグ氏は「景気法案やその他の
政策課題の違いが解決できない」との声明を発表した。その後の記
者会見では「この時点で辞退するのは不当かもしれないが、政権入
りするのはもっと大きな間違いになる」と説明した。 

 オバマ氏はグレッグ氏の辞退を受けて「少し驚いた」と述べた。
ギブズ大統領報道官は「大統領の重要な経済政策を支持できないと
分かった以上、別の道を行くことが必要だ。グレッグ氏の心変わり
は残念だ」との声明を出した。 (10:17)
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米金融安定化策、官民で不良資産買い取り 最大1兆ドル
 【ワシントン=大隅隆】ガイトナー米財務長官は10日、財務省で
演説し、新たな金融安定化策を発表した。新設する官民共同の投資
ファンドを通じ最大1兆ドルの不良資産を購入するほか、米連邦準備
理事会(FRB)の信用収縮緩和策も1兆ドル規模に拡大する。不良
資産を金融システムから分離すると同時に、資本注入も拡大し貸し
渋りなどの解消につなげる。グローバルな経済危機の震源地となっ
た米国の金融システム再建は新たな局面に入った。

 新金融安定化策は、8000億ドル(約73兆円)規模の景気対策とと
もに、オバマ政権の経済政策の基軸となる。ガイトナー長官は演説
で「金融システムの現状は回復に向けた取り組みとは逆行している
」と指摘。「銀行のバランスシート(貸借対照表)を健全かつ強く
しなければならない」と語った。(01:28) 
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NY株大幅続落、終値381ドル安の7888ドル 金融安定化策に失望 
【NQNニューヨーク】10日の米株式相場は大幅に続落。ダウ工業
株30種平均は前日比381ドル99セント安の7888ドル88セントで終えた
。ガイトナー米財務長官が新たな金融安定化策を発表、官民共同の
投資ファンドを新設し最大1兆ドルの不良資産を購入することなど
が示された。ただ買い取り価格の決定方法など不透明な部分が多い
と受け止められ、失望売りが膨らんだ。バーナンキ米連邦準備理事
会(FRB)議長の議会証言で、新たな資金供給策に関し詳細が示
されなかったことも売りを誘ったようだ。ダウ平均の下げ幅は一時
400ドルを超えた。 
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中国の為替操作「最終判断下さず」 米財務長官が発言修正 
 【ワシントン=米山雄介】ガイトナー米財務長官は10日、ブルー
ムバーグテレビなどで「米政権として中国が為替操作国かどうかの
最終判断は下していない」との認識を示した上で「中国は世界経済
安定に向けた重要な勢力になっている」と語った。指名公聴会で「
オバマ大統領は中国が自国通貨を操作していると信じている」とし
た発言を修正した形だ。

 ガイトナー長官は「(主要国が)一緒に動かなければ、われわれ
の行動の影響力は減殺される」と指摘。13、14日にローマで開く主
要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、成長促進と金融シス
テム安定に向けた協調行動を各国に求める考えを示唆した。 (19:03) 
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長期金利、米欧で上昇 景気後退局面では異例
 米欧主要国で長期金利の上昇が目立ち始めた。大規模な金融・景
気対策による財政負担の増大が懸念されているためで、米英やスペ
インなどは昨年末からの上昇幅が0.7%程度に拡大した。世界的な景
気悪化局面で長期金利が上昇するのは極めて異例だ。

 長期金利の指標である10年物国債の利回りを昨年末と比べて分か
った。米国ではなお3%を下回っており、足元ではデフレ懸念もある
とはいえ、長期金利の上昇は財政面で悪影響が大きい。長期化すれ
ば各国の経済運営の選択肢を制限し、不況を長引かせる恐れがある
。(ニューヨーク=山下茂行)(07:00) 
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過去最大規模の米国債四半期入札、需要はまずまず・30年債はやや不調

[ニューヨーク 12日 ロイター] 米財務省が今週実施した過
去最大規模となる総額670億ドルの四半期定例入札(クオータリ
ー・リファンディング)は、国内外の投資家からまずまずの需要を
集めた。ただ、今後も大規模な国債発行が見込まれることから、投
資家の間では供給過剰懸念が高まっている。

 米政府は、景気対策や金融安定化策の費用を賄うため、約2兆ド
ルの国債を発行する見通し。
 DAデービッドソンの債券トレーディング部門バイスプレジデン
ト、メアリー・アン・ハーリー氏は「米国債市場は今後、大量の供
給により問題に直面するとみている。かなりの規模だ。いったい誰
が落札し、価格がどれぐらいの水準になるのかまったく分からない
」と語った。

 財務省は今週、10日に320億ドルの3年債入札、11日に
210億ドルの10年債入札、12日に140億ドルの30年債入
札を行った。

 ハーリー氏は、3年債入札結果はまずまずだったが、30年債と
10年債入札の需要は弱かったと指摘した。

 景気減速とデフレスパイラルの可能性をめぐる懸念が3年債入札
を支援した一方、拡大する財政赤字やこうした政府の借り入れが最
終的にインフレを誘発する可能性があるとの不安が期間の長い債券
の入札への需要を圧迫した。

 実際、30年債の価格は入札後に下落した。

 ただ、約6兆ドルに上る発行済み米国債の約半分を保有する海外
投資家からの需要が減退するとの懸念は、今週の入札を受けて後退
したようだ。

 DRWトレーディング・グループの市場ストラテジスト、ルー・
ブライエン氏は「海外投資家がドルの余剰資金を持っている限り、
彼らは(米国債に)投資することを望むだろう。問題は、海外から
米国への輸出が減少し、海外勢のドル資金が減ることだろう」と指
摘した。




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