3203.保護主義の台頭と今後



世界的な保護主義が台頭してきました。このコラムの予想通りです
が、この検討をしよう。   Fより

世界的に保護主義が台頭している。特にEUでは自国産業に補助金
を出しているフランスやイタリアと東欧諸国の対立が起きている。
フランスやイタリアは、自国産業に補助金を出す代わりに国内工場
を閉鎖しないことなどの条件をつけるために、生産過剰になってい
ることで減産をするために、自社の東欧工場を閉鎖することになる。

このため、東欧諸国がフランス、イタリア、スペインなどの経済政
策を保護主義として非難している。EUのバローゾ欧州委員長は12
日、フランスのフィヨン首相と会談し、自動車産業支援は「ほかの
加盟国にマイナスの影響を与えてはいけない」と述べ、加盟国の利
益を損なわない形で進める必要があると警告した。

しかし、一方でEUは10日、中国製の鉄鋼製品のひとつである線材
を対象に、最大25%の反ダンピング(不当廉売)関税の適用を決め
ている。ブロック化の心配がある行動に出ている。
インドは中国製玩具の輸入を全面禁止にしたが、この理由が国民の
健康と安全への配慮から来ると強調し、保護主義ではないとしてい
るが、中印の貿易摩擦に広がることが予想できる。どちらにしても
世界はブロック化に向き始めているようだ。

米国のバイアメリカン条項はWTOルールに沿って同条項を運用す
るという付帯事項がついたが、運用はどうなるか心配である。ここ
でもNAFTAのブロック化になる可能性もある。

というように、公定金利下げ競争、通貨切り下げ競争から保護主義
へ、そしてブロック化へと世界恐慌への道は確実に前に進んでいる。
しかし、市場規模が大きいEUや米国は保護主義が有利であり、ブ
ロック経済になると、日本や韓国など外需に大きく依存している国
の経済は大変なことになる。

一部の評論家が、円高は日本にとって有利であるかのような暴言を
吐いているが、それは間違いであり外需企業の大きな利益を貿易で
得て、その資金が内需企業に流れている構造になっている。この最
初の資金流入が細ると、日本全体の資金流量が細り、内需企業も徐
々に生産調整に追い込まれていく。

製薬会社は典型的な内需企業であるが、どうもそこの企業群も生産
調整にのり出し始めている。このように内需企業の生産も減少する
と今後の日本経済は非常に心配である。円高が有利という暴言を雑
誌も乗せてはいけない。あまりにも実態と違いすぎる。読者を惑わ
すことになる。

保護貿易になると、今以上に日本経済は細り、大変なことになる。
ブロック経済化が進行するなら、日本も中国や東南アジアと経済共
同体を作り、対応する必要が出てくる。国際機関への提訴も重要で
あるが、それだけではうまくいかないように感じる。交渉カードを
着実に進行させている必要がある。

大変な状況にどんどん、追いやられることになる。この不況を抜け
ると光が見えると思うが、それまで企業をどう存続させるか、経営
者の手腕が問われているように感じる。経営者の皆様、ガンバッテ
ください。
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保護貿易に反対声明、15カ国・地域が共同で 日本主導、WTOに 
(nikkei)
 【ジュネーブ=藤田剛】日本、韓国、スイス、ブラジルなど15カ
国・地域は、保護主義に反対する共同声明をまとめ世界貿易機関
(WTO)に提出した。金融危機を受けて各国で広がりつつある保
護主義をけん制するのが狙いだ。特に国内価格より安く輸出するダ
ンピング(不当廉売)に対してWTO協定違反の不当な高関税を課
す行為に強く反対している。

 日本が主導して急きょ共同声明を取りまとめたのは、WTOの多
角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の1分野で、反ダンピング措置な
どの貿易関連制度を決める「ルール交渉」が米国の抵抗で停滞して
いるという背景がある。 (17:02) 
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仏の自動車産業支援、EUが警告 
(nikkei)
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員
長は12日、フランスのフィヨン首相と会談し、自動車産業支援は「
ほかの加盟国にマイナスの影響を与えてはいけない」と述べ、加盟
国の利益を損なわない形で進める必要があると警告した。フィヨン
首相は「支援策はEU法令に完全に適合している」と反論した。

 フランスは自動車支援の見返りに国内生産の継続やフランス人の
雇用維持を求めており、EU各国から「経済保護主義」と批判され
ている。 (04:40) 
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EU、産業保護で不和 中・東欧、国内重視の仏伊に反発
(nikkei)
 【ブリュッセル=下田敏】国内産業の保護策をめぐって欧州連合
(EU)加盟国の対立が激しくなってきた。経済情勢や雇用の悪化
をにらみ、フランスやイタリアなどが国内での生産を条件とする企
業の支援策を相次ぎ導入。西欧からの投資や工場進出に頼る中・東
欧が「経済保護主義」との批判を強めている。EUは来月1日に開
かれる緊急首脳会議で調整をはかる方針だが、景気・雇用問題で加
盟国に譲歩を迫るのは難しく、足並みの乱れが懸念される。

 EU主要国ではまずフランスが国内産業の保護策に動いた。プジ
ョーシトロエングループ(PSA)やルノーなど自動車3社に総額
65億ユーロ(約7800億円)の低利融資を決定。仏国内にある生産拠
点の存続を融資条件に定めた。サルコジ大統領はさらに「工場の海
外移転を防止し、できれば仏国内に呼び戻したい」と表明した。
(07:00)
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EU、中国製の鉄鋼製品に反ダンピング措置 通商摩擦、激化も 
(nikkei)
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の欧州委員会は10日
、中国製の鉄鋼製品のひとつである線材を対象に、最大25%の反ダ
ンピング(不当廉売)関税の適用を決めた。中国がEU市場でのシ
ェア拡大を狙って不当な安値で輸出したと判定した。世界的な景気
低迷で保護主義的な動きが強まっており、EUと中国の通商摩擦が
激しくなりそうだ。

 鉄鋼はEUの基幹産業であり、中国の輸出攻勢には欧州鉄鋼連盟
などの業界団体が反ダンピング措置を求めていた。欧州委はまず6カ
月にわたって中国製品に上乗せ関税を適用。その後に反ダンピング
措置を継続するかどうかを判定する。 (22:47) 
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バイアメリカン条項 米上院が一部修正
 【ワシントン=大隅隆】景気対策法案を審議している米上院は4日
の本会議で、米国製品の購入を義務づける「バイアメリカン条項」
の修正案を可決した。同条項には欧州連合(EU)、カナダなど諸
外国が一斉に反発。保護主義を懸念し同条項の見直しを求めたオバ
マ大統領の意向を受ける形で修正されることになった。

 ドーガン上院議員(民主)が提出した修正案はバイアメリカン条
項を「米国の国際的な貿易協定の順守義務に沿った形で適用する」
ことを求めた。内外無差別を原則とする世界貿易機関(WTO)ル
ールに沿って同条項を運用する考えを示したとみられる。同議員は
一貫してバイアメリカン条項創設を推進してきたが、同日「国際的
な貿易ルールを守りながら米国でできる限りの雇用を創出するとの
目標をオバマ大統領と共有している」との声明を発表。修正容認
に転じた。

 一方、マケイン上院議員はバイアメリカン条項の事実上の削除を
求める修正案を提出したが、賛成31、反対65で否決された。(12:32) 
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インド、中国製玩具の輸入を全面禁止

 【大紀元日本2月14日】1月下旬に発表された中国製玩具輸入の暫
時禁止に引き続き、インド商工省商務局・外国貿易部は7日、全区域
の全ての税関部門に対し原産国が中国である玩具はどこの国及び地
区からの輸入であっても、一律これを禁ずる品目とするという規定
を通達した。このことは印中間の貿易紛争に至るばかりではなく、
中国玩具が永久にインド市場に入るすべを失ったと言えるだろう。

 外国貿易部職員によると、中国製玩具がインド市場に入り込むい
かなるルートも無くし、前述の輸入全面禁止通達がすべての手落ち
を根絶するとのことだ。

インド商工省カマル・ナート(Kamal Nath)商工相は国民の健康と
安全への配慮から来ると強調。同氏が明らかに、以前起きた中国が
輸出した「有害玩具」事件を指している事が分かる。
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保護主義の流れに各国首脳が懸念 金融サミット、主要議題に 
(nikkei)
 【ダボス(スイス東部)=藤田剛】世界貿易機関(WTO)の緊
急調査では、昨秋以降の金融危機で保護主義の流れが強まっている
ことがわかった。国際貿易の縮小均衡は世界経済の悪化に拍車をか
けかねず、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも懸念の
声が相次いだ。次回の20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミッ
ト)の主要議題にもなりそうだ。 

 WTOによると、2008年はじめから現在までに、協定違反を理由
に被害国が実施国を提訴したのは21件。今回の調査で判明した19件
の保護貿易措置は昨年11月からの3カ月間でほぼ実施しており、提訴
には至らなくても国内産業の保護が確実に広がっていることを裏付
けた。 (15:03)


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