3198.地政学的観点での世界観



今までの地政学は、米国や欧州から見た地政学のような気がする。
日本から見た地政学が必要である。   Fより

現在、ベル研の発明した半導体や内燃機関の発展で経済が拡大した
コンドラチェフの第4波が、突然終焉した状態である。世界の経済
は収縮するが、来る次の5波の準備をする時代であると見る。

そして、今後アジアや日本の時代が来ることになる。その時に必要
なのが、日本から見た世界観、日本の地政学が必要になる。

今までの地政学であるスパイクマンの地政学は、米国が第2次世界
大戦を勝利するために、考えた地政学である。この考え方であるリ
ムランド、ハートランドの考え方や思想は参考になるが、あくまで
も米国が中心で世界をどう支配するかから出た構想という面がある。

現在、イスラム教地域の拡大で他教との境界面でテロ戦争が起きて
いる。イスラム教徒の移民を認めた欧米諸国でも境界面になってい
る。そして、ロシアが旧ソ連地域を自勢力範囲とする拡大を志向し
ている。イスラム拡大とロシア拡大は現時点では衝突している。

この2つの膨張で、中国は旧ソ連地域の中央アジアへの拡大ができ
ずに、東南アジアと海洋に拡大を志向している。また、中国はアフ
リカへの拡大を目指している。そのアフリカへのシーレーンを確保
する行動に出ている。日本の石油のシーレーンと重なっているし、
東南アジアへの拡大も重なっている。太平洋に拡大すると、日本の
海洋国家と競合する。

米国はリムランドからオフシェアに後退する可能性が出ている。現
時点は、リムランドでもあるイスラム教地域での戦争でイスラム教
の拡大を押しとどめようとしているが、うまくいかない。ロシアと
協調してイスラム教拡大を止めるしかない。中国と米国も協調して
イスラム教に対応すると見ている。非イスラム教対イスラム教の戦
いという面がある。

そして、イスラム教拡大が世界の大きな問題であるが、日本は国内
政治問題で汲汲として、国際問題に構想を持っていない。
日本の世界観がないために、世界も日本を理解できない。この面か
らも日本の地政学が必要になっている。日本の隣の中国が明確な地
政学の構想を持っているので、それに対応した地政学の構想を持つ
ことが必要になっている。

日本は、太平洋に面した島国であるために、海軍力でどこにでも行
ける。イスラム教地域からは離れているし、イスラム教徒を移民で
受け入れていない。このため、イスラム教の膨張に大きな心配をし
なくて済んでいる。大陸国ではないので、国境を接していないこと
で、陸軍の増強も必要性が低い。このため、対イスラム教戦争にも
参加していない。

米国は中国と利益が共通している。米国はアメリカ大陸と太平洋の
島々、中東の石油を支配権として確保することが重要で、アフリカ
や東南アジアは支配権を必要としない。インド洋の支配権も必要と
しない。この部分を中国は拡大対象にしている。両国で世界を2分
した支配体制を引けるような構想はなっている。対イスラム教戦争
も共通の利益である。

対イスラム教戦争に日本は積極的ではないため、米中の構想が進み、
日本が忘れ去られるように感じる。

日本は中国が脅威であり、包囲網をしてロシア、インドと同盟して
中国を包囲するという構想Aとアジアの時代を目指して日中の2ケ
国同盟で東南アジアとの共栄圏という構想B、海洋国家連合として
日米英の3ケ国でユーラシアを取り巻くという構想Cなど、地政学
的な構想ができる。しかし、どの構想でもイスラム教の拡大に対応
した行動を日本は求められる。欧米中ロの基本は対イスラム教戦争
であるためである。

世界の流れを見極めることと同時に次の構想を考えることである。
そのベースの理論が必要であると見るがどうであろう。


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