3190.奈落の底からの脱出は



日本経済の急激な減速は、今までの経済拡大の大きな要因が外需で
あったために、この外需が無くなったことで起こっている。この外
需の代わりにできる内需の検討を行う。   津田より

0.はじめに
 日本経済は、2003年以降、主に海外への輸出で経済が伸びて
きたが、欧米など海外の需要が落ち込み、このため、日本の商品も
売れないために、外需で伸びた分の全体が縮み、このため、GDP
が11%もマイナスになったようである。過去に例がないような急
な落ち込みに遭遇している。

欧州では東欧などに投資した資金が回収できないという第二波の金
融危機に直面して、米国サブプライム問題と合わせて、経済の危機
に直面して、英国ポンド、EUユーロともに対ドルで下落している。

米国経済も奈落の底に落ちていくような落ち込みをしている。とい
うように世界的な経済が奈落の底に落ちていっている。そして、こ
のような世界大恐慌という状態になってきて、世界の需要が枯渇し
てきた影響を日本も受けることになっているようである。

その上に、比較的金融部門が安定している日本の円の独歩高が押し
寄せている。このため、日本の製品は欧米中で軒並み価格をUPせ
ざるを得ない。韓国ウォン安でサムソンは価格を下げることができ
るために、益々、その販売での差が開いている。日本の製品が売れ
ないことになっている。

ロシアのルーブルも下落が止まらない。ロシア中央銀行は介入して
いたが、とうとうルーブルの基軸通貨化を諦めて、下落を放置する
ようになっている。このため、1年前に比べて50%の下落になっ
ている。このように日本だけではなく、世界の多くの国が奈落の底
に落ちていくような感じでいるはず。

しかし、日本企業でも製造業以外は落ち込みがそれほどでもない。
落ちてはいるが、製造業のように経常利益が70%減ほどではない。
4社に1社が増益を確保している。しかし、来期の見通しとなると
多くの企業は減益になるようである。このように輸出依存ではない
企業がまだ元気である。日本でも内需拡大が待ったなしの状況を示
している。ダボス会議でも麻生首相は内需拡大を宣言している。

中国、インド経済は、この世界経済の縮小の時代でも経済成長をし
ている。中国の内陸部での12月の自動車販売台数は過去最高にな
っている。このように中国やインドは現時点でも経済成長をしてい
る。ここに目をつけた海外販売拡大の方法は前回、円資金を貸すこ
とで、より大きな経済成長を促して、日本からの輸出を拡大しよう
としたが、今回は内需拡大や中国への生産移転した縫製などを再度
、日本に戻すことも視野に入れた取り組みを模索したい。

現時点の世界の状況は、コンドラチャフの波の底にいるようであり
、内燃機関や電子機器の需要が一段落して、次の新技術の波が必要
になっているように感じる。その次の波が来るまで、どう耐え凌ぐ
のかが、日本にも世界にも課せられた宿題なのである。この宿題を
解こうと思う。もう1つが、日本が次の波を起こすことである。

ということで、前回についで今回も日本経済を奈落の底から脱出す
る方法を考えよう。

お付き合いのほど、お願いします。

1.農業問題
 日本が消費のほとんどを輸入に頼り、海外事情の変化などで輸入
が困難になるようなことになると生活ができないことへの安全確保
や、経済規模拡大に繋がる公共投資、今後の高齢化社会に先手を打
つ施策を事前に政府は予算をつけて行うなど、今後の需要拡大に結
びつくを行うことである。間違えても、田舎に道路という公共事業
をしてはいけない。

まだ、自民党の道路族が跋扈して多くの予算を掠め取っているが、
日本自体の体力を落ちることになっている。現時点でも田舎に行く
と道路が良くて快適であるが、ほとんど走っている車を見ない。

この金を雇用調整や雇用対策に使えばいい。2兆円の給付金より、
こちらの方がムダレベルが高い。このような主張を予算審議の過程
で民主党はするべきである。都市と労働者を殺してしまえば、金の
卵を生めなくなるのに、まだ地方に金を持っていくことしか考えな
い自民党議員がいることに唖然としている。しかし、それでは地方
が寂れると心配するが、それより農業の建て直しを行って、地方を
活性化するべきなのである。

ということで、一番重要で内需拡大の大きな柱は、農林業である。
大規模農家か農業生産会社で、直接消費者やスーパーなどの小売店
に売買することができるレベルの企業を育成して、日本の農業を抜
本改革することである。その上で、生産補助金なりを補助する仕組
みに変えることである。

今の農業では、農業を引き継がないことで農作放棄地が増えて衰退
してしまう。石破農林相に大きな期待をしたい。農協の抵抗はある
と思うが、それが日本農業を再興する道であるし、日本の安全保障
に重要である。また、日本のコメ文化を守る意味でも重要である。

2.脱石油事業と環境ビジネス
 この分野は、米国と日本は協調できる分野である。CO2排出権
問題を疑うことである。EUは世界標準を取り、それで商売をする
ことを考えているために、無理にCO2が増えたことを問題にして
いるが、これには大きな疑問がある。これに対して、日本と米国の
学者の多くも疑問視している。CO2の増加よりメタンや水蒸気の
増加の方が、温暖化効果が大きいし、CO2のPPMレベルの増加
より太陽黒点の活動の方が温暖化への影響が大きいようである。

しかし、日本の安全保障からすると、エネルギーの90%を中東か
ら輸送しているが、今後、米国の衰退による覇権力減少を勘案する
と、中東からのシーレーンはインド海軍と中国海軍の衝突やいろい
ろな地域で海賊問題等が起こり、不安定になる可能性を秘めている。

この中東の石油エネルギーの代替エネルギーを真剣に日本は考える
必要がある。この1つがサハリン2の天然ガスである。この天然ガ
スからガソリンなどの自動車への燃料を作ることであるが、実験プ
ラントは成功している。今後はこのプラントを実用化することであ
ると見る。

しかし、ロシアの天然ガスは、ロシア資源ナショナリズムの影響を
受けて、政治的に使われる可能性が高い。今回のEUでの天然ガス
供給停止を見ても恐ろしい事態である。天然ガスの供給ルートの多
角化は絶対に必要であるし、天然ガス以外の代替エネルギーも必要
である。

このため、それ以外の対応を考えるとすると、原子力発電事業にな
る。しかし、日本には適地がない。大間の原子力発電所が最後であ
り、今後は既存原発の延命や出力UPなどの施策を打つことである。

もう1つが、日本近海にあるメタンハイドレードに着目することで
あるが、実用化には20年以上も掛かる。しかし、地道な研究開発
は進めることである。これと同様に燃料電池などの次世代のエネル
ギーの開発をすることは重要である。

また、省エネ研究も重要である。この分野は米国も真剣に事業化し
てくるので、この事業は世界的に拡大することになる。日本も益々
、この分野を拡大するべきである。米国は日本の技術を定年退職し
た日本人によって自国に招き入れることで、自国産業を立ち上げよ
うとしている。日本の定年退職した技術者の取り合いが起きる可能
性があるようだ。

サムソン電子が家電を立ち上げるのに使った方法と同じことが行う
ようであり、日本企業も定年退職者の囲い込みをしないと、知らぬ
間に米国企業は、この分野を抑えていることになる可能性も否定で
きない。しかし、そのときでも、韓国が悩んでいる部品や工作機械
は、日本製になる可能性が高いが、その部分は米国も意外と強いの
で、気を抜けないように感じる。米国の参戦は大きい。

そして、リサイクル事業を進めると、将来はレアメタルや銅、銀、
プラチナ、金などは日本の中にある廃棄物で十分な量を確保できる
ことになる。

この研究も徐々に日本が先頭に立ち始めている。今後を期待できそ
うである。

3.電気・材料の時代
 脱石油になると、電気で動くヒートポンプや電気自動車や電池が
重要なことになる。現時点、コンドラチェフの波の底にいる。この
次の波を起こしてくれるのが、この電気自動車や電池や次世代の発
電機、リニアモータ鉄道なのであろう。自動車は、現時点年間
4000万台も売れていたが、この自動車が電気自動車になると、
構造が簡単で多くの国でアセンブリできることになる。しかし、電
池や高出力モータなどはそう簡単にはできない。

この電池などは材料研究が重要になる。有機と無機の中間体やカー
ボンナノチューブなどナノ技術が重要になる。これによりプラチナ
や金などを使わない素材ができたり、今まで有機体でしかできない
ような複雑な性格の素材ができるようになるようだ。

鉄道では、リニア・モータが本格的に商用化されて、日本は先頭に
立つことになりそうである。この東京から名古屋へのリニアを日本
政府は促進するべきであり、建設費5.5兆円の90%程度は国庫
負担でもいいのではないか。今の新幹線の地方延長より経済効果が
大きいと見る。そして、道路を作るくらいなら、その金をこれに
つぎ込むべきでしょうね。

この部分は、多くのコラムを書いているので、それを参考にしてく
ださい。また、この部分は、ある企業との秘密保持契約上、あまり
詳しくはお話ができない面もあり、もし、必要ならある企業の了解
の下でコンサルタントをしますのでメールをください。

4.中国からの工場回帰
 この件もコンサルしていて気がついたのであるが、中国の賃金が
年間30%以上も毎年上がっているので、日本の賃金が下がれば、
中国へ逃げた生産を日本に再度、持ち帰れるレベルになっている。

中国の労働者は現時点、安くない。省政府の命令でそうなるために
、需要と供給のバランスが取れていない現時点でも、賃金を低下で
きないために、中国企業は大量に倒産している。広東省政府はやっ
と、強気の経済政策を見直すようであるが、賃金の値下げをするの
ではなくて、今年の賃上げを少なくするだけという。

 日本の家賃を月3万円レベルにしてもらい、手取り月13万円程
度の賃金になれば、中国から縫製や織物業などが日本に戻れること
になる。このためには、中国の為替介入を無くして、人民元の切り
上げが必要もある。もう、中国は内需で規模を拡大できる経済にな
っている。

その証拠に、内陸の自動車販売が世界的な販売急減にも関わらず、
販売台数が拡大している。このような現象が起きているのは中国と
インドだけのようである。もう、中国経済の拡大は貿易に頼る必要
がなく、反対に世界経済のエンジンになることができる経済になっ
ているようだ。

ということは、中国の縫製、織物は今以上に高くなるために、日本
へ生産を戻す必要がある。この部分は米国の利害と日本の利害が一
致しているので、協力して中国に要求するべきなのであろう。

日本でも昔、内職があったが、老人ホームでも内職は厚生労働省の
通達で禁止されているために、日用品の簡単な袋詰めなど低価格な
内職ができない。このため、しょうがなく中国へ発注している。

老人の簡単な労働などは、ボケ防止の観点からもある程度認める方
がいいと思うが、公平性の観点とやらで無理なようである。官僚の
不条理を感じる。

しかし、まだ内職ができる老人や低所得者は多数いるはずであるが
、まとまっていないために、その人たちに仕事を渡すことができな
い。
3畳程度で、風呂なし、トイレ共同というような月3万円程度の家
賃で入れるアパートを銭湯のそばに立ててもらい、非正規労働者な
どを集めてもらい、そこに仕事を紹介するなどをする必要があると
見る。これを事業化する人がいないだろうかと思うが、読者の皆様
に中にいませんか??

5.介護事業など老人社会への準備
 老人介護の従業員も不足しているが、この賃金も安い。月13万
円程度であり、家族があると生活できないようである。介護事業は
このため、地方に多く存在している。地方の田舎では、月13万円
でも生活できるが、都市では現時点では難しい。しかし、非正規雇
用だけではなくて、正規社員もリストラされる時代になり、この介
護を都市の中心に必要になっている。

都市の方が被介護人口が多いし希望者も多いが、田舎での暮らしは
イヤなので、我慢しているようだ。今、都市にある老人ホームは、
高所得者向けか公的機関の老人ホームである。このため、多くの人
は入れない。このため、多くの老人は家にいるしかないのだ。

公的補助をもう少し、多くしないと無理がある。多くの人が入れな
い。

それより、老人も死ぬまで簡単な仕事でもいいから働いてもらい、
日本の年金負担を軽くすることが重要な気がする。そうすると、内
職などの簡単な仕事の成り手が増えることになるし、専門的な知識
がある人には、それなりの仕事を遣ってもらい、中国や米国などへ
退職後渡る必要がないようになる。

地方都市では田舎に居る老人を中心部に集めて、半介護の施設を作
るなどして、町の賑わいを取り戻す必要もある。コンパクトシティ
構想であるが、これもいい公共事業の投資先である。

6.まとめ
 内需拡大を行うためには、やはり日本経済が健全であることが必
要であるが、日本経済の長い低迷で財政余地が少ないので、効率的
な予算の配分が重要なはずである。これができていないと感じる。
まだ、国に寄生して生きようとする議員がいることに憤りを感じる
が、どうであろう。
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首相「外需依存から脱却を」 ダボス会議で講演
(nikkei)
 【ダボス(スイス東部)=中島裕介】麻生太郎首相は31日、世界
経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の講演で、世界経済の成長
回復のために「各国が外需依存から脱却すべきだ」と述べ、財政出
動による内需刺激の重要性を強調した。金融危機の再発防止のため
、金融市場の監視強化や格付け会社への規制など市場ルールの再構
築の必要性も訴えた。

 日本の首相がダボス会議で講演するのは、昨年の福田康夫前首相
に続き3人目。麻生首相の講演は「私の処方せん」と題し、世界経済
の復興策を中心に考え方を示した。

 景気刺激策については「各国がそれぞれの状況に応じて内需を拡
大し、自律的な成長を達成する必要がある」と強調。「米国の過度
の消費と黒字国の内需不足による世界的な不均衡の是正が必要だ」
との考えを示した。(2009年1月31日 20:15) 
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メタンハイドレートなど海洋資源、開発へ10年計画 経産省など
(nikkei)
 経済産業省を中心に検討している「海洋エネルギー・鉱物資源開
発計画案」が28日分かった。長期的に資源需給が引き締まる可能性
があり、排他的経済水域(EEZ)などに眠る資源の2018年度まで
の開発工程を盛り込んだ。次世代エネルギーと期待されるメタンハ
イドレートは15年度までに陸上・海洋での産出試験を実施し、その
後3年で商業化に向けた技術を整備する。

 同計画は、昨年3月に閣議決定した「海洋基本計画」に今年度中
に策定すると盛り込まれている。29日の総合資源エネルギー調査会
石油分科会、30日の鉱業分科会で議論し、パブリックコメントを募
集したうえでまとめる。(07:00) 
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原発の出力向上へルール検討組織 保安院が設置
(nikkei)
 経済産業省原子力安全・保安院は27日午前、原子炉安全小委員会
を開き、原子力発電所の発電能力の向上を検討する「原子炉熱出力
向上運転ワーキンググループ」を設置することを決めた。電力会社
が既存原発を工事して出力を向上する際のルールを作る。

 発電用タービンなどの改良で古い原発の利用効率を高め、温暖化
対策や経済性向上につなげる。保安院は安全性や技術的な課題につ
いて今夏をメドに報告書をまとめる。

 100万キロワット級の原発1基の出力を1%向上すると約5万トンの
二酸化炭素(CO2)排出量を抑制できる。日本原子力発電は早けれ
ば2010年にも、東海第2原発(茨城県東海村、出力110万キロワット
)の出力を5%向上する方針だ。(13:59) 
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省エネ投資、税負担軽く 09年夏にも政府導入
(nikkei)
 政府は企業の省エネルギー投資の全額を初年度に費用として一括
計上し、税負担を軽くできる新たな「即時全額償却制度」を今夏に
も導入する。省エネ投資が工場などのエネルギー効率を年1%以上高
めることなどが条件。省エネ性能の高い液晶テレビなどを作る設備
にも即時償却を認める。景気後退で省エネ事業の見直しを迫られて
いる企業の投資意欲を下支えする。日本企業のエネルギー効率を一
段と高め、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する効果も期待して
いる。

 即時償却は、工場の機械などについて、取得額の全額を初年度に
費用(損金)として課税所得から差し引く制度。投資する年の税負
担が軽くなり、企業が資金を出しやすくなる。例えば、通常10年で
減価償却する設備投資100億円について即時償却が認められた場合、
その企業は初年度に法人税が40億円軽くなる。通常の償却の場合は
軽減幅は10億円にとどまる。(07:01) 
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「日本を追い越せ」=再生可能エネルギー推進で−オバマ氏
1月17日8時32分配信 時事通信

 【ワシントン16日時事】オバマ次期米大統領は16日、中西部オハ
イオ州ベッドフォードハイツにある風力発電機の部品工場を視察し
た。就任後に風力や太陽光など再生可能エネルギーの導入を積極的
に進めることをアピールするのが狙いで、この分野のライバル国で
ある日本などを追い越そうと呼び掛けた。
 オバマ氏が訪れたのは、従業員65人の中小企業。風力発電分野へ
の参入で不況をものともせず業績を伸ばしているという。オバマ氏
は視察後、「この分野の投資でスペインやドイツ、日本はわれわれ
の先を行っている。米国も同じことをできないはずがない」と強調
した。
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日本の人口、5万人減 08年、過去最大の自然減 
 2008年の日本の人口は過去最大の5万1000人の自然減となることが
31日、厚生労働省の人口動態統計の年間推計で分かった。前年より
3万2000人拡大した。死亡数は114万3000人で8年連続で増加し戦後最
多を更新したのに対し、出生数は109万2000人で前年比2000人の増加
にとどまった。出産可能な年齢の女性も減り続けており、人口減に
歯止めはかかりそうにない。 

 人口動態統計の年間推計で、2年連続で死亡数が出生数を上回るの
は戦後初めて。死因はがん(34万3000人)、心臓病(18万4000人)
、脳卒中(12万6000人)が上位を占めた。高齢者の死亡が増加して
おり、「今後、人口減少の傾向が強まっていく可能性が高い」
(厚労省)。 (07:00)

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世界経済「日本の失われた10年相当の停滞も」 クルーグマン氏
(nikkei2008/12/09 )
 今年のノーベル経済学賞を受けるクルーグマン米プリンストン大
教授は8日、スウェーデンのストックホルム大学で記念講演後に記者
会見し、世界経済の行方について「日本の失われた10年に相当する
ような長期の停滞をたどるシナリオを恐れている」と述べた。

 「2011年を超えて景気低迷が続く可能性は十分にある」と述べ、
金融危機に伴う世界的な不景気が3年以上続くシナリオが現実的なも
のであると警告した。「特に欧州周辺で問題を抱える国がアルゼン
チンやインドネシア型の危機の連鎖に陥るかもしれない」と指摘し
た。(ストックホルム=岐部秀光)(14:01) 

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日本では今、素晴らしい事業がどうにも見当たらない」。
 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の発言だ。世界2位の経
済大国になぜ関心を持てないのか、同氏は1998年、フロリダ大
学の学生にこう講演した。
            フジサンケイビジネスアイ1月15日
   __________
   佐々木の視点・考え方
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      
★日本には高い技術を持ち、よく働く労働者がいる。企業は優秀な
技術や製造テクニックを駆使し、その恩恵を受けている。世界で最
も環境に優しい事業の幾つかも日本にある。
 過去10年間ずうっと金利はゼロのままだった。

 よって、バフェット氏は日本で1%で多額の資金を調達すること
が出来、そのお金を長期にわたって1%以上のリターンをもたらし
てくれる投資先を見つけさえすれば、十分な投資リターンがあげら
れる。

 しかし、「私にはそうした銘柄を見つけることが出来なかった」
と結論付け、同氏の日本株への投資は全くなかった。

 唯一の例外が、米バークシャー・ハサウェイの傘下会社が業務の
一環で昨年9月、工具メーカーのタンガロイの株式71.5%を買
収したこと。

 それから10年、日経平均は1万2995円から8千円そこそこ
になり同氏の見立てに間違いは無かった。

 金融危機を引き起こしたのは米国だが、日本経済も一緒に動きを
止めた。企業や政府が内なる成長を創造するのに無策だったからだ。
 小泉政権以降の戦後最長の景気拡大も家計収入を増やすことがで
きない稀有の景気拡大(と言ってよいのか?)だった。

 1995年以降の日本は、輸出という一本の柱に頼りきった経済
にシフトしただけだった。

 多くの日本企業のビジネスは焦点を欠いている。
 企業統治構造はあいまいのままで、一番強いと言われるシャープ
ですら企業構造は中国共産党のように複雑だ。投資家に対する見返
りへの配慮のなさは変らない。コスト高の日本円で事業することに
よる生産コストは高いまま。取締役会も外部に対して排他的のまま。

 このような投資意欲を減退させる性質を持ったままでは、いくら
株価が純資産価値を割ったままとはいえ、げんなりしているのが現状。

 米国株以上に日本株が低迷しているのは、こうしたバフェット氏
に代表される見方の投資家が多いためだ。



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