3188.日本と米国景気後退の共通点



日本と米国の景気が急速に悪くなっている。この検討。  Fより

どうも、2003年以降の景気の戻しは外需依存での実感なき景気
回復であり、現在、その裏返しで輸出の急減で日本経済はマイナス
11%以上という急激な落ち込みになっているようだ。米国経済も
マイナス3.5%という落ち込みであるが、その米国より日本経済
の落ち込みのほうが大きい。

工場増設で生産力を増強していた日本企業は、急減速に会い非正規
社員を解雇し、増設中の工場建設を止め、現状の工場生産を縮小し
て、なんとかこの危機を乗り越えようとしていたが、減価償却費な
ど採算分岐点が高くなっていて、大幅赤字になっている。特に急拡
大していたトヨタやキャノンなどが、これに当る。とうとう正社員
の雇用削減にまでなり始めている。

しかし、高付加価値製品に日本企業は特化して、縫製や繊維などの
低付加製品は中国などの東南アジアに工場を移している。不景気に
なると、先に消費者は車やAVなど不要な工業製品、高付加価値製
品を買わなくなるが、日常品の食料、雑貨、簡易な衣類などの低付
加価値製品は買う。しかし、この部分の商品を東南アジアや中国に
生産移転しているので、輸出は激減するが輸入は減らせない。この
ため、日本は貿易赤字になってしまった。この状況でも円高で海外
製品は買いやすくなり、下手をすると経常赤字に陥ることにもなる。

この減少を止めるには、中国人民元の切上げを行い、低付加製品を
日本で製造できるレベルまでの円と人民元の交換レートにするしか
ないように感じる。
日本は1960年当時1ドル=360円の円安で工業生産を米国か
ら日本に移した後、プラザ合意で日本の経済成長保護政策を突然、
米国が止めたように、人民元の相対的な安値での中国の経済成長保
護政策を止めて、対等な経済バランスを取れる為替レートにするべ
き時に来たのだ。

ガイドナー財務長官の意味するところは、このようなことではない
と思う。しかし、この実現には少し時間が掛かる。このため、日本
の高付加価値製品が売れないことで、日本経済は苦しくなるし、雇
用問題は今後も続くことになる。

日本には2つの道がある。1つには、農業や介護などの内需拡大と
もう1つには、日本の高付加価値製品は、世界の高所得者に売るた
めに世界の景気を良くすることがどうしても必要である。この高所
得者を作り出せるのは、新興国しかない。このため、円を新興国に
貸せばいいと言っている。中国は6%の成長が可能であるし、イン
ドも3%台の成長が可能であり、この以上の成長のためには資金が
必要なので、それを日本が貸せはいいのである。

米国も国債を大量発行すると、長期金利が上昇する心配からFRB
は国債を買い入れることになる。ドルの供給過剰になりドル暴落に
なる可能性がある政策を取るしかないとオバマ政権は覚悟している。

そして、財政出動の金が海外に流れないように、米国は国内産業を
優先するバイアメリカンという政策を取り、雇用を生み出そうとし
ている。大恐慌を起こした米ストーム・ホーレー法という悪法と同
様なことになりそうな非常に保護主義的なことになる。これに対し
ては、米国内、海外から大きな反響を呼ぶと思うが、米国上院では
この条項がないと議会を通らないと言う。

このため、米国企業は日本人の環境系技術者を雇用しようとしてい
るなどの動きが出てくるし、中国に逃げた工場を米国に再度、シフ
トしようとして、中国を通貨操作国と非難しようとしているのだ。

日本と米国とはこの中国問題では利害が一致している。中国で生産
している工場を国内回帰させることも考えて、米国と共同歩調を取
ることも1つの手であるように感じる。米国のスーザン・ライス国
連大使やナイ駐日大使が日本との友好を強調するのは、この目的が
一致しているからではないかと見る。

それと同時に、日本は投資資金を中国やインドに出して、両国の国
内需要を喚起して、景気を上げて高付加製品の輸出にも繋げること
である。日本も形振り構わず、世界の需要と供給、日本の需要と供
給をどうするか真剣に考えることではないですか??
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米、マイナス3.8%成長 実質GDP、10―12月年率
 【ワシントン=大隅隆】米商務省が30日発表した昨年10―12月期
の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期の昨年7―9月期(0.5%
減)に比べ年率換算(季節調整済み)で3.8%減少した。2期連続の
マイナス成長。個人消費など内需が総崩れとなったうえ世界経済の
失速で輸出もマイナスに転じた。経済情勢悪化は年明け以降も続い
ており、米国の景気後退は戦後最長になる可能性が高まってきた。

 オバマ大統領は30日の演説で「景気後退は深刻になっている」と
発言、議会で審議中の景気対策の早期成立を訴えた。また、バイデ
ン副大統領をトップとする中間層支援のための特別チームの設置を
正式発表した。(01:39) 
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中国の為替操作問題、オバマ政権の判断は春以降 米政府首脳 
 【ワシントン=大隅隆】バイデン米副大統領は29日、中国政府が
自国通貨を操作しているかについて「政権としてはまだ判断してな
い」と語り、中国に対する為替政策を慎重に扱う意向をにじませた
。CNBCテレビのインタビューに答えた。 

 ガイトナー財務長官が就任直前に「オバマ大統領は中国が自国通
貨を操作していると信じている」と語ったことに関し、同副大統領
は「誰もが驚いたのは操作という言葉。だが通貨操作があったとい
う判断は政権内にはない」と強調した。 

 ギブズ大統領報道官も26日、「オバマ大統領の選挙期間中の発言
を繰り返しただけ。為替政策に関する定期報告書を財務省が今春に
まとめる」と指摘。オバマ政権の判断は今春以降との考えを示して
いる。 (11:36)
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バイデン米副大統領、「バイ・アメリカン」鉄鋼条項を擁護
2009年 01月 30日 10:32 JST

 [ワシントン 29日 ロイター] バイデン米副大統領は29
日、8250億ドルの景気対策法案に盛り込まれた米国製鉄鋼の購
入を義務付ける「バイ・アメリカン」鉄鋼条項を擁護した。一方、
米国の通商相手国の間では、この条項をめぐり懸念が強まっている。

 副大統領は米CNBCに対し「純粋な自由貿易を標榜する向きは
これを保護主義の前兆と捉えているが、個人的にはそのようにみて
いない。法案にバイアメリカン条項を含めることは正当と考える」
と述べた。

 下院は28日、景気対策で用意される資金で賄われる公共事業で
使用される鉄と鉄鋼は、米国製に限定する、との条項を可決した。

 上院も法案に同様の条項を盛り込むと予想されている。副大統領
のコメントは、この問題に関するホワイトハウスによる初の公的な
見解。

 米製鉄業界はかつてない低い稼働率で操業しており、条項擁護派
はこれにより米国の雇用が増加する見通し、としている。

 一方、欧州の製鉄企業はこの条項に強く反対しており、世界貿易
機関(WTO)の政府調達協定に抵触する、と主張している。
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中国の人民元は「大幅に過小評価」=IMF専務理事
2009年 01月 27日 00:57 JST

 [ワシントン 26日 ロイター] ストロスカーン国際通貨基
金(IMF)専務理事は26日、中国の人民元について「大幅に過
小評価」されていると述べた。

 専務理事は、中国政府は為替制度改革が自国の利益にかなうと認
識している、とした。

 ジョージタウン大学での講演で「問題はわれわれが中国から何を
得たいかであり、われわれにとって必要なことは、中国が為替政策
を変えつつ、経済成長を輸出主導から内需主導へとシフトしていく
ことだ。人民元は大幅に過小評価されている」と語った。
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FRB、長期国債買い入れの用意 FOMC、「ゼロ金利」を維持
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)は28日開
いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場への資金供給量を
増やす「信用緩和」の一環として、長期国債の買い入れを前向きに
検討する方針を決めた。声明で条件つきながら「長期国債買い入れ
の用意がある」と明言。オバマ新政権と足並みをそろえ、金融安定
と景気回復に全力を挙げる姿勢を鮮明にした。

 最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導
目標は現行の年0.0―0.25%で据え置き。声明は「FF金利はしばら
くの間、例外的に低い水準になる可能性がある」との表現を踏襲し
、事実上のゼロ金利政策を当面、継続する方針をあらためて示した。

 景気見通しでは「今年の遅い時期に緩やかに回復し始める」とし
たが、「下振れリスクはかなりある」と警告。物価について「しば
らくの間、経済成長と物価安定に最善の水準を下回るリスクがある
」と指摘し、デフレ懸念に言及した。(04:20) 
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ガイトナー発言に中国反発 「中国が自国通貨操作」
(nikkei)
 ガイトナー次期米財務長官が「オバマ大統領は中国が自国通貨を
操作していると信じている」と発言したことに対し、中国が反発を
強めている。24日の国営新華社通信によると、中国人民銀行(中央
銀行)の蘇寧副総裁は「こうした発言は事実に合わないだけでなく
、金融危機の原因の分析を誤った方向に導く」と述べ、ガイトナー
氏を厳しく批判した。

 中国は世界最大の米国債保有国。人民元相場を安定させるために
市場で元売り・ドル買い介入を実施し、買ったドルで米国債を購入
している。金融危機対応で米国債の値下がりリスクは高まっており
、中国内では「保有額を減らすべきだ」との議論が盛んだ。ガイト
ナー氏の発言はこうした米国債の売却論を勢いづかせる可能性もあ
る。

(北京=高橋哲史、ワシントン=大隅隆)(00:06) 
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ライス米国連大使「米は日本を重視」 日本の国連大使を訪問 
(nikkei)
 米国のスーザン・ライス新国連大使は28日、ニューヨークの日本
国連代表部で高須幸雄国連大使を表敬訪問し、「米国は日本を非常
に重視している」と述べ、オバマ新政権のメッセージを伝えた。日
本外交筋によると、ライス大使は冒頭「オバマ大統領やヒラリー・
クリントン国務長官も日本を非常に重視している。国連でも日本と
のパートナーシップを強化していきたい」と述べた。

 会談は約1時間に及び、日本が常任理事国入りを目指す安全保障理
事会改革に関して高須大使が支援を要請。ライス大使は「建設的に
改革の議論にかかわっていきたい」と答えた。北朝鮮の核問題では
「万が一の時の速やかな協調行動」を求めた高須大使に「もちろん
」と応じた。(米州総局) (16:35)
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米景気対策法案の「バイ・アメリカン」条項に経済界から反発(AFP)
http://www.afpbb.com/article/politics/2566137/3737966

【1月30日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が進める
経済刺激策の基本となる大型景気対策法案に、米国製品の購入を義
務付ける「バイ・アメリカン(Buy American)」条項が盛り込まれ
、経済界や貿易相手国からは批判を呼ぶ一方、国内の製造業者や労
働組合からは喝采を浴びている。
 米下院が28日に可決した総額8190億ドル(約74兆円)の同法案に
は、景気対策での公共事業には米国製の鉄鋼を使用するとした「バ
イ・アメリカン(Buy American)」条項が盛り込まれた。

 法案は上院に送られたが、上院では「バイ・アメリカン」条項を
全ての米国製品に拡大して適用するとの案も出ている。

 しかし、経済界からは、こうした動きは貿易摩擦を引き起こし、
世界金融危機の影響ですでに低迷する輸出を悪化させるだけだとの
懸念の声があがっている。

 全米商工会議所(US Chamber of Commerce)のクリス・ブラドッ
ク(Chris Braddock)氏も、「世界の消費者の95%は国外の消費者
だ。『バイ・アメリカン』条項の報復措置として、ドイツや中国が
米国製品の購入を中止すれば、真っ先に苦しむのは米国の労働者だ
」と、警鐘を鳴らす。

 一方、連邦政府が同条項は公衆の利益に反すると判断した場合は
、同条項は無効となる。

 また、全ての公共事業に必要な量の鉄鋼を米国産だけで調達する
ことが不可能であったり、米国産の鉄鋼を使用することによって事
業のコストが25%以上高くなる見通しとなれば、実施されない可能
性がある。

 さらに、欧州と並ぶ米国最大の貿易パートナーのカナダのスティ
ーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相も「経済低迷の最中に、
保護貿易主義は避けるべきだ」と批判。他国と協調して、米国に世
界貿易機関(World Trade Organization、WTO)の規則を順守するよ
う働きかけていくと、同条項への反対姿勢を明確に示した。
(c)AFP/Veronica Smith


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