3182.日本の経済政策は?



世界経済の混乱や世界的な景気刺激策が出てきた。この景気刺激策
を見て、日本が取り組みべき経済政策全体についての議論をするこ
とができるようになってきた。   津田より

0.はじめに
 ドル、ポンド、ユーロなど欧米諸国の金融危機が第二幕になり、
世界から集めた自国経済規模の10倍以上の資金を運用して利益を
得ていたが、逆に損失が出ると、自国経済だけでは対応できないこ
とになり、国家経済の破綻になることが明確化してきた。

このため、米国は金融が膨張していない中国や日本との通貨統合や
ペッグ制、固定通貨圏などにして、難局を乗り切る必要があり、ま
た英国ホンドはEUのユーロに乗り換えることが必要になっている。
しかし、ユーロ圏自体にアイルランド、ギリシャ、スペインなどと
いう、本来であれば破綻する国家を抱えているので、通貨はドルに
対しても弱い。このため、欧米諸国が危機的な状況で、円への待避
が起こり、円の独歩高になっている。そして、ますます世界経済は
金融危機が、深刻になり経済状態もこの影響を受けて、危機的な状
態が急速に拡大深化している。このため、不穏な雰囲気が出てきて
いる。

日本は2000年から経済が拡大してきたが、このほとんどが外需
に依存してきたことで、この金融経済の急拡大を享受してきた。し
かし、その拡大が一気に減少になり、拡大に寄与していたトヨタを
初めとした企業の減産により、雇用が失われている。

この日本をどう立て直すかの議論を巻き起こす必要がある。今まで
日本は戦略が無く、外需に依存してきたが、この構造を見直す必要
があるのだ。日本の学者たちは、欧米の経済学者の受け売りで、日
本古来の考え方を否定している。

しかし、日本の江戸時代の構想を現代に再現しようと、このコラム
は主張してきたが、それに耳を傾ける人たちは少なかった。しかし
、オバマ新大統領を初め、世界はこのコラムの方向に進んでいる。

環境問題も欧米の理念主義であるCO2排出権の問題にしてはいけ
ない。脱石油という観点にして、幅広い観点から問題を自然との関
係で見る必要があると言っている。

少し、今後の日本の経済政策について検討しよう。お付き合いのほ
どをお願いします。

1.海外事情をもう少し
 もう少し、海外の事情を見ようと思う。金融界を支配してきたの
は、ユダヤ人たちであるが、マドフのように詐欺を行うユダヤ人も
出て、反ユダヤという雰囲気が欧州に出てきていた。

そして、ローマ教会のバチカンは破門していた保守ルフェーブル派
の破門を撤回すると宣言した。ローマ教会は第二バチカン公会議以
前に戻る可能性もあり、細かい話は省略するが、この行為自体が、
反ユダヤに結びつく可能性がある。

欧州が反ユダヤになると、イスラエルは苦しくなる。しかし、フラ
ンスやドイツなどが反ユダヤになると中東地域のバランスが崩れる。
その上、米国の覇権力も弱くなり、NATO加盟国のアフガンへの
派遣で、仏独には気を使い、また、アフガンの補給路で元から反ユ
ダヤのロシアにも気を使うことになるために、ガザの戦闘に対して
EU諸国とロシアはイスラエルに強く当たることになるが、米国は
保護できなくなることも考えられる。

このようにイスラエルを追い込むことで、アラブ諸国がチャンスと
思い中東地域の不安定さが増すことになるように見る。このように
ローマ教会も巻き込んだ不穏な空気が欧米に出てきている。戦争経
済へ欧米は傾く可能性もある。

日本は、このような戦争経済に依存することなく、経済を復活する
ことが必要である。

2.日本の内需拡大策とは
 日本の景気対策としては、内需拡大という考え方になっている。
円高になり、工業製品は売れなくなり、日本企業も海外での生産を
増加させるしかないことになっている。このため、内需の拡大にシ
フトしようというのである。

それでは内需というと、介護、農業などの拡大、環境関係として都
市鉱山の施設や太陽電池発電所、電気自動車の増加対策など、羽田
空港拡張などの都市機能の拡大などであろう。公共事業は都市部な
ど需要が拡大することが前提である。東京から名古屋へのリニア建
設5兆1000億円で、この建設費の国庫負担を高架工事の補助金
と同じにすると75%補助にして建設するなどである。

介護の給与は、手取り13万円+アルファであり、非常に低く、8
万円のアパートを借りると、ほとんど食費がない。このような雇用
を若い人たちは望んでいない。

農業も同様であり、土日がなく、働いて手取り17万円程度である。
林業も同様なレベルである。このように工場労働の20万円以上と
は大きな差があるので、工場現場での労働に日本人はシフトしたの
である。サービス業も時間給1000円程度であり、手取りは18
万円と安い。これが現実である。このため、工場労働経験者は、そ
の給与の安さで、二の足を踏むことになる。工場労働の仕事を見つ
けようとしているようである。

しかし、徐々に現実が分かり始めて、農業や介護の現場にソフトし
てきているが、まだまだのような気がする。

建設現場の仕事は、この農業、介護、サービス業に比較して高い。
このため、募集は多くなるが、今までも建設不況でこの分野の人員
はオーバ−気味である。そして一時的な雇用でもある。

このように、これらは建設など一時的な雇用であるか賃金水準が低
いかであり、このままであると日本全体が貧乏になる。これを防ぐ
のは残念ながら、高付加価値の工場を支援して、その工場を増やす
ことである。この工場からの製品は内需だけではなく、外需でもあ
る。そうしないと、大きな雇用は生み出せない。

3.外需拡大策はあるか
高付加価値製品は最終アセンブルでは、残念ながら日本の工賃より
中国やベトナム、ライスなどの工賃が10倍以上も安く、日本に多
くの雇用を作ることに無理がある。そうすると、日本で作りえるの
は素材や半導体、周波数フィルタなど高付加価値の部品や材料にな
るか、工作機械のような設備機械である。設備機械は景気変動を受
けやすく、雇用変動に備えることが重要になってくる。

しかし、これも欧米では工場進出の依頼を受けることになる。もう
1つ、欧米諸国は国内の雇用を守るために、海外からの輸入に制限
を付けることになる。このため、新興国にその需要を見つけて、新
興国のアセンブルした製品を買う代わりに、新興国の企業の商品に
、日本の素材や部品を輸出することである。

このため、高度な部品や素材などを輸出するか、日本企業が工場を
建てて、そこに部品を輸出することである。

しかし、現時点、世界的な不況の只中にあり、新興国は資金的な蓄
積がない。このため、新興国に資金を貸し出すか、日本企業などが
工場を建てるか、日本のスーパが出店するなどの需要掘り起こしの
ための資金を提供することが重要になっている。

しかし、その国の政策にマッチしないと資金提供はムダになるので、
国民の勤勉意欲や信義などを見ないといけない。反日的な国に投資
しても、昔の中国や韓国、今の北朝鮮に投資しても日本人からの金
は奪っても良いと思うと、感謝もせずに資金を奪い取るので、相手
国の経済を発展できないし、日本も資金をムダに無くすことになり
、お互いの利益にならない。

もう1つが、ビジネス感覚がなくて、時間を守らないことやウソを
付くことが国民意識として定着している場合は、その感覚を直すこ
とから始めなければならないので、時間が掛かる。これも現時点で
は避けたほうがいい。

このように新興国への投資は難しいが、日本は相手国の今後も考え
て、投資をするしかない。

4.日本内、日米、日中の連携
 この景気刺激策では日本の政府と日銀がバラバラに動いていると
、ムダが起こることになり、お互いの連携が必要である。財政政策
と金融政策は相互に補完していくことが必要であり、その補完関係
をお互いに確認して行動することであるが、政治体制が日本の場合
は弱い。このため、日銀の政策が重要になっている。

また、米オバマ政権や中国は、大型の公共事業や環境事業に多額の
投資をすることが決まっている。日本は中小企業支援や給付金など
と小粒な政策になっている。このため、中国と米国の公共事業など
の影響が大きく日本企業に出てくる。環境事業の設備・機械は日本
製になる可能性が高い。

米国はドル維持からドル下落に向かうが、日本との関係は工場を米
国に進出してほしいことで、日米関係は友好関係になるし、中国も
日本製の部品が必要になり、日本との関係を見直すことになると見
ている。

日本は、望むと望まざると関わらず、世界の経済体制をどうするの
かの議論をせざると得ないことになる。日本の技術がキーになって
いるからである。今後の日本製部品の争奪が起きると見る。

しかし、円高であると、部品工場でさえ、日本に居られなくなる。
このためには、円高阻止を日本はするしかない。この方法もこのコ
ラムでは何回も述べているが、新興国への投資や企業進出などで、
円で貸していくことである。新興国への経済的なマーシャルプラン
である。円借款であるので、国家予算は必要ない。日本企業も新興
国企業に資本参加して、日本の製品やノウハウを部分的に教えて、
製品を作ってもらい、自国市場に販売してもらう。このいい例が、
中国でのアサヒビールである。

また、資金が枯渇した将来性のある米企業を日本企業は積極的に買
収することである。世界企業として飛躍するためには、日本企業は
海外企業との連携が必要になる。キリンビールがいい例である。

日本市場の限界が見えているので、ビール会社は積極的に海外に出
ている。他の会社も同じである。

5.研究開発とその基礎について
 日本は自然に対して謙虚であり、予断を持っていない。それとこ
つこつとした実験を積み上げて、ある特性の細菌や素材を見つける
ようである。観察や実験でもセンスが優れている。都市鉱山の開発
についても、徐々にアイデアと実験を積み重ねてきている。

このために、日本発の素材など地道な研究は日本の研究者が行って
いることが多い。この研究者を待遇することが必要であるが、日本
にはエンジェルやベンチャー・キャピタルが少なく、直ぐに成果を
求めるために、地道な研究ができないようである。

それと、企業力と技術力の2つを持つような仕組みが必要であるよ
うだ。もう1つが、研究者を裾野を広げる教育であろう。ゆとり教
育がいかに日本の子供の能力を低くしたかは世界ランキングで明ら
かである。

日本は資源が無いので、日本の子供たちをいかに有用な人材に仕上
げるのかが重要なことである。

戦争の時代の後は、日本の時代が来ることになる。そのためにも、
日本は世界戦略を持つときが来たように思うがどうであろうか??

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