3181.米中関係の今後で



米中関係は目が離せない状態である。     Fより

オバマ政権の米国は、今年200兆円の国債を発行する必要があり
、この消化の多くが中国であろうと予想していたが、その中国に対
して、あろうことか、「オバマ大統領、中国は為替操作国と認識」
とガイドナー財務長官が発言して、その上で「オバマ大統領は中国
の為替慣行を変えるため、すべての外交手段を積極的に活用するこ
とを約束した」と表明。

この表明で、中国は反発して、米国債の売却論が出ている。もちろ
ん、売却するとドル暴落につながり、中国のドルベースの外貨準備
が大きく目減りして、米国は償却が楽になる。このため、ドル安歓
迎であろうと見たが、しかし、ガイドナー財務長官は、強いドルを
望んでいるとも発言している。

このため、米国債消化だけではなくて、世界の国債消化に疑念が出
ている。そして、ソブリンCDS全体のポイントが上がっている。
また、米国の国債の多くがFRBで引き取ると、ドルの供給が増え
て、ドルの信認問題になるし、国債の利率が上昇して、FRBの金
利低下政策と矛盾することになる。

一方、クリントン国務長官は中国外相と電話協議し、米中関係を重
視する姿勢を示している。ガイドナー財務長官は中国との戦略対話
を継続しないとも言い、オバマ政権の国務省と財務省の意見が違う
とも取れる事態になっている。

このため、中国政府は、米国の出方が分からないために「外交的な
通路で米国の真意を把握し、適当な対応をする」可能性が高いと見
る中国社会科学院の李教授のような意見もある。

どちらにしても、米国と中国の両国は懸案事項を解決するために、
少しギスギスした関係になり、その上で米中関係を構築しなおすの
であろう。中国は米国と関係が不味くなると、日本との関係を見直
すという構図が伝統的にあり、そのようなポジションを取ってくる
と見ている。

日本も中国との関係強化のチャンスになるような気がする。
日米関係も強化して、一部に出ている日米通貨統合という米国との
経済統合という手もできる。今、日本に強いリーダが居れば、日本
にとって大きなチャンスになるのであるが、自民党政府の党・官僚
体制では大きな構想が描けずに無理であろう。
非常に日本にとっては残念な事態である。

さあ、どうなりますか??
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米国「中国は為替操作」発言で両国の緊張高まる
2009年01月24日 08:59更新ibtimes 

 オバマ米大統領が財務長官に指名したガイトナー・ニューヨーク
連銀総裁が22日、「(オバマ)大統領は中国が自国通貨を操作してい
ると信じている」と述べた事を受け、両国の緊張が高まっている。
 
 為替操作という言葉は、中国の為替政策を非難していたブッシュ
政権も使えなかった言葉であったため、中国の今後の反応が注目さ
れている。しかし、中国政府はまだ公式的なコメントを出してない。
中国中央銀行の人民銀行の関係筋によると、同銀行はすでに中国政
府に関連事実を報告し、結果を待っている状態という。

 北京外国語大の米・中関係専門家である謝韜(シェ・タン)教授に
よると、今まで米国の官僚にこんなに強く指摘されたことがなかっ
たため、中国政府はとても不快であるはずという。

 米国は過去にも中国の大規模な貿易黒字や不当な為替利益を防ぐ
ため、中国の為替政策に公式的に異議を提起してきた。ブッシュ政
権は金融危機の原因と責任をめぐって、中国と論争したこともある。

 米国の国債価格は、米国最大の債権保有国である中国がガイトナ
ー氏の発言に反発し同国の債権を売り出すと懸念され、下向傾向を
みせた。

 しかし、中国社会科学院の李教授は、中国が米国の債権を売り出
すと懸念するには時期早期と指摘した。李教授は、中国の外交部と
中央銀行はガイトナー氏の発言を深刻に受け入れないとの前提を述
べながら、「外交的な通路で米国の真意を把握し、適当な対応をす
る」と予測した。

 ガイトナー氏は、柔軟な政策と忍耐を前提にしながらも、オバマ
政権が中国の為替改革のために可能なすべての外交的な手段を使う
べきと述べた。

 米国の中国に対する明確な立場は、為替操作国を分類した内容が
含まれている同国財務部の半期報告書が出る4月に明確になると見ら
れる。謝韜教授は、米国が中国を動かすためには秘密裏に進めるべ
きで、公式的に対立する方法はよくないと指摘した。上海にある欧
州銀行のディーラーは「米国のこのような発言は中国から反発を怒
らせるだけ」と指摘した。

 中国人民元の為替レートは、同日の米国の攻勢に対する中国の反
発が予測され下落した。なお、ロイター通信が今月初に調査した結
果によると、人民元は今年に1ドルあたり6.83元を維持すると予想
されていた。
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「オバマ大統領、中国は為替操作国と認識」ガイトナー氏が表明 
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】オバマ米大統領が財務長官に指名した
ガイトナー・ニューヨーク連銀総裁は22日、「大統領は中国が自国
通貨を操作していると信じている」と述べた。人事を承認する上院
財政委員会の質問への書簡での回答で明らかにした。対中貿易赤字
の拡大を背景に、オバマ政権が人民元の切り上げへ圧力を強める可
能性が出てきた。 

 ガイトナー氏は「オバマ大統領は中国の為替慣行を変えるため、
すべての外交手段を積極的に活用することを約束した」と表明。
「オバマ政権の経済チームが為替相場の調整について統合戦略を構
築する」との見解を示した。 

 対中貿易赤字は米国の貿易相手国の中で最大。米議会では人民元
の切り上げ圧力を強めるべきだとの意見が根強い。一方、中国は世
界最大の米国債の購入国であり、膨張する米財政赤字を穴埋めして
いる。オバマ政権は対中経済外交で微妙なかじ取りを迫られる。
 (08:05)
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米新財務長官、米中戦略経済対話継続は保証せず

 【大紀元日本1月23日】すでに米上院財政委員会の多数支持を獲得
し、間もなく就任する米新財務長官ティモシー・ガイドナー氏は、
中国に対して強い態度を表明した。ガイドナー氏は1月22日、これか
ら中国と「深く接触していく」意向を示したが、引き続き米中戦略
経済対話を実施するのは保証しないと発言した。

 民主党上院財務委員長バウカス宛に出した人事を承認する上院財
政委員会の質問への 書簡で、同氏は上述の発言をした。中米経済に
多くの特別な問題があり、真剣かつ適時な対応が必要との見解を示
した。 財務長官に正式に任命されれば、中国政府と「深く接触す
る」と約束したが、前財務長官ヘンリー・ポールソン氏が採用した
「戦略経済対話」を引き続く意向を示さなかった。

 ガイドナー氏が約束した中国との「深い接触」は、「為替、不適
切な知的所有権侵害、製品の安全性および非関税障壁」などの問題
を網羅するという。

 また、同書簡で、「大統領は多くの証拠から中国が自国通貨を操
作していると認識している。中国を公平な原則に従わせるため、積
極な外交手段を計画している」と明らかにした。
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クリントン国務長官、中国外相と電話協議 金融危機で協力強化 
(nikkei)
 【北京=佐藤賢】中国外務省によると、クリントン米国務長官は
23日夜、中国の楊外相に電話を掛け、金融危機への共同対処など国
際的な問題での協力強化を呼び掛けた。楊外相は「対話と交流、協
力を絶えず強化したい」と応じるとともに、クリントン長官が米中
関係を重視する姿勢を示していることを称賛した。 

 楊外相は「意見の食い違いや敏感な問題を米国と一緒に適切に処
理したい」と指摘。間接的な表現で台湾問題を重要視する中国の立
場を強調するとともに、人民元レートの柔軟化要求をけん制したも
のとみられる。オバマ米大統領の就任後、米中の閣僚級の協議は初
めて。 (11:10)
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中国で米国債売却論 値下がりリスクを嫌気 
(nikkei)
 中国で「外貨準備で保有する米国債の残高を減らすべきだ」との
議論が活発になっている。米国が金融危機対応で国債を大量に増発
し、今後の価格下落が見込まれるためだ。米国債売却論の背景には
「金融危機の責任の一端は中国にある」という米国内の世論への反
発もあり、オバマ政権下の米中関係に微妙な影を落とす可能性もあ
る。 

 中国社会科学院世界経済政治研究所の余永定所長は今月初めに中
国紙上で、米国債が供給過剰になるリスクに触れ「米国債をある程
度売り、ユーロや円の資産を増やすべきだ」と指摘した。関係者に
よると、政府内で「外貨準備の運用を巡る議論」が再燃するきっか
けになったという。(北京=高橋哲史) (08:49)
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オバマ政権「強いドル」という欺瞞
2009/01/24 22:09更新sankei

 米国の新財務長官に指名されているガイトナー・ニューヨーク連
銀総裁の議会証言によると、オバマ政権経済チームは「強いドル」
を推進し、通貨調整で「総合戦略」を検討中という。中国について
は人民元を不当に安く操作していると認定し、「オバマ大統領は中
国の為替慣行を変えるためにあらゆる外交手段を動員する」とも強
調した。オバマ政権が矛先を中国に向ける一方で、ドル安・円高を
是正するなら日本にとって結構なことだが、「強いドル」というレ
トリックにだまされてはいけない。
 変動相場制に移行した1970年代以降、米政権が「強いドル」
戦略を実行したのは、80年代初めのレーガン政権1期目と、ニュ
ーヨーク・ウォール街の要請に応じて世界の余剰資金をひきつけよ
うとしたクリントン政権の一時期に過ぎない。あとはおしなべて「
ドル安」政策に傾斜した。




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