3177.オバマ米新大統領が就任



オバマ米新大統領が就任した。この演説に注目した。  Fより

オバマ新大統領の演説を聴いたが、富裕層を優遇するのではなく、
名のない人たちのこつこつとした努力や勤勉を尊重して、その人た
ちをサポートすると強調するなど、日本の農耕民族的な価値観を演
説の中心に持ってきている。このような観点を新聞等には評論が出
ていないのが気になるが。

金融資本主義はどちらかというと、狩猟民族的であり、富裕層が頭
よく判断よく儲けることを善としていたことに比べて、そのトーン
が違う。オバマさんは、価値観として日本的な資本主義と協調でき
る大統領のような気がする。

商品開発などこつこつと行うことが重要な製造業や農業など生産に
携わる人たちが重要なのであるという普遍的な価値観を世界は取り
戻しつつある。

英国の金融資本主義も行き詰まり、その影響はEU全体に及ぶこと
になる。

そして、オバマの演説で、世界が日本的な資本主義に回帰すること
になるように思うがどうであろうか??
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「新たな平和の時代に世界を導く」 オバマ米新大統領が就任演説 
(nikkei)
 【ワシントン=弟子丸幸子】米国の第44代大統領に就任したバラ
ク・オバマ氏は20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で就任演
説し、「米国は新たな平和の時代に世界を導く役割を果たさなけれ
ばならない」と語り、世界の国々と協力していく姿勢を明確に打ち
出した。 

 新大統領は「旧友や旧敵と手を携え、核の脅威の削減、地球温暖
化問題にも取り組んでいきたい」と強調。「イスラム世界に対して
、我々はお互いの利益と理解に基づいて前進する用意がある」と語
った。 

 ブッシュ前政権が開始したイラク戦争についても「我々は責任を
持ってイラクを同国民に返す」と述べた。そのうえで「アフガニス
タンの平和のために努力する」と語り、対テロ政策の最前線と位置
付けるアフガンの戦線強化に取り組む決意を示した。 (03:07)
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【オバマ大統領就任式】演説詳報「求められているのは『責任』の
新たな時代」(sannkei)

 国民の皆さん。私はきょう、今後の任務を前に謙虚な気持ちで、
皆さんから授かった信頼に感謝し、われわれの祖先が払った犠牲に
思いを致してここに立っている。

 今これで44人の米国人が大統領就任宣誓を行った。宣誓の言葉
は、繁栄のうねりが高まるときや平和なときに述べられたこともあ
った。しかし、宣誓はしばしば暗雲のただなかや荒れ狂う嵐のとき
にも行われた。

 こんなとき、米国は指導層の手腕や考え方に頼るだけではないや
り方で乗り越えてきた。なぜならわれわれ人民は祖先の理念に忠実
で建国の文言に誠実だったからだ。それは今も変わりない。

 われわれが危機のさなかにいることはよく理解されている。米国
は、暴力と憎悪の広範なネットワークに対する戦争を遂行中だ。
また、一部の者の強欲と無責任さの結果であると同時に、われわれ
全体が厳しい決断を下し、国家を新たな時代に備えることに失敗し
たことにより、経済は激しく弱体化している。さらには、米国の衰
退は不可避であり、次の世代は目標を下げねばならないという、自
信喪失もついてまわる。

 私はきょう、これらの挑戦は現実であり、深刻で数多く、容易に
短期間で解決できるものではないと言いたい。しかし、米国よ、
これを知ってほしい。「これらの挑戦は解決できるものだ」と。

 われわれはきょう、恐怖ではなく希望を、紛争や不和でなく、
団結の目標を選んだゆえにここに集まった。

 われわれの揺ぎない精神を再確認し、より良い歴史を選択し、
貴重な資質を生かすときが来た。それはすべての人は平等かつ自由
で、最大限の幸福を追求する機会が与えられるべきだという神から
与えられた約束だ。われわれの国の偉大さを再確認するとき、それ
が決して天から与えられるものでないことを理解する。それは勝ち
取らなければならない。

 われわれの旅は近道や楽な道があるものではなく、仕事より余暇
を好む者の旅であることはなかった。われわれの旅はリスクを恐れ
ず、有名であるよりむしろ、繁栄と自由への困難な道を歩んできた
無名の働く男女によるものだ。

 われわれの旅は続いている。米国の製品とサービスは先週にも
先月にも昨年にも劣ることなく求められている。しかし、私利私欲
を守り、好まない決定を先送りするときは終わった。われわれは起
き上がり、ほこりをはらい、米国再生の仕事を始めなければならな
い。

 米国経済は大胆で迅速な行動を求めている。われわれは雇用創出
だけでなく、成長の新たな基盤を築くために行動する。道路や橋、
デジタル回線の構築。新時代に合うよう学校や大学を変革する。
これらすべてをわれわれはできるし、やっていく。

 皮肉屋は彼らの足元が動いたことを理解できない。われわれが今
日問うべきなのは、政府が大きすぎるか小さすぎるかではなく、政
府が機能するか否かだ。市場(経済)が善か悪かも問題ではない。
ただ現在の危機は監視がなければ市場は空回りすることを思い起こ
させた。富裕層だけを優遇すれば国家は長く繁栄できない。米国経
済の成功は、国内総生産(GDP)の規模ではなく、富の普及と意
欲ある個人の機会を拡大する能力に依ってきた。

 防衛に関しても、安全保障と理想のどちらかを選択するというの
は偽りだと拒絶する。われわれの建国の祖は想像し難いほどの危機
のなかで、法の支配と人間の権利を保障する憲章を起草し、何世代
にもわたって受け継がれてきた。これらの理念は今も世界を照らし
ている。

 最も繁栄している首都から、私の父が生まれた小村まで、米国は
どの国に対しても、どの男性、女性、子供に対しても友人であり、
われわれがもう一度(世界を)リードする用意があることを知って
ほしい。

 われわれは責任をもってイラクからの撤退をはじめ、アフガニス
タンに苦労の結果得た平和を築く。われわれは昔からの友人やかつ
ての敵とともに核の脅威を減らし、地球温暖化を止めるため、とも
に努力する。そして、テロを起こし、罪のない人々を殺すことで目
的を進めようとする人たちに今告げよう。われわれの精神はより強
くなり、打ち砕かれることはない。われわれはあなたがたを打ち倒
す。

 米国のパッチワーク(つぎはぎ細工)の伝統は強さであり、弱み
ではない。われわれはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズ
ー教、そして無神論者の国だ。そして、南北戦争や人種分離のつら
い経験を経てきたからこそ、憎悪をいつの日か乗り越えられると信
じている。

 イスラム世界とは、相互の利益と相互の敬意に基づいた新たな道
を見つける。貧しい国々の人たちには、農場が豊かに実り、浄水が
流れるよう一緒に働くよう約束する。また、われわれと同じく富ん
でいる国には、国境の外で苦しんでいる人々に無関心でいることは
もうできないと言いたい。世界は変わり、私たちは世界とともに変
わらなければならない。

 政府ができること、しなければならないことはあるが、最終的に
米国が依って立つのは国民の誠実さと決意しかない。われわれが立
ち向かう挑戦は新しいものかもしれないが、われわれの成功を左右
する価値観−勤勉、正直さ、勇気、フェアプレー、忍耐、好奇心、
忠誠と愛国心−は変わらない。これらは真実だ。これらは歴史を通
じて進歩の静かな力となってきた。求められているのはこれらの真
実に立ち返ることだ。

 われわれが現在求められているのは、『責任』の新たな時代であ
る。すべての米国人が自分自身と米国、世界に義務を負うことを認
識し、嫌々でなく喜んで引き受ける。

 これが市民が払う対価、約束であり、われわれの自信の源だ。
これがわれわれの自由と信条の意味だ。

 われわれが何者かどれほど長い旅をしてきたかを思い起こし、こ
の日をわれわれの記憶にとどめよう。

 米国誕生のとき、われわれの革命の行方が最も疑問視されたとき
、建国の祖はこの言葉を人々に読むよう命じた。

 「冬のさなか、希望と美徳だけが生き延びたとき、共通の危機に
脅かされながら、その難局に立ち向かう国家や都市が出現したと未
来の世界で語られるようにしよう」

 米国よ。共通の脅威に、直面し、苦難の冬のなかで、時代を超え
たこれらの言葉を思いだそう。希望と美徳を持ってこの凍える流れ
に勇気をもって立ち向かい、どんな嵐にも耐えよう。

 そしてわれわれの子孫に語られるようにしよう。この試練のとき
に、われわれは旅を終わらせるのを拒み、ひるみもせず、後退する
こともなかったと。

(ニューヨーク 長戸雅子) 
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オバマ新政権 環境、成長への活路に 雇用創出に期待
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】オバマ政権の「変革」では、環境分野
に重点投資する「グリーン・ニューディール」も大きな柱となる。
新産業を育成、雇用を創出して米経済の再生を狙う国家戦略だ。地
球温暖化対策でもブッシュ政権下の「一国主義」から脱却、国際協
調路線に復帰する。石油に依存する経済からの転換を図る歴史的な
試みだが、政府主導色が濃くなる経済政策は景気回復が遅れた場合
、保護主義への傾斜を生む懸念もある。市場の原理と政府介入の均
衡をどうとるかがポイントとなりそうだ。

 「雇用創出だけでなく、新しい成長の土台を築くために行動する
」。オバマ新大統領は20日の就任演説でこう強調。就任式を目前に
控えた16日には、米中西部オハイオ州で風力発電用の部品を製造す
る中小企業を視察し「再生可能エネルギーの生産を3年間で2倍にす
る」と言明した。石油依存からの脱却に向けた環境分野への投資で
雇用を生み出す「グリーン・ニューディール」構想を明示したもの
だ。(07:00) 



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