3168.ドル暴落の予兆



米国は国債の大増発でドル暴落へ向かっている。この検討。Fより

昨年末以来、米国国債は歴史的な低利回りで、それだけ売れに売れ
ていることを示しており、米国債バブルと言う状況で、世界中のマ
ネーの避難になっていた。しかし、森野さんの紹介のFTウィレム・
ブイターによると、ドル暴落に向かうと書いている。

そして、1月に募集した新規の米国3年債に対して、海外からの需
要が減っている。1月の英FTに米ポールソン財務長官が、国際金融
危機の原因の一部は、中国など新興市場国家の高い貯蓄率が世界経
済の不均衡を呼び、米国にあふれた資金が米国の投資者に高いリス
クの資産を買わせることにつながったことだとの見方を示した。

これに対して、中国は米国国債を継続的に買っていたが、一転して
買い控えてた。そして、中国社会科学院余永定所長は、米国国債を
売って、日本国債やユーロに資産をシフトするべきと提案している。

現時点、米国国債を積極的に買っているのは、中国と中東諸国しか
いない。この中国の行動をポールソンが批判していたので、中国は
米国国債を買えなくなった。しかも、米国の財務赤字が1兆ドルにも
上り、今後も米国債を増発する必要がある。また、FRBは市中の証券
化商品を買いまくっている。この結果、量的緩和でドルが市中に大
量に出ている。この上に、米国債に買い手がいないと米国債市場が
崩壊する可能性があり、ドル暴落に繋がり、世界的な決済通貨とし
てドルが使えなくなると、世界貿易に大きな影響を与えることにな
る。

そして、この上に業績の落ち込みに直面する日本企業が3月決算対
策として海外資産の巻き戻しに動く気配がある。日本企業が海外資
産を売り日本に資金を回収する動向で、これによりドル売り円買い
になり、ドル下落円高に向くことになる。

3月のドル市場価格が心配な状況になっている。
この詳しい検討を有料版で行う。
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「中国、米国債ある程度売るべき」社会科学院・余永定氏 
(2009/01/06 nikkei)
 中国社会科学院世界経済政治研究所の余永定所長は5日付の中国紙
、中国証券報で、世界最大の外貨準備の運用について「米国債をあ
る程度売って、ユーロや円の資産を増やすべきだ」と語った。中国
政府は金融危機が深刻になる中でも米国債を積極的に買い増してお
り、余氏の発言はこれに異議を唱えたものとして注目を集めている。

 余氏は「米国の財政赤字は2009年に国内総生産(GDP)比で
10%に達する可能性があり、米国債の供給は需要を大きく上回る。
そうなってから中国が米国債を売れば両国の利益衝突は深刻になる
」と指摘。今から外貨準備の運用先を多様化する必要があるとの考
えを強調した。

 中国は08年9月に日本を抜いて最大の米国債保有国になり、その後
も積極的に米国債を買い増している。余氏は06年7月まで中国人民銀
行(中央銀行)の金融政策委員を務め、今も金融政策に一定の影響
力を持つ。(北京=高橋哲史) (02:23) 
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米ポールソン財務長官「米国のバブルをふくらませた中国の貯蓄」
【人民網】

「金融危機の原因は中国の高貯蓄率」は責任逃れ

 まもなく任期を終えるポールソン米財務長官はこのほど、英紙「
フィナンシャルタイムズ」のインタビューを受け、国際金融危機の
原因の一部は、中国など新興市場国家の高い貯蓄率が世界経済の不
均衡を呼び、米国にあふれた資金が米国の投資者に高いリスクの資
産を買わせることにつながったことだとの見方を示した。これより
1週間ほど前、米紙「ニューヨークタイムズ」には、「米国のバブル
をふくらませた中国の貯蓄」と題した記事が発表された。この記事
によると、FRBのバーナンキ議長は早い時期から「米国の債務問題は
米国人の消費過剰のためではなく外国人の貯蓄過剰のためだ」と指
摘していた。そしてこの「外国人」の代表格となるのは中国人だと
いう。

 このようなロジックは全くのでたらめとしか言いようがない。経
済学に詳しいはずの米財務長官がこのような発言をするとはさらに
信じがたい。借りたお金で派手に消費していた人が破産した途端に
「初めから貯蓄しなければよかったのに」と他人を責める。このよ
うなロジックはいかなる国の道徳ではかっても荒唐無稽としか言え
ないだろう。このようなでたらめな発言の裏側にどのような意図が
隠されているのかは発言者だけが知っている。

 中国が米国の債券を買っていたというのは事実だ。だがそれは中
国のせいと言うよりは、ウォール街の金融機関が作り出した卑劣な
トリックのせいだろう。中国や欧州諸国、日本の金融機関がサブプ
ライムを含んだ債券を買っていたとしても、被害者は騙された買い
手の方だ。米国のペテン師の罪を外国が負わなければならない道理
はない。このような基本的なロジックさえ通らないならば、世界に
はいかなる道理があるというのか。「ニューヨークタイムズ」の記
事でも、「中国から来る資金そのものが悪いわけではない」と指摘
されている。資金の使い方を間違え、21世紀の米国が本当に必要と
している場所に資金を投じなかったのは、米国自身の責任だ。
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3月ドル急落説が浮上、国内勢の決算対策で円高加速の公算
2009年 01月 9日 17:53 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35794920090109

[東京 9日 ロイター] 年明け後の外為市場で、早くも3月の
ドル/円急落説がささやかれ始めた。業績の落ち込みに直面する日
本企業が3月決算対策として海外資産の巻き戻しに動けば、リパト
リエーション(資金の本国還流)による円買い圧力が強まり、
ドル/円が急落するリスクがあるとのシナリオだ。

 実際に昨年後半の急激な円高によって国内企業は相次いで海外投
資の大幅損失を計上し始めており、緊張感が例年以上に高まってい
る。

 年明けにドル/円は一時、1カ月ぶりの94円台へ上昇するなど
、昨年から続いた急速なドル安/円高は一服となるかに見えた。
しかし、米国は急減速する景気や金融危機への懸念、財政悪化問題
など数多くの爆弾を抱えおり、参加者の多くは今年中のドル急落を
予想している。関心はもはやドルが下落するかどうかではなく、
その時期がいつになるのかに移りつつある、とさえいえる。

 そのひとつのシナリオとして浮上してきたのが、日本発での急速
なドル安/円高。多くの企業が決算期を迎える3月末にかけて、業
績の大幅悪化が避けられない日本企業が、利益が出ている米国債な
どを益出しのために手放したり、逆に米国株など大幅下落で損失を
被っている商品を損失確定のために売却したりすれば、外貨売り/
円買いが進みやすくなるとの見方だ。

 複数の日本企業や法人はすでに、急速な円高で海外投資に伴う巨
額損失を計上している。
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米雇用、戦後最悪の減少 08年258万人減に 12月失業率は7.2%
(nikkei)
 【ワシントン=大隅隆】米労働省が9日発表した2008年12月の雇用
統計(季節調整済み)によると、同月の失業率は7.2%と前月から
0.4ポイント上昇し、約16年ぶりの高水準だった。同月の非農業部門
の雇用者数は前月に比べ52万4000人減り、11月(58万4000人)に続
く大幅減。08年は年間ベースで258万9000人減で、第二次大戦が終わ
った1945年(275万人減)に次ぐ大幅な減少だった。金融危機で深刻
化した実体経済の落ち込みで、雇用の収縮も戦後最悪の情勢になっ
てきた。

 08年の雇用者数減の4分の3(約190万人)が9月以降の4カ月間に集
中した。リーマン・ブラザーズの破綻を機にした金融危機が、貸し
渋りなどの形で企業や家計の経済活動に波及。レイオフ(一時解雇
)に踏み切る企業が急増したためだ。ただ、労働人口に占める雇用
者数減の比率は、29年の大恐慌時や45年の終戦時ほど悪化していな
いと見られる。(01:44) 
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焦点:米国3年債の海外需要に陰り、バブル崩壊の兆しか
2009年 01月 8日 16:25 JST

 [ニューヨーク 7日 ロイター] 7日に実施された3年物の
米国債入札では、特に海外の投資家を中心に需要が衰える兆しが見
られ、米国債市場のバブルが崩壊しかねないとの懸念が高まった。
実際に米国債市場が崩壊すれば、世界経済に深刻な影響をもたらす
恐れもある。

 海外の投資家は5兆8000億ドルに上る米国債の半分程度を保
有しているが、この日行われた300億ドルの3年債入札では、海
外勢による落札額は通常を下回る水準にとどまった。

 米政府は金融システムや自動車業界の救済に必要な資金を調達す
るため、今年は約2兆ドルの債券を発行する計画で、この日の3年
債入札も過去最大規模となった。

 海外の中央銀行による入札分を含む間接入札者の落札比率は
約28%で、12月に行われた3年債入札の35%を大幅に下回っ
た。

 米国の短期国債利回りは昨年12月中旬に、リスク資産から安全
資産への資金シフトが加速したことで過去最低水準まで低下した。

 しかしアナリストによると、投資家はここにきて記録的な低利回
りとなった米国債をさらに買い進むことを躊躇(ちゅうちょ)し始
めた。それによって利回りが反転すれば、資金調達に苦しんでいる
企業や家計の借り入れコストを押し上げ、低迷している景気に追い
討ちをかけかねない。

 カボット・マネー・マネジメントのポートフォリオマネジャー、
ウィリアム・ラーキン氏は「年が明けてから、多くの投資家が利回
りがいかに低いかをあらためて認識し始めた。相場の高さに腰が引
けてきた」と指摘している。

 ラーキン氏によると、最近になって米国債が売られている理由の
1つは、米国債に対する株式や社債の利回りスプレッドが過去最高
水準に達したため、昨年末から投資家が株式や社債に打診買いを入
れてきたこと。第2の理由は、世界全体でソブリン債の発行が増加
しているほか、米国債の大量発行も控えていることで需給懸念が生
じていることだという。

 その結果、10年物米国債の利回りは昨年12月中旬につけた
過去最低の2.04%から50ベーシスポイント(bp)程度上昇
した。

 海外の中央銀行は自国経済を支えるために資金を国内にとどめて
おく必要があり、米国の財政が著しく悪化すればなおさらのこと、
米国債への投資を控えようとするだろう、と予測するアナリストも
いる。

 もっとも、特に中国や日本など最も多額の米国債を保有している
国をはじめとする海外の需要をすべての関係者が懸念しているわけ
はない。

 米連邦準備理事会(FRB)の週間データによると、海外の中央
銀行は今のところ着実に米国債を購入している。

 JVBフィナンシャル・グループのチーフエコノミスト、ビル・
サリバン氏は「それがすぐに変わるとは思えない。カストディ保有
高は非常に力強い需要を示している」と述べ、景気の悪化が続けば
安全性の高い米国債への需要はしばらく続く、との見方を示す。

 それでも、債券市場関係者は7日の3年債入札は不調だったとみ
ており、入札結果発表後、相場は下げ足を速めた。

 シアトルのブローカー、D.A.デビッドソンのシニアトレーダ
ー、メアリー・ハーレイ氏は「これまでの入札ほど海外勢の需要が
強くなかったことは間違いない。彼らは資金を国内向けに使わなけ
ればならなくなっている」と述べた。

 短期債利回りの上昇は、大量の国債発行による影響をより受けや
すい長期債利回りの大幅上昇の前触れとなる可能性がある。

 米国債への需要を占う上で、8日に実施される160億ドルの
10年債入札が関心を集めている。

(ロイター日本語ニュース John Parry記者;翻訳 長谷部正敬)
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米の財政赤字、110兆円でGDP比8% 議会予算局予測
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】米議会予算局(CBO)は7日、2009会
計年度(08年10月―09年9月)の財政見通しを発表した。景気後退に
伴う税収減や金融危機対策などで財政赤字は1兆1860億ドル(約110
兆円)に達すると予想。08会計年度(4548億ドル)の2倍以上に悪化
し、過去最大を更新すると予測した。国内総生産(GDP)の8.3%
に相当する。

 オバマ次期米大統領が準備中の景気対策を反映しておらず、実際
の赤字額がさらに膨らむのは確実だ。オバマ氏は同日の記者会見で
財政再建に全力を挙げる姿勢を示すとともに「景気対策は必要だ」
と強調。規模について「予想の上限だ」と述べ、2年間で7750億ドル
(約72兆円)程度とする考えを示唆した。

 09会計年度の財政赤字のGDP比は08年度の3.2%から大幅に上昇
。米財政収支は戦後最悪の水準に悪化する。米国債などドル資産の
信認が低下し、基軸通貨であるドルの売り要因になる。(07:00) 


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