3159.狩猟民族と農耕民族について



Re: 国際戦略コラムno.3152.大転換の時代が来た
From: m-watanabe 

「国際戦略コラム」発行者 様
                        大阪の渡部と申します.

いつも拝読させて頂いております.
興味深い視点と発想に触れて大変勉強になります.
下記などはその最たるものかと存じます.

しかし,本当にそうなるのでしょうか.
「狩猟民族と農耕民族」,それは「悪貨は良貨を駆逐する」との
言葉と共鳴するかの様です。

結局,農耕民族は滅ぼされる運命ではないかと思えてなりません。
建設より破壊が容易だという厳しい現実もあります.

何とも暗澹たる想いがします。

狩猟民族を制圧しない限り農耕民族の生き残りはあり得ないと.
間違っているでしょうか.

ご見解をお聞かせ戴ければ誠に有難く存じます.
どうか良いお年をお迎えください.

2008/12/27  大坂
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(Fのコメント)
渡部さん、いつもお読みくださって、ありがとうございます。

渡部さんの疑問を私も持っていました。言い換えると農耕民族の三
輪王朝がなぜ、大和朝廷になり、狩猟民族の葛城王朝が衰退したの
かという疑問として、夏、奈良に行った時から思ったことでした。

そして、日本で狩猟民族の葛城王朝が衰退して、農耕民族の三輪王
朝がなぜ隆盛になるかの原因を調べれば、分かるのではないかと思
い、籠神社に行ったのです。

そこで分かったこととして、狩猟民族王朝は権力で相手をねじ伏せ
て支配する王朝であり、農耕民族王朝は権威で相手が靡いてくるよ
うに仕向けることであると分かった。靡いた同盟国には、天照大神
を巡幸させるという名誉を与えている。

このため、江南から来た農耕民が中心の三輪王朝は、道教の神道を
日本に昔から住んでいる縄文人の太陽信仰を取り入れた新しい日本
神道にして、権威と親近感の両方を兼ね備えた宗教にして、権威を
高めたのだと思う。

農耕民族は、平和を確保しないと狩猟民族に負けるので、聖徳太子
は17ケ条の憲法を制定して和を協調する。大和朝廷は王権と神権
を分離して、神権を上位にしている。このため、王権を聖徳太子が
握り、神権を推古天皇というように分離できた。平安時代には神権
を天皇、王権を藤原氏という分離になり、天皇は1700年以上も
継続できたのです。

農耕民族は、田畑に食物を植えれば、飢える事は無いので戦争する
必要が無かった。しかし、戦争をしない農耕民族は、飢えた騎馬に
またがる狩猟民族に負けて、ほとんどのユーラシア大陸の農耕民族
は狩猟民族の支配を受けることになったのです。

現在でもイスラム教とキリスト教の戦いが起こっている。この両教
ともに狩猟民族であり、徹底的に戦うことになる。そうすると地元
であるイスラム教ゲリラの方が分がある。

欧米的な覇権主義では世界秩序はできないことが判明している。
ここで狩猟民族国家である中国が、欧米から覇権を引き継いで乗り
出してくるのですが、この中国も軍事力で相手を屈服させる方法に
なる。これでは世界平和の秩序はできない。狩猟民族の戦争では無
理がある。

これに対して、日本は世界に対して取る方法は日本的な文化や経済
の仕組みという権威を持ち、相手国から日本と友好国になりたいと
いう意思を引き出すことである。武力では相手を圧倒できても、気
持ちを靡かせることはできない。

ここに、今後の日本の役割の1つがあると見る。しかし、戦争で痛
い目に会わないと欧米中やイスラエルなどの狩猟民族国家は分から
ないのでしょうね。世界が戦争に疲れてからが日本の出番ですかね。

暗い時代になるような気がする。農耕民族が世界秩序を回復する役
割が出てくることになると思う。そこまで待つしかない。


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