3154.大転換の時代



世界大恐慌により、自動車販売が世界的に低迷している。この自動
車が20世紀の大量消費・大量生産の象徴的な製品であることから
大量消費・大量生産の時代は終わり、自然を生かした省エネ商品の
時代に来たように感じる。   津田より

0.はじめに
 世界的な自動車販売の低迷で、自動車メーカが世界的に苦悩して
いる。そして、各国は自国自動車メーカに補助金を支給して助け始
めている。

しかし、米ビックスリーの救済はいろいろな問題を抱えている。労
働組合は割り高の賃金の引き下げに抵抗しているし、部品会社の倒
産で新型車の部品が供給されない事態にある。世界最強の自動車メ
ーカである日本のトヨタでも営業赤字になり、年間生産量1000万台
を目指していた目標から700万台生産体制で利益を出すことが目標と
いうように大きな変化を起こしている。

世界の消費量を米国が一人で請け負っていたが、その構造が崩れて
、世界の耐久消費財を作っていた企業が、急激な変化に対応できず
赤字になっている。しかし、国内回帰はできない。日本の新車販売
台数も3割も減少している。若者は自動車を買わない。

そして、その自動車メーカでも日本企業は大きい分、米国に依存し
ていた分、大きな影響を受けることになっている。

若者の自動車離れが起きているが、それに対応した自動車会社の販
売戦略は世界で売れていたことで、等閑になっていた。しかし、こ
の日本の若者の感覚が世界的になる可能性が高いと見ている。

そして、その自動車メーカに部品を提供していた部品企業も日本メ
ーカと日本以外のメーカにも供給して景気の変動を和らげようとし
たが、世界同時不況で、その対応策の効果はなく、全世界的に需要
が落ちて、大幅な赤字になり、このため非正規雇用は最初に切られ
ることになって、益々日本経済は生き詰まることになる。鉄鋼など
の素材メーカも大きな減産になるが、鉄鋼メーカは原料の大幅な価
格下落に伴い、黒字を確保するようだ。しかし、ここでも減産で新
しい雇用は生まれない。

そして、このような経済環境で大量消費・大量生産する企業が、い
い企業という今までの常識が覆されているように感じる。

しかし、大量生産をしない企業でどう生き延びるか、どうしても次
の時代を展望する必要がある。自動車を例に考えてみたい。

1.日本の若者を見る
 これからの企業はどうすれば良いのか、日本の若者をみれば、あ
る程度分かる。私は、自分の周り若い人たちに自動車が欲しいかど
うかを聞いたが、ほとんどの若者は東京に住む限り必要がないとい
う答えであった。

大企業退職者などの人たちにも聞いても、東京に居る限り必要がな
いという。私の若い頃は、ステイタス・シンボルとして、車が欲し
いという感覚があったが、今の人たちは、車は移動のための道具と
してしか見ないようだ。

東京には移動手段が多様にあり、自動車を移動手段を必要としてい
ない。このため、自動車を必要としないことになる。もう1つが、
出費の優勢順位が、人と繋がる経費より、車の経費の方が低いため
に、経費が自動車に回らない。

日本では、人と繋がることが重要なのである。仲間の中に居ること
が自分の居場所になる。ほとんどの人たちは会社が人生の居場所で
あり、物より居場所なのではないかと感じる。

2.帰属意識とは
 そして、若者の考え方には、日本文化が影響している。日本文化
は、人同士の関係を密にして、外と内を分けている。この内にいる
人たちとは打ち解け、外の人には警戒するという心理が働く。村社
会でもある。

村の中は、意外と心地よい。村の自治が江戸時代からあり、上に立
つものは下の者の意見を聞くことがいいリーダであると教育を受け
るために、下が働き安い。海外では上が判断するために、その上司
が望みそうな案を探り、その意向に合わせた案を作ることが多い。

上司が絶対のような雰囲気である。しかし、日本はまだ、下の意見
を聞くことが多い。上司の指示も細かくない。大まかである。日本
にオランダ人を呼んで、働いてもらったことがあったが、日本の上
司は指示をしないといわれた。

このため、人を育てるには、会社などの帰属が重要なのである。内
に居る者にはやさしいが、外の人間には日本はやさしくない。この
ため、どうしても帰属できるグループにいたいと若い人たちも思っ
ている。会社ではなくても、擬似グループに居たいと思うのだと見
る。

3.省エネと省マネー
 日本文化は自然との調和を大切にしているが、その意識も若者は
強い。省エネにも理解があるが、省マネーと結びつくとその威力は
すごいことになると見る。この製品を作ることであるし、それが電
気自動車であることを、メディアやネットは宣伝している。そして
、反対にガソリン自動車は世界の悪であるかのように言っている。

この宣伝効果はすごい。このため、経費の優先順位と反ガソリン車
=電気自動車や燃料電池車などが出てこないと、先進諸国消費者の
需要は作れないだろう。

もう1つ、労働者の賃金は安くなる。世界的な製造業の発散で、世
界的な工場間競争が起きているので、どうしても高賃金の仕事は少
なくなる。このため、自動車を買える人の数の少なくなる。この面
からも、違う方法を考えることが必要になっている。

このとき、使いたいときだけ使い、その使った分だけ料金を支払う
というカーシェアリングは1つの解のように感じる。その上、カー
シェリング用の自動車も電気自動車ということであれば、文句なし
である。

しかし、公共交通機関の充実も必要である。LRTなどの交通機関
を整備することを日本政府はやるべきである。移動手段の多様化や
より便利な公共交通は望まれる。

まだまだアイデアがあるが、今、ある人たちとコンサルを立ち上げ
ようとしているので、これ以上は秘密保持の観点から言うことがで
きない。

4.労働概念
 このように日本の若者は文化的にも世界の最先端的な意識になっ
ている。そのため、日本で解決したビジネスの仕組みを諸外国に持
っていくことができるようになると見る。

日本文化の歴史は、コラムに多数あるので見ていただきたいが、日
本人は農耕民族であり、その民族の上に密教という宗教から、神を
自覚した人は神にもなるという教えを得た。神を自覚するためには
、同じことを無限に繰り返すことで、その繰り返しは仕事でもいい
ことになり、農業や仕事が即、修行となり、仕事をしていないと人
間ではないという倫理観を江戸時代の石門心学で教えた。

この影響を受けて、松下幸之助が水道哲学になり、人を作ることが
ビジネスを作ることであるという教えにもなる。この思想がある限
り、日本は再生すると見ている。しかし、この思想の元は村や企業
などに帰属していることを暗黙の前提としていた。

全日本の労働者が帰属できるためには、賃金水準を落としてでも、
生活ができる基盤が必要であり、その上で中国に移った仕事を日本
に戻すことである。これは米国も同様であるが、米国には倫理観の
バックアップがない。

仕事を修行とするためには、企業などへの帰属を確保することであ
る。給与水準を落としてでも雇用を作ることである。この雇用を企
業は作ることであり、ワークシェアリングなどの方法で達成するこ
とを考えてほしいのもである。

そして、そのレベルで生活できるように社会整備も重要でシェアハ
ウスや3畳のアパートというような月3万円の家賃が重要である。

5.日本文化のもう1つの面
 もう1つ、農耕民族文化からの自然観察で材料分野や医学分野な
どで面白い研究がされている。この成果も次々と出て来ると見てい
る。野菜からのヨーグルト、水の浄化剤、炭素繊維、ヒートテック
、逆浸透膜、大型H鋼、シームレスパイプ、トレハロース、IPS
細胞、アルツハイマー病予防薬などなど、挙げれば切が無い。

この予見を持たない観察と効率的な実験計画法で有用な素材の有用
性を見つけている。しかし、主知主義という伝統が日本などアジア
には存在していて、その観察思想があることで有用な性質の菌や素
材を見つけている。

一方、欧米ではキリスト教や中東にはイスラム教があり、宗教の教
義で世界をまず規定している。この規定が科学技術にも影響してい
て、反主知主義になっている。自然と人間を対応する物と規定して
いることで、自然の見方が大きく違うように感じる。

ブッシュ政権で、ES研究はキリスト教の教義に反するので研究を
禁止したことに現れている。

このような心理的な障壁があるために、自然を自然のままに見るこ
とができないように思う。欧米で科学思想が生まれたが、その根幹
の人間心理ではアジアなどの仏教国の方が自由性が高いようだ。

まとめると、
1.所有からシェアリングの時代になった。
2.日本も貧富の差が広がるが、その貧しい人たちの生活をサポー
  トする体制整備
3.日本人の思想から人は組織への帰属が重要であるので企業など
  はワークシェアリングや中国から仕事を戻すなどの方法で雇用
  を確保してほしい。
4.日本は研究大国であり、その研究の裏には伝統的な自然観察思
  想があるということで、自信を持って進んでいこう。
である。

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ニュース:
トヨタ、700万台でも利益狙う 国内工場、1月に3日間操業停止 

 トヨタは設備投資計画を抜本的に見直す。米国新工場など生産能
力の増強計画はほぼすべて延期・縮小し、来期の設備投資を今期計
画より3割減の1兆円を切る水準に圧縮する。既存工場の減産も拡大
し、調達先の部品メーカーを巻き込んだコスト削減を加速し、早期
に収益を立て直す考え。ピーク時の2割減の700万台(単体)の販売
規模でも利益を出せる体質への転換を目指す。 

 減産の拡大で販売在庫の削減を急ぐ。車両工場は昼夜2交代制が
基本だが、来年2月には内外75の生産ラインのうち16ラインについて
昼間勤務のみとする。来年1月に国内の全工場で休業日に加え3日間
、操業を停止することも決めた。部品メーカーとは今年6月から共同
でコスト削減を進めており、約500億円分の利益改善のメドが付いた
としている。 (08:19)
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12月の国内新車販売3割減 08年通年は320万台、5年連続減少 

 国内の自動車販売が深刻な不振に陥っている。12月の新車販売台
数(軽自動車を除く)は25日時点で約16万1000台と2007年の同時点
に比べ27%減少した。2カ月連続して3割近い減少となる。08年通年
では前年比7%減の320万台前後と5年連続の減少になる見通しだ。 

 26日にも新車登録はできるが、例年、年末最終日は手続きが少な
い。07年並みの登録(1万3000台強)にとどまった場合は、1968年の
調査開始以来、12月としては最も販売台数が少なくなる。 (07:00)
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米GM・クライスラー、再建へ混乱 新型車など生産に影響も

 【ニューヨーク=小高航】経営再建中の米ゼネラル・モーターズ
(GM)とクライスラーで、部品調達難や人材流出など混乱が相次い
でいる。GMでは26日、自動車部品メーカーの経営破綻に伴い部品
が調達できず、一部製品を生産できなくなる恐れが浮上。クライス
ラーでは経営幹部の辞任が相次ぐなど、来春へ向けた再建プロセス
に支障を来す可能性が出ている。

 米メディアによると、GMの「シボレー・カマロ」(来春発売予
定)向けにドア部品やインパネ(計器盤)を生産する自動車部品メ
ーカー、カデンス・イノベーション(ミシガン州)が倒産。GMは
来年1月12日までに部品調達を再開できなければ、カマロの生産がで
きなくなるとして、生産設備の引き渡しなどを求めてカデンスを提
訴した。

 カデンスは今年8月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当
)適用を申請。しかし新車需要が落ち込むなか再建が進まず、今月
に入り会社清算手続きに入っていた。GMは部品調達が滞れば工場
全体をストップする必要があり、数百万ドルの損失につながるとし
ている。(11:31) 
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自動車大手救済で米政府、1.5兆円融資 破綻を当面回避 
 【ワシントン=大隅隆】ブッシュ米大統領は19日、経営危機に陥
っているゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーにつなぎ融
資を実施すると発表した。最大174億ドル(約1兆5000億円)で金融
安定化法に基づく公的資金を活用する。2社は、来年3月末までに
債務や人件費の削減など抜本的な再建計画を策定する。金融危機で
深刻化した米自動車大手の経営危機は、政府支援による破綻回避で
ひとまず決着。本格再建の行方はオバマ次期米政権に持ち越された。 

 ホワイトハウスで声明を発表したブッシュ大統領は「自動車大手
の経営破綻は深刻な景気後退を招く」と指摘。「通常なら破産法を
適用すべきだが(異常な経済情勢の)現時点ではうまくいかない」
と語った。 

 つなぎ融資はGM134億ドル、クライスラーが40億ドル。12月29日
から来年2月まで順次実施する。このうち40億ドルは2月に議会の追
加承認を経て実施する。 (01:52)
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雇用、急激な悪化鮮明 非正規労働者、失業8万5000人に

 金融危機に端を発した実体経済の悪化が企業や家計に暗い影を落
としている。厚生労働省の調べによると、来春までに職を失う非正
規労働者は8万5000人と前月調査の3倍近くまで急拡大。全体の失業
率や求人倍率も悪化し、雇用環境が一段と厳しさを増してきた。
世界的な景気悪化で企業の生産活動には急ブレーキがかかり、上昇
基調にある物価には歯止めがかかるが一転してデフレ色が強まる見
通し。後退局面に入った日本経済がさらに冷え込む展開になってき
た。

 厚労省によると、景気後退による企業のリストラによって、今年
10月から来年3月までの間に失業したり、失業することが決まったり
している非正規労働者は8万5012人に達した。11月末の第一回調査時
からわずか1カ月で2.8倍に急拡大。契約期間の満了に伴う雇い止め
や、期間途中での解雇に踏み切る事業所の数は全国で1415件となり
、3.0倍に膨らんだ。(14:23) 
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2998.将来が見える仏教の歴史
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/L0/200723.htm

 7月20日のセミナーをまとめてほしいという要望があり、まと
 めてみたのがこの文章である。     Fより

 0.はじめに
  ・現時点での世界の問題は、欧米思想によっている。この思想
   は自然を征服するというものであるが、この思想と石油があ
   り、現在、地球温暖化の問題を起こしている。
  ・世界にはいろいろな宗教があり、仏教人口は少ない。その仏
   教徒はアジアに固まっている。この仏教徒が次の世界の思想
   を生み出すことになる。特に日本である。

 1.インド古代思想
  ・アーリア人の移動はBC15世紀にインドに到達する。
  ・ヴェーダからウパニシャド(奥義書)の哲学ができる。
  ・宇宙原理プラフマンと個体原理アートマンとの合一説に至っ
   て、哲学が深まる。このウパニシャドの解釈を自由に行う思
   想が出てくる。この自由思想の1つが仏教である。
  ・この時代、1世紀前後までがバラモン教の最盛期である。

 2.インド仏教
  ・ブッダは前5世紀の人で、自由思想家の一群の一人である。
   同時代にジャイナ教のマハーヴィーラがいる。
  ・ブッダの基本的立場は「縁起」「中道」「四聖諦」である。 
  ・アショーカ王(マウリヤ朝)が仏教をインド全土に広める。
  ・仏教の分裂:上座部と大衆部との 二部に分裂する。
  ・上座仏教の思想:有部であり、無の大衆部とは違う。

 3.大乗仏教
  ・大乗仏教の思想:「般若経」:空の哲学である。
  ・中観学派 :「般若経」 の空を「空即是色、色即是空」と
   表現した。
  ・唯識学派とは自分の心を観察ないし、 禅定というアプロー
   チから理論化する学派である。
  ・論理学派とは意識下の無意識なアーラヤ識やマナス(意識)
   の問題、もろもろの心作用の分析、認識論などの問題も追究
   学派である。
  ・6世紀に陳那(ディグナーガ)が唯識派と経量部の知識論を
   取り込んで唯識派を発展させた。これが法相宗の基本である。
  ・7世紀にはタントリズム(密教)の思想が主流。マンダラや
   マントラ(呪文)などが整備され、民間諸信仰を統合した。
  ・ナーランダーの仏教大学は5世紀に創立した。

 4.西域、海のシルクロード
  ・北伝仏教の道
   ・2世紀半のクシャーン朝カニシカ王がシルクロードを制覇
    し、仏教に帰依したことで伝播した。
   ・ガンダーラ石彫:多数の仏像がギリシャ系パクトリアの影
    響でできた。
   ・トルファンにはベゼクリク千仏洞がある。
  ・南伝仏教の道もあり、リンガが灯篭になったようだ。
   ・義浄は海のルートでナーランダ大学留学のためにインドを
        往復している。

 5.中国仏教
  ・350年-409年の鳩摩羅什が中国語に翻訳した。これ以後、
   中国語で仏教を論実ことができるようになった。
  ・天台宗は隋の智(ちぎ)が創立
  ・密教は青龍寺の恵果が不空に従事し、その後空海に伝える。
   唐末期には密教は中国社会では衰退する。
  ・禅宗は、慧能の頓悟禅が流行して、臨済宗と曹洞宗ができる。
  ・浄土教は、善導が念仏修行に簡単化した。
  ・中国仏教とは論理より実践を重んじ、より大衆に受け入れら
   れる仏教とした。

 6.日本仏教
  ・神道とは、神道の道教+縄文人のアミニズムを足した宗教で
   ある。
  ・宇佐八幡宮は、祖先崇拝や山岳信仰と結び、神仏混合を推進
   した。
  ・奈良仏教は、国家鎮護を目的とした学問仏教で、南都六宗が
   あり、空の哲学である三論宗、唯識論の法相宗、大小乗を総
   括した成実宗、有の哲学である倶舎宗、人は皆繋がっている
   という華厳宗、戒律を研究する律宗である。
  ・平安仏教は、真言宗の空海と最澄の天台宗である。
  ・鎌倉仏教は、法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗、日蓮の日蓮宗
   、栄西の臨済宗、道元の曹洞宗
  ・江戸の仏教は、布教活動が制限され、明治の仏教は神仏分離
   令で迫害を受ける。

 7.チベット仏教
  ・ソンツエンガンポ王(617 〜649)の時に伝来する。
   同時代にトンミサンポータがチベッ ト文字で仏典を翻訳し
   た。
  ・密教の導入は、8世紀中にチーソンデーツアン王の時にシャ
   ーンタラクシタを迎えて、サム・イエ寺を建立した時に始ま
   る。
  ・13世紀にヴィクラマシーマ仏教大学がイスラム教徒の攻撃
   で、インド仏教は滅亡する。仏教大学の座主シャーキャシュ
   リーバドラは、ネパールを経由してチベットに亡命し、イン
   ド仏教を引継ぐ。
  ・現在のチベット仏教
   ・ゲルク、サギュー、 カギュー、ニンマの四大宗派である。

 8.心理学へ
  ・仏教が確立した心理哲学は現在心理学に継続されている。
  ・連合心理学、実験心理学、行動主義(シカゴ学派)、精神分
   析学、認知心理学を欧米心理学は発展する。
  ・チベット仏教的な心理学が欧米で急速に確立したが、この心
   理学がトランスパーソナル心理学と呼ばれる。

 9.日本の発展について
  ・『摩訶止観』では、瞑想法には「常坐三昧」と「常行三昧」
   の2つに大別されていて、「常坐三昧」は坐禅、「常行三昧
   」は「運動しつづける瞑想法」である。
  ・江戸初期の鈴木正三の思想で全ての職業をまじめに行えば、
   仏行とした。これのベースが「常行三昧」である。
  ・鈴木正三の思想を発展させたのが、石田梅岩で石門心学とし
   て、職業をまじめに行うことは人として正しいとして、商業
   で利潤を出すことも正しいとした。

 10.欧米と日本の違い
  ・欧米と日本の違い
   欧米諸国はキリスト教徒という反主知主義であったが、ルネ
   サンス後、人間が神の変わりに自然を改造するという理念主
   義、効率主義になる。日本は、主知主義の自然を調べて、そ
   の自然の仕組みの中に人間の活動を調和させることが必要と
   いう思想である。
  ・日本の思想は、縄文時代のアミニズム+弥生人の道教神道派
   +聖徳太子の和の定義+怨霊信仰+秦氏の景教:衛生思想+
   中国仏教で内観の確立+本草学+石門心学で、宗教から倫理
   へ進化した。このように日本の思想は多重構造になって、
   かつ自然との調和が重要という思想になっている。

  この日本の思想が世界としても重要になるようだ。
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3027.日本文化の起源について
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/L0/200824.htm

葛城の里から始まるシリーズの三弾としては、日本文化の起源を考
える。              Fより

仏教史において南伝仏教と北伝仏教があり、南伝仏教は禅や密教な
ど実践的な仏教で、北伝仏教はどちらかというと理論中心の仏教に
なっている。中国民族は1つではなくて、南部と北部では民族が違
う。南部の民族は日本と同じように農耕民族であり、実践的で協調
性豊かな人たちで、北部の民族は騎馬民族の狩人たちで理論や建前
を重視する。南部は道教で、北部は儒教のように違う。

現在、インド直伝のチベット密教があるが、このチベット密教は非
常に理論的である。このため、欧米諸国やモンゴルなど北方民族に
も受け入れられている。しかし、日本密教は南伝密教であり、理論
的というより実践的である。

日本でも、江南の民である南方民族の物部氏が道教を持ってきて、
その後に移住する葛城氏が北方民族で北伝仏教を持ってくる。

この証拠に、崇神天皇の物部氏も神武天皇の葛城氏も両方とも天津
神であるとしている。これは、鴨氏や大神氏など日本土着の縄文人
を国津神としているので、海外から来たことを示していることにな
る。

この二者が戦いになるのは、文化が違うからである。源氏と平家な
ど、後世にもその影響を見ることができる。小泉元首相と福田首相
にも、その違いを見ることができるくらい、この二者の文化は違う。

この北方仏教に反対したのが、物部氏である。物部氏は道教・神道
派の信仰に縄文人の信仰を混ぜて作った神道を推進していた。しか
し、北方仏教に反対できなくなると、南伝仏教を推進することにな
る。

このため、日本の奈良に様相が違う、北方仏教である唯識(法相宗
)の薬師寺、東大寺と南方仏教である実践を規定した律宗の唐招提
寺が並んで立てられたのであろう。

平安時代は物部氏系の藤原氏が権力を握るために南方仏教である密
教が重要視されたのだ。しかし、密教は南方仏教であったことで、
北方民族国家・唐では衰退することになる。

密教の天台宗と真言宗が中心になり、鎌倉時代には禅宗が盛んにな
るなど南方仏教が盛んになっている。それに比べると北方仏教であ
る華厳宗や唯識の法相宗は日本では盛んではない。韓国は北方民族
であるので、今も華厳宗のお寺が多い。

そして、天台宗で、心を空する手法として、常座三昧と常行三昧の
2つがあるとした「摩訶止観」ができ、それが武士道の理論的な支
えとなり、江戸時代に鈴木正三により、常行三昧の方法として農作
業など仕事にも応用できるとして仕事即行の考え方を発見し、石田
梅岩が仏教の修行から生活の思想に転化させるということになる。
このように日本文化は南方文化の影響が色濃く出ていることになっ
たのだ。

このため、中国南部、ベトナムやカンボジアなどに行くと懐かしい
思いをすることになる。ミャオ族、ベト族の文化に触れると日本人
のルーツという思いもするが、その根源を知りたいとして、このコ
ラムでは世界史的な観点で日本を見ようとしてきた。やっと、仏教
史から世界史的に見た日本文化の根源にたどり着いたようだ。

もう1つ、中国は北方民族が南方民族を支配しているし、韓国も同
様であるので、理論や感情をむき出しにした荒い文化であるが、日
本は、先に来た江南の民が最後に権力を奪い返して、やや南方文化
に片寄ってはいるが、北方文化の良い所も取り入れた日本文化に
なったようだ。そして、平安時代に北方民族である中国と断絶して
、日本文化の発展を遂げることになったのだ。
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2948.日本の主知主義、欧米の理念主義
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/L0/200601.htm

インドアーリア人がアジア思想を作り、欧州アーリア人が理念を掲
げる欧米思想を作った。      Fより

このコラムの仏教史シリーズをお読みになっている読者の皆様は、
ご存知でしょうが、仏教がアジア全体に広まり、この思想が共通の
文化体系をアジアに齎している。今、イスラム圏のインドネシアや
マレー半島も14世紀までは大乗仏教の中心的な国家であった。

インドも欧州もアーリア人が支配したので、ギリシャ文明を見れば
分かる通り主知主義であったが、ユダヤ人の信仰から一神教が出て
、欧州は神が聖書にあるような世界を作ったという反主知主義にな
る。その後、主知主義のギリシャ文明に復古したルネサンス以降、
欧州は大発展するが、神の代理人である人間が自然を作るという
理念主義におちいる。

インドの仏教思想は革新的な主知主義から出た思想体系であり、人
間の内面を追い求めて出来た理論体系であった。この理論体系を広
めるために、5世紀にナーランダ、ビクラマシーラなどの大学が、
ヒンズー川流域にできたのだ。インド仏教は精緻な理論体系が構築
されていた。もともと1宗派とは1つの理論であった。

しかし、この仏教が中国において実利主義の考えに染まり、理論よ
り、なるべく簡便で早くという実践になり、理論の一部を取り出し
、禅や念仏など簡単で実践しやすい方向に変化したのである。この
教えが日本に入り、天台宗の魔可止観になり、坐禅や繰り返しの行
動が神との対話に必要とし、その魔可止観から鈴木正三により、農
作業も繰り返しであるから、農作業を真剣に行うことが仏行である
とした。

この鈴木正三の思想を商家の石田梅岩が商業などの職業も繰り返し
であるからまじめに行うことが人間の道であるという石門心学を作
り、それが今も日本人の心を支えている。職業即仏業というのであ
るから、欧米基準では無信仰であるという日本人が一番、修行時間
が長いことになる。

しかし、このため仕事を無くした日本人は惨めになる理由であり、
定年退職後におかしくなる理由でもある。職業と言う修行ができな
くなり、心に大きな空白ができるためである。

この思想が欧米人を始め、世界企業が日本人が構成する日本企業に
負ける根本的な原因である。職業即修行と考えには勝てない。長時
間労働を厭わない日本人の根本を支えている原理でもある。

仏教の実利主義化とともに、そのインドの主知主義が中国では自然
を観察して人間に必要な物を見つける本草学、漢方を生み出す。
これは実利に基づいているので中国で大発達を遂げる。その本草学
が日本に導入されると実利よりご隠居の趣味になり、精緻な博物学
になる。ただ、鑑賞するだけの朝顔やツツジと言う植物を商品化す
ることになる。また、穀物類の品種改良に応用して江戸時代は、農
産物の収穫量がその前に比べて、著しく増加している。自然を自然
のままに見るというのが、日本的な見方である。

これに比べて、欧米科学は目的が明確で、その目的に向けて無理や
りに自然を改良しようと言う理念主義が先行している。温暖化は、
CO2が増えたからであるという思想を作り、CO2削減が世界を
助けるために必要であるというように理念化する。この理念に向け
て、科学技術をフル動員する。

日本は、自然を自然のままに見た結果として、人間に役立つ微生物
を見つけて、それを役に立てるという考え方であり、長い自然観察
の経緯があり、その結果としての応用である。厚みが違う。これが
物性研究にも現れている。リチュームイオン電池でも新興米企業が
新しい理論で日本企業に挑戦しているが、長い物性の観察なしでは
理論通りに、自然は動かない。

このような自然観察がない欧米は、目的に向けて自然を見るために
いろいろな微生物の多様な面を見ずに応用するため副作用も出てし
まうことになる。または手近な穀物をエネルギーに使ってしまう。
食糧不足などの問題点を多面的に見ない。

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