3148.雇用問題を考える



非正規雇用者の失業が、この年末に増加している。この解決案は、
新興国との企業競争やサービス業の低給与などのことを考えた対策
で必要である。その検討をする。     津田より

0.はじめに
雇用問題は、労働賃金が高い日本の現状と製造業の世界的な競争と
を考慮して、雇用全体の量を増やすことと、サービス業等の薄給な
雇用ではなくて、製造業の比較的高給な雇用を増やすことも2つが
必要である。しかも、日本の全雇用における非正規雇用の比率は、
54%にもなっているのだ。ということは非正規雇用の人口が1000万
人を越えている。東京には約半分の500万人はいるはず。

米国や中国は、雇用政策の1つとして陸軍の兵員を増やし、その兵
員で海外での戦争をするという選択があるが、日本はそのようなこ
とができないし、してはいけない。ソマリアへ中国陸軍が進攻して
ソマリアを属国にするはず。中国の失業者数1億人であれば、200万
人程度を軍が雇用して、国際社会が容認するソマリア攻撃は失業対
策として非常にいい。同じように米国は300万人程度の失業者がいて
その内50万人程度を米軍が雇用して、アフガニスタンへ送り込む。

しかし、このようなことを日本はできない。日本での雇用を作るた
めには、産業の高度化と日本産業の弱点を探して、そこに雇用を増
やすことである。しかし、高給な仕事を作る産業の高度化はすぐに
はできない。新技術などの開発を待ってしかできない。当面できる
ことは残念ながら、日本産業の弱点を探して雇用を創出することで
ある。

この日本産業の問題点は、農業従事者の高齢化と介護従事者の不足
である。しかし、この2つは、現状のままであると薄給であり、成
り手がいなかった。この解決が今ならできる。しかし、雇用がある
が、今より給与が安くなる。

もう1つが、中国に逃げた繊維、織物、縫製などの産業を日本に戻
すことである。しかし、これも薄給である。サービス産業も薄給で
あり、このような雇用をどうするかを考えることでもあると見る。

景気が当分上昇しないことで、雇用問題は当分続くと見る。このた
め、このような雇用を社会の仕組みとして、確立することが必要に
なっているように感じる。

景気が戻ったときは、外国人労働者で埋め合わせるなどの対応も組
み合わせて、トータル的に雇用問題を見るしかない。日本の今後の
雇用問題、産業構造の問題を見ていこうと思う。

お付き合いのほど、よろしくお願いします。

1.現状
雇用問題は、今までは労働者不足で、介護の現場や中小企業、サー
ビス業の現場で、外国人労働者を使うしかないということであった。

しかし、非正規雇用の労働者が大量に余った状況で、大企業の製造
業での労働量が減っている。この製造業での給与は20万円から30万
円とサービス業や介護従事者の10万円から20万円という給与より高
いので、介護従事者が給与が高い非正規雇用の労働者にシフトして
いた。このように雇用は給与が高い方にシフトする性格がある。

しかし、当分、世界的な景気が低迷することが確かであり、このた
め、月20万円程度の給与から月10万円か以下程度の給与でも生
きていくことができる環境を社会的に作る必要がある。

1980年までは、東京の各所に月3万円程度の家賃の寮やアパートがあ
った。しかし、東京の物件は家賃が月6万円以上の物件に変わってい
る。しかし、低賃金雇用を開発するために1970年代の生活に戻るこ
とが必要になっている。そのような社会の仕組みを取り返す必要が
出てきている。

1980年代以前のアパートは、江戸時代の長屋に似た雰囲気であり、
住民はお互いに助け合いながら暮らしていた。この生活を取り戻す
必要にあるようである。こうすると、今は非正規雇用の失業からホ
ームレスへ直結していたのが、一段階のランクができて、そこで止
まることができる。ワーキングプア階層として社会的に認知するこ
とである。そうすると、月8万円での生活をできることになる。
そして、月8万円に生活保護家庭の補償費を下げることもできる。

生活ランクをもう1段、社会的仕組みとして増やすことである。

2.長屋の生活とは
月3万円という家賃で、今、やっているアパートはある。たとえば、
山谷など昔のドヤ街である。1部屋3坪程度の面積で、便所は共同で
あり、風呂は付いていない。昔は家族4人が長屋に住んでいた。私が
子ども時代(1960年代)、2日毎に銭湯に行っていた。そして、銭湯
が今の東京には残っている。この銭湯の近くに、このような安価な
宿舎を作り、1970年代まであったようなアパートを再度、構築する
ことである。

もし、そのような生活ができると、内職として縫製や軽い作業の雇
用が中国から日本に戻ってくることができる。現時点、雑貨の全部
の雇用が中国にシフトしているが、比較的高い価格の雑貨は日本に
戻ることができる。仕事ができて、雇用の確保ができると見ている。

食費は1日1000円でできる。そうすると月3万円程度であり、月
2万円から4万円が予備費となる。これを貯めて、医療費などに備え
ることである。

しかし、将来の年金への備えはできない。この部分は税金で保証す
ることである。しかし、1000万人以上が失業するという現状では、
生活保護費の出費より、この方が社会保障費全体では安くなる。

ということは、国もこのような社会を作ることを推進することが必
要である。この仕組みの中心は銭湯である。この銭湯の主人が長屋
の大家さんを兼ねて、世話役でもあることになる。そこに中小企業
も内職や作業所を設けて、職を増やすことである。今、中国に出し
ている仕事を戻すことに、賛成してもらえるはず。

3.農業への就業
農業従事者の高齢化が進み、耕作放棄地も増えている。この日本農
業の問題点は、皆が知っている。しかし、日本国民は自由に農業を
できない。Uターンして農業はできるが、私のように都市住民は、
農村に行っても農家はできない。職業の自由は日本にはない。

そして、都市の大企業は基本的に農業はできない。野菜工場などの
建物内の農業は企業でもできるが、路地物はできない。しかし、大
規模農業ではないと、企業経営は成り立たないが、農地を企業は買
えない。企業家ができれば、そこに雇用ができて、都市の非正規雇
用者の就業の場ができるのにである。

しかし、この農業への就業を総務省が推進するが、この改革なしに
は雇用として安定しない。農林水産省が改革をして、企業が農業を
できるようにするべきである。

4.国がするべきこと
各省庁が個別で動いているために、国家全体の問題を総合的に動か
すことができないし、各省庁は危機感が個別に割れているために、
共有できていない。

このため、厚生労働省、総務省や農林省などが個別に雇用問題を取
ることになる。1つ1つは価値があるが、総合的な対応ができない。

小泉元首相が行った、官庁から内閣が総合政策の立案を取り、そこ
で、社会の中にいる実務家を中心に対応策を作成する体制を取る必
要がある。

自民党、官僚の政策立案が、国民の要望とは違い、全然頓珍漢な政
策になっている。賞味期限が切れている理由は、世界的な動向も抑
えず、国民の要望も聞かない政府や首相に国民は拒否感を持ってい
る。麻生さんは、庶民や秋葉原に集うB層の味方であると期待をした
が、大きな間違えであると、B層の人たちや庶民は気がついたのだ。

麻生さんのご自分の政策を裏づけるためにも、体制的な国民の声を
聞くことでしか支持率は上昇しないように感じる。麻生首相の認識
は正しくても、国民の要望とは違うのだ。

特に、雇用問題は急を要している。ここは社会のいろいろな人たち
の協力を取り付け、早急に対策を打ち出すことである。民主党との
協議も行い、B層の苦難を救うことである。再度言うが、B層・庶民
は麻生さんがB層の気持ちを理解してくれると思い、支持したのであ
る。この期待を実現してほしいものである。ここで失敗すると、も
う国民は自民党には振り向かないことになる。もう、その方向にな
っているので早く対策を取ることである。

今のようなB層、庶民を裏切る行動や発言は、ご自身の支持率を大き
く下落させることで結果が出ている。反省が必要であり、内閣の中
心で、国民の声を聞いて総合的な政策を作ることである。

==============================
都市部の若者を農村に 「地域おこし協力隊」創設 総務相発表 
(nikkei)

鳩山邦夫総務相は19日の記者会見で、農業への従事など地方での生
活を望む都市部の若者らを農山漁村に長期派遣する「地域おこし協
力隊」(仮称)を来年度に創設すると発表した。数百人を募集し、
1―3年程度派遣する。若年層に働く場を提供するとともに、農林水
産業などの人手不足の解消にもつなげたい考え。 

 仕事の内容は、1次産業への従事のほか、水源地の管理・保全や観
光関係など。総務省は「地域力創造プラン(鳩山プラン)」の目玉
と位置づけており、給与を支給する地方自治体に資金を支援する。 

 詳細は来年1月に詰めるが、支援の財源は地方交付税を想定してい
る。過疎地での人口減少に歯止めをかける「定住自立圏」構想とも
連動させ、派遣した若者らの地方定住も視野に入れている。
(12:01)
==============================
2941.農業改革について
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L0/200525.htm

農業改革が必要になっている。農業は今が再生の最大のチャンスで
ある。この考察をしよう。     Fより

このコラムの読者MYさんから、現行法律でも農業生産法人の一形態
としての株式会社は、農業への参入を認められているが、Fさんの
いう「企業の参入をまだ認めようとしない。」いうことは一般的な
企業のことですかという質問をいただいている。

答えはYESです。アサヒビールは、中国では大農場を持ち、有機
野菜を作り、都市の富裕層向けに出荷している。近所の農民が会社
員として、このアサヒに勤めている。出荷は午前3時から作業をす
ることもあるという。このように農業経営も大企業が行うと、栽培
方法や流通経路、顧客対象が違うことになる。

今チャンスなのは、日本だけではなく、中国やインド富裕層向けの
有機農産物である。有機農産物はある程度高くても需要がある。し
かし、有機農産物の栽培は難しく、日本の農家では5000人程度しか
行われていない。需要はあるが、それに対する供給が追いついてい
ないのだ。

現時点、日本の企業参入が許されているのは、カゴメが行っている
ような大規模温室栽培や野菜工場としての水耕栽培など特殊なもの
だけである。路地物は許されていない。

研究開発投資が必要で、かつ失敗のリスクがあるために、有機野菜
の栽培は普通の農家ではできないようである。農業は定年退職Uタ
ーン組もできない。自分の食べる分しか作れないのである。農業と
いう職業選択の自由は日本にはないのだ。

その上、農家は減り続け、320万人しかいない。その320万人
も6割の人が65歳以上という状態である。零細な農家では農産物
価格は安いので成り立たないことで、農村部の若者達が都市に出た
ために、そうなっている。このまま、現在のような保護政策は日本
農業を益々衰退させ、農産物が世界的に不足しているのに、日本農
業が崩壊することになる。今後の農業は自立した企業経営としての
基盤を持ち、大規模な取り組みしかない。その企業に勤めることで
安定した収入を得る方が農家よりいいと見る。そして、今後地方の
土建業も公共工事がなくなり、その企業維持が危ぶまれている。
その企業が農業に参入する道を取ることが地方の活性化にとっても
、いいように感じる。

もし、農業技術の研究を企業ベースで行うなら、サントリーの青色
のバラではないが、新製品、新技法を生み出すことになると見てい
る。

日本の高級な食材をアジアの富裕層は求めているし、日本農業は違
う発展に向かうと見るがどうであろうか??

もう、戦前の小作農家を引きずる政策を止めるべき時に来たと思う
が、どうであろうか??
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「2933 日本時代への改革を 」について     MY
   
表題稿にある農業への「企業の参入をまだ認めようとしない。」に
ついて以下の記述をみつけましたので、検討をお願いします。

「日本の農業150年」 編者 暉峻衆三(てるおかしゅうぞう)
有斐閣ブックス 2003年12月初版 p277より

「財界などからの要求をふまえて、(農業生産法人の一形態として
の株式会社)を容認することを今後の検討課題とした。曲折を経て
、2000年12月に農地法が改正され、耕作者が主体である農業
生産法人の一形態としての株式会社の農業への参入が認められ、
また永年の懸案であった小作料の定額金納制の廃止が実施されるこ
とになった。こうして株式会社の土地利用型農業への参入の突破口
がこの期に切り開かれ、小作料制度を貸し手(零細農家)に有利に
することによる農地流動化の促進がはかられた。」

****************************
 とあります。上記のなかでは

(農業生産法人の一形態としての株式会社、耕作者が主体である農
業生産法人の一形態としての株式会社)と形容詞?のない(株式会
社)は、別物と解釈すべきなのでしょうか。それを踏まえて
Fさんは、つまり、一部制限つきの会社は可であるが、オールマイテ
ィの会社である「企業の参入をまだ認めようとしない。」と述べて
おられるのでしょうか。

「平成の農地改革」が今秋にでるそうで、緩和傾向のようです。現
状でも農地リース方式で企業参入は増えていると思います。 



コラム目次に戻る
トップページに戻る