3146.中国海軍が動く



中国の海軍がソマリアに派遣することになった。この検討。Fより

3139のコラムで述べた「シムラ協定」を英国がなぜ無効にした
かの疑問の解は、このソマリアへの派遣の見返りであったのだ。

中国は、真珠数珠繋ぎ戦略を行っている。アフリカからのシーレー
ンを守るために、インド洋各地に基地を作っている。海軍基地が真
珠の数珠のように順々に繋いでいる。

すでに、インドネシアに潜水艦基地を作り、ミュンマーのアンダマ
ン諸島にレーダ基地を作り、パキスタンのグワダルに海軍基地を作
っているように、徐々にインド洋のシーレーン防衛を構築してきて
いる。

今回、欧米諸国の依頼と国連の決議で、中国は世界正義の観点から
ソマリア沖に海軍を派遣することになったが、この海軍基地をアフ
リカに建設する口実ができたことになる。マガカスカルに中国海軍
は基地を作るだろうと見ている。これで、中国の石油輸入トップの
ナミビアからの中国タンカーを守る体系が完成する。中国海軍基地
がインド洋の各地にできて、インド洋を中国の海にする試みが完成
することになる。明の鄭和以来の中国の世界進出になる。

米国は世界から撤退する方向であり、その撤退の後に中国海軍が基
地を作り、米中での共同支配体制を完成することが段々、明確化し
てきている。その中国の領域はインド洋であることも明確になって
きた。NATOなどは現在6隻の艦艇を派遣しているが12月末で
引き上げることになっている。この穴埋めを当初日本に頼んだが、
日本の判断の遅れで、中国に頼んでいる。

そして、太平洋の分割を中国は米国に提案している。中国はハワイ
以西を中国の領域としたいと米国のキーリング太平洋司令長官に言
っている。そうなると、日本は中国の属国になることである。しか
し、そうではなくても、すでに日本は追い詰められている。
インド洋のシーレーンにいる日本の海運会社のタンカーやコンテナ
船は、その中国に守られることになる。

憲法9条で日本の軍事力を制限していることで、本来なら外需に依
存する日本が行うべき海の安全を米軍撤退で中国が担い、日本は経
済的実力がありながら、それをしないことで、中国の風下にならざ
るを得ない事態になっている。反中的な日本人・評論家が多くいる
のに、この現状を知らないことで、日本は中国の下に付くことが確
定している。

反中主義者は、中国の悪い所を探して文句をつけるだけではなくて
、世界の情勢を見て、日本をどうするのかを議論してほしいもので
ある。愛国主義者が狭いナショナリズムで、低次元の中国のあら捜
しをしている。しかし、戦略的な議論が全然無いことが日本をダメ
にしているのに、それに気がついていない。

このレベルの低い低脳な議論で、日本は世界的に不利な地位に追い
やられかねない危機的な状況になっていくように感じる。
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中国、ソマリア海域へ軍艦を派遣

 【北京=佐藤賢】中国外務省の劉建超報道局長は18日の記者会見
で、海賊事件が多発する東アフリカのソマリア周辺海域への海軍派
遣について「積極的に準備を進めており、準備が整ったら正式に発
表する」と述べた。

政府当局者が派遣を認めたのは初めて。劉局長は今年、中国にかか
わる船舶がソマリア周辺海域を1日平均で3、4隻通過し、このうち
20%が海賊の襲撃を受けていることを明らかにした。(20:01) 
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ソマリア海賊:制圧、領土内でも 各国軍の展開容認−−安保理採択

 【ニューヨーク小倉孝保】国連安全保障理事会は16日、アフリ
カ東部ソマリア周辺海域で深刻化している海賊問題に関し、各国が
ソマリア領土・領空に入って海賊制圧作戦を遂行することを認める
決議を全会一致で採択した。安保理はすでに領海内での取り締まり
を認めており、これで陸海空からの部隊展開が可能になった。

 米国やフランス、韓国などが共同で提案した。海賊問題を国連憲
章第7章(平和に対する脅威)の下に位置づけ、各国が「ソマリア
国内で海賊行為を制圧するため、あらゆる必要な措置を講じる」と
規定。今後1年間、ソマリア領内で部隊展開や軍用機による作戦を
可能にする内容だ。

 主権国への他国軍の展開を許す異例の決議の背景には、同国が無
政府状態に陥っていることがある。作戦はソマリア暫定政府の許可
を得て実施される。ライス米国務長官は決議について「(海賊に)
非常に大きな打撃を与える」と評価した。しかしAP通信によると
、米軍は現時点で地上攻撃などは視野に入れていないという。

 決議では、海賊に関する情報を共有するための地域センター設立
を呼びかけたほか、船会社などが船員解放のため支払っている身代
金が「海賊を助長している」と批判した。

 日本から出席した西村康稔外務政務官は、決議採択後、ソマリア
沖海賊対策の国際協力メカニズムができる場合には日本として加わ
る考えを表明した。

 安保理は2日、各国の海賊を取り締まる権限を1年間延長する決
議案を採択。この日は、海賊対策への国際機運を高めるため、閣僚
級会合を開いて新たな決議を採択した。

 ソマリア沖では16日にも輸送船など3隻が海賊に乗っ取られる
事件が起きた。

毎日新聞 2008年12月18日 東京朝刊
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EU艦船がソマリア沖で海賊対策の作戦開始、6隻出動 
2008.12.09 
(CNN) アフリカ東部のソマリア沖で多発する海賊事件を受け
、欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表は8日、
同国周辺海域にEUの海軍艦船を派遣し、ソマリアへの食糧や支援
物資援助に当たる世界食糧計画(WFP)の輸送船を警備する作戦
を9日から開始すると発表した。 

EU外相理事会が8日、作戦を承認した。他の商船などの警護にも
当たる。ソマリア沖で実力行使を含む海賊対策を認めた国連安全保
障理事会の決議などに基づく行動。同国沖で既に警戒行動中の米国
、北大西洋条約機構(NATO)、ロシアやインド海軍艦船と協力
して作戦に当たる。NATOの作戦は今月末に終了する予定。 

EUの海軍艦隊には英国、フランス、ドイツなどの6隻、哨戒機3
機が加わる。作戦は1年の予定。英国が指揮権を担う。 



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