3127.公共事業の是非



Fさん、初期の頃からいつもメルマガを楽しみにしております。

さて質問が有るのですが、
池田信夫さんがブログでバラマキ政策を主張するリチャード・クー
を地底人とこき下ろしているのですが、
政府が景気対策のために土建に金を入れ需要を作り出すことは悪な
のでしょうか?
よろしければお教えください。

黒石
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(Fの見解)
黒石さん、ありがとうございます。

公共事業が良い悪いではなくて、どのような公共事業を行うかであ
ると見る。現時点、外需が無くなり、当分、内需に依存する必要が
あるため、必要悪として、政府は内需拡大を行う必要がある。この
1つの方法として、公共事業は必要であると思うし、リチャード・
クーさんの言うこともわかる。

昔は外需があり、その外需を否定していたので、リチャード・クー
さんの意見はおかしいと思ったが、世界同時不況となると、クーさ
んの意見は正解に近い。

そして、小泉改革時にも申し上げたように、公共事業として、日本
経済が拡大することに使うことである。ルーズベルトのTVAが山
の中にダムを作り、景気浮揚に役立たなかったが、ヒットラーが実
行した高速道路建設は、ドイツに大きな景気浮揚効果をもたらした。

このため、公共事業として何を作るかが問題なのである。
今後、地球温暖化というCO2削減に焦点を当てるのではなくて、
中国やインドの経済的な発展で石油価格が上昇することに備える脱
石油戦略を日本は考える必要にある。

この脱石油戦略には、電気自動車やLRTなど路面電車だけではな
く、ディーゼルから電池電車や架線なしトロリーバスなど、交通機
関の電気化が重要になる。そして、電気需要増大に備える原子力発
電や太陽光発電、潮流発電や高出力の新しい電池の開発などが必要
である。それらを組み合わせたコンパクト・シティーなどの構想を
実現して、今後の高齢化社会になる日本を想定した社会作りという
投資を行うことであれば、景気浮揚効果は上がることになる。

地方都市の中心部を再開発して、そこに老齢者を集めて、福祉施設
をまとめていけば、町の賑わいができて、商店などができて、地方
が活気づくことになる。

しかし、予測したように自民党はダメになったようだ。年末までに
第2次補正をしないということで、中小企業が自民党から民主党に
支持を変えている。大きなダメージを自民党は2次補正を1月に延
ばしたことで受けている。

もう1つ、法案がおかしい。派遣法改正で、正社員にしないために、
どんどん派遣社員や契約社員が切られている。これも心配した通り
になってきた。自民党、官僚はきれいごとで済まそうとして、実体
経済を見ていない。

小泉政権のよさは、国民や有識者、実務家に意見を聞いていたが、
それが麻生政権になってなくなったことである。小泉政権の金融政
策や自由化政策は変更する必要があるが、今の政権には実務者に聞
く姿勢が無さ過ぎである。

仲間内ではなくて、国民の声を聞き、国民の要望を実現するのが、
時の政府のやることである。

現時点、民主党も自民党も、この基本ができていない。
反省してほしいものである。



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