3112.金融サミットに向けて



14日より始まる金融サミットに向けて、各国や勢力がいろいろな
提案をしている。     Fより

今度のサミットには、オバマ次期大統領は出席しないために、包括
的な合意ができないことが判明している。しかし、各国からの要請
が強いために、オルブライト元国務長官とリーチ元共和党下院議員
を派遣するとの声明を発表した。

オバマが欠席のため、来年4月に再度金融サミットを行うことで調
整している。今回は各国の利害が大きく違うために議論を積極的に
行い、とりあえず合意できるものだけを世界20ケ国の協調という
形で出すことになるようだ。相当タフな議論になるようである。
特に米国は防戦に回ることになる。

最低の合意としては、IMFの強化として新興国からの出資を増や
し、世界的な監視を行うような強力な権限をある程度持つことでし
ょうね。

しかし、新興国は、今回の金融危機は米国からの資金が流出したこ
とで起こっているから、証券化商品の規制より、通貨危機の対応に
焦点が当たる。中国と日本は大量の米国債を保有しているので、米
ドルの基軸通貨維持に傾いているが、EUは基軸通貨をユーロなど
にすることを志向している。

EUと中東は証券化商品を大量に購入して、その損失が大きく、そ
のことで金融危機が起きているので、金融システムの規制強化を主
張している。

5つの原則というのは、
(1)格付け会社の登録や監視
(2)国際会計基準の統合
(3)すべての金融分野に規制や監督を適用
(4)金融機関の過剰なリスクを避けるための行動規範の策定
(5)国際通貨基金(IMF)の機能拡充
である。

EUは中東や新興国を味方につけて、金融規制強化を米英に要求し
ている。しかし、米国や英国は金融規制が金融機関の弱体化に繋が
るために、ある程度の規制にして、大きな規制には反対である。

米英は金融自由化で、金融産業が国全体のGDPの10%程度にな
っているし、金融機関が大きな儲けを得ていたことで、EUや新興
国の要求を鵜呑みにできない。

米国もCDSなどの取引が金融危機を拡大した反省から中央決済機
関を創設するとしている。金融危機の原因は「新興国からの巨額の
資金流入が金利低下と重なり、ずさんな融資につながった」と説明。
金融自由化での規制緩和を主因とみる欧州などとの違いが鮮明にな
っている。

EUと米国は、IMFでの新興国ポスト配分をめぐり、ここでも対
立する。EUは米国のポストを削り新興国に渡すことを主張し、米
国はEUのポストを削り新興国に渡すと主張する。

EU対米国の応酬になることが明白になっている。EUはロシアや
インド、ブラジルと共同で提案することになるが、米国も中国や日
本を取り込むことになる。この両者の中間に英国は位置して、行司
役を取りに来ると見ている。

ブラウン首相の新プレトン・ウッズ体制や銀行への公的資金投入の
提案をEUや米国に行い、主導権を取ってきた。英国は主要製造業
が諸外国企業に買い取られて、英国のガラスや化学工業の会社も日
本の企業が買取っている。その分、英国は金融業の割合が大きくな
っている。このため、その金融業を守るしかない。ブラウン首相の
力が問われている。

英国の産業力・軍事力では覇権はおろか、主導権も握ることも難し
い。このため、BBCなどのメディアなどを動員してアピールして
いるが、影響力は限定的である。この英国と米国は金融大国として
、規制強化の波をどう食い止めるかで一致するように思う。

しかし、IMFの機構を変えて、米国の権限を縮小するとか世界の
覇権構造は大きく変わることになる、覇権移行の最初の1歩になる
ようだ。

さあ、どうなりますか??

そして、この世界的な覇権の動向を歴史的な側面から有料版では見
る。1990年ブッシュ父が言った「新世界秩序」の波が全然意図
とは違う形で押し寄せている。興味がある方は有料版をお取りくだ
さい。
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ドル基軸維持へ努力 金融サミットで首相提案
(nikkei)
 金融と世界経済の安定化策を話し合う緊急首脳会合(金融サミッ
ト)が14日夜(日本時間15日朝)、米ワシントンで開幕する。麻生
太郎首相は国際通貨基金(IMF)の出資総額の倍増などを柱とす
る包括的な提案をする方針。国際的な通貨システムを守るため、
ドル基軸通貨体制の維持も訴える。バブル崩壊の教訓を踏まえ不良
債権の早期処理も促す考えで、危機克服に日本として積極的に貢献
する姿勢を打ち出す。

 各国首脳は14日夜の夕食会から討議を開始。2日目の15日午後(日
本時間16日未明)に共同声明を採択する見込みだ。(07:00) 
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EU、国際金融改革へ5原則 金融サミットで提案へ
(nikkei)
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)は今週末に開かれる
20カ国・地域(G20)の緊急首脳会合(金融サミット)で、国際金
融改革への5原則を提案する。金融機関のリスク管理をめぐる行動規
範の策定などが柱。金融規制や監督体制を強化して金融システムを
早期に安定させる考えで、新興国と連携して「市場管理型」への再
構築を日米に強く求めるとみられる。

 EUは加盟国の意見を調整したうえで国際金融改革の提案として
、(1)格付け会社の登録や監視(2)国際会計基準の統合(3)すべての金
融分野に規制や監督を適用(4)金融機関の過剰なリスクを避けるため
の行動規範の策定(5)国際通貨基金(IMF)の機能拡充――の5原
則を掲げた。(07:00) 
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「ドルは基軸通貨ではない」=金融サミットで表明へ−仏大統領
11月14日8時26分配信 時事通信

 【パリ13日時事】フランスのサルコジ大統領は13日、「米ドルは
もはや世界の基軸通貨ではない」と述べ、ワシントンで14、15の両
日開かれる金融危機対策のための緊急首脳会合(サミット)でも、
こうした考えを表明することを明らかにした。AFP通信が報じた。
 同大統領は、パリのエリゼ宮(大統領府)での演説で「ドルは第
二次大戦終結直後には世界で唯一の(機軸)通貨だったが、もはや
基軸通貨だと言い張ることはできない」と述べた。 
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EU、格付け会社の規制強化 加盟国に提案
(nikkei)
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の欧州委員会は12日
、格付け会社への規制強化をEU加盟国に提案した。信頼性のある
情報が得られるケースを除き、金融機関を対象とする格付けを規制
するのが柱。情報開示の拡充や経営監視なども盛り込んだ。今週末
の緊急首脳会合(金融サミット)でも国際的な対応を求める構えだ。

 マクリービー委員(サービス担当)は12日の記者会見で「金融市
場の信認回復には規制強化が必要だ。(格付け会社の規制では)
EUが主導的な役割を果たす」と語った。EUは米住宅ローンに絡
んだ不適切な格付けが市場混乱を招いたとみており、金融規制や監
督を通じて格付けの信頼性を高めていく考えだ。(06:56) 
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米大統領 規制強化をけん制
11月14日 6時26分(NHK)

アメリカのブッシュ大統領は、今週末開かれる金融サミットを前に
講演し、金融部門の改革は必要だという考えを示しながらも、行き
過ぎた規制は世界経済の成長を妨げると強調し規制の大幅な強化を
求めるヨーロッパをけん制した。
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中央決済機関の創設を=デリバティブ規制で−米大統領
11月14日8時5分配信 時事通信

 【ワシントン13日時事】ブッシュ米大統領は13日午後、ニューヨ
ークで講演し、金融危機を増幅させた一因であるデリバティブ(金
融派生商品)「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」取引の
透明化に向け、決済を1カ所に集中させる中央決済機関創設の必要性
を訴えた。
 大統領は14、15日にワシントンで開かれる金融危機対策のための
緊急首脳会合(サミット)に関連して、金融商品の「適切な規制」
が必要だと指摘。取引規模の大きなCDSは「規制のない店頭売買
(OTC)市場ではなく、中央決済機関で清算されるべきだ」としてい
る。  
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オバマ次期政権、金融サミットにオルブライト元国務長官ら派遣
(nikkei)
 【ワシントン=川上穣】オバマ次期米大統領の政権移行チームは
12日、14、15の両日にワシントンで開く緊急首脳会合(金融サミッ
ト)にオルブライト元国務長官とリーチ元共和党下院議員を派遣す
るとの声明を発表した。オバマ氏の意向を受けた「特使」として、
両氏は参加国の代表団と非公式会合を開いて意見交換する。

 オバマ氏は「米国の大統領は1人」と、金融サミットには参加しな
い意向を表明していた。ただ、サミット参加国の首脳からは会談の
依頼が殺到しており、特使の派遣に踏み切ったとみられる。

 オルブライト氏はクリントン前民主党政権時代に国務長官を務め
た。リーチ氏は共和党の穏健派とされ、特使は民主、共和両党の「
超党派メンバー」となる。(10:05) 
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金融サミット、5論点を提示 米大統領が演説へ
(nikkei) 
 【ワシントン=大隅隆】金融サミットの議長を務めるブッシュ米
大統領は13日、ニューヨークで演説する。同サミットの議題として
、危機の原因究明、各国の対策の点検、改革に向けた原則の確立な
ど5つの論点を提示する見通し。 

 焦点の国際通貨基金(IMF)改革では「新興国の発言権を拡大
すべきだ」と指摘。資金面での貢献を条件にIMFの運営体制見直
しを支持する。ただ、危機の原因は「新興国からの巨額の資金流入
が金利低下と重なり、ずさんな融資につながった」と説明。規制緩
和を主因とみる欧州などとの違いが鮮明になっている。 (01:39)
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金融サミット、IMF改革に温度差
(nikkei)
 【ワシントン=矢沢俊樹】14日夜(日本時間15日朝)開幕する緊
急首脳会合(金融サミット)で、国際通貨基金(IMF)改革が大
きな争点に浮上してきた。欧州側は米国主導で運営されるIMFの
抜本的な改革を迫る構えで、距離を置く米国との対立が鮮明。日本
政府の後押しなどで新興国向けの緊急支援という短期的な対応では
各国の足並みがそろっているものの、将来像を巡る議論の行方は不
透明だ。

 IMFは第2次世界大戦直後の「ブレトンウッズ体制」のもとで、
同じくワシントンに本拠を置く世界銀行とともに創設され、国際金
融監視体制の中核を担ってきた。だが、昨夏以来の世界的な金融危
機への対処が遅れ、「機能不全もはなはだしい」(日本政府筋)と
の批判が噴出。日本政府が新興国向け緊急融資制度の導入を求めた
ことなどでようやく重い腰を上げつつあるといった見方もされてい
る。(07:00) 
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中国外務省、金融危機対応で国際金融機関との連携を強化 
2008-11-13 20:16:42 cri (中国国際放送局)

 中国外務省の秦剛報道官は13日北京で開かれた外務省定例記者会
見で、「当面の世界金融危機に対応するため、中国は、IMF・国際通
貨基金を含む国際金融機関との連携を強化していきたい」と述べま
した。 

 IMFへの資本注入を増加するかについては「2006年には、中国の
IMFでの割当はすでに2.98%から3.72%に増加している。当面の金融
情勢に対して国際社会が提携を結んで対応すべきだと、中国は見て
いる。中国は、IMF内だけでなく、いかなる場合においても、しかる
べき役割を果たしていきたい」と語りました。


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