3092.株安・超円高の分析



株安・超円高になっている。この構造を見る。   Fより

基本的には、「3089超円高へ」で述べたように、円キャリー取引の
巻き戻し、海外投資銀行の円借り入れ資金の返済、日本の個人投資
家の外貨投信の解約、しかし、外国投資家の東京市場の株売却で得
た円は、日本の銀行に借りた金を返していることで、ドルへ資金が
フライトしないことで起こっている。

今までは、米英ファンドは日本銀行や米銀から円を借りて、その資
金をエマージング市場や不動産市場に投機していた。または証券化
商品として世界に売り出していた。しかし、証券化商品を投資家は
下落に懲りて買わない。このため、リスク資産から手を引く金融危
機になり、銀行も30倍のレバレッジを無くして、ファンド向け資
金を回収している。このため、多くのファンドが資金の回収を行い、
機能停止状態になっている。そして、ファンドの多くが破綻してい
る。

そして、レバレッジを無くす行為で、世界的な株安と対ドルレート
での新興国通貨は下落しているので、ファンドや投資銀行などは、
資金引き上げでも大きな損失を出すことになる。通貨全面安で通貨
先物市場でも米国の銀行は大きな損失を抱えることになる。

米銀や投資銀行は、円買い入れ資金を返すことになるが、円高騰で
ここでも損失を出すことになる。日本は無限大に円を貸し出してい
るために、その返済の円買いで円高騰になっている。

一方、米英銀行は、商品市場にも多くの資金を出したが、ここでも
商品が下落している。ここでも大きな損失を出すことになる。

このように、英米投資銀行や銀行は、大きな損失を今も出し続けて
いる。日本の銀行の健全性が際立っているために、円資金で貯蓄す
るというキャリーフライトも起きているように思う。この資金は日
本国債買いになる。

英米投資銀行の円キャリー巻き戻しと東京市場の株売却が終わらな
い限り、この異常事態は収拾しない。しかし、その円借り入れ量は
、金融経済規模は実体経済の6倍の3200兆ドルであり、そこま
で膨張しているので、天文学的な数字になっている。日本の個人資
産は12兆ドルであり、米国の資産は40兆ドルであり、その資金
だけはなく、日本発の多くの円資金がフライトしたことがわかる。
そのフライトしていた資金が舞い戻っているのであり、この資金量
は膨大な量になるはず。円の金利が0.5%などと極端に低く、そ
のため米英ファンドや銀行は日本の円を極端に多く借り入れたのだ。

円資金が舞い戻ると、その後は、新興国や先進諸国も資金の枯渇に
なり、デフレ経済になる。極端に需要が無くなり、世界経済は凍り
つくことになる。

日本企業の輸出も大変なことになる。超円高になると、外需が期待
できない。特に国内にある輸出関連や設備投資関連の中小企業の破
綻になり、日本も米国同様に産業空洞化になってしまうことになる。

日本の役割は、明らかである。世界に資金を供給して、世界に資金
を低金利で貸し出すことである。英米ファンド経由ではなく、IMFや
日本が直接に貸し出すことで、大量に円を貸し出し秩序ある世界の
金融システムを正常に戻ることを心がけることである。

この解析は、月曜日の有料版で詳しく行う。興味がある方は、お取
りください。

さあ、どうなりますか??
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東証大引け・大幅続落 バブル後安値に急接近、業績懸念で輸出株安
 24日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続落。大引けは
前日比811円90銭(9.60%)安の7649円8銭と、2003年4月28日に付
けたバブル後安値(7607円88銭)に急接近し、5年6カ月ぶりの安
値水準に落ち込んだ。下落率は歴代5位となる。世界的な景気減速
への警戒感が強まるなか、外国為替市場で急ピッチな円高が進み、
ハイテクや自動車など主力の輸出関連株が業績悪化懸念から大幅安
となった。前日大引け後に今期業績予想の下方修正を発表したソニ
ーが大幅安となり、相場全体の地合いが悪化した。

 内外の機関投資家がリスク資産である株式の持ち高を減らすため
処分売りを継続した。顧客の解約に備えたファンドの換金売りや、
信用取引の追加保証金(追い証)発生に伴う個人投資家の売りも出
たという。東証株価指数(TOPIX)も3日続落し、03年5月以
来の安値水準を付けた。
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円急騰、欧州市場で一時90円台
(nikkei)
 世界の金融・資本市場の動揺がおさまらない。24日の外国為替市
場では円相場が急騰し、東京市場に続いて開いた欧州市場では一時
1ドル=90円台と約13年3カ月ぶりの円高・ドル安水準となった。円
高による企業業績の悪化懸念から日経平均株価は8000円を割り込み
、2003年4月につけたバブル崩壊後の安値に迫った。同日の米欧アジ
アの株価も軒並み下落、世界同時株安が続いている。政府は株安に
歯止めをかけるため緊急の証券・金融市場安定化策の検討に入った。

 【ロンドン=御調昌邦】24日のロンドン外国為替市場では円相場
が急騰、午前10時(日本時間午後6時)過ぎに、一時1ドル=90円87
銭をつけ、1995年8月以来約13年3カ月ぶりの円高・ドル安水準とな
った。世界的な株価急落を受け、日本の投資家などが外貨資産の換
金売りを急いだ。対ユーロでも1ユーロ=113円台後半まで上昇し、
約6年ぶりの高値を付けるなど、円は全面高となった。(07:00) 
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ヘッジファンド、世界的に最大30%が消滅へ=GLGパートナーズ 
[ロンドン 24日 ロイター] 欧州の主要ヘッジファンドの
GLGパートナーズのエマニュエル・ローマン共同最高経営責任者
(CEO)は、世界的に最大30%のヘッジファンドが消滅すると
の見通しを示した。

 複数の英紙で同氏は、多くのヘッジファンドはつぶれるか、ある
いはわずかな利益では割にあわないと考えるようになるだろうと指
摘。「ダーウィンの進化論のようなものだ。多くのヘッジファンド
は消えていくだけだ」と述べた。

 同じ英紙報道で、米住宅バブルの崩壊を最初に警告したニューヨ
ーク大学のノウリエル・ロウビニ教授は、多くのヘッジファンドが
破たんする見込みとし、監督当局はパニックに対処するために市場
の閉鎖を余儀なくされる可能性があると指摘した。
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外貨融通拡充、早急に 日中韓とASEAN一致
(nikkei) 
 【北京=佐藤賢】日本、中国、韓国と東南アジア諸国連合
(ASEAN)は24日午前、北京で首脳会議を開き、世界的に影響
が広がる金融危機への対応を協議した。アジア各国が緊急時に外貨
を融通し合う通貨交換協定「チェンマイ・イニシアチブ」の拠出額
引き上げなどを軸に、同制度の拡充を加速することで一致。政策協
調を進めるためASEAN・日中韓の財務相・中央銀行総裁会議の
年内開催を求める意見も相次いだ。

 同首脳会議は金融危機の広がりが深刻化した後、アジア域内の首
脳が多国間で対応を協議した初の場となった。各国首脳はアジア経
済が「比較的堅調」との認識で一致。世界的な経済減速がアジアに
与える影響を注視し、政策協調を進めることを確認した。

 麻生太郎首相は「アジアは株式・為替市場が大きく変動するもの
の、依然として底堅い」と表明。追加経済対策を取りまとめている
ことを説明してASEAN諸国に経済構造転換の必要性を説いた。 
(15:04) 
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円急騰、製造業の国際競争力に打撃 
(nikkei)
 急激な円高が製造業の国際競争力を低下させている。円はドルや
ユーロだけでなく、韓国ウォンなど世界の様々な通貨に対して大幅
に上昇しており、世界を舞台に韓国や中国の企業と戦う日本メーカ
ーは価格競争力の低下や採算性の悪化に苦しんでいる。 

 円はこの3カ月間で、対米ドルで1割、対ユーロで3割、対ウォンで
は5割も上昇した。この影響を大きく受けているのが家電メーカー。
最大のライバルの韓国サムスン電子が米国でウォン安を武器に薄型
テレビの値引き攻勢をかけているからだ。ブランド力の高さを売り
物にしてきた日本メーカーも価格競争に巻き込まれ、量販店にはシ
ャープの32型液晶が498ドルで並ぶ。 (08:25)



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