3083.新世界体制に向けて



市場経済主義、新自由主義などを推進した米国中心世界体制が崩壊
して、次の体制を模索する動きが出ている。その検討。Fより

英ブラウン首相が新ブレトンウッズ体制を構築する会議を開催する
ことを提案した。現時点、世界の次の体制を誰が構築するかの競争
が開始されている。麻生首相が成田空港での緊急サミットを開催す
る案を提唱したが、緊急サミットを最初に提案した仏サルコジ大統
領が即座に拒否して、ニューヨークなどで行うようにとした。

それは、日本の位置が他の諸国に比べて優位にあり、かつ余裕もあ
るために、次の経済覇権を日本に取られると心配したからである。

主要国間通貨は中央銀行間で無制限の通貨スワップが行われている
ので、外貨準備を使った介入をする必要がない。このため、ドル、
円、ユーロ、ボンドは磐石なのである。このため、現在、この四通
貨が基軸通貨か準基軸通貨として通用しているのだ。

この内、円だけが金融危機を起こしていないことと、世界に低金利
で円を貸しつけているために、キャリー取引の中心にいる。このよ
うな条件があるために、世界は日本を警戒している。

しかし、英米国だけではなく、EU全体も危機的な状況にある。デ
ンマークはユーロに参加しないEU加盟国であるが、自国通貨が暴
落し、かつドルでの外貨準備をしていない。このため、市場介入で
きずに自国通貨が暴落している。アイスランドも同様で、自国通貨
暴落に市場介入できずにいる。スイスもECB(ヨーロッパ中央銀
行)と通貨スワップを行うとしている。スイスも苦しい。

韓国ウォンは、外貨準備高を大量に使い、市場介入して英米ファン
ドのウォン売りを凌いで、反発させている。同じようにロシアもド
ル外貨準備高が大きく、市場介入を繰り返して、ルーブル下落に対
抗しているし、アイスランドを支援するという。また、経済強国の
中国は米国の求めに応じて、米国債を2000億ドル分買い入れて
外貨準備高を一層積み増している。

このように世界にドルで投機資金を提供してきたウォール街崩壊で、
投機資金の引上げが起こっている。そのため、ドルでの外貨準備高
が有効に生きている。数年前、ドル暴落で大きく価値が下がると思
われるドルでの外貨準備高を、新興国やEUはバカにしていたが、
このような事態になると、外貨準備がいかに重要であったかわかる
のである。
バカにしていた諸国の通貨が暴落して物価が急上昇することになり
、市民生活に大きな負担となっている。外貨準備高の大きな日本や
中国などはその意味では動じない。

そして、日本がIMF活用案を提案した。それは、IMFが日本や
中国の外貨準備したドルを発展途上国や新興国に貸し出す事業を行
うことであるが、それをIMFは実行に移すという。このように、
今後、世界の経済的な中心になるのは、日本や中国など金融的に余
裕があり、かつ民主化された信頼感のある国で、世界に向かって支
援ができる国に決まっている。

ロシアも世界経済覇権獲得に手を上げているが、資源開発を他国資
金で行い、その開発が終わった瞬間に取り上げるという信義なき行
為をする国を世界は信用しない、できない。世界の国は信義ない国
を世界の中心にするはずがない。このため、反米諸国の中心にいる
しかない。

中国も民主化ができずに、チベットや内モンゴルで少数民族を弾圧
している行為があり、世界は信用しない。

そして日本であるが、国民がモンロー主義に凝り固まっているため
に、世界的な経済覇権を好んでいない。むしろ、嫌がっている。
しかし、現時点、世界に信用があり、世界を救えるのは日本しかな
いのだ。

米国も、第1次大戦終了後、英国は世界覇権を持つには経済が弱すぎ
るために、米ウィルソン大統領に国際連盟に入り、中心的な役割を
演じてほしいと英国に懇願されたが、自国民の孤立的なモンロー主
義のために参加できず、このため、国際連盟は崩壊して第2次大戦
になる。戦後、米国しかなく世界の中心に座ったのだ。

この米国と同様な状態に、今の日本はあると見ている。
月曜日の有料版では、この歴史的な側面を見て、考察を深めたいと
思う。ご関心のある方は、有料版をお取りください。

さあ、どうなりましか??
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「新ブレトンウッズ体制構築を」 金融危機対応で英首相 
(nikkei)
 【ロンドン=石井一乗】ブラウン英首相は16日開いた欧州連合
(EU)首脳会議で、国際金融システムの改革を提案した。国際通
貨基金(IMF)の機能強化などが柱で、金融リスクのグローバル
化に伴う「新ブレトンウッズ体制」の構築を呼び掛けた。

 同首相は金融危機の拡大に伴って欧米主要国が実施した銀行への
資本注入や市場への流動性供給を「第1のステップ」と指摘。その上
で「第2のステップ」として世界規模での金融監督や規制の改革の
必要性を訴えた。各国の金融監督当局、会計基準審議会、格付け会
社、市場参加者などの迅速な対応を呼び掛けた。IMFについては
「監視機能の強化が必要だ」などと指摘。世界の関係機関が協力し
て世界経済における「早期警戒システム」を構築すべきだと強調し
た。 (12:03) 
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新興国など外貨準備が一転減少 金融危機でマネー流出
(nikkei)
 新興国などの外貨準備高が今年前半までの増加基調から一転して
減少している。世界の残高上位10カ国・地域のうち、ロシアが今年
8月のピークに比べて11%減ったほか、韓国やブラジル、日本など8
カ国・地域が減少に転じた。米国発の金融危機で新興国から投資マ
ネーが流出、自国通貨防衛のため自国通貨買い・ドル売りの為替介
入をしたことが主因だ。これらの国の外貨準備はなお潤沢だが、ア
イスランドが介入資金の不足で、為替介入を断念するなど自国通貨
の下落への対応に苦慮する国も出始めた。

 国際通貨基金(IMF)や各国の中央銀行によると、外貨準備上
位10カ国・地域のなかで、減少率が最大だったのはロシア。10月10
日時点の残高は5300億ドル(約53兆円)とピークの8月8日から、約
670億ドル減った。(07:00) 
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IMF、新興国に新融資 日中などの外貨準備活用
(nikkei)
 政府は、国内の金融危機への対応で財政難に陥った新興国などに
対し、日本などの外貨準備を使って支援する緊急融資制度を国際通
貨基金(IMF)につくるよう提案する。銀行への公的資金注入な
どで多額の財政資金が必要になる国への国際支援の枠組みを整備し
、世界的な金融危機の封じ込めをねらう。10日にワシントンで開く
7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で中川昭一財務・金融担当
相が提案、外貨準備が豊富な中国や中東産油国にも参加を促す。

 米国発の金融危機が欧州や新興国にも飛び火し、小国では国家規
模を上回るような金融機関への公的資金投入を迫られる例が出てい
る。(07:00)
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金融危機 米「緩和」一転「規制」へ 「レーガノミクス」曲がり
角10月17日8時1分配信 産経新聞


 【ワシントン=渡辺浩生】米政府が大手金融9社などに対する
2500億ドル(約25兆円)の公的資金注入に踏み切ったことで
、レーガン政権以来脈々と続いた規制緩和時代が曲がり角を迎えた
という見方が出ている。金融自由化で発展した高リスクの取引が、
結果的に金融システムを崩壊寸前に追い込み、空前の政府介入とい
う“揺り戻し”を招いたからだ。食品安全や温暖化対策など他の分
野へ規制強化の波が広がるとの指摘もある。

                   ◇

 今月13日午後3時、米財務省で「米史上最も重大な銀行家会合
」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)が招集された。ポール
ソン財務長官は集まった大手9社首脳に資本注入に関する文書を配
布した。

 受け入れれば、優先株を購入する政府に5%の配当支払いを義務
づけられる。「なぜ必要なのか」と問う首脳もいた。しかし、交渉
の余地はなく、長官はその場で署名を迫り、夕方には全員がサイン
した。

 ≪財務長官の大転換≫

 米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)以降、金融危機
解決の処方箋(せん)作りを主導してきた長官は資本注入を拒否し
、不良資産の買い取りに固執していた。

 「かつて望んだこともない政策」と悔しさをにじませた長官の大
転換は、同時に米国社会の重大な揺り戻しを意味した。「約30年
間、政治体制は規制緩和に傾斜し、新たな規制に抵抗してきた。
それが今、変わろうとしている」(米紙ニューヨーク・タイムズ)
のだ。

 1981年に就任したレーガン大統領は減税、財政支出削減と並
んで規制緩和を柱とした「レーガノミクス」を掲げ、金融、通信、
航空など各業界の大胆な規制撤廃を推し進めた。

 87年には、米連邦準備制度理事会(FRB)議長にグリーンス
パン氏が就任して金融市場自由化の旗振り役となる。規制緩和と競
争重視の自由市場主義は先代ブッシュ政権を経て民主党のクリント
ン政権で開花し、現ブッシュ政権へと受け継がれた。

 ところが、ウォール街の大手金融機関は緩やかな規制を逆手にと
って、高リスクのサブプライムローン関連商品に、手元資金の何倍
もの借入金を回す「レバレッジ(てこ)」投資にのめり込んだ。不
良資産が膨らみ、金融システム全体の機能停止を招いた。

 市場主義の牙城であるウォール街は政府を大株主として迎える結
果となった。短期収益追求のエンジンとなった役員の高報酬も制限
を受けることになる。米国流の経営思想や企業風土も見直しを迫ら
れる可能性がある。

 ≪新ニューディール≫

 今回の措置は「共和党政権が大恐慌以来の市場介入となる『新ニ
ューディール政策』を採用した」(米紙クリスチャン・サイエンス
モニター)に等しく、保守層の論客も「ブッシュ大統領が共和党の
あらゆる原則を放棄した」(ケイト研究所のニスカナン名誉理事長
)と衝撃を受けている。

 もっともブッシュ大統領自身が「私は本来、市場介入反対論者だ
が、今の市場はそれを許すような正常な状態ではない」と語るよう
に、自由市場の機能停止に対する非常措置であり、底流の規制緩和
に変わりはないという見方も少なくない。

 一方、公的資金注入は同時に「政府が金融システムをどの程度管
理するのか」(ウォールストリート・ジャーナル)という長年避け
てきた根源的な問いを政府に突きつけた。日本も90年代後半の大
手行への資本注入が金融監督庁(現・金融庁)発足に結びついた。
新監督機関の設置を含めた抜本的な金融改革の踏み台とするかは、
新政権に委ねられた格好だ。

 加えて、規制強化を容認する機運が「他の分野にも広がる可能性
がある」(ニューヨーク・タイムズ)。中国からの有害製品輸入で
問題化した食品安全管理制度や、ブッシュ政権が消極的だった温室
効果ガスの排出規制などで、政府の関与や責任強化の動きに弾みを
つける可能性があるという。

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