3082.デジタル言語を話すサル(1)



デジタル言語を話すサル(1)
得丸

 デズモンド・モリスは「裸のサル」の中で、自分たちを至高の存
在であると思っている人類は、実はあまたいる霊長類の中でただ一
種の裸のサルにすぎず、動物の本能に支配されて行動しているとい
うことを指摘した。普段から文明社会で暮らしていて、動物の生態
になじんでいない人間たち、つまり自分たちが 動物であるというこ
となど思ってもみたこともなかった人たちにとって、この指摘は
それなりに大きな衝撃をもたらしたと思われる。

 この指摘に対しては、我々は本当に動物の本能に支配されて行動
しているのか、人類ほど野蛮で暴力的な動物はいないではないか、
本能はそんな残虐なことを命じないだろうという批判も可能である。

 また、モリスは、なぜ人類が裸になったのかということについて
は、ネオテニー説と水中進化説を確かめることもなく紹介するのみ
であり、いつ、どこで、どのようにということについても言及して
いない。また、裸以外に人類を特徴づける言語についても、いつ、
どこで、 どのようにして獲得されたのかについて言及していない。

 そのおかげで、人類と動物を分け隔てる「失われた鎖(ミッシン
グ・リンク)」は謎の状態のままとなっており、人間存在の神秘性
は保たれ、人間は神の似姿としての自尊心を持ち続けて、なんの疑
問を感じることもないままに地球上で君臨していられるのだという
批判も可能である。


 私は最近8年間、衛星リモートセンシングと衛星通信のシステム
にかかわる仕事をしていて、その縁で地球規模海洋汚染と人類文明
の原罪について考える機会を得た。そして、人類学、考古学、言語
学、動物生態学、霊長類学から通信工学、情報理論や脳生理学、サ
イバネティックスについて興味のあるところだけかじってみた。

 また、学生時代から興味のあった南アフリカ共和国にも何度か足
を運び、2〜300万年前の人類化石の発掘現場と、6〜13万年
前の居住跡がある最古の現生人類遺跡クラシーズ河口洞窟の内部に
足を踏み入れた結果、ひとつの結論を得た。

 それは、およそ7万年前、南アフリカの洞窟の中で、きわめて通信
効率がよいデジタル符号言語を生み出して現生人類は生まれた。
人類の秘密は、言語のデジタル性にあった。人類の進化と文明の発展
(および暴走)をもたらしたのはデジタル言語だった、というものだ。

 デジタルとは何か、どこがどうデジタル言語なのかということに
ついては、後ほどくわしくご説明します。

 いっぽう人類が裸になったのは付随的な現象で、雨露をしのぐ
洞窟や家の中で暖房をし、衣服を着て生活するようになった結果、
文明環境の中でおきた退化現象にすぎない。
==============================
情緒の人、岡潔
皆様、

岡潔は、情緒の人というべきでしょうか。
情緒で数学の問題を解いた数学者。

ネットで検索してみると、なんと映画にもなっているのですね。

また、高知在住の市井の研究者が行なった講演もあるサイトに掲載
されていましたが、晩年の岡潔は、人間には二つの心があるといっ
ていたそうです。

「浅い心が第一の心、深い心が第二の心。浅い心は自己中心的な自
我意識、深い心は無私であり無意識の心、宗教というのは第二の心
をいろんな表現の仕方で表したものである」

これは、20世紀末に脳生理学が到達した地平、ポール・マクリーン
の「3つの脳の進化」と同じような話であり、すべての学問が同じ
ことを目指しているということをあらためて感じました。

得丸
−1−
http://plaza.rakuten.co.jp/buntarou/diary/200703290000/

『好人好日』 評価:☆☆☆☆

 岡潔について、小津安二郎が撮ることのできなかった『大根と人
参』(初老の男性二人の喧嘩話)の草案を考えている際に、その人
物像を造るのに、岡潔の著作『春宵十話』を参考にしたという。

 なんと言っても、笠智衆演じる主人公がとても良かった。
 晴れの日でも雨靴を履いていたり、喫茶店からいきなりウサギを
もらってきたり、お土産にもらった羊羹をその場で犬に食べさせて
しまったり等々、常識からちょっと外れた数学者の様子を、飄々と
いうか朴訥というか微笑ましく演じている。とくに、普段の顔の表
情が素晴らしかった。
 一番可笑しかったのは、喫茶店の息子とボクシングをするシーン
。そしてその後、隠れていたお寺で密かにボクシングの練習をして
いる姿は爆笑ものだった。
 ほかにも、娘の恋人の川津祐介とやりとりするシーンや、盗みに
入った泥棒に文化勲章をあげてしまってかつ相手の身を心配してし
まう様子など、何とも言えない味わいがある演技だ。

 同じく渋谷監督が撮った『酔っぱらい天国』における演技も大変
に良かったが、この映画の笠智衆は本当に生き生きとしていて、
それ以上かも知れない。少なくとも小津映画での固定されたイメー
ジを大きく変える、新たな笠智衆を知ることのできる映画だ。

 そして脇を支える役者たちがまたよかった。

 淡島千景も(メイク的にはもう少しやつれていた方が良かった気
もするが)風変わりな数学者の貧乏所帯を支える妻役を好演してい
たし、前年に映画デビューした岩下志麻(当時20歳)もたいへんに
可愛くて美しい。この娘が後に極妻になってしまうとは、ちょっと
想像できない感じである。
 翌年、小津監督『秋刀魚の味』で、笠と岩下はふたたび父娘にな
るわけだが、その対照的な姿と比べてみるのも一興だろう。

 ほかに、岩下の恋人の姉役の音羽信子(親族の家の間を行ったり
来たりするシーンも面白い)や、泥棒役の三木のり平(笠とのやり
とりは秀逸)、映画のストーリー的にはほとんど意味が無い役では
あるが、勲章を無くしたことにクレームを付けに来る菅井一郎(傲
慢な感じの役をやらせたら天下一品)や、妻の友人役の高峰三枝子
(これだけ笑い続けている姿は珍しいかも)等々、それぞれの持ち
味で映画の味わいを深くしている。まぁ、菅井と高峰の役所はもっ
と活かせた気もしないではないが。

 そして、当時の奈良の風景が鮮明なカラーでふんだんに映し出さ
れるのも、この映画の良いところ。また、ほかの映画にはまず登場
しない東大寺の大仏を見ることができる。

 音楽は渋谷映画常連の黛敏郎で、途中、テープレコーダーを使っ
た焼き芋屋の宣伝歌がgood。

 現代的なコメディセンスからはちょっとずれているだろうが、温
人情コメディとしてお薦め。

【あらすじ】
 奈良大学に勤める数学者の尾関等(笠智衆)は、連れ添って30年
の妻・節子(淡島千景)と、市役所に勤務する娘・登紀子(岩下志
麻)の三人暮らし。アメリカの大学からお呼びがかかるほどだった
が、数学以外の世事や金儲けにはまったく無関心で、家は貧乏暮ら
し、世間では変人で通っていた。
 登紀子と、その同僚の佐竹竜二(川津祐介)との縁談が進みはじ
めるが、尾関は面白くない様子で、墨屋の老舗である竜二の姉・美
津子(乙羽信子)も、登紀子が尾関夫妻の実の子でないと知って、
家の格式からあまり乗り気ではなかった。
 竜二は、尾関が近所の喫茶店に頻繁にテレビを見にいくことから
、ポータブル・テレビを持参するが、じつは家では制限されている
コーヒー目当てだった尾関は怒って突き返す。竜二も「クソジジイ
」と怒鳴り返すが、ちょうどその時、文化勲章受章の報せがもたら
された。50万円の年金がつくということで、夫婦で上京、学生時代
に住んでいたボロ下宿に泊まり込む。授与式の晩、宿に泥棒(三木
のり平)が忍びこみ、お金のない尾関は文化勲章をあげてしまう。
 奈良に帰ると、数々の祝賀会が待ち受けていた。勲章を見せるこ
とが出来ず、煩わしいことの嫌いな尾関は姿をくらましてしまう……。

『好人好日』
【製作年】1961年、日本
【製作】松竹(大船撮影所)
【監督】渋谷実
【原作】中野実
【脚本】松山善三、渋谷実
【撮影】長岡博之
【音楽】黛敏郎
【出演】笠智衆、淡島千景、岩下志麻、川津祐介、乙羽信子、
    北林谷栄、高峰三枝子、三木のり平 ほか

−2−
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/6251/kouen.html
「岡 潔 の生涯と思想」より

 1970年からは、人には二つの心がある。第一の心、第二の心があ
ることを提唱し始めた。浅い心が第一の心、深い心が第二の心。浅
い心は自己中心的な自我意識、深い心は無私であり無意識の心、宗
教というのは第二の心をいろんな表現の仕方で表したものである、
という風な言い方をされています。
 1972年には、第二の心をもっと深く探ると、その根底に「情」の
世界があるということになってくる。
 仏教の唯識論は、心を科学的に観るには最も適していると岡先生
は言っています。仏教とか儒教とかを今までの千数百年にわたり日
本人は奉ってきたでしょう、だから、どうしても東洋の知恵は素晴
らしいと思ってしまうのですが、われわれが10識に気がつけば、心
の回転がよくなるのです。(図解参照)
 仏教は深い心(第二の心)の知と意を教えているのです。釈迦が
こう言ったというので無理矢理やっても力が入らない。何故かとい
えば「情」がわかっていないからです。心は真情であることがわか
って初めて知恵や文字が実践に生かされるのです。そのためには10
識を日本人が自覚しなければいけないのです。
 

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/6251/index.html




コラム目次に戻る
トップページに戻る