3077.海外思想の日本化で世界の範に



論語などの海外思想はそのまま、日本は受け入れていない。日本化
して日本社会を発展させてきた。その世界展開が日本の役割になる。
                 Fより

日本は仏教国でもあり、神道国でもある。これを海外で説明するこ
とは難しい。大和朝廷が中国文化を入れる時に、同時に中国仏教を
も入れたが、6世紀当時、支配階級の内部政争ともなった。しかし、
この当時の庶民の宗教とは関係なく導入した。中国でも仏教は儒教
や道教の影響を受けていたが、日本でも神道と徐々に混合して日本
化していく。、鎌倉時代になってやっと、日本化が完成する。

これと同じで、中国の論語は、「孝」が一番重要な道徳項目である
が、江戸時代の論語解説では「忠」が一番重要な道徳項目になって
いる。海外から宗教でも思想でも持ってくるが、最終的には日本化
がされている。

論語、近思録などの中国思想の完成とは、倫理に基づいた統治思想
の完成であり、それは江戸時代の江戸幕府の仕組みであると思う。
国民をどう平等にして軋轢を無くし、皆がそれぞれに満足するかを
徳川家康が考えたことであり、その仕組みが江戸時代の社会的な仕
組みになっている。日本的な社会システムの完成形であった。

江戸の社会的な仕組みは、権威、権力、富を1つの階級に集中しな
いようになっていた。権威は貴族、権力は武士、富は町人にあり、
農村は村請制度で、農民が自ら自治を確保していた。町人も町請制
度で自治が拡大している。このため、江戸を統括する奉行所の人数
は300名程度で済んでいる。

警察官がいないので、商人も倫理的に商売をしないと、町人たちに
暴動を起こされて、店を破壊される恐れがあり、儲けに走らず無理
をしない。

明治以後、日本は欧米文化を取り入れたが、その日本化が進んでき
たように感じる。製造業を英米は捨てたが、その製造業を日本化し
たのが、カイゼンである。1つ1つ丹念に積み上げていく改善で、
生産工程の省力化を行い、TOCなど新しい経営理論が出てくると
、それを組み込んだセル生産システムを作ることで、日本は世界的
な工場システムを完成して、そのシステムを世界にばら撒いている。

江戸時代に道頓堀でおこなっていた米の先物相場を見て、イギリス
で始めたのが先物取引であるが、最先端の理論で武装したデリバテ
ィブが破綻して、米英金融システムは崩壊した。そして、金持ちが
富も権威も権力も持つという米英社会システムの崩壊でもあるのだ。

欧米は、金融システムを正常に戻すために規制強化になり、企業の
CPもFRBが買うということになると、米国は社会主義的になる。
この結果は、金持ちを規制することになる。国民全員の幸福のため
にしか、政府の金を使えないことになる。

江戸幕府の仕組みを参考にした相互牽制が掛かる資本主義に戻すこ
とである。国民全員の満足感が一様に等しい社会システムをどう構
築するか、世界に範を示すのが日本の責務になる。


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