3070.金融覇権の移動先は



米国の金融安定化法案が成立したが、その効果は限定的であり、
世界の経済的な中心地が移動する。その検討。   Fより

米国の下院で金融安定化法が成立した。これにより、金融機関の損
失が確定する方向になった。しかし、証券化商品の価格付けができ
るのかどうか、まだわからない。同時に米銀大手ワコビアをウェル
ズ・ファーゴが買収するという。

もう1つ、米国の景気後退がハッキリしてきた。9月の米雇用は、
15万9000人の減になり、2003年3月の21万2000人減以来、5年半ぶり
の大幅な落ち込みとなった。金融危機は実体経済に波及し、雇用に
も悪影響が及び始めている。自動車販売台数の大きく落ち込みも、
30%近い落ち込みを記録している。

このような状況で、日本企業や日本の銀行、そして、バフェットさ
んなどは積極的に米企業に投資している。世界の3大証券市場は、
ニューヨーク、東京、ロンドンであるが、ニューヨークとロンドン
の証券業界やファンドは大きな損失を抱えて、身動きができない。
それに比べて、日本の証券最大手である野村は、この時とばかりに
米英企業に投資している。

円、ドル、ユーロの3通貨が現時点では強いし、取引量も多し、市
場の実勢に合わせている。中国の元は国が管理しているためにメイ
ン通貨には、まだなることができない。

世界が元を信用していない。中国やロシアは市場化、民主化ができ
ていないために、企業の投資ができない。リスクがあると思われて
いる。

しかし、世界経済フォーラムのレポートによると、世界経済の中心
が人口が密集し高成長を続ける新興国にシフトするという。インド
と中国のことであるが、その2ケ国は、まだマーケットが小さいた
めに覇権を狙うことはできない。また、米英ファンドが資金の引き
上げを行っているので、株価も不動産も暴落している。

残る選択肢は日本であるが、日本人に、その覚悟があるのであろう
か?
世界の問題を解決するために、日本は本当に国民合意で飛び込める
のかと米国や世界から問われているようだ。
インド洋の給油もいやだ、アフガン派遣もいやと言う事になると米
国や世界から資格なしと言われることになる。

米国の覇権をだれが引き継ぐのか、非常に心配な状態である。この
まま米国が世界の問題から自国の金融問題にシフトすると、世界の
混乱を制御できずに、当分、暗黒化してしまうことになる。

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米、金融安定化法が成立 下院が修正案可決、大統領署名 
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】米下院は3日午後(日本時間4日未明)
の本会議で、最大7000億ドル(約73兆円)の公的資金で金融機関か
ら不良資産を買い取ることなどを柱とする緊急経済安定化法案(金
融安定化法案)の修正案を賛成多数で可決した。上院は1日に同修正
案を可決済み。ブッシュ米大統領は速やかに署名し、同法は成立し
た。 

 米国発の金融危機の封じ込めへ、過去最大の税金を投入する金融
安定化対策が動き出す。ただ不良資産の買い取り価格など不透明な
部分が残っており、売却に伴う損失の処理で金融機関の自己資本が
不足する恐れもある。金融危機が収まるか、なおハードルは多い。 

 投票結果は賛成263、反対171だった。下院は9月29日、当初法案
を共和党を中心とした反対で否決。世界同時株安の引き金となり、
金融市場の動揺を招いた。修正案に預金者保護の拡充などを盛り込
んだことで一転して賛成が優勢となった。 (04:15)

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米銀大手ワコビア、ウェルズ・ファーゴが買収 1.6兆円 
(nikkei)
 【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀ウェルズ・ファーゴは3日、
経営危機に陥っていた米大手銀ワコビアを株式交換を用いて151億ド
ル(約1兆6000億円)で買収すると発表した。ワコビアは政府が一定
額以上の損失を補てんする条件で米大手銀シティグループへの銀行
業売却を決めていたが、これを撤回。全社買収を提案し、政府支援
なしで条件の良いウェルズの提案を受け入れることに決めた。 

 総資産規模1兆4210億ドル(約150兆円)、店舗数約1万の巨大金融
機関が誕生する。預金量ではシティなどに匹敵する規模となる。ワ
コビア株1株に対して、ウェルズ株0.1991株を割り当てる。また、ウ
ェルズはワコビアが抱える不良資産の切り離しや政府支援を求めな
い。 (03日 23:00)
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9月の米雇用、15万9000人減 失業率6.1%、金融危機波及
(nikkei) 
 【ワシントン=大隅隆】米労働省が3日発表した9月の雇用統計
(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は15万9000人減
少し、9カ月連続で悪化した。2003年3月の21万2000人減以来、5年
半ぶりの大幅な落ち込みとなった。失業率(軍人を除く)は前月と
同じ6.1%だった。金融危機は実体経済に波及し、雇用にも悪影響が
及び始めている。

 市場予測の平均は雇用者数が10万1000人減、失業率が6.1%だっ
た。米雇用情勢の悪化は、内需低迷に加え貸し渋りが深刻化するな
かで企業の雇用調整が加速していることを示しており、景気後退懸
念が強まりそうだ。 (23:05) 
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世界経済の中心が新興国にシフト:WEFレポート
2008年10月03日 16:56ibtime

 世界経済フォーラム(World Economic Forum、WEF)のレポートによ
ると、世界経済の中心が、人口が密集し高成長を続ける新興国にシ
フトするという。 

 WEFのレポート「Global Growth@Risk 2008」によると、アメリカ
経済低迷の影響を受けていない新興国の経済の見通しは明るく、一
方低所得国は国内市場の成長率低下、賃上げの圧力、社会的・経済
的な不安定状態の影響でインフレのリスクが拡大しているという。 

 また「最大の新興国である中国やインドの国内消費は凄まじい勢
いで成長している。これらの国では生産性が改善されつつあり、
また様々な国々と貿易関係を構築することでアメリカ依存体制から
脱却しつつある」としている。 

 IMF(国際通貨基金)は、2009年にもほぼ全ての新興国の経済が成長
するとしており、中国経済は10%、インドは8%成長すると予測してい
る。 


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