3048.日本の特徴とその針路



自民党総裁選挙も始まり、衆議院選挙が続いてくる。日本の針路を
議論する必要が選挙時にある。その針路を検討しよう。  Fより

このコラムでは、日本文化の特徴とその歴史的な経緯を見てきた。
日本文化は、働くことに価値を持ち、労働を人生修行と位置づけて
いる。労働をイヤなものという欧米諸国の概念とは大きく違う。

日本の自然との調和も南方系文化で、物部氏が江南の民で南方系の
人たちでその系列の藤原氏が北方系の葛城氏に勝ったことでできた
文化なのである。

この両者の文化が混合したのが日本語である。日本語は北方系の文
法体系に、江南の民や縄文人の言葉が合わさりできた。北方系言語
の韓国語より母音数が少なくして発音がしやすくした。語彙的には
江南の民たちが逃げ延びたベトナムやブータンなどに近い。

このように、日本の文化は諸外国に比べて、大きな特徴がある。
グローバル化した世界では、文化的な差異が重要な武器になる。日
本企業が世界で工場を展開しているが、その基礎的な考えは、工場
は神聖な場所、修行の場であるという精神的な思いが出ている。
整理・整頓・清掃などの基本は神聖な場であるという思いを具体的
な言葉にしただけなのだ。

その3Sが世界的に通用してきた。日本の文化を世界が受容できる
環境が徐々に整ってきたのだ。このコラムでは拡大日本と言ってき
た。やっと、企業の経営者たちも世界を視野に入れる必要を認めて
きたようだ。

日本の使命は世界に労働という価値を伝達することと、自然との調
和が重要であるということを伝達することである。この2つの価値
の基礎には平和であることが重要になる。聖徳太子は葛城系と物部
氏系の争いを静めるために17ケ条の憲法を作る必要があったのだ。
そして、和を第一の価値としたのだ。

このような日本の良さと使命を最大限に果たすことができる日本を
つくることである。それが目標である。

そして、選挙であるので日本のことも重要である。
日本国民全員が修行できるように労働する場を確保するのが政府の
第一の役割だ。高齢者も含めて働ける人たちは健康でいるかぎり、
仕事ができる環境を作ることである。これだけで年金不足問題の多
くがなくなるし、健康で居られる期間が延びる。

そして、日本は一部の能力ある人たちで日本の国を支えるというよ
り、国民全員が黙々と労働という修行を行い、その成果を均等に分
ける社会にするべきである。江戸時代は権力を三分割していた。財
力は商人が持ち、権力は武士が持ち、権威は貴族が持つ。この3つ
を同時に持たせない工夫を日本はしてきた。

このため、高額所得者の大幅な減税はおかしい。GDPが1990
年と同様であるのに、税収が10兆円も少ない。これは高額所得者
の税率を引き下げたからだ。これの最高税率を80%程度に引き上
げると8兆円程度の税収UPになる。これで、税収がある程度確保
できるし、道路財源の一般税化もする。道路を作ることより、徐々
に維持補修が重要になっている。これを補助し、必要なLRTなど
新交通に補助金を出すことである。

だんだん日本から工場がなくなり不安定で低賃金の仕事が多くなっ
てきた。この不安定な仕事は諸外国の企業と比べて、コスト競争力
を高めるために必要なのである。日雇い労働は昔からあった。それ
を無理に無くすことは難しいし、企業が存続できなくなる。政治家
・官僚が経済を壊している。これが、また新しい官製不況にする。
そして、日雇い労働者からも職場を奪い、この人たちの職場は無く
なる。死に追いやることになる。どうして簡単な事実が分からない
のか不思議である。

論語などの素養がない人たちが政治を取り始めてから、長い歴史か
らのいろいろな教訓がなくなり、非常に表面的な改革を行うように
なっている。欧米が文化的に高度になった後の歴史は非常に短いが
、中国の長い高度文化から出た倫理や規範は価値がある。しかし、
現在の中国は共産主義時代に過去の文化遺産を捨てている。このた
め、世界的な論語学者は日本やモンゴルにしかいない。

今流行のデリバティブも江戸時代に米の先物相場を見て、英国で導
入したのだ。中国の論語は江戸時代に日本化して、日本版論語にし
ている。この解説を山本七平がおこなっている。それがもう1つの
日本の強みであったが、戦後教育でその強みがなくなっている。こ
の頃の政策を見ると欧米の低い文化から出た政策を真似しているが
、それは将来に大きな禍根を残すことになる。

構造改革は必要である。それは世界全体の役割が大きく変化してい
るためで、特に欧米の覇権や優位性がなくなってきたことで、新し
い世界秩序を作る必要があり、かつ世界の工場が中国やベトナム、
バングラディシュなどに移行しているからである。日本はどういう
役割を果たすのかを明確にして、それにまい進する体制を作ること
である。
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