3038.ピークオイルと人類の運命 Gen



ピークオイルと人類の運命 Gen
                   
                    平成20年(2008)8月30日(土)
                   「地球に謙虚に運動」代表 仲津 英治
残暑お見舞い申し上げます。
今年は、気候変動という言葉に納得感を覚える日本の夏の天候状態ですね。

今日は、原油生産の頭打ちに直面する人類が、それにより起こり得る事態と、いかに
対応していくべきかという課題を総合的かつ体系的に解り易く解説しているテキスト
をご紹介したいと思います。
 最近ご縁を得て入会しました、「もったいない学会」石井吉徳会長からの貴重な下記
の情報です。

以下石井会長より
カナダ人Robert Beriault氏が同国民を対象に総合的に解説した、題:「ピークオイル
と人類の運命」です。 

 全部通してご覧になるとようでしょう。イースター島の解説なども優れています。
 元々は、5カ国語です。
 
 日本語は、日本に帰化されたアメリカ企業人、(株)アシスト社長ビル・トッテンさん
の訳です。
石井吉徳
東京大学名誉教授
元国立環境研究所所長
NPO法人「もったいない学会」会長




仲津が、自分なりパワーポイントを見て僭越ながら各章をキーワード&文章で以下に纏
めてみました。御参考になれば、幸甚です。

ピークオイルと人類の運命
第1章	石油ー技術文明の源泉
  我々の衣食住と経済社会はエネルギー無しでは成り立たない。中でも石油は一番重
  要な位置を占めている。
第2章	石油生産は何時ピークになるか?
  確実には何時とは言い切れない。しかし既に来たか、来つつあるという状況証拠を
  示す。
第3章	石油減少がもたらすもの
  石油価格の上昇→あらゆる物価の上昇→生活の切詰め→商品&サービスの売上げ減
  少→企業の倒産→失業者の増大→社会不安→治安悪化
第4章	A その他の再生不可能エネルギー資源
  天然ガス;石油ピークの後、10年でピーク。
石炭;豊富にあるが、公害を生じ、炭鉱では事故が多い。石炭の液化は返ってエネ
ルギーを食う。輸送には使い難い。
タールサンド(重質の油を含んだ砂);石油にするために沢山のエネルギーと水を
消費。

メタンハイドレード(メタンカスの固形物);深海にあり、取り出すのに大量のエ
ネルギーを消費。メタンガスは強力な温室効果ガス。
原子力発電;炭酸ガスを出さないが、建設、維持、閉鎖に膨大な経費。核廃棄物が
何万年の残る問題など
第4章	B 再生可能エネルギーは救いになるか?
  水素;クリーンで自然エネルギーから作れる。しかし自然に存在せず製造コストが
     高く、保管、輸送に難。変換効率が低く、蒸発するのでロスも多い。
  エタノール(エチルアルコール);原料の穀物を作るために膨大な面積。エネルギ
     ー効率が低い。
  太陽光発電;クリーンで無限大のエネルギー源だが、膨大な面積を必要。高価。輸
     送には使えない。不安定。エネルギー効率が低い。余剰電力の転換は困難か
     効率が低い。
  風力発電;クリーンで無限大のエネルギー源。可能性が大。しかし不安定。バック
     アップ発電には化石燃料が必要?余剰電力の転換は困難か効率が低い。

  仲津 英治;この章の内容はいささか同意しかねる見解ですが。

第5章	イースター島の運命
  南米チリ沖3500キロの絶海の孤島。面積160平方キロ、亜熱帯の森林豊富な楽園だ
  った。
  西暦500年頃、ポリネシア人100人以下が漂着。
  椰子の木などで家と舟を作り、農耕とイルカ漁で生活。人口暫増加1000年で1―2
  万人。 
  宗教行事&モアイ石像作りに狂奔。森を刈り切る。表土流出→農耕困難。家、舟も喪
  失。
  人口急減。1722年オランダ人が来訪時人口3000人。19世紀には111人のみの人口。
  環境容量を完全にオーバーした実例。
第6章	現代社会と比べてみよう。
  イースター島と現代の相似点;高層ビルラッシュ。モアモア教=消費は美徳。人口
  増大。森林伐採→農地の減退、穀物生産ピーク、水資源の不足。高性能漁船で乱獲。
第7章	いかにして成長が成長をあおるか。
  複利計算と指数関数的増加;10年で倍は、100年で1000倍を意味する。
  人口も指数関数的増加;毎年1%の人口増加→100年で3倍、200年で9倍、300年で
  27倍。  そして環境容量を超える→人口の急減 
第8章	どうしてこの始末になってしまったか。
  I=T*A*P
  I=Impact  影響;環境への影響
  T=Technology 技術;テレビ等を作る資源、包装、輸送、使用電気、廃棄を考えよ
  う。
  A=Affluence   豊かさ;テレビ等が所得に対し相対的に安くなる。
  P=Population  人口;テレビを見る人口の増加。大衆化。

  環境への影響;土壌の侵食、水質汚染、生物多様性の損失、植物の受精を助ける生
  物たちの死、森林伐採、環境汚染、大気汚染。
第9章	我々にできること
  個人レベル;生き残り計画を立て、実行に移す。
  地域レベル;コミュニテイー作り、人間関係作りに努める。
  自治体レベル;自治体議員を知り、議会を傍聴する。成長拡大路線にブレーキを掛
        ける。
  カナダ政府;カナダを安全地帯にする。文明の維持。資源の国内活用。産業の国内
        化。移民受入れ抑制。人口固定化。適正人口計画。鉄道の復活など
  世界レベル;再生可能エネルギー、エネルギー消費減に力点。それぞれ自給自足、国
        家間経済の繋がりを断ち切る。  
第10章	結論
  自然の生む利子の中で生きる。
  カナダを安全地帯の一つにするなど。

 仲津印象;後者の結論は相当熟慮された後でのいささか利己的結論のようですが、石油
ピークが到来し、エネルギー価格などあらゆる物が、高騰し、資源不足になってくれば、
それぞれの国々が囲い込み政策を取るようになりましょう。他国民を助ける方向に動く国は
皆無かも知れません。そのとき日本と日本人は、自らの力で生き残る手段を取らざるを得なく
なるのではないですか?皆様如何でしょう。
                             以上
「地球に謙虚に」運動代表
 仲津 英治


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