3035.日本の針路について



日本の政治が方針を出せないでいる。この方針を検討しよう。
                       Fより

自民党は、昔は田舎政党と言われて、都市住民からの票より田舎の
農家からの票を大事にしていた。しかし、どんどん、人口が都市に
移り、人口減少になり、大多数の都市住民から不満の声が出て、
かつ、財政が逼迫したことで、建て直しを迫れられた。

ここに出てきたのが小泉元首相である。自民党を都市政党に作り変
え、都市の票で政権政党に留まろうとした。このため、地方の公共
工事を削減して、都市の作り変えに財源を回した。このことと中国
に仕事を取られたと思い右傾化した都市住民から支持されて、衆議
院で2/3の議席を獲得できた。衆議院は小選挙区制度であり都市
住民の意向が出やすい選挙制度であることも作用している。

しかし、参議院選挙は中選挙区制度のままなことで、田舎政党の方
が有利にできている。このため、小泉元首相も苦戦することが多か
った。このため、田舎切捨てと思われた安部前首相は大敗を喫する
ことになる。民主党の代表になった小沢一郎は、自民党の弱点にな
った農村政策に大胆な政策を打ち出して、田舎を味方につけたのだ。

ここで、福田首相は再度、田舎政党になる方向も模索しながら、都
市政党でもあるという中途半端な政策が続き、都市住民からも農村
からも見放されようとしている。公明党は都市政党であるが、その
支持者たちからも自民党の政策を批判されている。メディアに叩か
れると現場調査をせずに官僚の作文で、現場をよく知る人たちの意
見が全然、反映されていない政策が打ち出されている。

たとえば、日雇い労働者問題でも、メディアに叩かれて悪い部分と
この制度ができる前より良い部分とを切り分けて、悪い部分を是正
するという考え方を取らずに、何もわからない調査をするわけでも
ないメディアが廃止と騒ぐと無批判に廃止とする政策を打ち出す。

後期高齢者医療問題も同じ構図である。官僚にいい顔をする先生た
ちを使い、何でもメディアの言うことと同じ政策を決めていくこと
で問題を多面的に見ないことになる。このため、施行後に有権者か
ら批判を浴びて、選挙では自民党だけは入れないと言わせることに
なる。高齢者は選挙に行く確率が高いが、都市に住む年金生活の高
齢者を敵にした自民党は、都市部でも得票を期待できない事態にな
っている。

小泉さんと福田さんの性格や都市と農村の選挙区の違いでその意見
が違うのでしょうが、改革と反改革はあまりにも印象がよくない。
農耕民族の南方民族と商業狩人の北方民族の2つの民族の混合でで
きた日本民族は大きくその政策が振れ易い。

しかし、現時点、米国の没落と中国・ロシアの成長などで、世界的
な混乱があり、日本の針路が世界平和にとって重要な岐路になって
いる。この件はいろいろとこのコラムで議論している。
日本文化は世界的にも稀な南方民族の文化と北方民族の文化が融合
して、奥深い文化を形作っている。

この文化を持った日本は世界に製造工場を立て、1つ1つ改善をし
て地道に働くことが重要で人生の修行であるという教え(思想)を
布教しているのだ。密教の宗教思想から人生の教えにした石田梅岩
の石門心学が根底にあることで、日本は世界から注目されている。

拡大日本を行うべきであると、このコラムでは述べてきた。それが
やっと企業経営者たちも分かってきたようだ。
日本の政治も、そろそろ、南方、北方の両文化が融合した政治手法
を確立するべき時ではないと見ている。

基本は、資源や農業と国民平等の社会を作ることである。この目標
を立てて、後は世界に目を向けてやっていくことである。高額所得
者の税金を減税したのは間違いである。税金の分配で平等社会を作
るべきで、もしいやなら、高額所得者が日本から出て行くのも仕方
がない。その代わり、企業税はあまり大きくする必要がない。海外
で儲けた資金を日本に持ち帰れることが重要である。

これにより、所得配分を平等方向にできる。フリータや高齢者対策
は高額所得者からの税金を回すことと消費税で賄うことである。
日本の良さは勤勉な国民が勤勉に仕事をすることで支えてきた。欧
米・中国のような一部のすごく頭のいい人が稼ぐのでなく、1つ1
つ地道に調査し、研究する人たちで日本の優位性は確保されている
のだ。

中国や台湾の会社と仕事すると分かるが、優秀な社員は2年程度で
会社を辞めて、次の会社に勤めるか自分の会社を起こしている。
そして、ノウハウを同じ会社の同僚に教えない。このため、退職し
た後、少し改良してほしい点があると、1から設計し直しになる。

ノウハウの蓄積ができない欠点を持っている。このことは米国との
仕事でも感じたことであるが、より強く中国と台湾の仕事でも感じ
ている。日本の資質は、全員が平等であり、経営者でもあまりたく
さん給与をもらっていないことで、安心して働ける環境があるから
できることである。

農産物が高騰して日本も慌てたが、欧州でも米国でも農家への補助
金は多く、その分、農産物は安い。農家の収入は国家補助+農産物
となり、生活ができることになっている。日本の農家は世襲制度で
あるが、これは国の資金を使うので公平性原則からやめるべきであ
る。企業も農家ができるような法改正が必要である。農産物の自給
率を60%程度にして、欧米の暮らしは馬鹿高いようにして、日本
型の食生活に仕向けることである。現在の価格の1/3にして米中
心の生活が一番安いようにする。他の食物には安全基準を日本独自
にして、非関税障壁を設ける。ようするに欧州農業政策を輸入する
ことである。


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