米国金融不安が一段と鮮明になっている。その検討。 Fより 中国銀行が、ファニーとフレディ債の保有を29%減らした。米国の ポールソン財務長官は救済があるとしていたが、救済法案が成立し てから、一転して公的資金の投入を渋っている。これは、もし、公 的資金を投入するなら、優先株の発行となり既存株主が大きな損失 になることで、この既存株主である金融機関が大きな損失に繋がり 、損失拡大になるためである。 しかし、公的資金を投入しないと世界にばら撒かれた5兆ドルの公 社債が売られて、暴落することになる。公社債が売られるとドル暴 落に結びつくことになる。世界の外貨準備高に占めるドルの比率も 下がっている。米国金融行政は難しい局面に立たされている。日本 のバブル崩壊ではこのような債券の世界的なばら撒きがなかったこ とで、世界的な影響を考えることなく、公的資金を大量に投入でき た。米国は世界的な影響を考える必要があり、その分難しいことに なる。 米国FRBや米財務省は、日本の茂木敏充金融相を呼びつけて、日 本の銀行が、中国銀行のような公社債の保有を削減するようなこと がないように指導をしてほしいと依頼された。その理由として、2 公社の債券は安全であり、必要な場合は公的資金も投入するとして いる。しかし、説明と違い、現時点でポールソン財務長官は公的資 金投入を渋っている。 もう1つ、つい最近、日本の三菱UFJ銀行が地方銀行を買収した。 しかし、地方銀行は住宅ローンの行き詰まりでどこも苦しい。それ を高値で買収し、しかも15%も米株主から吊り上げられている。 この資金を確保するために新規の債券も発行している。 その後、リコーなども米国の企業を買収したが、まだ米国景気は底 ではない。こう少し待てば、より低価格で買収できるはずである。 米銀行が企業への貸出しを渋っている。このため企業倒産に歯止め かからず、7月には5600件と急増している。そして、米企業倒産、 住宅ローン焦げ付きで、4―6月期に計上した貸倒引当金が過去最大 規模となる501億5100万ドルと前年同期の4.4倍に拡大した。 そして、6月に実施した戻し減税の効果が、今後なくなり、消費が 一層冷え込むことが見えている。この状態で11月に米大統領選挙 になる。本来なら、オバマ民主党候補なのかもしれないが、グルシ ア問題で、マケイン共和党候補になる可能性も出てきている。この 大統領選挙を控えて、あまり大胆な政策をブッシュ大統領は打てな い。 オバマが大統領になると、大きな政府政策になり、米国が内向きに なり、経済も内向きになる。マケインになると小さな政府で、戦争 経済になる。どちらにしても、米国は大変なことになる。 そして、それまでの米景気は、現時点では消費者の購買と海外の新 興国の販売でプラスになっているが、消費者の購買が落ち、敵対国 になったロシアや五輪後の経済が低調な中国などの新興国の成長が 止まり、米国経済も景気後退になる。 そして、日本も同様に景気後退が益々、鮮明になってくることにな る。さあ、どうなりますか?? ============================== 中国銀行:ファニーとフレディ債の保有29%減らす-保証MBSは22 %減 8月29日(ブルームバーグ):中国の銀行大手、中国銀行は米住宅 金融投資会社ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック (連邦住宅貸付抵当公社)の社債(連邦機関債)の保有を過去2カ 月に29%減らした。両社の損失拡大や米政府による救済憶測のなか で保有高を圧縮した。 中国銀行が決算とともに発表したところによると、同行は6月 30日−8月 25日の間にファニーメイ・フレディマック債の保有を 約31億4000万ドル減らして75億ドルとした。両社が保証する住宅ロ ーン担保証券(MBS)は22%減らし51億7000万ドル相当とした。 米財務省はファニーメイとフレディマックの財務状況が悪化し た場合は支援することを表明しているが、アジアの投資家は両社へ の慎重姿勢を強めている。米資産運用会社ルーミス・セイレスのダ ニエル・ファス副会長は今週、海外投資家は「信用への懸念から投 資を手控えている」と指摘していた。 ============================== 米政府系住宅金融問題で日米連携へ 8月29日15時48分配信 産経新聞 訪米した茂木敏充金融担当相は28日、ワシントンでバーナンキ 米連邦準備制度理事会(FRB)議長、コックス証券取引委員会 (SEC)委員長と、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプラ イムローン)問題などをめぐって会談。終了後の会見で、金融相は 経営不安が続く米政府系住宅金融会社問題で、日米で緊密に情報交 換して連携をとることで意見が一致したことを明らかにした。 (ワシントン 渡辺浩生) ============================== 米住宅公社問題「必要策すべてとる」 FRB議長ら、金融相と会談 (nikkei) 【ワシントン=藤井一明】訪米中の茂木敏充金融担当相は28日、 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長、米証券取引委員会 (SEC)のコックス委員長と相次いで会談した。経営を危ぶむ声 が広がる米住宅公社への対応が話題となり、米側は公的資金による 資本注入の枠組みも念頭に「必要な措置をすべてとる」と表明した。 金融相が会談後、記者団に明らかにした。バーナンキ議長、コッ クス委員長の個別の発言は明かさなかったが、2人は金融相に対し 「米国政府の一致した見解として(住宅公社が)米国のこれからの 不動産市況、住宅ローンの市場を考えたときに不可欠な存在」と伝 え、公社の存在意義をそろって強調したという。 米側は「議会から無条件の支援策も与えられている」と指摘。米 連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フ レディマック)の2社を対象として、緊急時の資本注入を含めた救済 策を実施する構えを示した。(12:30) ============================== 米倒産、歯止めかからず 7月5600件に急増、3年ぶり高水準 (nikkei) 【ニューヨーク=杉本晶子】米企業の倒産ペースが加速している 。7月の倒産件数は前年同月比57%増の5664件と、法的整理の条件が 厳しくなった 2005年10月以降、単月として過去最高だった。個人消 費の冷え込みを映し、小売り、外食企業の倒産が目立つ。8月に入っ ても住宅、自動車関連の不況業種の倒産が続出。金融機関が融資基 準を厳しくしていることもあり、当面は倒産件数が高止まりすると の見方が支配的だ。 企業が裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)や 清算などを申請した件数を、米民間調査会社ジュピター・イーソー シズがまとめた。7月の倒産件数は直近のピークだった5月(5319件 )を上回り、3年ぶりの高水準。倒産件数は年初は月4000件台で推移 していたが、ガソリン高による個人消費の伸び悩みや住宅公社の経 営問題を受けた信用収縮を背景に件数は増加傾向にある。(09:32) ============================== 米銀の不良債権処理、4.4倍500億ドル 4―6月、「問題行」倍増 (nikkei) 【ニューヨーク=松浦肇】米金融機関が不良債権処理を急いでい る。米連邦預金保険公社(FDIC)は26日、全米の商業銀行と貯 蓄金融機関が 4―6月期に計上した貸倒引当金が過去最大規模となる 501億5100万ドルと前年同期の4.4倍に拡大したと発表した。信用力 の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が深刻化し、 住宅ローンを中心に貸出債権の焦げ付きが膨らんだ。 FDICに預金保険料を支払い、預金保険の適用対象となってい る金融機関は全米で8451ある。そのうち、資本や流動性が不足し、 経営の健全性の観点から「問題リスト」に入った金融機関は6月末時 点で117行と前年同月比で倍増し、2003年半ば以来の高水準に達した 。対象となっている銀行の資産は780億ドル(うち320億ドルは7月に 破綻申請済み)と、同3倍に増加した。 FDICのベアー総裁は「信用問題が悪化し問題銀行とその資産 額が増える」とし、将来的な金融機関の破綻増に対して警戒感をに じませた。 (11:05) ============================== 米で企業向け融資減少 FRB統計、信用収縮響く (nikkei) 【ワシントン=米山雄介】米金融機関の企業向け融資が減少して いる。米連邦準備理事会(FRB)の週次統計によると、米銀や外 国銀行の米国内支店の商業・産業向け融資残高(季節調整済み)は 13日時点で合計1兆5159億ドル(166兆7000億円)となり、1週間で20 億ドル減少した。景気減速に加え、金融機関の資本不足懸念を背景 とした信用収縮が響いた可能性がある。 企業向け融資残高は7月30日時点の1兆5195億ドルを直近のピーク に減少が続いている。この間の減少幅は36億ドル、0.2%。信用力の 低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の深刻化で米景 気が減速するなか、企業向け融資残高は年初から7月まで増え続けて きたが、8月は頭打ちとなる公算が大きい。(07:00) ============================== 外貨準備、ドル比率最低に 世界の合計3月末63% IMF調べ (nikkei) 【ニューヨーク=山下茂行】世界の外貨準備に占める米ドルの比 率の低下が止まらない。国際通貨基金(IMF)の調べでは3月末時 点で、各国金融当局が保有する外貨準備のうち米ドルの占める比率 は63%と、1999年のユーロ発足以来で最低となった。ユーロ台頭に 加え、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題 をきっかけに、米経済力を象徴してきたドルの基軸通貨としての立 場は浸食されつつある。 IMFによると、外貨準備のうちで通貨構成が確認されているの は米ドル換算で合計約4兆3200億ドル(約475兆円)。このうち米ド ルで保有されているのは約2兆7200億ドルで、その比率63%は、昨年 末に比べ1ポイント減少した。 (09:27)