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 求められる革命的技術革新
                     平成20年(2008)8月25日(月)
 「地球に謙虚に運動」代表
                       仲津 英治
 遂に企業別炭酸ガス排出量がマスコミに取り上げられました。平成20年(2008)7
月12日の週間東洋経済が、「地球は本当に危ないか?」と題して環境特集号を
組んだのです。その中で将来負債リスクの多い会社として炭酸ガス排出量の上
位100社がランキングされています。地球温暖化防止のために提言されている炭
酸ガス排出取引制度が世界的に公認されると、企業は排出枠を入札で購入する
ことが必要となり、それが新たな費用として計上されるとの由。1トン-CO2を
3,000円として計算しています。

 この企業別、事業所別炭酸ガス排出量は、私の属する気候ネットワークが地道
に調査して来ました。「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(昭和54年制
定、略称省エネ法)により、一定規模以上の事業所が経済産業省にエネルギー
使用実績を届ける義務があり、それらのデータを「情報公開法(行政機関の保
有する情報の公開に関する法律)」に基づき、2003年から情報公開を求めて入
手し、算出してきたのです。それによりますと、たった180箇所の発電所、工場
が、日本の炭酸ガス12.9億トンの内、半分を排出していると推定されています
(2003年度、気候ネットワーク通信59号)。

 上述の週間東洋経済の記事は、新たに施行された「地球温暖化対策の推進に関す
る法律」(平成10年制定、平成20年改正、略称地球温暖化対策推進法)に基づ
き報告された温室効果ガス算定排出量データを纏めたものなのです。同法に特定
排出者の報告義務規定があります。先述の気候ネットワークの推定データは、ほ
ぼ正確であることが裏付けられました。

 平成16年(2004)度の温室効果ガス排出量は13.4億トンに増加し(炭酸ガス換算)、
京都議定書の基準年(1990年)に比し、6.2%の増となっています。マイナス6%
目標達成どころかプラス12.2%のギャップが生じています。そして上位200の
事業所が50%を占めており、中でも特に発電と鉄鋼の111の事業所で日本の排出
量の4割も占めています。


週間東洋経済に掲載された炭酸ガス排出量上位20社を下表に掲げましょう。

 	炭酸ガス排出量ランキング		
総合トップ20	平成18年度(2006)	
順位	特定排出者名	業種	排出量  (千トン-CO2)	
1	東京電力	発電	68,976 	
2	JEEスチール	鉄鋼業	60,720 	
3	新日本製鉄	鉄鋼業	59,939 	
4	中部電力	発電	55,396 	
5	電源開発	発電	44,014 	
6	東北電力	発電	34,198 	
7	中国電力	発電	25,542 	
8	住友金属工業	鉄鋼業	22,312 	
9	九州電力	発電	21,321 	
10	関西電力	発電	20,530 	
11	神戸製鋼所	鉄鋼業	17,596 	
12	北陸電力	発電	17,574 	
13	太平洋セメント	セメント製造	17,062 	
14	北海道電力	発電	13,992 	
15	宇部興産	セメント製造	11,237 	
16	新日本石油精製	石油精製	10,532 	
17	相馬共同火力発電	発電	10,528 	
18	四国電力	発電	9,733 	
19	住友大阪セメント	セメント製造	9,501 	
20	三菱マテリアル	セメント製造、非鉄金属	8,986 	
 				
	「地球温暖化対策の推進に関する法律」 温室効果ガス排出量・算定
・報告・公表制度に基づき公表	
注	発電所の排出量は配分前(発電所側にも計上)	
 
 上表には、電力、鉄鋼、セメントなどの大企業が名を連ねています。今まで、
よく財界の要職にある方々から、日本はエネルギー危機以来、省エネ・省資源
に徹底的に取組んで来ており、製造部門においての炭酸ガス削減は、乾いた雑
巾をさらにしぼるようなものとの主張を伺って来ました。確かに工業界から出
される温室効果ガスは一定もしくは暫減の方向にあり、むしろ炭酸ガスの発生
は、運輸部門、業務部門、家庭部門において増加傾向にあるとの公表データも
あり、私も我々の努力すべき対象としてこれらの分野を挙げて来ました。今後
もこれらの分野における省エネ・省資源努力は必要ですが、洞爺湖サミットに
向けて、福田首相が言った、50年後に60-80%もの温室効果ガスを削減すると
の目標ともなれば、上述の工業部門において、相当の削減が為されなければ、
到底到達できるレベルではないことは明らかです。

 特に上位200社の特定排出業者の責任は重大でしょう。量的拡大はむし
ろ控え、さらにそれこそ革命的な技術革新が求められます。

 例として東京電力1社で、約6900万トンの温室効果ガスを排出してお
り、これは日本の5.1%を占めます。しかもこの数字は2006年のもので
すから、平成19年(2007)7月の震災以来停止している出力800万KWを誇る
柏崎原発が稼動しているときのものです。東電は石炭火力などにより代
替電気を発電してエネルギー供給者としての責任は果たしていますが、
火力発電により、現在の炭酸ガスの発生量は上表を上回っているはずです。

 気候ネットワークの分析では同じ電力会社によっても石炭火力と天然
ガス火力では、燃料消費量と発生炭酸ガス量において1.4倍から2.5倍の
差が出ています。製造業でも事業所毎のエネルギー効率などに相当にバ
ラツキがあり、トップランナーに近づける努力が要るでしょう。

 発電方式では原子力発電もいずれは更新期を迎えますし、いずれ枯渇
する化石燃料火力に依存しない電源開発が求められましょう。徹底した省
エネ・省資源社会に切り替え、自然エネルギー=再生可能エネルギーに移
行するために、それらの部門において革命的な技術革新が求められると思
います。と同時に国としての抜本的な制度変革が要ります。

 製造業の象徴である鉄鋼メーカーも、原料の酸化鉄から酸素を切り離し
鉄を還元する方法として石炭を蒸し焼きにしたコークスを使う限り、大量
の炭酸ガスを出すことは避けられないはずです。還元方法を根本的に変更
しないと炭酸ガスの大幅削減はできません。鉄鋼業界が還元材として水素
を活用する製鉄法の開発に乗り出したとのこと、その成果を期待したいも
のです。また非鉄金属資源が急速に減少し始めており、いずれ鉄鉱石も枯
渇することを想定しますと、金属資源の循環利用技術もさらに重要なテー
マとなっています。

 これらは政府の環境政策如何によって左右されるでしょう。優れた環境
政策がイノベーションと新たな市場と雇用を創出し、国際競争力を強化す
ることに繋がります。そしてエネルギーという基礎資源の自給につながり、
国と国民の安全面の保障レベルを高めることになるはずです。

 最近、地方自治体が国より先行して環境政策を展開しています。東京都が
、都内事業所の酸ガス削減数値目標を定め(2000年から2020年に25%減)、
また事業所別炭酸ガス排出量を公表しています(同週間東洋経済)。大阪府
、広島県、三重県が条例により、事業所の炭酸ガス排出量が把握されている
事例も判明しました(気候ネットワーク)。
情報公開は世の中を良い方向に変えるきっかけとなるはずです。
                             以上
「地球に謙虚に」運動代表
 仲津 英治

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観音堂建立趣意書

21世紀の今日においてさえ世界各地の人種、民族、宗教の差別、
抑圧、紛争は絶えません。とても悲しいことです。

そこでこの度、世界人類の平和への祈りの場として、敬神崇祖の念
篤き吉住完・佳代子ご夫妻、宮崎好和・和子ご夫妻、赤塚高仁氏の
肝入にて水屋神社の境内隣接地に観音堂の建立計画がもち上がりま
した。

赤塚建設株式会社によると観音堂は六角堂です。

また吉住ご夫妻から今回、寄進される「慈愛観音」さまは、津市の
鍛金家・濱田稔氏の生涯会心の作です。

観音堂の建立は「神ながらの道」のわが国に仏教を輸入し、神仏和
合(習合)を希求した聖徳太子の大いなる精神に回帰するものとして
大変慶こばしいことだと存じます。

聖徳太子が今日でも多くの国民から崇敬を集めていることは周知の
通りですが、太子は「和を以て貴しとなす」「篤く三宝(仏法僧)を
敬え」と、日本人の在るべき姿を説き、17条憲法を制定、日本の
国柄の基礎を確立されました。

また四天王寺や施薬院など福祉施設を建立し、世界に先駆けて国家
規模大の社会福祉を開始、人々に「慈愛」を施されました。

ところで京都頂法寺の太子堂に見られるように聖徳太子と六角堂と
いうのは大変関わりが深く、また太子は観音様から法隆寺の八坂の
塔建立のお告げを受けたと伝えられています。

わが肇国以来の信仰「神ながらの道」は崇高な太子のこの和合の精
神を少なからず包含しています。

「四方の海 みな同胞(はらから)と思う世に、など波風の立ち騒ぐ
らむ」

世界人類の平和を祈る観音堂の建立に、皆様の絶大なるお力添えを
お願いする次第です。

           平成20年8月吉日      

            水屋神社宮司        久保 憲一
            観音堂建立実行委員長     宮崎 好和


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