3026.グルシア紛争で欧州の変化



ロシアに対する欧州の対応を検討する。      Fより

ドイツは下記コラムでもお伝えしたようにロシアの天然ガスに大き
く依存している。05年9月8日には、露ガスプロムと独E・ON、独ヴィ
ンターシャルが、バルト海海底経由で独露間を直結する、天然ガス
パイプラインの建設契約に調印した。このようにドイツとロシアの
経済関係は深く進行している。そして、現在も進行している。

ドイツは原子力発電所を緑の党が政権内部にいるために作ることが
できない。風力や太陽光発電など自然エネルギーを活用しているが
、エネルギー変動が大きく調整のために火力発電所が必要になる。
この火力発電所のエネルギーは天然ガスや石炭である。

NATOでは米国の発言力が強いために、グルシアのNATO加盟
を推進しているが、ドイツ経済界はロシアの生活圏を認めて行くほ
うがいいとの考えでロシアが反発するグルシアのNATO加盟にド
イツ経済界は消極的であった。しかし、今まではドイツ自動車産業
の大きな輸出先である米国のご機嫌を損なうことは避けていた。
メルケン首相になって、米国にも気を使うようになっている。

ところが、米国のサブプライム問題を発端とした金融混乱で米国で
のVWやベンツの売り上げが大きく落ちて、それに引き換え、ロシ
アでのドイツ車の売り上げが大きく伸びている。ロシアだけではな
く、中国でも伸びていて、米国への輸出以上になっている。

ドイツはランドパワー国で、基本的にはロシアに国情は近い。そし
て、昔からロシアとドイツは仲がいい。米国や英国などのシーパワ
ー国とは違う。戦後、今まで英米に従っていたのは、それの方が経
済的、軍事的に得だからである。しかし、英米の金融資本主義が破
産した現在、その必要はなくなった。

メルケン首相はドイツでも保守的な親米派であり、まだ、米国との
協調を思考しているが、社民党前シュレーダー政権は親ロシア派で
あり、ロシアを欧州に引き入れた。ドイツの経済界は親ロシア派が
多く、今後親ロシア派が政権を奪還する可能性が高い。ロシアと敵
対することは、エネルギー問題を考えると経済的に無理がある。

フランスは、原子力発電をエネルギーの基本にして、かつリビアな
ど地中海沿岸諸国からの石油が期待できるので、ロシアからの天然
ガスが止まっても大丈夫である。ここでドイツとは違い、ロシアに
強く当たることができる。

そのため、フランスは米国とロシアの仲介や国連でロシアが反対す
る停戦決議案を提案できるのである。NATOでも米国と同じ立場
が取れることになる。これは原子力発電所やトタルの石油の商売か
らすると、ロシアより米国についていた方が有利になると見ている
からだ。世界に対する政治力は断然、まだ米国の方が上である。

英国は北海油田があり、ロシアからの天然ガスに依存していない。
しかし、ロシアからの投資資金は多いが、まだ米国追従が必要であ
る。このため、NATOで米国と同じ立場を取ることになる。

というように、ドイツやフィンランドなどの親ロシア派とフランス
やポーランドなど反ロシア派にEU内部が割れる可能性が高い。ロ
シアへの対応で、英国も含めて欧州ではEU分裂の危機になる可能
性がある。

米国では、マケインがオバマに支持率で逆転をしたように軍事強硬
派が再度、支持を集め始めている。米国経済がおかしくなり、それ
に追い討ちをかけるロシアなどが米国に対抗してくると、米国の国
民は豹変する。福音派はヨハネの黙示録を信じている人たちで、
かつ宗教的な使命感で実現を期待している。この福音派の有権者が
米国有権者の30%を占めていることが米国を占う鍵である。

さあ、どうなりますか?

2403.ロシアの復権
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/k8/180722.htm
2398.世界の構図が変化
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k8/180717.htm
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ロシア軍、グルジアから「撤退完了」 国防相が声明発表
(nikkei)
 【モスクワ=坂井光】ロシアのセルジュコフ国防相は22日夕(日
本時間23日未明)、声明を発表し、グルジアに侵攻していたロシア
軍の撤退が完了したことを明らかにした。ロシアのメドベージェフ
大統領は同日までに撤退することを表明していた。ただ、ロシア側
は同日「平和維持活動」の一環としてグルジア領内に複数の常設の
検問所を設置することを明らかにした。撤退後もグルジアの一部の
交通網を事実上支配する考えを示したものといえ、グルジアは反発
を強めている。

 ロイター通信などによると、約100台の装甲車や戦車が紛争の舞台
となった南オセチア自治州に向けて戻った。ただ、撤退完了につい
てグルジア政府は否定した。

 一方、インタファクス通信によると、ロシア軍参謀本部のノゴビ
ツィン次長は22日、南オセチアとアブハジアに近いグルジア領内に
2つの「緩衝地帯」をつくると表明。検問所を18カ所ずつ設け、それ
ぞれ452人、2142人の「平和維持部隊」を常駐させると述べた。
(02:11) 
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グルジア紛争 石油輸送マヒ続く アゼルバイジャンに圧力
(nikkei)
 【モスクワ=古川英治】ロシア軍のグルジア侵攻により同国を経
由したアゼルバイジャン産の石油輸出が停止している。ロシア軍が
グルジアの幹線道路と鉄道網を遮断し、主要な港湾都市を封鎖して
いるためだ。ロシアは紛争を利用し、親欧米志向を強めてエネルギ
ー輸出をグルジア経由に切り替えてきたアゼルバイジャンを勢力圏
に取り戻す狙いだ。

 ロシア軍が占領してきた中部の地域で16日に鉄橋が爆破され、バ
クーからトビリシを経由して黒海沿岸のバトゥーミやポチといった
石油積み出し港を結ぶ鉄道網は不通となった。アゼルバイジャンの
国営石油会社(SOCAR)は22日までに原油と石油製品を積んだ
列車16本がグルジアとの国境で足止めになっていると明かした。
(07:00) 
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「ロシア軍は強い」米、グルジアを軍事衝突直前まで説得
                   2008年8月20日9時56分
(asahi)
 【ワシントン=鵜飼啓】ロシアとグルジアの軍事衝突をめぐり、
米政府が「グルジア軍はロシア軍に太刀打ちできない」として、グ
ルジア政府にロシアとの衝突回避を直前まで働きかけていたことが
分かった。
米国務省欧州ユーラシア局のブライザ次官補代理が19日の記者会
見で明らかにした。

 グルジアの南オセチア自治州では8月に入り、グルジア部隊とグ
ルジアからの独立を求める南オセチア部隊の砲撃戦が続いていたが
、米政府は独立を後押しするロシアの介入を懸念。「ロシア軍はグ
ルジア軍の何倍も強大。グルジアは持ちこたえることができない」
とグルジアに攻撃の自制を求めたという。

 米政府は「戦車などの陸上部隊は食い止められても空爆でやられ
る」などとも訴えたが、グルジア政府は「村や国民を防衛せざるを
得ない」として8日に南オセチアへの大規模攻撃に踏み切り、ロシ
アの軍事介入を招いた。

 ブライザ氏は会見で、南オセチア自治州政府ではロシア当局から
派遣された人物が幹部を務めていると指摘。部隊指揮権もこうした
ロシア当局者が握っていたとして、ロシアが衝突に当初から関与し
ていたと批判した。 
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ロシア、国連安保理に独自案を提示 グルジア紛争
(nikkei) 
 【ニューヨーク=松浦肇】ロシアは20日、グルジア紛争の処理に
関し、独自の決議案を国連安全保障理事会メンバー国に提示した。
19日にフランスをはじめとする欧米がグルジア領内に駐留を続けて
いるロシア軍の即時撤退を求める決議案を提示したのに対抗した格
好だ。米国はロシア案に反対する姿勢を強調しており、国連を舞台
に欧米とロシアのつばぜり合いが本格化し始めた。

 ロシア案は、紛争当事者が今月12日に署名した六項目の停戦・和
平合意をそのまま引用し、ロシア軍によるグルジア領内での「追加
的治安措置」の実施などを明記。一方で、19日に提示されたフラン
ス案にあった「グルジアの主権と領土保全を尊重する」との表現を
盛り込まなかった。

 このため米国のウルフ国連次席大使は20日、「グルジアの主権と
領土保全(を保証する項目)を決議案に入れる必要がある。(ロシ
ア案は)混乱を呼ぶだけだ」と記者団に強調。「(和平合意に関す
る)ロシア流の解釈を追認させる意図が込められている」と批判し
た。 (11:03) 
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マケイン氏、支持率でオバマ氏を逆転 米大統領選の世論調査
(nikkei) 
 【ワシントン=丸谷浩史】米大統領選に関してロイター通信と世
論調査会社ゾグビーが20日発表した調査結果で、共和党のマケイン
上院議員の支持率が民主党のオバマ上院議員を5ポイント上回った。
7月の調査まではオバマ氏が一貫してリードしており、マケイン氏が
初めて逆転した。オバマ氏は民主党支持者など基盤としてきたグル
ープでの支持をマケイン氏に奪われた。

 14日から16日まで実施した調査によると、マケイン氏支持が46%
に対し、オバマ氏は41%で、7月のマケイン氏40%、オバマ氏47%が
逆転した。目立つのはオバマ氏が基盤とする層での支持減少。民主
党支持者で9ポイント、都市部の住民で11ポイントと、7月に比べ軒
並み下落した。

 大統領選の争点は経済が47%で、イラク戦争12%、ガソリン価格
8%などと続く。マケイン氏は不得意とされる経済政策の支持率でも
49%で、40%のオバマ氏に9ポイントの差をつけた。 (11:15) 


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