3002.資源食糧高騰で何かが変わる?



資源食糧高騰で、所得の再分配が世界的な規模で行われている。
                        Fより

昨日、日本の役割を話したが、この具体論を述べたいが、まず、
現在の世界の動きをマクロに捉える必要がある。

世界の資源は有限であり、その資源を中国やインドが工業国家とし
て成功したことで、先進諸国と奪い合うことができるようになった
。このことで、価格の高騰を招いている。これは今後も続くことに
なるし、より激しくなる。

そして、資源高騰で先進諸国の日欧米の取り分が減ることになる。
このため、日本は都市鉱山を開発して、取り分減少を補うことで需
給バランスを保つ必要になっている。このため、リサイクルが進め
られているのだ。これが日本の行き方である。

また、低付加価値の工業製品の労賃は値下がりして、中国など新興
国家から開発途上国にシフトせざるを得ない状況になっている。こ
のため、中国はより高付加価値の商品に移行するために、韓国や日
本と同じ商品を作り始めた。日本はより高度な製品開発をして中国
の追い上げをかわすしかない。この高度商品の方向が省エネやエネ
ルギー発生機器であることが分かり始めている。

また、工業製品を作り始めた発展途上国が豊かになると、彼らもよ
り高くおいしい食料品を求めることになり、食料品も高騰すること
が今後も続くことになる。このため、食糧増産が必要になる。食糧
の取り分も減少することが世界の動向を見ると分かる。

エネルギーの高騰は、物の移動に大きなコストがかかり、低価格の
商品を運ぶことができなくなる。この大きな物は食料品であり、こ
のため、地産地消になるしかない。日本は伝統的な食文化に戻るこ
とが重要になっている。この米中心主義になるのは、小麦など畑作
に付き纏う連作障害がないことでも優位である。WTOの会議でも
保護できる範囲が狭くなって、何を選択するかが問われることにな
る。このとき、やはり米作中心に考えるしかない。この米作は優れ
ているので、世界に普及する役割を日本は負っているように感じる。

一方、英米国は80年代に工業を捨てて金融資本主義で儲けようと
したが、サブプライム問題で明らかになったように金融資本主義は
失敗して、没落寸前にある。この没落する米国では現在、欧州や中
国などが米企業を買収する動きが盛んであり、益々米製造業は没落
していくことは間違いない。米国企業がなくなっている。クライス
ラ社もいつまで持つか?疑問である。英国にいたっては、買収でき
る製造企業さえない状態である。ドル基軸通貨制度も見直しが掛か
ることは間違えない。基軸通貨の多極化をどうするのかを議論する
必要がある。

世界的な大混乱期になっている。米国が覇権国家でいられる時期が
長くない。イラン戦争も出来ないほど、財政基盤が脆弱になってい
る。もし、戦争に踏み切ると、中国やサウジなど産油諸から米国債
米公社債が売られて、市場が大混乱になることは自明である。米国
は中国やサウジの了解なしに戦争もできない状態なのである。

この混沌とした世界の問題点も明らかで、自然の摂理に合わせて考
えることである。近日、モーターの先生を訪問した時、先生はリチ
ウムイオン電池は長くない。もし、100万台のリチウムイオン電
池車ができたとしてもリチウムの資源が無いし、リチウムは再生が
できない。そのような有限資源であり、大量生産には無理がある。
これは自然の摂理でどうしようもないと言っていた。

このように自然の摂理を考えて、研究開発をする必要があると先生
は言っている。その通りである。それではどうするのですかと質問
すると、ニッケル水素電池しかないと言う。ニッケルはまだリチウ
ムより量があり、かつ再生可能であると。ニッケル水素の高密電荷
化など高度化が重要であると。

違う企業を訪問したら、鉛蓄電池の低コスト化を進めているという。
それぞれ、方向は違うが、いろいろなバリエーションで研究開発が
進んでいることを実感した。

日本人の特性は、困ったことが起こると、それを解決する研究開発
がいろいろな所で並列に進行して、問題を解決していくことである。

非食糧からのバイエタノール開発でも日本国内で多数の企業が開発
している。RITE+ホンダが有名であるが、三井化学やその他多
数の企業が同じ方向の研究をしている。その実用化研究の速度も早
いようだ。

もう1つが、JICAがアフリカで行っている稲作の指導もアフリ
カの飢餓を助けている。旱魃に強い稲を作り、その稲作の指導を
行っている。このように日本は自然の摂理というと、多くの人たち
が分かってくれるが、欧米では、この自然の摂理が大きな議論にな
るほど、説得が難しい。アジア、アフリカの人たちは自然の摂理を
分かってくれるので、日本人が指導する方がいいように感じる。

そこに日本人の役割の根源があると見ている。


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