2994.ドル凋落の前兆



今週、ニューヨーク株安、ドル安、債権安の「トリプル安」の危機
が現実化した。この検討。   Fより

米国はドル信認が揺らぎ、今週トリプル安に見舞われた。その発端
は、ファニーメイとフレディマックの経営危機と地銀大手のインデ
ィマック・バンクコープの破綻で預金を引き出す顧客であふれたと
いう情報が不安心理に火をつけた。

このため、ファニーメイとフレディマックに公的資金を投入すると
言うポールソン財務長官の声明と、それまでの繋ぎ資金を貸すとい
うバーナンキFRB議長の発言があり、かつ、SECは株価維持の
ために、空売り規制強化を打ち出し、風説の流布の調査も開始した。
これにより株価を安定させたいようだ。この施策は一定の効果があ
り、米株式相場は一時1万1000ドル割れを起こしたが、1万1446ドル
66セントまで戻している。また、ドル円為替相場でも一時103円台半
ばまで急落したが、現時点では106円台まで戻している。債権の利回
りも上昇後下落してした。一応、収まったように見える。

しかし、これでドル信認問題が解決したわけではない。2段、3段
の試練が待ち構えている。それが、米国議会である。
米国議会の共和党議員は、国民の税金をファニーメイとフレディマ
ックの救済資金に使うことを反対している。このため、フレディマ
ックは17日、急遽最大100億ドル(約1兆円)の増資を独自で検討し
、投資銀のモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスに引き
受けを打診しているもようである。

住宅モーゲージ負債は、11兆5274億ドルに拡大したが、その中で2社
が占めるシェアは、1990年の20.8%から27.3%に急上昇しているの
である。現時点では新規住宅ローン証券発行は80%以上まで2公社
が絡んでいる。このため、この2社に対して、十分な資金の確保をし
ないと、一層の住宅価格の低下を招き、米国経済が傷つくことにな
るが、それより、外国の中央銀行や銀行が新規発行の米住宅公社を
買わないか、今まで持っている米住宅公社債を売りかねない。

2公社債の総額は、米国債5兆ドルより多い6兆ドルと大量であり
、かつ2公社債券は、国債より高い金利設定にも関わらず、政府系
金融機関の発行債券という安定性が売り物だった。
この公社債の信用に傷を着けかねない行動を米議会の議員たちはし
ている。米国の置かれた立場を知らないタカ派自由市場主義者の議
員と米国民が「モラル・ハザード」についての懸念という繰言で米
国ドル基軸通貨制度を破壊する事態に追いやる可能性が高くなって
いる。

このため、日本の銀行も今後、公社債から米国債に乗り換える動き
が出ている。この動きが世界的な動きになると、米国の半分の資金
流入が無くなり、経常赤字の米国の国家財政等に大きな危機が待ち
構えている。

ポールソン財務長官は、中国、ロシア、産油国の中央銀行の外貨準
備に占める2公社債や米国債を売らないように依頼しているようだ。
事実、この1年間で中国が4,000億ドル、ロシアが1,500億ドルを買い
増している。つい最近の短期債を買ったのも中国や産油国であるよ
うだ。

しかし、ロシアが米国債や2公社債を買う理由は、米国との交渉を
有利に持っていくことであるとプーチン首相は言っている。中国も
同じだ。もし交渉が不調に成れば、その時は米国債を大量処分する
だけでドル暴落に結びつくことになる。

だんだん、ドル基軸通貨制度そのものを人質に取られて、米国覇権
は縮小しているように感じる。この結果が北朝鮮との和睦会議なの
でしょうね。米国の限界が見え始めている。また、米国議会が公的
資金投入に制限を加えるとそれだけで外国の政府機関は売りのポジ
ションに移行する可能性もあり、今後の米議会での展開が世界の経
済的な動向に大きな影響を与え、かつ米国覇権を崩壊させることに
なると見ている。

さあ、どうなりますか??
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米住宅公社支援、議会駆け引き 政府は無制限の権限求める
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】世界の金融システムを揺さぶる2つの米
住宅公社について、政府や米連邦準備理事会(FRB)がどこまで
支援に踏み込むべきなのかを巡る論議が大詰めを迎えている。政府
は無制限の支援を可能にする権限を求めるのに対し、議会では与党
の共和党が抵抗。野党の民主党は柔軟な皮肉な構図も示す。公社の
自主的な増資の計画も浮上する中、政治的な駆け引きと金融システ
ムの緊張感の間で綱引きが目立つ。

 「バズーカ砲を持っていれば、めったなことでは取り出すことは
ない」。ポールソン財務長官は15日の上院での証言で、こんな言い
回しで、政府が緊急の融資や公的資金による資本注入に乗り出す意
義を説明した。(07:02) 
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米住宅公社支援策、FRB議長「融資はつなぎ措置」
(nikkei)

 【ワシントン=藤井一明】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ
ンキ議長は16日の下院金融委員会で証言し、米住宅公社向けに公定
歩合で貸し出す制度の発動について「議会が(支援策を)決定する
前のつなぎとするつもりだ」と述べた。FRBの融資は、財務長官
の権限による緊急融資や公的資金の資本注入を盛り込んだ法制化が
実現するまでの限定的な措置とする方針を明確にした。

 これに関してポールソン財務長官は同日夕、公社への資本注入の
権限などを盛り込む法案を巡り議会の幹部と協議した。その後、来
週の採決に向け「極めて自信があり、楽観している」と記者団に語
った。

 米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社
(フレディマック)の支援策は不測の事態に備えてFRBの融資を
いつでも発動できるようにしながら、資本注入などの財務省に絡む
法制化を急ぐ段取りが固まった。(14:17)
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NY原油続落 終値130ドル割れ NY株は大幅続伸
(nikkei)

【NQNニューヨーク】17日のニューヨーク・マーカンタイル取引
所(NYMEX)で原油先物相場は大幅に3営業日続落。WTI(ウ
エスト・テキサス・インターミディエート)で期近の8月物は前日比
5.31ドル安の1バレル129.29ドルで終えた。一時129ドルちょうどま
で下落し、期近物として 6月6日以来の安値を付けた。3営業日の下
落幅は終値ベースで約16ドル(11%)となった。原油の需給ひっ迫
が緩むとの見方やドル高により、売りが出た。

 一方、17日の米株式相場は大幅に続伸。ダウ工業株30種平均は前
日比207ドル38セント高の1万1446ドル66セントで終えた。前日の米
銀大手ウェルズ・ファーゴに続き、JPモルガン・チェースの決算
が予想を上回ったことで、財務不安から下げのきつかった金融株に
買いが膨らんだ。原油先物相場が節目の1バレル130ドルを割り込ん
で終えたため、航空や小売り、自動車の一角など業績が原油価格の
影響を受けやすい業種も買われた。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は27.45ポイント
高の2312.30で終えた。 (06:12)
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米SEC、空売り規制強化を検討 米住宅公社の株価急落で
(nikkei)

 米証券取引委員会(SEC)のコックス委員長は15日、上院銀行
住宅都市委員会の公聴会で証言し、株式を所有しないまま売り注文
を出す「空売り」について規制強化を検討する考えを明らかにした
。米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社
(フレディマック)の株価急落に対応。株価操縦の監視も強化する。

 米SECは「緊急措置」として、ファニーメイとフレディマック
を含む複数の金融機関の株式を対象に、空売りを仕掛ける際には事
前に株を借りることを義務づける方針。現行ルールでも株を借りる
のが原則だが、貸株の実態のない虚偽の空売りの防止を徹底する。

 コックス委員長は議会証言で「同様の問題に対応するためのルー
ル作りに取りかかる」と表明。緊急措置を一般的な規制強化に広げ
る考えを示唆した。 (11:33)
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米SEC、で約50のヘッジファンドに召喚状送付
=WSJ
2008年 07月 15日 18:01 JS

[15日 ロイター] 米国で個人による風説の流布で証券大手2社
の株価が動いた可能性を調査している米証券取引委員会(SEC)
は、50余りのヘッジファンドのアドバイザー宛てに召喚状を送付
した。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が関係者の
話を基に報じた。

 この関係者によると、召喚状はベアー・スターンズ、もしくはリ
ーマン・ブラザーズ・ホールディングス株の空売りとオプション取
引に関する取引と通信のデータを求めている。

 ベアー・スターンズの経営破たんと、今月のリーマン・ブラザー
ズ株の40%下落の要因として、このうわさがあったと指摘されて
いる。

 ベアー・スターンズとリーマンの双方の調査に関する召喚状を受
領したヘッジファンド・マネジャーもいれば、いずれか一方のみの
調査に関する召喚状を受け取ったマネジャーもいるという。

 同紙によると、シタデル・インベストメント・グループやSAC
キャピタル・アドバイザーズなどが召喚状を受領した。

 召喚状は先の証券2社との株取引や、ヘッジファンドとその他の
関係者の通信に関連しているという。

 同紙によると、召喚状は広範な調査の一環として送付されており
、これを受領した企業は、必ずしも特定の疑惑の調査対象ではない
とSECは企業側に伝えている。
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フレディマックが増資検討、最大1兆円 米紙報道
(nikkei)

 18日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)は、経
営不安に陥っている米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が
増資を検討していると報じた。関係筋によると、最大100億ドル
(約1兆円)の新株を発行する可能性があるという。

 フレディマックの株価は、同じ政府系住宅金融会社である連邦住
宅抵当公社(ファニーメイ)とともに先週、約半値に下がった。ポ
ールソン財務長官は13日、必要ならば公的資金を注入して両社の資
本を増強するとの緊急声明を発表している。

 同紙によると、フレディマックは17日、取締役会を開き、新株の
発行について協議した。投資銀のモルガン・スタンレーやゴールド
マン・サックスに引き受けを打診しているもようだ。(14:02)
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アメリカが世界的資金供給危機に、とメリルリンチ警告
                  7月16日 テレグラフ
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/?07161929

外国がぶち切れ寸前である…アメリカ財務省に手当する時間は数日
しか残されていないかもしれない

メリルリンチが警告している。 ファニー・メイとフレディー・マック
のモーゲージ騒動が世界中に広がった結果の結果、アメリカ合衆国
は数ヶ月以内に外国の「金融危機」に直面するかもしれない、と。

この国は$7,000億の経常赤字をアジア、ロシア、中東の投資家の金
に依存している。おかげで、1990年代初頭に日経バブルが弾けた後
の日本よりも、信頼破綻に対して遥かに体力がない。イギリスや他
のアングロ・サクソンの借金国家も、外国人投資家から似たような
反撃を食らうかもしれない。

「日本は金利をゼロに出来たよね」とアレックス・パテリス。 メリ
ルリンチの国際経済部長だ。

「アメリカがこれをやるのって、とっても難しいだろうね。外国人
は資本供給、したがらないだろうね。どこがリミットかって、誰も
知らないよね」。

ファニー・メイとフレディー・マックの救済策に本物の金を積むか、
制御不能に陥るかもしれないヤバイ危機に直面するかするまで、ア
メリカ財務省に残された時間は2-3日ほどだね、とはグローバル・イ
ンサイトのチーフ・フィナンシャル・エコノミスト、ブライアン・
ベシューン。

「今回は政策立案者も、金融システムへのシステミックリスクや経
済への物凄いダメージを、またまた舐めてかかってる場合じゃない
よ。果敢で攻撃的な行動が必要なのさ。今、必要なの」と彼は言っ
た。

ベシューン氏は、財務省は最高$200億の新規資本を注入しなければ
ならないだろうと言った。これは次に更に民間資金$200億を引き出
すかもしれない。この規模の資金なら、両機関がアメリカのプライ
ム不動産市場のメルトダウン寸止めシナリオを生き延びるにも十分
だろう。

「モラル・ハザード」についての懸念(ホワイトハウスのアメリカ
・メディアの口喧しい方面でタカ派自由市場主義者がぶち上げてい
る)が解決策の足を引っ張っている、と彼は語った。 「躊躇ってる
暇はないんだ。市場は冷酷になれるんだよ。信用がこてんぱんに破
壊される前に汚染の連鎖を断ち切らなければならない」。

世界の二大金融機関であるファニー・メイとフレディー・マックは、
$12兆規模の米モーゲージ産業の半分近くを占めている。しかしそれ
は、この緊急時にあたっての両機関の非常な重要性を軽視している
。両機関は今では、全ての新規住宅ローンの80%を提供する、住宅市
場にとって最後の望みの綱、貸付業者という役割を担っているのだ。

現在、ファニー・メイとフレディー・マックのおよそ$1.5兆相当のAAA
格付債務は、他のアメリカ「政府後援機関」同様、外国人の手の中
にある。大いなる謎は、損失が膨れ上がりドル安が進む中で外国人
が切れるかどうか、ということだ。

日本のチーフ・レギュレーター、ワタナベ・ヒロシは昨日、日本の
銀行と保険会社に米政府機関債を慎重に扱うよう迫って市場を動揺
させた。 2つの金融機関は、これらの債券およそ$560億相当を保有
している。 三菱UFJが$30億、日本生命が$25億である。

しかし殆どを握っているのは、中国、ロシア、産油国の中央銀行だ
。 そうすることこそ自分達の戦略的利益であると決意すれば、これ
らの国々はあっさり現状でドルの大量処分に走り、アメリカ合衆国
を跪かせるだろう。
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ヘッジファンド運用成績、金融混乱で苦戦
(nikkei)

 【ニューヨーク=山下茂行】ヘッジファンドの運用成績が急速に
悪化している。米調査会社、ヘッジファンド・リサーチ(HFR)
によると、今年1―6月の運用成績はマイナス0.75%だった。1990年
の調査開始以来、半期ベースでは2002年下期以来5年半ぶりの低水準
、上半期ベースでは過去最低となる。米国の信用力の低い個人向け
住宅融資(サブプライムローン)問題に伴う金融市場の混乱で、幅
広い証券が値下がりしたためで、資金流入も鈍りつつある。

 HFRが世界の7000超のヘッジファンドの運用成績をまとめた。
ヘッジファンド業界全体の運用成績を示す「総合指数」は今年に入
り1、3、6月にマイナスとなった。運用成績がマイナスに転落したの
はIT(情報技術)バブル崩壊後に株価が下がった02年(上半期は
マイナス0.01%、年間はマイナス 1.45%)以来。 (16:03)


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