2988.米債券市場の異変



住宅関連の米公社ファニーメイとフレディマックが業績悪化で信用
不安が起きて、NYSEは大幅な下落になっている。 Fより

ニューヨーク市場だけではなくて、欧州市場でも景気減速による株
価の下落が止まらない。しかし、この2社の問題は米国債券市場に
大きな影響を与えている。それにしても、どうして米国の金曜日に
悪い情報が出てくるのでしょうかね。コラム予定を急遽変更して、
この解析をしよう。

両社の債権発行額は1兆6千億ドル強で米国債発行額4兆7千億ド
ルの3割強であるが、このほかに証券化商品として約5兆ドルもあ
り、この証券も米国債と同等の信用があると見なされて、購入して
いる海外投資家が多い。日本の信金・信組も購入していると聞く。
また、日本の投信の多くにも組み込まれている。

もし仮に債務不履行になれば、海外投資家の「ドル離れ」が加速す
ることになる。この2社を国有化する検討を米政府はしていると、
ニューヨーク・タイムズは報道したが、その報道をポールソン米財
務長官は否定している。それと7月10日にFRBの機能強化とし
て投資機関の監視強化を訴えた理由も分かる。

しかし、ファニーメイとフレディマックをあわせて米国全体の住宅
ローンの70%に関与している大きな機関であり潰すことはできない
はず。しかし、不良資産もそれだけ多いことを意味する。この救済
には多額の米国債発行が必要になる。

しかし、このポールソン長官の声明で、株式市場だけではなくて、
この米債券市場が大変なことになっている。米国国債と米政府債で
もある両社の債権が売り浴びせられている。売られると国債の利回
りは上昇する。この2年債利回りは前日比21bp(bp=0.01ポイント)
上昇して2.61%になり、10年債利回りは17bp上昇して3.96%に急上
昇している。

米国国債から投資家たちが逃げている。2社救済の国債発行どころ
ではなくて、米国経常収支の赤字を埋めている国債の発行もできな
くなる。ここでも米国の経済力は確実に落ちることになる。

そして、いままでは、60兆ドル規模の株式市場が大幅下落した時
に待避する所として安全な5兆ドルの米国債に資金が回る構造のな
っていたが、この2社の問題で待避先が不安定になって資金の行き
場がなくなることになる。この資金がまた3兆ドル規模の商品市場
に回ると、大変なことになる。

つい最近6月30日に日本国債の格付けが上昇し「Aa3」へ1段階
引き上げたが、この処置の理由がここでハッキリ分かった。

米格付け会社ムーディーズは、ファニーメイとフレディマックの救
済を余儀なくされても、米国債の格付けは「AAA」の「十分な範
囲内」にとどまるという。 米国国債をAAAにして置くために、日本
国債の格付けが低いので、調節した可能性が高いのである。

もし、米国債の格付けを低くすると、米国の経常収支赤字問題に発
展するので、米政府、特にポールソン財務長官が圧力を掛けている
としか思えない。

しかし、日本国債に海外投資家は目を向ける可能性が高くなってい
る。どうもサブプライム証券にAAAをつけた米格付け会社の八百長に
世界の投資家は気づき始めたように感じる。米国の焦りが手に取る
ように分かる。それは日本でのバブル崩壊後の姿を見ているからで
ある。

さあ、どうなりましか???
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NY原油続伸、終値145.08ドル 一時最高値147ドル台
(nikkei)
【NQNニューヨーク=横内理恵】11日のニューヨーク・マーカン
タイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は3日続伸。WTI(ウ
エスト・テキサス・インターミディエート)で期近の8月物は前日比
3.43ドル高の1バレル145.08ドルで取引を終えた。中東情勢緊迫化に
よる原油供給懸念を手掛かりに買いが続いた。一時は147.27ドルと
1週間ぶりに最高値を更新した。

 イランが前日まで2日間にわたりミサイル発射実験をしたことに加
え、この日はイスラエルがイラク領内でイラン攻撃に備えて軍事飛
行演習をしたとの報道が買いを誘った。その後イスラエル政府や米
国防総省が報道を否定すると原油相場はやや伸び悩んだ。

 ただナイジェリアにおける政情不安など供給懸念は根強い。ブラ
ジルで来週初にも石油施設作業員がストライキに踏み切る可能性が
あると伝わったことも相場を支えた。金融システム不安の再燃から
外国為替市場でドルが対ユーロで大幅下落。ドル建てで取引される
原油の割安感から買いにつながった面もあった。

 ガソリン、ヒーティングオイルも3日続伸した。(06:22) 
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国有化を事実上否定=政府系住宅金融の信用不安で−米財務長官
7月12日0時29分配信 時事通信

 【ワシントン11日時事】ポールソン米財務長官は11日、経営不安
の高まる政府系住宅金融会社の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)
、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)について声明を発表し
、「現在の形態のまま支援することが最優先の課題だ」と述べた。
市場の一部では両社国有化などの観測が浮上しているが、これを否
定し、現行の民間株式会社という枠内で立て直しを図る考えだ。 
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FRB議長、米住宅公社に追加増資促す 議会で証言
(nikkei)

 【ワシントン=藤井一明】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ
ンキ議長は10日、下院の金融委員会で、米連邦住宅抵当公社(ファ
ニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)について
「十分な資本がある」と表明したうえで、経営基盤を強化するため
追加の増資を促した。議会に対しては住宅公社の業務改善を促す法
律の制定を求めた。

 金融委員会にはポールソン財務長官も出席、政府系住宅公社が米
経済にとって重要な機関であることを強調した。市場で経営を不安
視する声が広がっているのを背景に、議員からは「巨大化した政府
系公社は次の金融危機の引き金となる恐れがある」などと懸念する
見方が出た。

 ポールソン長官はファニーメイとフレディマックをあわせて「米
国全体の住宅ローンの70%に関与している」と強調。住宅ローン債
権を買い取り、全米の住宅市場を支える機関として「将来も重要」
と繰り返した。(13:13)
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NY株、一時1万1000ドル割れ 米住宅公社の経営不安で 
(nikkei)
 【ニューヨーク=山下茂行】11日のニューヨーク株式市場ではダ
ウ工業株30種平均が急落し一時、2006年7月以来、約2年ぶりに
1万1000ドルの大台を割り込んだ。米住宅公社の経営悪化懸念や原油
高を背景に売りが増え、ダウ平均は一時前日比248ドル安まで急落。
正午(日本時間12日午前1時)現在、182ドル70セント安の1万1046ド
ル32セントで推移している。

 ポールソン米財務長官は同日、経営悪化が懸念されている米住宅
公社2社に関し「現行形態で支援する」との緊急声明を発表した。国
有化を含む政府による救済策をひとまず否定したことが市場では嫌
気された。原油価格が大幅に上昇し、景気の先行き不安感も改めて
意識されている。

 連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フ
レディマック)の政府系住宅公社2社は住宅ローン関連業務を幅広く
手掛け、住宅不況のあおりで業績・財務が急速に悪化している。
ここ数日、経営不安から株価が急落、国有化を含む政府による救済
観測が高まっていた。両社の株価はこの日、前日比約5割下落した。
 (01:44) 
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欧州株が大幅続落 ドイツ株など年初来安値 
(nikkei)
 【フランクフルト=石井一乗】11日の欧州株式相場は大幅続落し
、軒並み年初来安値を更新した。ロンドン市場ではFTSE100種総
合株価指数の終値が前日に比べ145.2ポイント(2.69%)安の5261.6
となり、2年9カ月ぶりの安値を付けた。ロイヤル・バンク・オブ・
スコットランド(RBS)株が8.6%下落するなど金融株の下げが目
立った。

 ドイツ株式指数(DAX)の終値も同151.7ポイント(2.41%)安
の6153.3と、3月に付けた年初来安値を更新し、2006年10月以来1年9
カ月ぶりの安値となった。金融・保険株のほか自動車関連株や航空
株の下げが目立ち、主要30銘柄の半数が3%を超す下落率。フランス
CAC40も3.1%下落し年初来安値を更新した。 (01:13) 
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連鎖破綻防止、FRBの機能強化訴え 米財務長官が議会証言
(nikkei)

 【ワシントン=藤井一明】ポールソン米財務長官は10日、下院の
金融委員会に出席し、金融機関が連鎖破綻するリスクを防ぐ対策に
ついて「リスクを和らげるため介入できる手段や複雑な金融機関の
情報を入手できる権限を米連邦準備理事会(FRB)にどう与える
かを検討すべきだ」と強調した。証券業務を主に手掛ける投資銀行
への対応を念頭に、FRBの機能強化を訴えた。

 FRBのバーナンキ議長も同席し、米証券大手ベアー・スターン
ズへの対応に追われた3月の経験を踏まえ、「(金融機関を)整然と
清算するのを確実にする新たな手段を議会が検討するのが望ましい
」と語った。 (00:22)
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日本国債の格付け、1段階引き上げ 米ムーディーズ
(nikkei)
 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは30日、
日本国債の格付けを「A1」から「Aa3」へ1段階引き上げたと発
表した。福田政権の経済財政運営の基本指針「骨太方針2008」で、
歳出削減路線を維持したことなどを評価した。「Aa3」は上から
4番目の水準。

 同社は「政府債務(借金)増大のペースが緩やかになっていく可
能性がある」とも指摘した。

 日本国債の格付けが「Aa3」となるのは、「A2」へ2段階引き
下げられる直前の02年5月以来6年ぶり。格上げは昨年10月以来とな
る。ただ格付けの水準は主要7カ国(G7)の中では最下位のままだ
。 (13:03)
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ヘッジファンド運用成績、金融混乱で苦戦
(nikkei)

 【ニューヨーク=山下茂行】ヘッジファンドの運用成績が急速に
悪化している。米調査会社、ヘッジファンド・リサーチ(HFR)
によると、今年1―6月の運用成績はマイナス0.75%だった。1990年
の調査開始以来、半期ベースでは2002年下期以来5年半ぶりの低水準
、上半期ベースでは過去最低となる。米国の信用力の低い個人向け
住宅融資(サブプライムローン)問題に伴う金融市場の混乱で、幅
広い証券が値下がりしたためで、資金流入も鈍りつつある。

 HFRが世界の7000超のヘッジファンドの運用成績をまとめた。
ヘッジファンド業界全体の運用成績を示す「総合指数」は今年に入
り1、3、6月にマイナスとなった。運用成績がマイナスに転落したの
はIT(情報技術)バブル崩壊後に株価が下がった02年(上半期は
マイナス0.01%、年間はマイナス 1.45%)以来。 (16:03)


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