2986.新世界秩序について考える



新世界秩序について考える 


                           日比野

1.新世界秩序

『私達はここ2世紀の間「自由」の(ための)激務をこなして来ま
 した。そして今夜、私達は寛容と人類愛に対する脅威に毅然と立
 ち向かうように世界を導くでしょう。問題となるのは、ひとつ以
 上の小さな国です。
 それは「新世界秩序」という大きなアイディアです。そこでは多
 様な国々が、人類の普遍的な願いである平和と安全、自由、そし
 て法の下の支配を成し遂げるという共通の目的のためにまとまる
 のです。』

1991年のジョージ・H・W・ブッシュ大統領による一般教書演説
の中の一節。

新世界秩序とは、世界を一致調和する目的で超大国または世界政府
が安全と“世界平和”を約束し支配権を持ち、一般的宗教の実施と
世界中を一つの経済システムに統一し、世界を優位国または世界政
府に服従させることと言われている。

別段、陰謀論を展開するつもりはないけれど、要は、世界の秩序維
持のシステムとしていかなる方法を取るかという問題。

米ソ冷戦時代の世界秩序は、東西に分かれた資本主義圏と社会主義
圏との軍事力によるにらみ合い。勢力均衡によって保たれていた。

この冷戦終結の決め手のひとつに軍拡競争があったといわれている
。増大する軍事費に国家経済が耐えられなくなったということ。金
の力はいつの世も大きいもの。

冷戦終了後、ソ連は崩壊し、東欧諸国も次々と民主国家として生ま
れ変わっていった。この時点で世界のアメリカ一極支配が出来上が
った。

軍事力を担保として世界の覇権を握る国にとって、自国に挑戦して
くる国は潰しておく対象となる。それは小さな芽のうちに摘んでお
くのがいい。必然的にアメリカ以外の地域で「急進的国家主義」が
台頭しないように気を配ることになった。

ノーム・チョムスキーによれば、「冷戦は、一方のプレーヤーが試
合を降りたことにより半分終わっただけで、新しい状況に適応しな
がら、以前と同様に続いている」という。 



2.対価を支払わせるために

軍事的な一極支配であっても、それに見合った経済力がなければ足
元から崩れてゆく。圧倒的だったアメリカ経済はベトナム戦争敗北
あたりから陰りをみせ、世界の「経済」覇権は、アメリカ・ヨーロ
ッパ・日本の3極に分配されることとなった。

衰えてゆくアメリカ一国の経済力では、もはや世界全体をカバーす
るだけの軍事力を支えることはできない。それでも軍事的一極支配
を続けたければ、足りない分は他国に払ってもらうしかなくなる。

手っ取り早いのは、ヤクザのように周辺国を脅して巻き上げたり、
上納金を納めさせるということになるのだけれど、国際社会でそこ
まであからさまにはやりにくい。結局あの手この手を使って、どう
にか払って貰うことを考える。

一番平和的に払ってもらう方法は、通常の貿易・経済活動で、アメ
リカに黒字をもたらし「儲け」という形で払ってもらう方法。その
次は二国間又は多国間とのなんらかの条約締結とその実行による見
返りという形での支払い。在日米軍への「思いやり予算」なんかは
これ。

前者の経済活動の枠組みの中で支払ってもらうやり方は、その経済
活動が正当であるうちはまだ良いのだけど、そうした支払いでも足
りなくなってくると、色々と相手に難癖をつけてみたり、ズルした
りしてでも金を欲しがるもの。

たとえば、お前の国の市場は閉鎖的で、わが国の商品を全然買わな
いじゃないかと言って、もっと市場開放するように圧力をかけてみ
たりとか、為替相場を自国に有利なように調整して一気に貿易赤字
を減らしてみたりとか。

そこには、軍事的一極支配を確保できなければ、世界秩序の維持な
んて到底無理なのだという考えがある。

 

3.21世紀の総理の仕事

冷戦が終結して、市場原理主義のグローバル化が本格的になった。

当然日本も無縁では居られない。冷戦下で最適化していた国家体制
や社会は世界情勢の揺さぶりを受けることになった。

21世紀の世界の動きは、市場原理主義のグローバル化の進行と世
界覇権争い。その具体的事象がイラク攻撃であったり、石油をはじ
めとする資源獲得競争であったり。


日本における21世紀の歴代総理、小泉元総理・安倍前総理の実績
を振り返ってみる。「通信用語の基礎知識 http://www.wdic.org/」
から引用する。


○小泉純一郎元総理

・自民党の旧経世会に引導を渡した。 
・北朝鮮に拉致を認めさせた。 
・特定アジアとの外交のおかしさを日本国民に知らしめた。 
・自衛隊を海外に派遣させた。
・郵政民営化


日本の旧体制をぶっ壊して、中にあるオカシナものを衆目のもとに曝
け出して、市場原理主義のグローバル化に対応したのが小泉元総理。


○安倍晋三前総理

・北朝鮮に対する経済制裁の発動、朝鮮総連への圧力 
・貸金業規制法改正(グレーゾーン金利廃止)、サラ金ほぼ壊滅 
・拉致関係番組を政府主導で作成決定&「しおかぜ」支援決定 

・インドとの友好関係を強化
・日米豪印4ヶ国同盟 
・サウジなどの中東関係強化 

・防衛省昇格 
・海洋基本法制定
・犯罪収益移転防止法(マネーロンダリング防止) 

・日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)の制定 
・教育基本法改正 
・教員免許更新制度 
・43年ぶりに「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)を実施 

・「従軍慰安婦問題」の強制を完全に否定 
・「沖縄戦・集団自決」の軍の強制を完全に否定 


・少年法改正、厳罰化 
・在日朝鮮人・参政権法案、人権擁護法案の阻止 
・腐敗マスコミ対策、捏造放送への対策 

・社会保険庁の解体(非公務員化) 
・年金時効撤廃法(年金の貰い損ね救済) 
・政治資金法改正 
・公務員天下り制限(改正国家公務員法) 


安倍前総理は、小泉元総理がぶっ壊して出てきたオカシナものを退
治、修正、補修したと共に、世界各国と協調できる日本としての針
路を定めたと言える。

必ずしも世界基準ばかりとは限らないけれど、大きくは世界基準に
合わせる動き。ただし唯々諾々と世界に合わせたという訳ではなく
て、日本の伝統や国益を復興するという動きも同時に行っていたか
ら、ともすれば「急進的国家主義」の台頭と受け止められかねない
危険も秘めていたものの、価値観外交とあわせ、世界からは顔のみ
える日本への変貌が垣間見えていたのではないかと思う。

ものすごくぶっちゃけていえば、世界が資源獲得競争と、経済のグ
ローバル化が進行してゆくのに合わせて、国内体制をまともな形へ
整備しつつ、開国してゆく準備をしていたといえるのではないだろ
うか。

 

4.福田総理の使命

こうした流れの中で日本を見てゆくと、今、求められるているのは
、日本としての資源獲得と経済グローバル化への対応。世界の中で
着実に日本のポジションを定めて、身の安全と安定化を図ること。

つまり、冷戦後の世界において、日本国総理として求められる使命
を考えると大きくは、

1.国家安全保障              
2.資源分野での安全保障          
3.経済のグローバル化に対する国家としての対応

の3つに集約されるのではないかと思う。

1.の国家安全保障については、どの時代でも問われるもの。これ
までは日米安保を軸に安全保障を確保してきたけれど、未来永劫こ
のままであり続けられる保障はない。

2.の資源分野での安全保障は、石油その他を始めとするエネルギ
ー確保と食料自給の問題。

3.の経済のグローバル化に対する国内改革については、世界から
の資本と労働力の自由化圧力に対して、どう対応してゆくかといっ
た問題。

小泉元総理は3.を主に行い、安倍前総理は1.を中心に進めた。
残るは2.の資源分野の安全保障だけど、この部分についてどうや
ら福田現総理が担当しているように思える。


現時点での福田総理の実績を上げてみると、

・インド洋給油新法
・日ロ共同油田開発締結       
・東シナ海ガス田共同開発
・日中戦略的互恵関係の共同声明(安倍前総理からの引継ぎ事項)
・道路特定財源の一般財源化
・国家公務員制度改革基本法案

検討されているもの
・移民受入れ構想

一見して、油関連の実績が目立つ。さすが丸善石油に勤めた経験が
あるだけのことはある。まるでエネルギー安保のために総理をやっ
ているかのよう。

東シナ海ガス田共同開発などは、纏めるのがいいかどうかは別とし
て、安倍政権ではおそらく纏まらなかっただろうと予想するに難く
ない。

大局としてみると、福田政権は、2.の資源分野での安全保障を担
うという使命があって、これまで、エネルギー確保についての仕事
を中心に進めていた。残るは食料安保の問題。

洞爺湖サミットでは、食糧備蓄制度の創設を含んだ対応策が協議さ
れた。これらの目処がついてようやく、ようやく小泉−安倍−福田
と3代をかけた日本のグローバル化対応が完了する。

ただし、先般中国との間で結ばれた、東シナガス田共同開発の合意
内容を精査してゆくかぎり、国益に資する余地は少なそうだ。ハナ
から東シナガス田はアテにしていないのかとの疑念が沸いてくる。

いずれにせよ、こうした資源獲得競争を含む経済グローバル化とそ
の一元管理を新世界秩序と呼ぶのであれば、日本もその中に大きく
組み込まれていることになるのかもしれない。


 
5.国としての武

「合気道で一番強い技はなんですか?」
「それは自分を殺しに来た相手と友達になることさ」


不世出の天才と呼ばれた合気道家塩田剛三の言葉。

確かに友達になれれば、襲われることはないだろう。自分も相手も
傷つくことはない。だけどその裏には「武」の裏づけがあることを
忘れてはいけない。武道の達人を相手に襲い掛かろうという素人は
普通いない。「武」の原意は「矛を収める」という意味。相手の攻
撃から身を守るのが本来の「武」の姿。

合気道は基本的に受けの武道であって自分から攻めることはないと
いう。これは国でいえば、抑止力としての武装の考え方そのもの。
今でいえば核抑止力がそれにあたるだろう。

自衛隊は、その理念としては「専守防衛」で「矛を収めるという意
味での《武》」だけれど、肝心なのはその《武》が敵国の攻撃から
身を守りえるに十分なものかどうかということ。

核保有国同士の戦争が起こらないのは、互いに一撃必殺の技を持っ
ているが故に手を出せない、出しにくいというだけ。相打ちして共
に斃れる危険が大きいという恐怖が抑止力として働く。

だけどかたや一撃必殺の技があり、もう一方がそれを持たないとき
は、持たざる側は簡単にその技で殺されてしまう危険に晒される。

そうしたとき、一撃必殺の技を持たない方は、自分の身を守るため
に、他の仲間を集めてみたり、一撃必殺の技を持つ達人に助っ人に
入ってもらったりする。つまり集団安保や軍事同盟を結ぶようにな
る。

自分自身または仲間の協力を得て、相手と対等か、完全に封殺でき
る武力を持って始めて、武を《武》として治め得ることができる。
あるけど使わないのと、なくて使えないとの差は果てしなく大きい
。


「勝つとか負けるとかは、じつにくだらないことです。一個の地球
 の上に住む人間同士で争うなんて馬鹿げています。合気道には試
 合がありませんが、私はそれは非常によいことだと思います。

 ・・・確かに合気道は秀れた武道です。その理合は一撃必殺の威
 力をもたらします。しかし、もはや合気道を闘いの武器として用
 いる時代は終わりです。武術としての合気道は、私で終わったの
 です。

 それよりも、日々、合気道の素晴らしい技を修練することによっ
 て、その深遠なる和の理合を身心に宿し身をもって和合を実践す
 ることこそが、二十一世紀に向けての合気道の役割だと私は思い
 ます。」


塩田剛三師はこんな言葉を残しているけれど、軍事力を闘いの武器
として用いる時代を終わらせるためには、「試合がない」すなわち
「戦争という手段」がない世界を是とし、すべての国がそれを実行
することでしか成し得ない。

それができないうちは、軍事力の均衡による「睨みあいの平和」か
、超大国の軍事的一極支配による「逆らえない平和」でしか、平和
を作り出すことは難しい。現にアメリカの軍事プレゼンスの後退に
合わせるかように地域紛争、民族主義、全体主義が首をもたげてる
。

日本の国防姿勢である、専守防衛、いわば合気道の精神は《武》と
して理想ではあるけれど、理想であるが故に現実世界とは乖離して
いる。


 
6.世界が闇に沈むとき

サブプライム問題が世界を席巻している。金融市場から逃げ出した
資金が、行き場を無くして穀物・原油といった先物市場に流れ込み
適正水準を遥かに超えた高騰をもたらしているという。

市場原理に任せれば行き過ぎた価格はやがて訂正されてゆくものだ
けれど、問題なのはその行き過ぎた価格の対象商品が穀物や原油と
いった、人々の生活になくてはならないものであること。

あまりにも高くなった商品は安くなるまで、買わずに我慢すること
は出来るけれど、生活必需品は無理。

お金持ちはまだ買えるからいいのだけれど、貧乏人はそうもいかな
い。生きるためには暴力に訴えることだってある。アフリカでは物
価高騰を理由とした暴動も起こっている。

穀物輸出国は自国民向けの食糧を確保するために輸出規制をかけた
り、停止したりするところも出てきている。食料を輸入に頼ってい
る国は、お金を積まないと輸入もできないし、幾らつんでも手に入
らないことだってある。

資本主義的経済活動、市場原理主義のグローバル化はお金だけでな
くて労働力をもグローバル化した。徹底的な合理化とあくなき利潤
追求。当然競争社会だから、勝つものと負けるものが出てくるのだ
けれど、一度の勝ちや負けで全てが決まってしまう社会、一度負け
たら二度と這い上がれない世界になることだけは避けるべき。

生活必需品が高騰してしまうと、持たざる者は日々の生活に精一杯
になる。その日その日をどう生きるかの毎日。勝者となるためのス
キルの獲得はおろか、チャンスにめぐり合う機会さえも奪ってしま
うことになりかねない。

今の生活が維持できなくなってきたとき、食べるものが無くなった
とき、取れる選択肢は二つだけ。飢えて死ぬか他から奪うか。究極
の選択。

もちろん、最初の段階では、持てる者が持たざる者に分け与えると
いう選択、最も平和的な第3の選択もあることはあるけれど、自分
が飢えてまで分け与えられる人は殆どいない。そんな人がいたとし
ても、やがてその人が飢えていなくなってしまえば、やっぱり、飢
えるか奪うかの二者択一になっていく。

今のような食糧・原油の異常な高騰をこのまま放っておけば、やが
て取り返しがつかなくなる。奪い合いの世界、畜生道の世界があち
こちに現出することになる。

世界が闇に沈む前に光を見つけておかないといけない。
 


7.技術は力か金か

第二次大戦後、日本は、国際政治の場では名目上敗戦国扱い。戦後
60年たってようやく、国連常任理事国になれるかなれないかに漕
ぎつけた程度。だから世界秩序の構築やその姿を左右するだけの「
政治的権限」を持てたわけじゃなかった。

だけど、日本はそういった国際的「政治力」の不足を「技術力」と
それを元手にした「経済力」で補ってきた。

軍事力が、紛争解決や戦争といった政治的な力として行使されるよ
うに、経済力は交渉や駆け引きに使うことで、政治力として威力を
発揮することができる。それに対して「技術力」そのものは政治力
を持たないけれど、技術力は政治力にも経済力にも置換可能な存在
。

どちらに置換されるかは、その技術を使う人がどう扱うかによって
政治力になるか、経済力になるか決まる。

「技術力」を政治力や経済力に置換するとき、それがどちらに置換
されるかという分岐点は商品化できるか否か。

どんなに優れた画期的な技術であったとしても、それを広く一般大
衆が使えない場合は、その技術力は「政治力」として使われる。軍
事技術なんかは最高機密。他国に対して圧倒的優位を作るものだか
ら、優れて政治的な力を与える。

逆に、画期的技術が商品化され、コスト採算にもあい、安価で広く
一般に使われるとき、その技術力は儲けという形で返ってくる。技
術力が「経済力」に置換した姿。

前者は欧米、とりわけアメリカが得意だし、後者は日本のお家芸。

アメリカは軍事技術の肝心要の部分は絶対他国に渡さない、戦闘機
をライセンス生産させるときでも、エンジン部分だけはブラックボ
ックス化して自国からの供給だし、イージス艦の衛星とのデータリ
ンクシステムの中枢なんかも絶対公開しない。技術力をそのまま政
治力として使ってる。

日本は、高度な技術を誰でも使える商品にして売ってしまう。ゲー
ム機であるPS2は兵器転用の恐れがあるとして輸出規制の対象に
なったし、PS3もアメリカ空軍が研究対象としたくらい。悪気は
決してないのだけれど、無邪気に恐ろしいことをする国ではある。

三菱F−2支援戦闘機の開発においても、主翼の一体成型技術や最
新鋭のレーダー技術などがアメリカの軍事的優位を脅かすとみられ
た途端、共同開発という名目で横槍が入った。

それでも日本では、今も着々と新技術が開発され、日本発の技術は
世界中で使われている。

原発技術、メタンハイドレード、石炭の液化技術、省エネ、海水の
淡水化、砂漠の緑化技術に保水技術、燃料電池、ロボット、EM農
法などなど。

あたかも次に来る未来社会の到来を予告しているかのよう。日本に
は光がある。その気になれば世界を引っ繰り返してしまうだけの光
に溢れている。

 

8.とてつもない日本の底力

日本経済を見てみると、世界のそれとは少しだけ位相がズレている
。世界でいち早くバブルが崩壊して、最近までデフレ路線一直線だ
った。

失われた10年というもの、不良債権の処理に追われて、投資する
どころじゃなかった。貸し渋って、貸し剥して。怪我の功名かサブ
プライムの影響は軽微で済んだ。

日本は不思議な国。もうお仕舞いだと誰もが思うような危機の中か
ら甦る。敗戦もしかり、石油ショックもしかり。

これまでの日本は「技術力」によって経済発展を遂げてきた。新技
術を使った有益な、実用に足る商品を開発して、それを世界に買っ
てもらうことで自らを潤してきた。

その次々と新技術を開発してゆく力、それも商品化して一般に普及
できるようにしてしまう力が日本の最大の力。

技術力を政治力に置換するやり方は、その技術を特許や権利でガチ
ガチに守って誰でも使わせない方向にいくけれど、技術力を経済力
に置換していく方は、その逆で市場に広く安価にいきわたらせるこ
とで可能になる。

日本の技術開発力とその普及は、技術力を政治力に置換するやり方
の対極に位置してる。

ギズモだけどグレムリン、その実態は海の怪獣リヴァイアサン。今
の社会システムから利権を得ている存在がいるとしたら、日本はそ
う見えるのかもしれない。

世界に対して日本人の深層意識はまだまだ怯えている。潜在意識で
は一番手になることを恐れてる。一番になって世界を引っ張ってい
きたくない。先の大戦で袋叩きにあったから。

恐怖心の克服。地球レベルでの共生社会を目指すための鍵。

今回のような食料・エネルギー危機は却ってチャンス。一気に恐怖
心を克服して、世界を転換できる好機。資源の危機という大義名分
があるから。

日本が世界を天照す。そんな時代が目の前に来ている。そのときの
総理はきっとそれにふさわしい人。とてつもない日本の底力を識る
政治家が日本にいたとしたら、彼の出番はその時なのかもしれない
。

その時には国民自身も恐怖心を克服して、世界をリードしてゆくだ
けの覚悟が必要になる。さもなくば、世界覇権を持つ国、新世界秩
序を構築する存在によって、その「技術力」は掠め取られ、「政治
力」として使われるようになる危険に晒されるだろう。それではい
つまで経っても合気道のような「試合のない」世界にはたどり着け
ない。

逆説的ではあるけれど、勝ち負けを超える世界に踏み込むためには
、まず勝ち負けの世界の中で生き抜いていけるだけの《武》を極め
、治めておかなければいけない。

日本がそれだけの覚悟を持って、自らの光を掲げるとき、世界は変
わる。


(了)


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