2982.資源大国の時代か?



石油や鉄などの資源国の経済は拡大している。この検討。 Fより

アジアの工業国化が日本に恩恵を与えた。日本経済の好調はその地
域の経済発展に伴った市場を作り、そこへ工作機械や中高級品を輸
出することで伸びてきた。

しかし、資源の高騰でインフレが起こり、アジア諸国の経済発展は
10%を越える物価高で減速を余儀なくされる可能性が高い。

なぜか?
工業製品価格は相対的に下落している。原材料の価格が高騰しても
競争が激しいので、工業製品価格を上げることができない。むしろ
、価格の下落が続いている。しかし、アジア諸国の物価高騰で、賃
金値上げの圧力を工業経営者たちは掛けられている。低級品の工場
は、どんどん低賃金国にシフトしていく。そして、中国などの新興
国企業は、利益も減り新しい投資ができなくなる。この影響で川重
がロボット工場の増設を中止している。じわりと、この影響が出て
きている。

それに比べて、資源国はその価格を上げ、かつ利益が出ている。そ
の国はロシア、ブラジル、中東、オーストラリアになる。しかし、
それでは、この国々の将来は安泰かと言うと、それも違うようだ。

投機資金が原油価格を押し上げているために、代替エネルギーの開
発がここに来て、活発になってきた。カナダのオイルサンド、日本
のセルロース系バイオエタノール、石炭液化、石炭火力発電所のCO2
地中蓄積やCO2からプラスチックを作る研究まで、その幅が広い。

サウジもこの動きに警戒感を持ち、ジッタで産油・消費国会合を開
催して、原油市場への投機資金流入を抑えるため「市場の透明性と
規制の改善」の重要性を明記した共同声明を採択した。この流れを
受けて洞爺湖サミットでも、原油市場への投機資金流入などに関す
る情報開示での結束を打ち出し、市場の透明性を高め、行き過ぎた
資金の動きをけん制するようだ。

鉄も強化プラスチックや炭素繊維などへの代替が模索されている。
石炭も日本産石炭の方が安くなるということで、新規の開発が始ま
っている。この日本産の低質な石炭でも高炉が運転できる技術を開
発するという。設備投資しても日本産石炭の方が安いことによる。

安く、量が多い褐炭も発電用に利用できる技術を神戸製鋼は開発す
るという。どうもエネルギーの主力が埋蔵量40年の石油から埋蔵
量160年の石炭に戻るような気がする。石炭火力発電が世界的に
見直されるし、CO2除去技術が出来れば、石炭でもかまわないことに
なる。

都市鉱山の開発も本格的に開始されている。この都市鉱山を真剣に
開発すれば、日本は世界でも有数な資源国になるのだ。どう資源ゴ
ミを循環させるのかが、ポイントになる。低炭素社会と言うが、石
油や資源価格の高騰で経済的にも石油離れは加速することが明確に
なっている。

また、中国へ、中国からの物資輸送で潤った海運会社もロシア鉄道
と言う強敵が現れている。鉄道は電気で走るので、石油の船より安
くなるし、時間が早い。航空会社も燃料サーチャージという形で価
格を上げるしかないが、その影響で乗客が減っている。このため、
米国国内航空で減便や会社の統合、乗員のリストラが起こっている。
欧州では、飛行機から鉄道に乗客がシフトしている。高速鉄道は飛
行機の代替になっている。

日本でも、大型郊外店の来訪客が減っている。自動車を使わないで
公共交通を使う方向でシフトし始めた。地方都市再生の絶好のチャ
ンスであるが、どうでしょうね。コンパクトシティとLRTなどの
電気系公共交通の整備が有効になってきた。

このように世界的に石油の高騰でその生活スタイルが変化してきて
いる。これにサウジも危機感を持ったのでしょうね??

さあ、どうなりますか??
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石油高対策、投機資金監視で結束 サミット首脳文書案 
(nikkei)
 原油価格の高騰を受け、日米欧など主要8カ国(G8)は7日に開
幕する主要国首脳会議(洞爺湖サミット)で原油市場への投機資金
流入などに関する情報開示での結束を打ち出す。市場の透明性を高
め、行き過ぎた資金の動きをけん制する狙いで、各国間で最終調整
している。食料問題ではアフリカでの生産倍増や、食料対策の専門
部会の創設を掲げる。各国で物価を押し上げる原油高と食料高の抑
制に努め、世界経済の危機回避に全力を挙げる。 

 洞爺湖サミットで採択する首脳文書では、原油高対策として
(1)産油国による増産拡大(2)増産余力を高めるための油田開発など
の投資拡大(3)製油所への投資増強(4)省エネ化、代替エネルギーの
促進――などを打ち出す。 (07:02)
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原油高対策、投機抑制へ規制必要 産油・消費国会合が声明
(nikkei)

 【ジッダ(サウジアラビア)=地曳航也】主要産油国と消費国
は22日、サウジアラビアのジッダで緊急閣僚会合を開き、原油市場
への投機資金流入を抑えるため「市場の透明性と規制の改善」の重
要性を明記した共同声明を採択した。供給不安の解消策として、サ
ウジは将来的に生産能力を最大で現状の約1.5倍となる日量1500万バ
レルに引き上げると表明した。

 会合は原油価格が1バレル=140ドルに迫るなか、サウジのアブド
ラ国王が呼びかけて開催。甘利明経済産業相やブラウン英首相、ボ
ドマン米エネルギー長官らが参加した。

 会合閉幕後に採択した共同声明は原油価格の高騰や急激な価格変
動が世界経済に有害であるとの懸念を明記。金融市場の透明性と規
制を改善すべきだと指摘した。 
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トヨタ、シベリア鉄道で輸送 ロシア向け部品
(nikkei)

 トヨタ自動車は2009年春にも、ロシア工場への部品輸送でシベリ
ア鉄道の利用を始める。国営ロシア鉄道と提携している三井物産に
業務を委託、現在の船舶輸送から順次切り替える。輸送日数はほぼ
3分の1になる見込み。世界的な燃料高や二酸化炭素(CO2)排出規
制を背景に、国際物流での鉄道利用に弾みがついてきた。

 部品を船で極東のウラジオストクに運び、トヨタの乗用車工場が
あるサンクトペテルブルク市まで鉄道で輸送する。輸送期間は20日
程度の見込み。欧州回りの船舶を使う従来方式だと60日程度かかっ
ていた。(07:48)
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神鋼、低質炭を発電用に改良 10年にも量産化
(nikkei)
 神戸製鋼所は2010年にも、低品質の石炭を発電用燃料に使えるよ
うに改良する技術を実用化する。100億円以上を投じてインドネシア
に専用設備を建設、従来はほとんど利用されていなかった「褐炭」
と呼ばれる石炭を加工する。将来は米国や豪州などでも事業化を目
指し、日本の電力会社などに発電用石炭を低価格で供給する体制を
構築する。素材メーカーの間で、技術開発により資源価格高騰の影
響を最小限に抑えようとする動きが広がってきた。

 褐炭は世界の石炭可採埋蔵量の約6分の1に相当する約1600億トン
があるとされる。水分が30―50%含まれ発熱量が少ないうえ、自然
発火の危険性も高い。これまでは採掘せずに放置されるケースが多
かった。(07:02) 
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産業用ロボット、川重が新工場を凍結 設備投資抑制響く
 川崎重工業は主に自動車や半導体工場で使う産業用ロボット工場
の建設計画を凍結する。2008年中に兵庫県内に工場を新設し、生産
能力を1.5倍に拡大する計画だった。米景気の減速などの影響で、
自動車や半導体メーカーが設備投資を抑える動きが増えている。

 自動車部品の溶接・塗装や半導体の製造工程でシリコンウエハー
の搬送に使用する産業用ロボットの新工場建設をやめる。約100億円
を投じ播磨工場(兵庫県播磨町)に産業用ロボットの国内工場とし
ては約40年ぶりとなる新棟を建設し、現在の生産拠点の明石工場
(同県明石市)から生産を移管する計画だった。生産能力は現在の
5割増となる年間1万6000台に高めることにしていた。(07:02) 


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