イランの報復戦争とイスラモファシズムの現代 2008.6.22 DOMOTO クリスチャン・サイエンスモニターは、6月20日付けスコット・ピー ターソン氏の記事で、6月に入り懸念されているイスラエルによるイ ランの核施設空爆を踏まえ、仮にイスラエルではなく、アメリカが その空爆・攻撃を行った際の最悪の予測記事を載せ、警告をしてい る。 How Iran would retaliate if it comes to war http://www.csmonitor.com/2008/0620/p07s04-wome.html イランの報復と題するこの予測記事は、(イスラエルではなく)ア メリカがイラン攻撃を行った場合、IRGC(イスラム革命防衛隊)を 含む中東地域では最大規模の54万の兵士を持つイランが、イラン 過激派を更に含めて、「報復戦争」として非対称戦(=テロ戦争) を世界規模で展開するという要旨を述べている。 ピーターソン氏は、軍事アナリストが、アメリカによるイラン攻撃 がアメリカを始めとする全世界にとって、危険な結果を招くという 見方をしている事を最初に述べた上で、スウェーデン国防大学(ス トックホルム)の非対称戦・研究センターのマグナス・ランストー プ氏の分析を挙げている。ランストープ氏によれば、イランの反応 とその報復攻撃は、過去のイランの事例から見て世界規模になり、 アルカイダの脅威の予測を超えるものなるという。 また、ワシントンの中東問題のアナリスト、Alex Vatanka氏は、昨 年秋に任命されたIRGC(イスラム革命防衛隊)の司令官は非対称戦 の天才である事を指摘した上で、イラン自身は、第1ラウンドの陸 海空軍の通常戦争でアメリカに勝てるとは考えておらず、 ”other assets in the toolbox”=別の戦争手段(非対称戦・テロ 戦争)で、第2ラウンドの戦争を戦うつもりだという。 この記事によれば、イランの最高指導者ハネメイは2006年に、アメ リカがイラン攻撃を行った場合には、世界中の広範囲に及ぶアメリ カ人に危害が及ぶ事を警告している。 ヒズボラと連携するイランの非対称・テロ戦がいかに強力なものか を、私達はイラク戦争を通じて、中東情勢やアフガニスタンで見て きている。 イスラエルが核施設空爆に動けば、石油埋蔵地帯である周辺中東諸 国を巻き込んだ、中東の大混乱状態が勃発するから、アメリカはア メリカ軍を現在以上の規模で派遣し、イスラエルと行動を共にする 事になるだろう。 アメリカ保守系論壇の重鎮である、ノーマン・ポドレツ (Norman Podhoretz)が『SAPIO』2007年7月11日号への寄稿で、 「9.11で幕を開けた第3次世界大戦の敵の正体は、イスラモファシ ズムだ」と題する記事を載せている。 彼によると、「イスラモファシズム」とは、21世紀初頭に現れた、 イスラム原理主義とファシズムが結びついた暴力的運動を意味し、 具体的には、アルカイダ、ハマス、イランのアフマディネジャド政 権を指す。 ポドレツ氏は、将来的にサウジアラビア、シリア、エジプトも敵と なりうる可能性があるとし、自由主義社会はイスラモファシズムと の戦争に30年から40年を必要とするだろうと述べている。 ここでのキーポイントの一つは、共産党独裁国家、中国が、アフリ カ地域をも含めたイスラモファシズム圏の独裁国家を、兵器輸出と 核兵器開発、経済協力などの面で支援しているという事だ。 中国、イランやテロ組織に兵器輸出 米政府高官、議会公聴会で証 言(5月21日 「イザ!」) http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/146773/ 参考文献: The Case for Bombing Iran(June 14, 2007 Norman Podhoretz) http://www.hudson.org/index.cfm?fuseaction=publication_details&id=4963 DOMOTO http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html