2960.新興国の危機



新興国での株価が大幅下落している。その検討。  Fより

上海、ベトナム、インドなどのアジア新興国での株下落が止まらな
い。6月12日の上海総合株価指数が1.4%下落で、1年2カ月ぶりの
安値水準となった。またアジア新興国株式市場の株価も急落してい
る。

なぜ下落しているかというと、新興国のインフレが加速して、この
インフレで新興国消費者の生活は、相対的なエンゲル係数が日本な
どの先進国より高いために、食糧価格の高騰で先進国の国民より苦
しくなって、食糧以外の消費を抑えることになる。このため、サー
ビスや電化製品、高級品など広範な新興国企業の株価が下落するこ
とになるのだ。

石油や小麦などの高騰は、アジア新興国政府では自国の食糧を輸出
禁止するなどの制御しかできない。もう1つは、政府は自国の公定
金利を上げることである。インフレが他の物に飛び火しないように
することである。この金利上昇で企業の活動が抑制される。

そして、中国では外資企業を中心に労働者のストライキが頻発して
いる。このストライキで給与を上げようとするのも生活ができない
状態になっているからだ。この労働賃金の上昇で外資系の工場が中
国から流出している。

石油や食糧の高騰の原因は投機資金の流入によるために、需給バラ
ンスとは違う思惑で動いている。しかし、その影響は世界的な景気
を冷やし、唯一景気上昇の原動力である新興国の景気を落とし政情
を不安定にしている。株価が下落するので、投機資金は新興国から
逃げ出して株価が大幅下落し、その資金も行き場が無くて商品相場
に流入することになる。

この新興国がインフレから脱却するには、自国通貨の対ドルでの切
り上げしかない。こうすれば、相対的な食糧や石油価格は自国通貨
ベースでは高騰が抑えられることになる。しかし、中国を始め新興
国政府は金融引き締めに走り、自国通貨の切り上げには躊躇してい
る。

商品相場は、ファンドが集まる米英での監視体制が徐々に揃って、
商品相場への投資資金の流れ込みには一定の限度が出てくる。こう
なると自由な運用が出来ずに、商品市場の暴落もありえることにな
る。サウジは石油の増産に傾き、新興国などの実需が停滞している
ので、これ以上の上昇はありえない。また、米国の住宅市場の下落
は一向に止まる気配が無い。米国への回帰もない。このため、投機
資金は次の投資先を見つけ始めている。

その候補先に、日本の名が出始めている。まず、サムライ債の発行
がブームになっている。さあ、どうなりますか??
==============================
中国に金融引き締め観測 上海株大幅安、インフレ懸念根強く
(nikkei)
 【北京=高橋哲史】12日の上海株式市場で総合指数が1年3カ月ぶ
りに3000を割り込んだ背景には、中国政府がインフレ抑制に向け金
融引き締めを一段と強化するとの観測がある。同日発表の5月の消費
者物価指数(CPI)は4カ月ぶりに7%台の上昇にとどまったが、
物価高は食品以外に波及する気配をみせており、先行き楽観できる
状況にはない。中国人民銀行(中央銀行)は物価抑制へ政策を総動
員する構えで、人民元相場の上昇が今後、加速する可能性もある。

 国家統計局は12日、5月のCPIが前年同月に比べ7.7%上昇した
と発表した。CPI上昇率は2月に8.7%と11年9カ月ぶりの高水準を
つけた後、4月まで3カ月続けて8%台で推移。5月も四川大地震の影
響で高い上昇率が続くのではないかとの懸念が浮上していた。
(07:03) 
==============================
人民元、一層の切り上げ必要 米財務長官 
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】ポールソン米財務長官は10日、中国と
の経済関係について講演し、人民元相場の上昇傾向を認めながらも
「持続的な動きと柔軟性を高めることがなお必要だ」と述べ、中国
のインフレを抑えて安定成長を遂げるためにも人民元の一層の切り
上げを求める考えを明らかにした。米政府は17、18の両日にメリー
ランド州で開く閣僚級の米中戦略経済対話でも為替政策を議題とす
る方針だ。 (00:32) 
==============================
商品先物、米が取引委の増員検討
(nikkei)
 【シカゴ=毛利靖子】投資ファンドによるエネルギー取引監視な
どの目的で、米議会が規制当局の米商品先物取引委員会(CFTC
)の増員を検討していることが分かった。CFTCは英金融サービ
ス機構(FSA)に、英系取引所の原油先物取引で米国の取引所と
同様の持ち高制限を課すよう近く要請する計画で、監視強化の動き
は原油など国際商品市場の資金の流れに影響する可能性がある。

 民主党のリード上院院内総務らはCFTCの予算を増やし、市場
監視などに当たる職員を100人増やせるようにする法案を準備中だ。
CFTCの陣容は株式市場の番人である米証券取引委員会の8分の1
程度。ファンド資金の流入でエネルギーや穀物の取引量が拡大して
おり、IT(情報技術)投資と人材の両面で市場監視体制の整備が
追いついていない。(07:02) 
==============================
米住宅差し押さえ、5月は48%増 民間調査
(nikkei)
 【ニューヨーク=蔭山道子】米調査会社リアルティ・トラックが
13日発表した集計によると、住宅ローンの返済が滞り差し押さえ段
階にある住宅件数は、5月で26万1255件と前年同月比48%増えた。
件数は調査を始めた2005年1月以来の最高を更新した。全体の住宅
戸数に占める差し押さえ件数の割合が最も多い州はネバダ州で0.85
%。次いでカリフォルニア州(0.55%)、アリゾナ州(0.50%)の
順となっている。(08:01) 
==============================
ベトナムに金融危機?中国へ波及か?(1)

ベトナムで金融危機が一触即発の状態にあり、ベトナムの危機がド
ミノ倒しのように連鎖して、東アジアに金融危機が起きるのではな
いかと懸念する人もいる。ベトナムの危機は中国に波及するだろう
か。下半期の中国マクロ経済の発展はどうなるだろうか。5月に消費
者物価指数(CPI)の上昇率が8%を下回り鈍化傾向を示したが、
これは短期的な現象か、長期的な現象か。下半期の物価上昇率は引
き続き鈍化するか。国家発展改革委員会中国マクロ経済学会の王建
秘書長(事務局長)はベトナム金融危機の波及の可能性や下半期の
中国マクロ経済情勢などについて、次のような分析を行った。
「広州日報」が伝えた。 

ベトナムではすでにさまざまな問題が生じており、インドでも最近
通貨の下落といった不安定要因がみられるようになった。だがベト
ナムの危機が東アジア金融危機をもたらすのではないかと過度に心
配する必要はない。また中国経済に巨大なリスクをもたらすのでは
ないかと心配する必要もない。 

アジア全体からみれば、現在のベトナムの金融面での苦境は、11年
前のアジア金融危機とは背景が異なる。11年前は危機によりアジア
諸国の多くで通貨が上昇したが、同時に大きな貿易赤字も出現した
。貿易赤字の状況で、本貨が値下がりして赤字を修正しないばかり
でなく、かえって値上がりするという事態は正常なものではなく、
経済的規律にも反している。当時の通貨上昇の原因は、資本項目で
大規模な通貨の流入が生じ、本貨を押し上げたことにある。加えて
当時は多くの国が十分な外貨準備を保有しておらず、バブル崩壊に
伴って、枯れ木がなぎ倒されるように経済も崩壊した。 

今日の状況はこれとは異なる。アジア諸国の状況はベトナムと大き
く異なる。ベトナム以外の国はみな貿易黒字で、外貨準備も豊富だ
。よってベトナムの危機が東アジア金融危機を引き起こすのではな
いかと懸念するには及ばない。(編集KS) 

「人民網日本語版」2008年6月13日
==============================
米SEC、格付け会社に新規制案 情報開示徹底など柱
(nikkei) 
 【ニューヨーク=松浦肇】米証券取引委員会(SEC)は11日、
格付け会社に対する新しい規制案を採択した。情報開示の強化、格
付け業務の独立性確保が柱。格付け会社は信用力の低い個人向け住
宅融資(サブプライムローン)問題を深刻化させたとの批判が強く
、SECは早期に投資家の信認を取り戻したい考えだ。

 新しい規制案の骨子は(1)格付けに用いたデータや計算手法の開示
(2)格付け業務の年次報告書の提出(3)格付け分析と営業部門の分離
など利益相反行為の禁止(4)過去の格付け見直し過程と関連データの
開示(5)証券化商品と他の金融商品への格付け表記の区別
――の5つ。 (14:08) 
==============================
サムライ債発行額急増 08年度9000億円突破
(nikkei)
 海外の国や企業が日本で発行する円建て外債(サムライ債)の発
行額が今年度に入り急増している。12日時点で合計9122億円と前年
同期の2.7倍になり、実質過去最高だった2007年度を上回るペースだ。
オーストラリア、カナダの資源国、タイ、韓国のアジア勢の発行が
目立つ。米住宅ローン問題の混乱が続く欧米市場を避け、相場が安
定し金利も相対的に低い日本で調達する動きが広がっている。

 今年度に入り4月に豪コモンウェルス銀行(1471億円)、5月にタ
イ(550億円)などが発行した。12日にはシティグループが個人向け
サムライ債を1865億円発行すると発表した、新年度入りして初の米
金融機関の起債となった。(09:53) 
==============================
サウジ、追加増産を検討 専門誌報道
(nikkei)
 【ドバイ=松尾博文】サウジアラビアが22日に同国で開く産油国
と消費国の会合に向けて、原油の一段の増産に動く可能性が出てき
た。中東・石油情報誌MEESは13日、サウジアラビアはすでに約
束している日量30万バレルの増産に加えて、さらに同50万バレル程
度増産幅を上乗せし、生産量を過去最高水準となる同1000万バレル
近くまで引き上げる方向で検討していると報じた。

 22日の会合では、産油国側の原油増産への対応が焦点となる見通
し。消費国で強まる批判に対し、石油輸出国機構(OPEC)最大
の産油国サウジは5月のブッシュ米大統領の訪問にあわせて日量30万
バレルの増産を表明。6月までに生産量を同945万バレルに引き上げ
る方針を決めている。

 さらに同国は「必要な原油はいつでも供給する」と表明しており
、自らの提唱で開催する産消対話にあわせて大幅増産を表明するこ
とで消費国の理解と市場の沈静化を狙っているとみられる。(02:44) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る