2947.日本企業が米国再生を担う



時価会計を変更し米金融機関の損失を抑制し、日本企業が米国再生
を担う。              Fより

米国の証券取引委員会(SEC)がFAS157の適用について、米国
の全上場企業のCFOに指示の手紙を出した。
その内容は、有価証券を性質に応じて三つに分類。流動性が高く時
価が測れるレベル1、参照できる指標があるレベル2、取引が薄く
時価がないレベル3に分類して、レベル3について、どういう方法
で評価したかのモデルを開示することという。

レベル3という不良債権化している資産を開示モデルによる評価で
評価した価格で良いことになった。トリプルA格での価格の70%
でもいいことになったということである。

このような処置を取るのは、米FRB議長によると金融市場の現状
が「正常な状態にはほど遠い」のためであるという。しかし、これ
で金融不安は遠のいたと米財務省のロワリー次官補は5月26日に
明言している。直ぐにグリーンスパン前FRB議長が「まだまだ金
融不安の中にある」とロワリー次官補の発言を否定している。

その結果、3大銀行は資産の区分「レベル3」へ移し替えるケース
が目立っている。これでレベル2ではもとの価格の50%程度になる
資産をレベル3にして70%以上の評価額にしたので、全体損失も
抑制できたようだ。それほど、銀行資産内容はひどいのでしょうね。

しかし、米消費者が支出を抑える傾向がより鮮明になって米国は不
景気がより確実視されるようになってきた。米住宅価格も14%下落
し、住宅市場も低迷が続いている。ポールソン長官は中東歴訪し、
米国債保有の継続と各国通貨のドル・ペッグ維持をお願い行く。

FRBは米公定歩合の利下げでドル札を大量に市中に供給している。
このドルの消化ができずに、穀物や原油に投機資金として徘徊して
いるのだ。このため、米英当局は原油市場の監視強化で合意した。
このようにまだ、米金融混乱は表面では収まったように見えるが、
その根は深く、そう簡単に解決できるものでない。

米国経済に変わり、中国や中東産油国での経済建設が増加してきて
いる。このため、世界景気は米景気ほどには悪くない。そして、ア
ジア市場の成長で日本企業の本国工場はフル操業の状態にある。
また、1990年代に米国の日本バッシングで日本企業は米国に工
場を建てた。その後、米国メーカは1995年以降に中国などの海
外生産に移行して、米本土の工場を無くした。今米国で生産してい
るのは日本のメーカ工場が多い。そして、米国の実体経済空洞化は
21世紀も継続している。

それでも、日本企業は米国工場で米国の消費者向け生産を加速させ
ていた。今、米国消費の落ち込みとドル下落で、この米国工場の生
産余力と採算性向上で、米工場は南米・欧州への輸出拠点になり始
めている。このため、日本の米工場の操業率が落ちないという結果
になっている。米国の景気を支える存在でもある。

このように米国実体経済再生は日本企業が支える状態になってきた
。金融資本主義から実体経済資本主義への転換を米国は必要として
いる。これには日本企業の存在が重要な意味を持つことになる。

このこともあって、プリンター複合機では日米が共同で欧州をWTO
に提訴する。米国政府は実体経済の活性化のために、日本企業の米
工場を助け、輸出を促進させるしかないようだ。このように、日米
実体経済の統合化が進んでいる。WHが東芝の子会社になり、原子
力でも米国は日本を無視できなくなっている。ブッシュ大統領が提
案する中東の原子力発電でも、日本企業がいないとできない。
このように米国経済の中で日本企業の存在は大きくなって、米国の
次期大統領が誰になっても、日本との関係を無視しての経済外交政
策はできないことになっている。

さあ、どうなりますか??
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米消費者、支出抑える傾向より鮮明に
(nikkei)
 米国で消費者が支出を抑える傾向がより鮮明になってきた。携帯
市場では端末の買い替えを控える動きが広まり、2008年1―3月の端
末販売台数が前年同期比で2割減少した。自動車や薄型テレビでも低
価格品への需要シフトが顕著だ。不透明な景気動向への警戒感に加
え、ガソリンや食料品など生活必需品の価格高騰で消費者が「縮み
志向」を強めており、企業業績への影響も広がりそうだ。
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米住宅価格、14%下落・1―3月、過去最大 
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】米住宅市場の低迷が続いている。米格
付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が27日発表し
たS&Pケース・シラー住宅価格指数の1―3月期の全米一戸建ては
前年同期比で14.1%下がった。一方、米商務省が同日発表した4月の
新築一戸建て住宅の販売件数は季節調整済みの年率換算で52万6000
戸だった。前月比3.3%増と市場予測平均(52万戸)をやや上回った
ものの、低水準にとどまった。
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米FRB議長、金融市場の現状「正常な状態にはほど遠い」
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ
ンキ議長は29日、金融市場の現状について「正常な状態にはなおほ
ど遠い」との厳しい認識を改めて示した。市場の安定化を狙って資
金供給拡大を検討する考えも示した。ビデオ会議形式でスイスで開
かれている国際会議に参加し、13日の講演と同じ内容の話をした。
(12:02) 
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原油市場の監視強化へ=情報交換の積極化で合意−米英当局
5月30日8時2分配信 時事通信

 【ワシントン29日時事】米商品先物取引委員会(CFTC)は29日、
原油市場での不正取引を監視するため、英金融サービス庁(FSA)や
原油などの先物市場を展開するインターコンチネンタル取引所(ICE
)との間で、情報交換を強化することで合意したと発表した。 
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米国の証券取引委員会(SEC)が指示
FAS157の適用について、SECが米国の全上場企業のCFO
に送付した手紙 
http://cfonews.exblog.jp/7766166/

米国の全上場企業の最高財務責任者(CFO)に米証券取引委員会
(SEC)から手紙が届いた。信用力の低い個人向け住宅融資(サ
ブプライムローン)問題が深刻になるなか、盛られていたのは実質
的な時価評価の後退だった。
手紙が取り上げているのは米財務会計基準審議会(FASB)が
2007年11月に導入した新会計基準「FAS157」。企業がこれに
基づくSEC提出書類(フォーム10−K)を作る際の考え方を示し
ている。
FAS157は有価証券を性質に応じて三つに分類。流動性が高く
時価が測れるレベル1、参照できる指標があるレベル2、取引が薄
く時価がないレベル3だ。
手紙は広範な有価証券をレベル3に分類できるとしている。本来レ
ベル2に入るものでも今は市場がゆがんでいるとの解釈だ。そのう
えでレベル3について、どういう方法で評価したかのモデルを開示
するように求めている。
例えばサブプライムローンを組み込んだ証券化商品などレベル2の
参照価格はトリプルA格でもとの価格の50%程度。それをレベル3
と見なし、開示モデルによる評価を公正価格(フェアバリュー)と
して構わないというわけだ。開示モデルさえしっかりしていれば70
%と評価することも可能になる。
これによって金融機関のサブプライム関連損失の抑制効果が見込め
る。レベル2には債務担保証券(CDO)やLBO(借入で資金量
を増やした買収)融資などかなりの資産が入る。
一部の会計士はレベル2を市場の参考価格を使って厳格評価する姿
勢だった。その場合、債務超過に陥る金融機関が出て、連鎖破綻が
おきかねなかった。SECは会計士へのけん制も狙ったもようだ。
市場原理主義者から見れば時価会計の後退は許せない。しかし、会
計士ショックによる金融メルトダウンは防がねばならない。いまは
理想論をふりかざせるような生やさしい局面ではない。
(2008年4月17日 日本経済新聞夕刊9面 十字路)
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時価開示困難な資産、急増・米3大手銀
(nikei)
 【ニューヨーク=松浦肇】シティグループなど米大手銀3行が3月
末時点で保有する時価開示の困難な高リスク資産の残高が増加して
いる。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題
の影響で取引が減った証券化商品などの時価評価が難しくなり、そ
うした資産を時価開示が容易だった従来の資産区分から開示困難な
高リスク資産の区分「レベル3」へ移し替えるケースが目立ってい
る。

 「レベル3」は流動性が低いうえに、評価を時価でなく自社の裁
量で決めることになるために価格の透明性にも欠けやすい。こうし
た高リスク資産は将来の損失計上につながる恐れもある。(16:03) 
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狙いは、米国債の購入継続である。(田村秀男HP)
ポールソン長官の中東歴訪はブッシュ大統領歴訪をフォローアップ
、各国通貨のドル・ペッグ維持の確認と米国債のセールスである。
長官は中国、アラブ産油国といずれも米国債保有国に集中して訪問
している。それほど米国は危機感を抱いている表れだが、サブプラ
イム危機がやや落ち着きが出てきたので、その駄目押しのチャンス
と考えたのだろう。


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