2941.農業改革について



農業改革が必要になっている。農業は今が再生の最大のチャンスで
ある。この考察をしよう。     Fより

このコラムの読者MYさんから、現行法律でも農業生産法人の一形態
としての株式会社は、農業への参入を認められているが、Fさんの
いう「企業の参入をまだ認めようとしない。」いうことは一般的な
企業のことですかという質問をいただいている。

答えはYESです。アサヒビールは、中国では大農場を持ち、有機
野菜を作り、都市の富裕層向けに出荷している。近所の農民が会社
員として、このアサヒに勤めている。出荷は午前3時から作業をす
ることもあるという。このように農業経営も大企業が行うと、栽培
方法や流通経路、顧客対象が違うことになる。

今チャンスなのは、日本だけではなく、中国やインド富裕層向けの
有機農産物である。有機農産物はある程度高くても需要がある。し
かし、有機農産物の栽培は難しく、日本の農家では5000人程度しか
行われていない。需要はあるが、それに対する供給が追いついてい
ないのだ。

現時点、日本の企業参入が許されているのは、カゴメが行っている
ような大規模温室栽培や野菜工場としての水耕栽培など特殊なもの
だけである。路地物は許されていない。

研究開発投資が必要で、かつ失敗のリスクがあるために、有機野菜
の栽培は普通の農家ではできないようである。農業は定年退職Uタ
ーン組もできない。自分の食べる分しか作れないのである。農業と
いう職業選択の自由は日本にはないのだ。

その上、農家は減り続け、320万人しかいない。その320万人
も6割の人が65歳以上という状態である。零細な農家では農産物
価格は安いので成り立たないことで、農村部の若者達が都市に出た
ために、そうなっている。このまま、現在のような保護政策は日本
農業を益々衰退させ、農産物が世界的に不足しているのに、日本農
業が崩壊することになる。今後の農業は自立した企業経営としての
基盤を持ち、大規模な取り組みしかない。その企業に勤めることで
安定した収入を得る方が農家よりいいと見る。そして、今後地方の
土建業も公共工事がなくなり、その企業維持が危ぶまれている。
その企業が農業に参入する道を取ることが地方の活性化にとっても
、いいように感じる。

もし、農業技術の研究を企業ベースで行うなら、サントリーの青色
のバラではないが、新製品、新技法を生み出すことになると見てい
る。

日本の高級な食材をアジアの富裕層は求めているし、日本農業は違
う発展に向かうと見るがどうであろうか??

もう、戦前の小作農家を引きずる政策を止めるべき時に来たと思う
が、どうであろうか??
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「2933 日本時代への改革を 」について     MY
   
表題稿にある農業への「企業の参入をまだ認めようとしない。」に
ついて以下の記述をみつけましたので、検討をお願いします。

「日本の農業150年」 編者 暉峻衆三(てるおかしゅうぞう)
有斐閣ブックス 2003年12月初版 p277より

「財界などからの要求をふまえて、(農業生産法人の一形態として
の株式会社)を容認することを今後の検討課題とした。曲折を経て
、2000年12月に農地法が改正され、耕作者が主体である農業
生産法人の一形態としての株式会社の農業への参入が認められ、
また永年の懸案であった小作料の定額金納制の廃止が実施されるこ
とになった。こうして株式会社の土地利用型農業への参入の突破口
がこの期に切り開かれ、小作料制度を貸し手(零細農家)に有利に
することによる農地流動化の促進がはかられた。」

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 とあります。上記のなかでは

(農業生産法人の一形態としての株式会社、耕作者が主体である農
業生産法人の一形態としての株式会社)と形容詞?のない(株式会
社)は、別物と解釈すべきなのでしょうか。それを踏まえて
Fさんは、つまり、一部制限つきの会社は可であるが、オールマイテ
ィの会社である「企業の参入をまだ認めようとしない。」と述べて
おられるのでしょうか。

「平成の農地改革」が今秋にでるそうで、緩和傾向のようです。現
状でも農地リース方式で企業参入は増えていると思います。 



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