2926.金融危機と景気の動向



金融危機と景気の後退との関係を検討しよう。    Fより

金融危機の原因はシティとUBSの2社が大きい。この2社の再建
が確定したので、グリーンスパンやポールソン財務長官は「金融危
機の最悪期は終わった」と発言したのである。

サブプライム債権はほとんど100%不良債権になることが確実で
あり、この債権を破棄か利率を下げて半分を破棄するかを選択する
必要があった。その2社は大量に在庫を持っていたために、その損
失額も他社に比べて大きいことになっていた。

そして、この2社はデリバティブ市場でGETを行っているので、
潰すと先物市場の混乱に繋がり、世界的な影響が出ることになった。
この先物市場の規模は40000兆ドルという巨大な市場である。
その1/2以上をシティがGETを受けているというほど、シティ
の存在は大きい。このため、クリーンスパンはシティが潰れたら大
変なことになると見ていた。UBSも近年、急速に先物市場に参入
していた。

そのシティとUBSが再建案を提示した。しかし、このシティ41
兆円の資産を誰が買うのかである。この目途も着いているはずであ
る。米国の財務省や国家を挙げてシティを支援している。当初から
住宅ローン担保証券を大量に売買しているシティとUBSが危ない
ことは米政府関係者や金融関係者は良く知っている。

このため、日本の銀行に先物取引のGETをお願いされたりしたの
だ。東証も先物取引を拡大する計画を発表した。このようにシティ
の倒産を予測して、世界の銀行などはリスクヘッジのために、新し
いGETができる銀行を探していた。

シティとUBSの再建案ができたことで、この部分での金融危機は
一先ず、沈静化したことになる。しかし、金融危機と景気後退は違
う問題である。

FRBの大量資金供給などで、ドルが6倍以上も大量に市場で流通
しているために、ドルが下落して、インフレが起き、かつリストラ
などで職を失うために、米国経済は後退期にある。

しかし、自動車ローンなどの貸倒れは、悪くても確率15%程度で
サブプライムのように貸し倒れ率100%と言うことは無い。この
ような景気後退期は今までにもあり、銀行サイドでも経験がある事
態であり、対処処置を銀行は知っている。その面でポールソン米財
務長官は楽観視しているのである。

他金融機関も、FRBの資金提供やシティやUBSの再建案が固ま
ったことで、証券化商品に戻り初めている。株も一度戻しているの
は、金融危機の後退に対してであり、景気後退の影響は今後、株下
落として出てくることになる。日本の景気も後退するが、米国ほど
ではなくて、そのため、日本の株が上昇する可能性が高いと見てい
る。CO2排出削減のリチュームイオン電池など新技術も日本発が
大量にある。これを囃し立てるメディアがいつ出てくるかでしょう
ね。

しかし、シティに資金を投入する企業や国はどこなのでしょうか。
日本の自民党を中心に政府系ファンドの検討があり、日本がシティ
を助けるのかなと見ていたら、自民党の了承が得られなかったよう
だ。

米政府としても、なるべくなら、友好国に最重要銀行の株や資産を
持って欲しいはずであるが、どうなるのでしょうね。
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「金融危機の最悪期は終わった」・グリーンスパン氏
(nikkei)
 グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は8日、「金融
危機の最悪期は終わった」との認識を示した。ロイター通信がニュ
ーヨークでの講演を出席者に取材した結果として伝えた。前議長は
、米国の住宅価格は長期の下落が続き、年内に安定する可能性は低
いと予想。経済成長の低迷も長引くとの見方も明らかにした。

 これに先立ちポールソン財務長官も「最悪期は脱したようだ」と
の見方を繰り返し示しており、米政府を中心に危機を乗り越えたと
の楽観論が広がりつつある。(ワシントン=藤井一明)(11:02) 
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米財務長官、金融市場の混乱「収束へ前進」
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】ポールソン米財務長官は7日、AP通
信とのインタビューで、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプラ
イムローン)問題をきっかけとする金融市場の混乱について「収束
へ前進している」と述べ、最悪期は脱したとの認識を示した。

 同長官は米銀大手JPモルガン・チェースによる米証券大手ベア
ー・スターンズの救済を「正しい選択だった」と改めて強調。3月
中旬以降、市場は徐々に沈静化していると分析した。
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米金融市場、信用懸念やや後退・証券化商品、資金戻る
(nikkei) 
 米金融市場で証券化商品の発行や金融機関の増資など、資金調達
の動きが復調してきた。米連邦準備理事会(FRB)の大量資金供
給などで、信用懸念がやや後退してきたためだ。もっとも、信用力
の低い個人向けの住宅融資(サブプライムローン)問題の震源地で
ある住宅価格の下落は止まっておらず、市場混乱がこのまま収まる
かはなお不透明だ。 

 市場混乱でほぼ停止状態にあった証券化商品に投資マネーが戻り
つつある。自動車大手フォード・モーターの金融子会社が4月中に発
行した自動車リース債権を組み入れた証券化商品は、投資家の需要
が膨らんで発行額を当初の10億ドルから16億ドルに上積みした。
JPモルガン・チェースが発行を予定している12億ドルの商業用不
動産ローン担保証券(CMBS)も完売が見込まれている。 
(11:11)
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米シティ、巨額追加損の懸念 業績改善は不透明
2008年05月11日03時44分(ASAHI)

 【ニューヨーク=丸石伸一】米金融最大手シティグループが総資
産の約2割削減を打ち出し、従来の拡大路線から転換する姿勢を強
調した。ただ、不採算部門などの大胆な資産圧縮には巨額の追加損
をともなう恐れもある。業績低迷から抜け出すにはまだ時間がかか
る、という見方が根強い。 

 「非中核事業の縮小を続けていく」。シティのビクラム・パンデ
ィット最高経営責任者(CEO)は9日、大勢のアナリストらを前
に、きっぱりとした口調で切り出した。 

 昨年12月にCEOに就いて以来、初めてとなる本格的な投資家
向け説明会。米低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題で深
い傷を負った同社の立て直し策が注目された。パンディットCEO
は、これまで繰り返してきた資産売却の方針について「約4千億ド
ル(約41兆2千億円)」と具体的な数字を示し、高収益事業への
集中に本腰を入れる姿勢を強調した。 

 計画では、非中核事業と位置づけた5千億ドル(約51兆5千億
円)の約8割にあたる約4千億ドル分を3年以内に売却する。本業
への集中に加えて経費削減にも取り組み、年間収入が10%近く伸
びる収益構造に変わる、と見込む。 
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金融大手UBSの1―3月期、最終赤字1兆1500億円、5500人削減
(nikkei)
 【フランクフルト=石井一乗】スイスの金融大手UBSが6日発表
した1―3月期決算は、最終損益が115億スイスフラン(約1兆1500億
円)の赤字だった。前年同期は30億スイスフランの黒字。米国の信
用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡み190
億ドル(約2兆円)の損失を計上した。来年半ばまでに米英の投資銀
行部門を中心に、約8万4000人いる社員の7%に当たる5500人を削減
する。
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政府系ファンド、設立案の了承見送り・自民チーム会合
(nikkei)
 政府が管理する公的資産の運用改革を巡る自民党内の対立が激化
してきた。9日の国際競争力調査会・金融ワーキングチーム会合では
、公的年金積立金の積極運用や日本版政府系ファンド(SWF)設
立の検討などを盛りこんだ報告骨子案に一部議員が猛反発し、了承
が見送られる事態になった。

 会合では同チームの田中和徳座長らが、年金積立金管理運用独立
行政法人による公的年金積立金運用の積極化などを柱とする骨子案
を提示した。昨年12月末時点で約32%の国内外株式比率を40%以上
へ引き上げることなどを盛り込んだ。(07:00) 
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カリフォルニアのバレーホ市が破産へ サブプライム余波
2008年05月09日01時26分(ASAHI)

 米カリフォルニア州北部のバレーホ市が、住宅市場の減速などの
あおりで財政難に陥り、米連邦破産法9条に基づく破産を申請する
方針を決めた、と複数の米メディアが8日報じた。同市は人口約
12万人で、固定資産税など不動産関連の税収に大きく依存してい
たという。住宅価格の下落や返済難に陥った借り手の住宅差し押さ
えなど、米低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題が響いた
とみられる。(ニューヨーク) 


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