2911.金融資本主義時代の終わり



欧米金融混乱で、明暗が分かれている。その検討。  Fより

金融立国として繁栄していた米国と英国が景気後退になり、金融で
儲けるから大規模な損失を出す状態になっている。

米国への輸出をしていたアジア諸国も景気後退に巻き込まれている。
先進国の北欧諸国やアイルランドのように海外投資を呼び込んでい
た国も投資が逃げて、景気の後退が起こっている。

一方、資源大国のロシアやブラジルは活況のまま、中国の内需はシ
ッカリしているが、株式市場は大幅な下落で40%以上も値を落と
している。資源国家でも中東諸国はドルのペッグ制を取っているた
めに、ドル下落でインフレが加速している。

しかし、先進国でも日本とドイツなど工業製品で生きている国は、
米国経済の後退でもロシアやブラジル、中国、インドなどの新興国
需要で景気の落ち込みがあまりない。

過剰投資の時代が過ぎ、お金が市場から潮が引くように無くなって
きた。株価も金融株から値を下げている。米国でもキャタビラーな
ど工業株は株価を下げていない。リバレッジを利かした金融機関は
今までは儲けていたが、損失もリバレッジを利かした分、大きくな
っている。

このため、G7で金融機関のリスク管理を強化する方向で規制をす
ることが決まった。このため、リバレッジを利かして利益を得るこ
とができなくなる。実体経済に則した金融運営を求められることに
なる。

日本の銀行がなぜ、今回のサブプライム問題に巻き込まれなかった
というと、バブル時の日本を知っているために、サブプライムをお
かしいと多くの日本の金融業幹部が注意をしたことと、リバレッジ
を利かした投資をしなかったことで、難を逃れたのである。

銀行の株価維持のために、自己資金の何百倍ものお金をリバレッジ
で生み、それで金利差4%以下で儲け、自己資金に換算して、15
%から20%の儲けを得ていた。これは金融業ではしてはいけない
となれば、日本の銀行と同じように儲けは2%程度になる。金融の
株価は下がることになる。

金融業は大きな儲けを期待してはいけない業種なのである。そこに
世界の銀行が回帰してくることになる。

儲けは実体経済に関与する鉱工業や農業などで得るしかないという
ことを今、世界は証明している。この工業を昔から大事にしている
のが日本とドイツである。最先端の技術を持つのも、この2ケ国で
ある。

この2ケ国の時代が来たのでしょうね。そして、その2ケ国が温暖
ガス排出量削減でも積極的である。その中からも次の技術の目を育
てようとしている。

さあ、どうなりますか?
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「銀行は危機対応計画策定を」・FRB副議長 
(nikkei)
 【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)のコーン
副議長は17日、ノースカロライナ州で「銀行業の変化」について講
演し、「銀行は流動性不足に陥った場合などに備え、危機対応計画
を策定する必要がある」と述べた。

 副議長は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)
問題で生じた金融不安の教訓として「すべての銀行はリスク管理を
強化しなければならない」と強調した。 (18:01) 
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サブプライム関連損失、シティ1兆6000億円・1―3月 
(nikkei)
 【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀シティグループが18日発表し
た1―3月決算は、最終損益が51億1100万ドル(約5300億円)の赤字
(前年同期は50億1200万ドルの黒字)になった。赤字は2四半期連
続。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の
深刻化に伴い、信用収縮に関連して160億ドル(約1兆6000億円)の
損失を計上し、昨年からの合計損失額は欧米金融機関で最大となる
約460億ドルに達した。業績悪化を受け、9000人規模の人員削減を
実施する。

 損失の主な中身は貸倒引当金積み増し、住宅担保ローンの証券化
商品やLBO(借り入れで資金量を増やした買収)融資での評価損
。住宅担保ローンや個人向け融資の延滞率上昇が響いた。 
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世界貿易、実質輸出5.5%増に減速・07年、WTO統計
(nikkei) 
 【ジュネーブ=市村孝二巳】拡大が続いた世界貿易に景気減速の
影響が出始めた。世界貿易機関(WTO)が17日発表した2007年の
世界貿易統計によると、物価変動と為替相場の影響を除いたモノの
実質輸出の伸び率は06年の8.5%から5.5%に減速した。08年は4.5%
まで下がると予測している。

 減速の最大の原因は先進国の輸入鈍化にある。07年の実質輸入の
伸びは米国が1%、欧州連合(EU)が3%、日本が1%と軒並み低下
。市場拡大のペースが鈍ったことでアフリカ・中東の実質輸出の伸
びが0.5%に落ちるなど、途上国の輸出も鈍り始めた。 (22:05)


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