2901.イラクの混乱はなぜ??



イラクが内紛で、騒乱が激化している。その検討。  Fより

米国は、イラクの平穏化でイラク駐留軍の規模を13万の体制にす
るべく、撤退を開始していたが、その撤退が開始した途端に、イラ
ク国内の紛争が激化してきた。

スンニ派ゲリラはアフガニスタンに移動して、イラクの束の間の平
穏を確保したが、今はシーア内部の紛争でイラク国内で戦闘が激化
している。シーア派であるマリキ首相とサドル師の戦いになってい
る。米軍の駐留の是非をめぐり、この両者は対立している。

シーア派マリキ首相とクルド人のタラバニ大統領の連合政権は米軍
の駐留が必要であるとしている。クルド人国家の周りには、トルコ
やイランなどというクルド人国家を認めない民族国家が近くにある。

そして、トルコなどはイラク北部に侵攻して、トルコのクルド人解
放を叫ぶクルド労働党のゲリラを掃射している。このため、イラク
のクルド自治政府としては、欧米の支援がないと周りの国家の侵略
を受けると見ている。

シーア派のマリキ首相は、イラクの宗教指導者シスターニ師の意向
で政府を運営している。シスターニ師はスンニ派フセインの圧制政
治から抜け出したのは米軍が居たからであると評価している面があ
る。特に現時点での米軍撤退は、イラクの分裂に繋がると見ている。

サドル師はイランのシーア派最高指導者であるハメネイ師に従事し
ている。この裏には、イラクとイランの宗教指導者の対立を見て取
れる。イランは今、いつ米軍の攻撃があるか分からない。そのため
、米軍のイラン駐留は敵が隣にいる状態であり、この駐留を止めさ
せることが、イラン・イラクのシーア派にとって、最重要な課題と
見なしている。

米国はイラン核問題を解決するために、ロシアとも連携して動ける
体制を確立した。米ロ「戦略文書」採択をソチで行う。ロシアはア
フガン戦争にも協力するとしている。裏には対中戦略も隠されてい
るが現時点では、その対中戦略は両国共に言わないようだ。

世界覇権を米国は半分手放し、自国の損益を中心に手を組む方向で
あり、ロシアとも損得勘定があったので手を組んでいる。米国の動
きを見ると、欧州や英国の動きとも違うことになっている。そうい
う意味では複雑な動きであり、今までの米国とは違う戦略を取って
いる。

イランはイラク・シーア派サドル師を使い、イラク・スンニ派と連
携して、英米軍に対抗するために革命防衛隊の兵士をマフディ軍に
投入しいる。このため、イラク治安部隊でも勝てない。このため、
英米軍の航空支援を受ける事態になり、反発が広がっている。

このため、イランの仲介を受けて、サドル師が率いるマフディ軍と
の停戦に応じざるを得ないことになった。イランは米軍がイラン攻
撃をすると、イラクのマフディ軍を使い、駐留米軍に襲い掛かり大
きな被害が出ると警告しているようである。在イラク米軍は人質に
なっているとも取れる。

さあ、どうなりますか??
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イラクの内紛停止「イランが仲介」・イランで報道、影響力誇示か
(nikkei) 
 イラク最大与党の有力者であるモフセン・ハキム氏は、同国の
イスラム教シーア派同士が3月に起こした武力衝突の停止に向け「イ
ランが仲介役を務めた」と明かした。イランのメヘル通信が4日報じ
た。イラク安定にはイランの影響力が欠かせないことを示した格好
。イランがこれを利用し、米国にイラク治安を巡る直接協議の再開
を要請する可能性がある。

 モフセン氏はイラクのマリキ政権を支えるイラク・イスラム最高
評議会の指導者アブドルアジズ・ハキム師の息子で普段はイラン在
住。モフセン氏によると、3月下旬にイラクの有力シーア派国会議員
がイランを訪れ、イラン政府高官と会談。その後、治安部隊と戦っ
ていた民兵組織を率いる反米指導者サドル師が「停戦」を宣言した。

 サドル師もいまだにイラン滞在中といわれる。 (19:41) 
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イラク首相「掃討作戦を停止」 シーア派組織との衝突回避
2008年04月05日19時42分(ASAHI)

 【カイロ=田井中雅人】イラクのマリキ首相は4日、民兵組織な
どへの掃討作戦を全土で停止するとの声明を出した。イスラム教シ
ーア派民兵組織マフディ軍を率いるサドル師が3日、大規模デモを
呼びかけており、声明はマフディ軍との再衝突を避ける狙いがある
とみられる。 

 AP通信などによると、サドル師は旧フセイン政権崩壊5周年に
あたる9日に中部のシーア派聖地ナジャフで大規模デモを予定。「
占領に抗議するため」に参加するよう呼びかけており、治安部隊と
の再衝突の懸念が出ている。 

 先月末に南部バスラや首都バグダッドなど全土で400人以上の
死者を出した治安部隊とマフディ軍との戦闘は、イランの仲介でイ
ラクのシーア派与党議員とサドル師側が「停戦」にこぎつけた。
しかし、マフディ軍は停戦後も首相が求める武装解除に応じていな
い。首相の指導力不足と、イランの影響力があらわになっている。
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ロシア
噴出する米国の対イラン攻撃情報
週刊金曜日 第697号

 ロシア・ノーボスチ通信社は3月27日、同国情報機関の高官の発言
として、米軍がイラン国境周辺でかつてなく軍事的な動きを強めて
いると報じた。それによると、「イランに対する空と陸からの高度
に準備された米軍の軍事態勢」が確認されており、米国防総省は
まだ攻撃の最終決定をしていない模様だが、「最小限のコストでイ
ランを屈服させるため」に戦争を想定しているという。またペルシ
ャ湾に集結した米海軍の艦船数が、03年のイラク侵略前の水準に達
している模様だ。
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米ロ大統領が会談、「戦略文書」採択の見通し
(nikkei)
 【ソチ(ロシア南部)=坂井光】ロシアのプーチン大統領と米ブ
ッシュ大統領は5日、ソチの保養施設で2日間にわたる会談に入った
。両大統領は6日、共同記者会見し、安全保障問題を中心とする今後
の米ロ関係の基礎と位置づける戦略的枠組み文書を採択する見通し
だ。

 プーチン大統領は5日夜(日本時間6日未明)、クロアチアからソ
チを訪問したブッシュ大統領夫妻らを保養施設で出迎えた。プーチ
ン大統領は2014年にソチで開く冬季五輪施設について説明。その後
、5月に次期大統領に就任するメドベージェフ第1副首相を交えて夕
食会に臨む。

 6日は首脳会談のほか、ブッシュ大統領とメドベージェフ第1副首
相との会談が開かれる。(01:43) 
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「アフガン復興に長期関与」NATOが戦略ビジョン採択
2008年04月04日10時03分(ASAHI)

 【ブカレスト=関本誠】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議
は3日、治安悪化が進むアフガニスタンの復興・安定化に向けて、
NATOとして長期的に関与していく必要性を盛り込んだ文書「戦
略ビジョン」を採択した。 

 文書では、NATO主導の国際治安支援部隊(ISAF)のアフ
ガンに対する強固で長期的な関与の必要性を強調。10年までに8
万人規模のアフガン国軍を育成するなど、アフガン自らの指導力や
責任の確立に向けた支援も必要であるとした。さらに民生・軍事両
部門をあわせた復興支援やパキスタンなど隣国との協力強化も明記
した。 

 アフガン増派問題では、10カ国以上が追加派遣を表明したが、
全体の数は明らかにされなかった。戦闘が激しい南部への増強がな
ければ撤退すると明言していたカナダのハーパー首相は、フランス
の増派表明を評価する一方、「さらなる増員を求め続ける」と述べ
、なお兵力が不十分であることを示唆した。
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イラク民兵掃討、米英軍直接介入・治安、急激に悪化
(nikkei)
 【ドバイ=松尾博文】米軍は28日早朝、バグダッドの反米指導者
サドル師派の拠点をヘリコプターで空爆した。イラク第2の都市バス
ラでも民兵組織の拠点を空爆。バスラではイラク側が少なくとも2カ
所の空爆を要請、英軍も米軍機を支援したという。米英軍が今回の
掃討作戦で直接介入したのは初めて。

 一方、イラクのマリキ首相は同日、同国南部一帯で治安部隊と衝
突を続けるイスラム教シーア派民兵組織の投降期限を4月8日まで延
長すると発表。当初は28日を期限に設定していた。治安部隊幹部は
同日、作戦開始以来バスラだけで120人以上の民兵を殺害したと述べ
た。

 バスラで25日に始まったサドル師傘下の民兵組織と治安部隊の衝
突はバグダッドや南部の主要都市にも拡大。ロイター通信は主要都
市のひとつ、ナシリヤの中心部をサドル師派の民兵が制圧したと報
じた。改善傾向にあったイラクの治安は急速に悪化している。
(06:06) 


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