2896.竹を素材とした製品に注目



日本に多く生育されている竹を素材とする用途が拡大している。
                        Fより

今後、石油が高騰して石油由来の材料が高騰することで、環境問題
からも持続可能な自然の資源を利用することが日本としても急務に
なっている。しかし、非常に優れた資源が日本には沢山ある。今ま
で、その利用を放棄していただけである。この内、今回は竹を見よ
う。

竹の特徴は、曲げ・圧縮強度に優れていること、長さに狂いがない
こと、抗菌性、殺菌性、脱臭性に優れていること、成長が早いこと
、持続的生産が可能なこと、真っ直ぐな木目がきれいなことなど。
素材としてだけではなくて、タケノコという食料にも成る。

しかし、硬くて加工が難しいこと、繊維が真っ直ぐはしっているた
めに繊維の方向に割れやすいこと、夏の竹は虫が付きやすいことが
欠点である。

竹の欠点で虫が付きやすいことに対しては、冬に竹を伐採して煮沸
処理で栄養分を抜き、自然乾燥させ乾燥機に入れ数十時間乾燥した
後、専用の窯で短時間、高温で炭化処理を行うことで対応できる。

繊維の方向に割れやすいことについては、3積層のクロス集成材に
することによって割れ、反りなどの欠点を補う。この竹集成材がで
きたことで竹の用途が広がっている。また、加工の難しいことに対
しては、ダイヤの刃を使うなどして克服しているという。

このようなことをすると、老朽化しにくく、オイル塗装をすると使
い込むほどに飴色に変化、光沢が出る真っ直ぐな木目の素材になる。

また、別の側面から行くと、竹繊維の強度が高く、炭素繊維と同等
な性質をあり、しかも安価なために、この竹繊維を柔軟性があり
かつ強度を必要とする素材として利用する研究が行われている。

また、竹繊維は抗菌性を持ち、それで編んだ竹布は綿の2倍もの優
れた吸水性を持っている。このため下着として非常に快適である。
紙としての利用も始まっている。

一般の木材の場合、伐採できるまで数十年かかる。このため、木を
伐採すると、その修復が大変であるが、それに比べ竹は一年で成木
になり、3〜5年冬場の寒い時期、夏場の暖かい時期を耐えたものは
身が締まり材料として使用できるようになる。また竹は、木材と違
い、地下茎というものを持っているため、植林する必要すらない。
このため、木の生育に比べて、人間サイドの手間が掛からない。
しかし、放置すると年6Mから8Mも侵食してくるほど生命力が強
い。このように竹は、脱石油文明の持続可能な社会を形成する上で
資源としての面からも非常に優れている。

その上に、竹ははすべてを使いきることができる素材である。『熊
笹』は傷に効き、『竹油』は火傷治療に効果があり、二次利用の『
竹炭』は除菌・抗菌・消臭・吸湿・通気・蓄熱などの面で優れ、遠
赤外線による温熱効果や、携帯電話やパソコンなどの電磁波防止効
果を持つし、『竹酢液』は花粉症、水虫菌、アトピー性皮膚炎など
人間の身体や健康回復にも効果があるという。

この竹を利用しない手はない。日本は江戸時代、鎖国できた理由の
多くは、日本にある素材で足りたのである。
世界的な資源の奪い合いの時代が訪れようとしている。この時期に
日本にある優れた竹資源を見直す必要があるように思うがどうであ
ろうか??


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