2895.中国の強硬外交で孤立へ



中国はチベット問題強硬策で、世界的な孤立に陥る。 Fより

中国は国内世論上、外交では強硬策を取ることが多い。日本に対し
てはギョーザの農薬混入問題で中国での混入を否定し、韓国の在中
大使急死事件に対しても医療ミスを否定している。また、チベット
自治についてもダライ・ラマとの交渉を拒否している。独メルケル
首相がダライ・ラマと会見しただけで、在中ドイツ企業が大きな不
利益を受けている。

このように、中国外交は独善的な強硬姿勢が強くて反中感情を相手
国に与えている。

もう1つ、悪いことに中国はアフリカとの関係を強化して、地下資
源や新規鉄道網を獲得しようとしているが、この地域は伝統的にヨ
ーロッパ諸国が多くの国に政治顧問団を派遣して、旧満州のような
体制にした国家群である。ヨーロッパ諸国のODAの大半は旧満州
体制と同様なアフリカ諸国への援助で、自国企業の資源や鉄道など
の利権を守るために行われている。

ここに、中国は意図せずに土足で上がりこんでいる。そして、ヨー
ロッパ諸国の利権を無効化するような政治行動や企業行動を取って
いるのだ。

米軍に対しては、太平洋の分割統治を提案するなど、中国の軍事力
特に海軍力をアピールしているが、それは米ロの2大軍事大国を警
戒させることになる。ロシアは中央アジア諸国と共同経済同盟を結
び、中国の経済進出を阻んでいる。特に中央アジアでのエネルギー
資源獲得についてもロシアは中国に対して警戒し始めている。

このように世界第3位の経済大国になったことで、その力が増して
、かつ自国経済を維持するために必要な資源も食料も大量輸入する
必要になっている。中央アジアから資源が思ったように獲得できず
にアフリカや中東イランなどにシフトしたのであるが、ここでも問
題を起こしている。

また、中東、アフリカと中国を結ぶシーレーンを守るために、海軍
基地をインド洋に数箇所を置いている。このため、インドも中国を
警戒することになる。中国の周辺国家は、中国の独善的な強硬外交
に辟易している。

ここで、8月の北京五輪前にチベット動乱を起こした。この動乱の
裏にはダライ・ラマを支援する欧米諸国とCIAやMI6がいると
思うが、しかし、中国の今までの強硬外交政策で反中感情を多くの
国家が持っているために、この火の手は時間が経つと共にだんだん
大きくなっている。ドイツ、日本や韓国との強硬外交が裏目に出た
ような印象を受ける。

8月の北京五輪を人質にEU諸国は、中国の人権問題を問う方向で
ある。その証拠にフランスのサルコジ大統領が率先して、中国非難
をしている。独メルケル首相はおとなしいが、開会式は出席しない
と表明。それに対して、米ブッシュは経済問題があり、現時点で中
国非難をしにくい。フランスは一番アフリカに権益を持っていて、
その権益を侵されているのに中国でのビジネス規模は大きくないこ
とで中国非難をしやすい立場にいる。

中国を支持している国家は、反米国家群であり、ロシアを除く主要
な国家は中国を支持していない。日本のように音無しも支持した国
家にされている可能性はあるが、名前が出ている国家ではない。

また、米国サブプライム問題も絡んで、上海株式市場の株価は40
%も下落している。ここで、チベット問題が起きて、外国企業の引
上げも増加するなど、その影響は広範に及ぶ可能性が出ている。

中国政府系投資ファンドが米ヘッジファンドであるブラック・スト
ーンへ投資したが、それも大損をしている。ここで米ポールソン財
務長官が訪中するが、追加の米ヘッジ・ファンドか証券会社への投
資をお願いしに行くことになると見ている。

米国はこのため、中国へ強く言えない状況になっている。このため
、米国が担っていた人権の世界的な拡大を益々EUが担うことにな
っている。このように政治的な発言も米国からEUに移っていくこ
とになる。このように、現に覇権のシフトが起こっていると見る。

さあ、どうなりますか??
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「高度自治」も容認できず=ダライ・ラマとの対話、困難に−中国
3月29日7時0分配信 時事通信

 【北京29日時事】中国国営新華社通信は28日、チベット自治区ラ
サで起こった暴動に関して「ダライ集団の下心はチベット独立」と
題する論評を配信し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が
主張する「高度な自治」は「独立への道」との認識を示した。中国
としてダライ・ラマとの対話の条件とする「独立主張の放棄・祖国
分裂活動の停止」に加え、「高度な自治」も容認できない立場を明
確にした形だ。 
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「中国メディアの報道は虚偽」 ダライ・ラマが批判(ASAHI)
2008年03月29日01時14分

 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は28日、亡命政
府のあるインド北部ダラムサラから「中国国営メディアの最近の出
来事の報道は、虚偽でゆがめられており、予測できない人種間の緊
張の種をまきかねない。深く懸念する」とする声明を発表した。 

 声明はまた、中国当局の自身に対する非難について、「北京五輪
開催の支持を繰り返し述べているのに、中国当局は、私が五輪を妨
害しているとして中国人と私の仲を裂こうとしている」「(抗議行
動は)人々の自発的なものだ」などと批判した。 
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中国「110カ国以上が支持」・騒乱の鎮圧 
(nikkei)
 【北京=佐藤賢】中国外務省の秦剛副報道局長は25日の記者会見
で、チベット自治区ラサで起きた大規模騒乱について「110以上の国
が中国政府の立場に理解と支持を表明した」と述べ、騒乱鎮圧に対
して国際社会の多くの支持を得たとの認識を示した。

 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と中国の対話を求めた
ライス米国務長官や自民党の中川秀直元幹事長らの発言には「それ
らの人たちは国際社会(の声)を代表できない」と語った。中国政
府によると、中国支持の国はロシアや北朝鮮のほか、キューバ、ベ
ネズエラ、スーダン、イラクなどで、民主化や人権問題で欧米から
批判を受ける国も目立つ。
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国マスコミ、外国報道「偏向」批判キャンペーン開始
2008年03月27日22時53分(ASAHI)

 中国のマスコミやインターネット利用者が、チベット自治区ラサ
などの騒乱をめぐる外国メディアの報道批判を強めている。27日
付の人民日報などが一斉に米CNNやワシントン・ポストの映像や
写真の「誤った記述」を取り上げ、「歪曲(わいきょく)報道が中
国の名誉を汚している」と非難。きっかけは大学を卒業したばかり
の男性のウェブサイトだった。 

 サイト名は「反CNN」。米国や英仏などのメディアの「偏向報
道」だとする写真や映像を並べて間違いだと批判している。たとえ
ば、CNNが放映した装甲車の映像は、実際は暴徒が投石するシー
ンを意図的にカットして治安部隊の存在ばかりを強調していると非
難。ワシントン・ポストが掲載した「中国当局者によるチベット族
抗議者の取り締まり/ラサで」という説明が付けられた写真も、治
安当局者の制服からネパールでの衝突の場面だとしている。 

 サイトは、清華大を昨年卒業してIT会社を経営する饒謹さん
(23)が20日に立ち上げ、アクセスは20万回に達した。「国
外にいる友人と話していて、海外メディアがでっちあげ記事で中国
を中傷していることに我慢できなかった」と憤る。 

 26日付の中国青年報はこのサイトの画像を転載し「外国メディ
アの歪曲報道にネットユーザーが反撃」と伝えた。27日付人民日
報も取り上げた。 

 「西側メディアが北京五輪をつぶそうとしている」「偏向特派員
を追放しろ」――大手サイトの掲示板にも厳しい意見が出始めた。 

 中国外務省の秦剛副報道局長は27日の定例会見で「反CNNサ
イトを支持するか」との質問に「一部西側メディアのあまりに無責
任でろくでもない報道が、こうした批判を巻き起こしている」と声
を荒らげて答えた。 
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米、中国との距離感に苦慮・チベット騒乱で
(nikkei) 
 【ワシントン=丸谷浩史】ブッシュ米政権が中国チベット自治区
で起きた大規模騒乱への対応を巡り、中国との距離感で苦慮してい
る。外交で最重視する「人権」にかかわるだけに米国内の関心も高
まりつつあるものの、政府高官の発言は懸念表明と中国にダライ・
ラマ14世との対話実現を促すにとどまる。外交で中国の協調を必要
とする場面が多いうえ、景気後退の懸念も出ている経済面での結び
つきが深まっていることが、慎重な発言の背景にある。

 「チベットの現状に懸念を伝えた」。大統領が中国の胡錦濤国家
主席に電話したとホワイトハウスが声明を発表したのは26日。14日
の騒乱発生から2週間近くもたってのことだ。 (09:19) 
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ドイツ首相、五輪開会式出席せず
(nikkei)
 【リュブリャナ=下田敏】EU非公式外相会合では、中国のチベ
ット自治区での騒乱についても協議する見通しだ。人権問題から北
京五輪の開会式欠席の動きが出てきた中、ドイツのシュタインマイ
ヤー外相は28日、「(メルケル)首相も私も(開会式への)出席は
予定していない」と発言。オーストリアのプラスニク外相は「(欠
席は)中国への強いシグナルになるだろう」と述べ、出席見送り支
持を示唆した。

 独外相は出席見送りについてチベット騒乱への抗議という見方は
否定。ただ、EUの主要国であるドイツの不参加は各国の判断に影
響を及ぼす可能性がある。EU加盟国ではポーランドとチェコ、エ
ストニアの首脳が欠席を表明している。

 EU各国は伝統的に人権問題に厳しい。五輪競技への参加を見送
る動きは出ていないが、フランスやベルギーも開会式をボイコット
する可能性を「排除しない」としており、EU各国で不参加を検討
する動きが広がってきた。EU各国が相次いで開会式への不参加を
決めれば、五輪開催国の中国には逆風となる。(06:06) 


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