2890.チベット問題について



チベットの暴動で、中国が揺れている。この検討。  Fより

チベットのラサでの暴動に対して、中国はチベット民衆に最新鋭の
装甲車を出して、かつ銃を発射している。天安門事件と同様の対応
策を取っていった。まるで敵国軍に対応するような装備である。日
本の機動隊のような民衆暴動に対応する警察機能があるが。今回は
軍が出た。

これに対して、世界は天安門事件の時と同様に中国の人権無視を言
い立て始めている。特にEUの反発は大きい。それに比べて米国は
穏便な非難である。日本の福田政権は非難声明がない。これは容認
と同じだ。

EUは中国製品の輸入問題で頭を痛めている。中国の最大輸出国は、
米国ではなくて、EUに2007年からなっている。このため、EU
は中国製品の流入を止めるために、CO2排出規制を取らない国の
製品を輸入制限すると言う。このターゲット国は中国である。この
ように中国に対して非常な警戒感があった。

ここにチベット動乱で、中国製商品をボイコットできるいい理由が
できたことになる。そして、フランスでは北京五輪開会式ボイコッ
ト論まで巻き起こっている。

問題はEU全体で騒いでいるのではなくて、英国やフランスが中心
に騒いでいることである。ドイツは最近メルケン首相がダライ・ラ
マと会見したことを理由に中国政府から中国進出のドイツ企業が制
裁を受けているために、あまり声高には非難をしていない。

また、米国は自国の景気後退で今後、米企業が米本土でのビジネス
から中国ビジネスにシフトせざるを得ないことが影響して、中国に
対して非難はするが、天安門事件より穏便な対応をしている。日本
は非難声明なし。

このようにチベットの関連だけを見るとEUの強硬な立場がよく分
かるが、現在の世界政治状況を見ると違うことになる。

最近の米国はロシアと友好関係強化を打ち出している。MDのポー
ランド設置で合意が出来た。しかし、EUはロシアとコソボ問題や
天然ガスパイプライン経路問題でギクシャクした関係になっている。
このEU戦略を企画しているのが英国機関であり、よって米国と英
国の関係が緊密ではなくなっている。英米共同覇権体制がすでに終
わっているようである。EUは中国とは遠いために敵対関係にはな
らない。貿易関係だけである。

しかし、米国やロシアは中国の年率20%で予算UPした10年間
の軍事力増強で軍事圧力が増していることを知っている。

ロシアは中央アジア諸国と一体感を高めている。中央アジアでの中
国の影響力を制限したいようだ。また、ロシアは、中国国境線の警
備も増強している。ロシアは中国に最新鋭の戦車、戦闘機を販売し
ない方針に切り替えている。それだけ中国の軍事力増強に危機感を
高めている。米国に対抗していた中ロ同盟は米国の覇権が弱まった
ことで分裂する運命にあるようだ。

どうも、中国への包囲網をロシアと米国は共同で構築し始めた可能
性がある。世界政治のシナリオが変わったことを今回の米ロのMD
交渉は示している。

米太平洋軍のキーティング司令官は中国軍幹部から「空母を開発す
るから、太平洋のハワイから東部を米国がとり、西部を中国がとる
というのはどうか」という提案があったと上院軍事委員会で発言し
たが、これが大きな影響を米政権に与えているように感じる。

本当に米空母「キティーホーク」の直近に中国潜水艦が浮上する事
件が複数回も起きている。空母が中国沿岸に近寄れないことを示し
ている。これは中国製リチウムイオン電池の性能が高いからできる
ことである。そして、中国潜水艦がハイブリッドで動いていること
が分かる。敵の近くでは電気モータ推進にして音がしないようにし
ているのだ。しかも中国の潜水艦は700隻もあり、日本と米軍の
両国の潜水艦数の数倍も持っている。これが現実に起きているので
、中国軍幹部も、大見得が切れるのである。

米ロ接近の延長上でCIAが中国国内の少数民族、特にチベット人
に肩入れしている可能性があると見ている。中国国内のウイグル族
など中央アジア系民族への支援はKGBが行う可能性がある。

中国が第3位の経済大国になり、米国についで第2位の軍事費にな
ったことで、周辺諸国は警戒感を高めている。特に米国とロシアで
あろう。

そして、中国を弱めるために、分離独立を推進する可能性が高い。
コソボの独立はその1歩として位置づけることになる可能性もある。
中国がコソボ独立に反対した理由もそこにある。

さあ、どうなりますか??
==============================
五輪開会式ボイコット論、欧米で広がる チベット問題で(ASAHI)
2008年03月21日22時52分

 中国チベット自治区の騒乱を受けて、「中国への圧力を強めるべ
きだ」との声が欧米で広がっている。北京五輪の開会式ボイコット
を求める声がくすぶり、五輪自体の不参加を主張する声も出始めた。 

 開会式のボイコットは、市民団体「国境なき記者団」(本部パリ
)が18日に提案し、フランスのクシュネル外相も「評価に値する
」と理解を示した。外相は翌日「非現実的な発想だ」とトーンダウ
ンしたが、ヤド仏人権担当相は20日に出演したテレビで「重大な
政治問題が存在する時にスポーツを楽しむわけにはいかない」と発
言。開会式について「招かれても出席するかどうかわからない」と
話した。 

 五輪自体のボイコット案も出ている。仏社会党のロワイヤル前大
統領候補は18日にテレビで「五輪不参加の可能性を示唆して中国
に圧力をかけたらどうか」と提案。 

 米国の対中強硬派、ローラバッカー米下院議員(共和党)も21
日、台北市内で記者会見し、超党派議員6人の連名で北京五輪ボイ
コットを求める書簡を、ペロシ米下院議長に送ったことを明らかに
。「権利を求め勇敢に戦うチベット、ウイグル、そして中国の人々
のために米議会は沈黙を守るべきではなく、選手団を派遣すべきで
はない」と訴えた。 

 そのペロシ議長は21日、チベット亡命政府のあるインド北部ダ
ラムサラを訪問し、ダライ・ラマ14世と会談した。「世界中の自
由を愛する人々が中国の抑圧に反対しなければ、人権について口に
する倫理的なよりどころを失う」と述べ、中国政府の強圧的姿勢を
批判。「外部の独立機関が調査をすべきだ」とも指摘した。 

 チベット支援のデモも欧州各地に広がり、ブリュッセルでは18
日、中国の欧州連合(EU)代表部前でデモ隊と警官隊が衝突、多
数が拘束された。ポルトガルでは中国製品の不買運動を市民団体が
呼びかけている。 

 一方、各国の五輪関係者からは過剰な反応を警戒する声が出てい
る。スロバキア五輪委は騒乱への懸念を表明しつつ、ボイコットを
戒める声明を発表。ラポルト仏スポーツ担当相は17日「不参加は
何も生まない」と反対の立場を表明した。 
==============================
ライス国務長官、中国に自制求める チベット問題(ASAHI)
2008年03月21日06時27分

 ライス米国務長官は19日夜(米東部時間)、中国の楊潔チー(
ヤン・チエチー、チーは竹かんむりに褫のつくり)外相と電話会談
し、チベット問題で暴力を行使しないよう自制を強く求めた。米国
務省のマコーマック報道官が20日、記者団に明らかにした。報道
官によると、ライス長官は、ダライ・ラマ14世との対話も改めて
求めた。 
==============================
ミサイル防衛、東欧配備を容認へ・ロシア、米と条件巡り交渉
(nikkei) 
 【モスクワ=坂井光】米国とロシアは18日、外務・国防担当閣僚
による「2プラス2」会合をモスクワで開いた。米国が東欧に配備
を計画しているミサイル防衛(MD)問題を巡り、米国がロシアの
脅威を軽減する措置をとると提案。両国は同会合を継続して具体策
を協議することで一致し、ロシア側はMDの東欧配備を事実上、容
認する流れが鮮明になった。

 会合にはロシアからラブロフ外相やセルジュコフ国防相ら、米国
からはライス国務長官やゲーツ国防長官らが出席し、会合後は4人が
そろって記者会見した。ラブロフ外相はMDについて「重要で有効
な提案があり、今晩正式に文書で受け取る」と説明。米提案の具体
的な内容は明らかにしなかったが、ロシアの脅威をやわらげるもの
と位置づけ「我々は提案内容を検討する」と言明した。

 ロシアはMDの東欧配備に一貫して反対してきたが、外相は「米
国は東欧でのMD配備を決定した」とも発言。ロシアはMD配備を
実質的に容認する姿勢を示しつつ、そのための条件闘争を有利に進
める戦略に転換したものとみられる。 (07:03) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る